03 パワーアップする僕
いつの間にか眠っていた。
「ん、うぅん」
しかし、聞きなれない声で
「もしかして、君が私の男の子?」
性別。シジディアに言わせればそんなものは
「そうすると、君は女の子?」
実はこのディストピランドの歴史に男女が登場する。
えっ? 結婚って何かって? 自由主義ではそんなことも教えてもらえないんだね。
結婚とは男女が合わさり完璧になることだとシジディアは言う。人間は両性がそろわなければ完璧になれない。だから、結婚したのである。一方で、完成していない人間は結婚していないのである。そして、孤立している僕らを指してシジディアは僕たちが未完成であると
だから、初めて会った女の子が目を輝かせながらこんなことを言ったのだ。
「私たち結婚すれば完璧になれるのかな?」
嬉しそうだった。僕も嬉しかった。シジディアに見下されて育ってきた僕たちだけど、この子といれば完璧になってシジディアのように
「そうだね。頑張って結婚しようね!」
「うん!」
僕と女の子は狭いベッドの中で手を取って喜んだ。正直、僕は完璧になるかどうかなんてどうでもよかった。女の子の手に振れていると心の底から幸せになれる。弾ける女の子の笑顔を見ていると僕の心も弾けるように嬉しかった。
そして、彼女が起き上がると、
僕たちディストピランドの人民は普段から割と裸で過ごす。暑かったり寒かったりするコンテナでの生活だからそれが普通だった。普段は裸なんて平気なんだ。けれど、この子の裸を見ていると頭が熱くなるようだった。
このディストピランドにおいてあらゆる人間らしい感情は表に出してはいけない。だからこそ感情の存在は
そんな何も知らない
「とりあえず、これ着なよ」
「ありがとう! 寒かった」
僕よりちょっと
そして、僕は気づいてしまった。
(もしかして、女の子といるとパワーアップするのかな、僕は完璧に近づいているのかもしれない)
やっぱり、早くこの子と結婚しよう。でも、僕たちは一体どうすればいのだろう?
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