第9話 美優に体の相談をされる

 だんだんこの状態に慣れてきた。最初は嫌だったけど、面倒な恋路に関わらないで済むのだ。現に目の前で、


「朝倉くんの許嫁もいい気分ね。こんなに幸せな気分でいられるのね。」

 あの冷静な静香さんまで、美優の手玉に取られてしまっていた。


「静香、好きだよ。このまま一緒にいたいな。」

 彼女の手を取って優しく微笑んでいた。


(キモいな、俺が他の女子といちゃつく姿を見るのは…。)


ぼ~っと、机の上に寝そべりながら美優の体であのバカを見ていると、

「おい!愚妹、ちょっと来い!」姉の恋歌に呼び出しを食らっていた。


基本、恋歌さんはキレているから心配してはしていなかった、

「お前…、許嫁でも無いのになぜ、朝倉の家に寄り付くのだ?」

 そこをキレながら聞くこと無いよね?この姉の性格はいまだによく分からない。大嫌いなのか?妹の事が。


もしかして美優の代わりに俺が答えるの?どう言えば正解なんだろう…。


俺が美優の体で奴に嫌がらせする方法は…姉と仲良くすることだ。

「恋歌お姉ちゃん、今日は家に帰るね。」

 俺は美優の代わりに勝手に姉との関係を修復することにした。


 昼休みは女子たちとご飯を食べていた。

「今日の美優は妙に従順だな、いつもそれくらい裏表無いように接してくれると姉としては助かる。」姉からは好評みたい。


「美優ちゃん…昨日の事でやっと反省してくれたんだね。私も仕事が一つ減って嬉しいよ。」聖奈さんにも好感を持ってもらえる。


姉ウケがいい俺に妹が耳元で囁いてくる、

「お兄ちゃんは美優の体が向いているよ。美少女だし、浮気しちゃいなよ。」

(他の男と付き合えと?それは無理だ。)


「女同士の関係は複雑なんだな、純。」仲良く見えてもそうでも無いし。


「そうだね…。女には裏の顔があるし、お兄ちゃんみたいにバカ正直に女子やっていたら、体がもたないよ?」妹は俺の心配をしているので、


「大丈夫だ。この状態は火曜日の今日だけだしな。午後からは美優の体で美少女を楽しんで過ごすよ。」

 前向きになって過ごすことにした。


 美優の体は体力が無いし、フニャフニャな体は柔らかいから変な感じだ。生理の辛い日だから、そんなに気持ちがいいとは思えないけど、女の子っぽい事ができるのは貴重な体験だった。


引き続き俺は机の上で寝そべっていると、俺の姿の美優がやって来て、

「なあ、美優は目の前で浮気しても平気なのか?」

 俺の体で勝手に浮気しておいて、そんな事を平然と行ってくるお前は何?


「満足か?そろそろ飽きたなら体を返してくれ。俺は飽きたぞ、お前の体。」

 美優に一応、聞いてみたが奴は、


「この地味な顔なのに女に困らない。最高だぞ?お前の体は。週1回の楽しみにはちょうどいい。美少女を辞められる日も必要なんだよ、私には。」

 美優は美少女で存在する悩みを話していた。ジロジロ見られたり、口説かれたりするのが嫌だと言っていた。だけど、恋愛の欲はあるみたいで、自分自身の存在に悩んでいたみたいだ。


「お前が大人しく私を毎日抱いてくれていたら、良かったのだ。なのに、何もしないし、ヘタレで優柔不断だからもう一度、決めてもらおうと思っていた。お前は本当に私が好きなのか?を。」

 俺が美優に手を出さないから美優は心配になったのか?


「悪いな、美優。俺は実際に結婚を考えてからにしようかと思っていたよ。それに近すぎたんだよ、俺たちは…恋人として思いを行動に移すには。」

 (そう答えて…また、はぐらかした…。ヘタレだな、俺。)


「今日は俺の体を好きにするといい。静香さんと寝てもいいが、避妊はしろよ?それだけ守ってくれればそれでいい。」

 結局、最後はいっつも、美優の行動を許してしまう。


「う~ん。考えてみる。さっき静香にキスして股間を押し当てたけど、さほど立たなかったし、若いのに立たない性病なの?悟くんの体は。」

 まさか、そこまでしているとは…。しかも、立たないって…悲しいよ俺は。


「悟くんなら、私の体を好きにしていいよ?なんなら学校のどこかで…しよっか?」自分相手に…それこそ立たないだろう?美優さんよ~。


「精力剤を飲んでがんばって見るよ。悟くん、アドバイスありがとう。」

 そう言うと、美優は静香さんの所へ言って彼女と話し込んでいる。


「好きにしていいとは言ったけど…、無理に俺の体で女を抱けとは言ってはいないぞ?美優。」

 なんでアイツの勝手な行動を許すんだろう…。俺は病気なのか?それとも、本当は美優の事が大好きすぎるのかな?

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