第8話 俺の体で暴走する美優と最強女子たち
美少女JKの美優になって登校中の俺だが、楽しみなど無かった。生理痛で歩くので精一杯だったからだ。俺の姿の美優が妹に、
「我が実の妹よ、他の奴には招待を明かすなよ?ルール違反だからな。」
入れ替わりしていることを伏せろと言っている。
「私からは何も言いませんよ。私はこの美優お姉さまが一番好きですよ。」
妹の純は俺が美優のままが良いと朝から言い続けていた。
「一緒にいれて楽しいね。美優~。」好きな人が笑顔で接してくる。
「ううん…。無理だな美優、俺の体を返してくれ。」
(体が痛いんだよ、本当にコイツはなんでもありだな。)
そう考えながら、自分の姿をした美優を見て、腹が立っていた。
学校に着くまで、純がずっとそばにいてくれた。(本当にいい子だ)教室で美優の席に着いた時には、辛すぎて席でうずくまっていたら、美優の目的が徐々に露になってきた。俺の体の美優は静香さんと話している。
「静香さんは俺に気はないの?」
ん?もしかして俺の体でアイツ…彼女を口説いている?
それを聞いた彼女は、
「優柔不断な所は見ててイライラするけど、美優さんに振り回されているあなたは不憫だと思うわ、大丈夫?朝倉くん。」
俺の心配をしてくれているが、その中身は美優だよ?気付いて?
「アイツ、朝からイライラしていて俺にひどく当たってくるんだよ。静香さん相談に乗ってくれよ~。」
俺の真似をしながら、静香さんに甘えだした。
(アイツ!何してんだよ…こっちはお前の体で苦しんでいるんだぞ!)
「仕方ないわね、相談に乗ってあげる。どうしたの?」
意外にも、彼女は了承していた。
「実は今日の俺の許嫁は静香さんらしいんだよ。」(は?何を言っている?)
美優が突然、俺の体で暴走を開始した。
(無理だろ?静香さんにその気は無いから…。バカだろ、コイツ。)
「ああ、だから、朝倉くんを見るとスゴく好きな気持ちになるのね。」
あれ?涼しい顔をして何を言っているの?静香さん。それに美優…お前は何がしたいの、俺の体で勝手に浮気するの?
「もう一回、聞くね?静香さんは俺の事を好き?」
ヤバイよ、絶対、OKをする流れだよ。お前は俺をもてあそぶつもりだな。
「好きよ。今日一日よろしくね?」(火曜日…波乱過ぎだろ!)
そのあと、美優の体で俺が苦しんで動けない状態なのに、許嫁になった二人でいちゃつき出した。俺は唖然としながらそれを見ていた。
(意味不明だな、アイツ…その行動の理由が分からないよ、美優。)
授業が始まったけど、先生の言葉は右から左に流れている。頭に入らない、女子の体だし、下腹部から腰の辺りまで痛いよ…。なんでこんな目に遭うんだよ。美優さん…俺…なにか悪いことしました?
気を取り直して、ペンを取ろうと美優のカバンを漁っていた。だが、ペンケースが見当たらず、代わりに細長いファスナー付きのクマがそこにはいた。
この、ペンケース可愛い過ぎだろ!ただのクマじゃねぇか!
それにこの機能性の無いシャープペン…変なアクセサリー付いてるよ。
消しゴムも可愛いけど、クマの頭がかなり削られてる…。
サイコだよ、ある意味ホラーなペンケースグッズだよ!
体育の授業は生理痛が酷い事情を話して当然、見学だ。校舎の影で休んでいると、俺の体で美優が叫んでいた。
(今日一日で俺の評価が地に落ちるな、明日やだな。学校に行くの…。)
それよりも最強女子三人の100m走対決がスゴかった。
「お前たち、今日こそは私が、勝つぞ!」恋歌さんが言うと、
「お姉さま方、私には勝てませんよ?」妹は勝つ気満々だ。
「私は運動したことが無いの、勝てないよ~。」聖奈さんは自信がない。
そのあと、速い女子三人が同時に走り出した…。速!どんな対決だよ。あっという間に駆け抜けて行った。タイムもそうだが、メチャクチャ鍛えている恋歌さんと純より、運動したことが無い発言の聖奈さんがなんで勝つんだよ。おかしいだろ。三人とも12秒切ってるし、化けもんだな…。
「お前らのせいで毎回、屈辱を味わうよ。」三位の恋歌さん。
「聖奈お姉さまに負けるなんて…。」二位の妹の純。
「全力を出したら、また、勝っちゃったよ…。」一位の聖奈さん。
(聖奈さんは確実にもう一段上のギアを持っているな…。怪物かこの人。)
女子たちのハイレベルの戦いを初めて見た、俺は妹に聞いた、
「なあ、純。お前たち何なの?いつもやりあっているの?」
すると答えてくれた。
「私は初めてだけど、同級生の三人はいつも競い合う仲間らしい。願ってもない対決だよ。でも、負けたけど…。次は勝つよ、私!」
武闘派の妹は戦いと呼ばれるモノが大好きな戦闘狂だ。
美優になって面白いものを見れた。ちょっと体が軽くなった気がする。
女子たちにもこう言う所があることを知れたのは良かった。
問題は俺の体で好き放題する、あのバカ美優をどうするか?だな。
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