空落ちる日
朝日が昇っていたので白湯を飲んだ
シーツはぐちゃぐちゃで
ほんのりと頭皮に汗が滲んできもちわるい
白湯は無味で美味しいとは思わなかった
太陽がアスファルトを焼いていた
暑くてかなわないとぼやいて
扇風機を引っ張り出した彼女が
鈴の音のような声を歪ませて
微妙に重厚にふにゃふにゃに
捻じ曲げていた
あの音が連発される部屋は
夏のしがらみの中でひっそりと
僕らを取り残していく
何事もせず
何者にもなれず
ただ時間を謳歌する僕らは
なんと浅はかで愚かで
そして途方もなく生き生きとしていた
誰かを羨んで恨んで嫉んで
奪って壊して喜んでも
心のなかは満たされないのだとわかっているから
だから僕は明日も白湯を飲む
彼女の粒子が纏わりついたような声を
ぼんやりと聞いては
明日も僕を謳歌する
空がずっと朝を連れてやってくるまでは
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