火曜日は美少女にあさおん

第7話 美優だけは絶対にまともじゃない

俺は朝から体を揺さぶられる、

「悟く~ん、早く起きなよ~。」

(美優か、緩いな。)


「美優、もう少し寝かせてくれよ。昨日の影響で体が重いんだよ。」

 朝から体に違和感を感じている。下腹部と関節が痛い…筋肉痛だな。


「大丈夫だよ。私の体、生理痛なだけだから…。」

 ん?美優さん…何を言っているの?それに美優の声がおかしいぞ?

寝返った時にその違和感が分かったのだ。胸が張っていて当たるのだ。

(まさか、俺、美優になっているのか?)


俺は飛び起きたのだが、お腹が痛い。(生理痛って言っていたな、アイツ。)

「本当に痛いよ。お腹が…。」鏡を見たら、俺は美優になっていた。


「どう?私の体。重たいでしょ、生理の状態。」

 なんてことするんだよ。美優。


「美優、お前の頭はおかしいのか?こんなことをして何になるんだよ!」

 俺の体を奪ったアイツを問い詰めると、


「面白いじゃん、美少女にあさおんだよ、楽しいでしょ?」

 ヤバいな、コイツ…マジでイカれてやがる…。


 そう言ったあと美優の俺にキスをしてきた。その時に心が高ぶる感じに襲われて呟いてしまった。

「あっ、もっとして欲しいです。」目の前にいる、俺の姿を見て言った。


「美優~、やっぱり可愛いな。美少女は。」頭を撫でてきた。


「それも好きです。もっとお願いします。」

 触られて、俺は心が高ぶる感じになっていた。


「辛いだろ?汗も掻いただろうし、シャワーを浴びてきなよ。」

 お姫様抱っこして優しくしてくれる俺の姿の美優に、


「付いてきて欲しいです。女性の体が分からないから。」

 美優の体で俺は暴走していた。されるがままの状態だ。


そして、美優の体の俺は脱衣場で服を脱がされていると、

「朝から何してるんですか?美優お姉さま…。」キレながら俺に言ってくる。


「純よ!邪魔をするな、俺は大好きな美優の体を洗ってやるだけだ。」

 俺のふりをして妹を追い出そうとしていたのだが、


「お兄ちゃん…じゃないな。何をしたんですか?美優お姉さま?」

 勘のいい妹に、美優は一瞬でバレた。


「つまらない、女だな。あさおんだよ。朝から美少女になる…あれだ。」

(お前はまともじゃない…だって俺と体を平然に入れ替えるなんて…。)


「お兄ちゃん…辛そうだね、私がちゃんとキレイにしてあげるよ。」

 美優を払い除けて、女の体になった俺と風呂場に入っていった。そのあとは妹が優しく体を洗いながら、生理中の事を説明されて、生理用品の事、あとは辛くなったら全部、任せてと言ってくれた。


 俺の体の美優がそばを離れた時に、正気に戻った。

「純、なるべく俺の体を遠ざけてくれ、されるがままになってしまうから。」


「分かった。本当に大丈夫?お兄ちゃん。」

 理解力がある、妹がいて俺は助かっていた。


「純はいい子だな~。お前がいてくれて良かったよ…よろしく頼む。」

 妹の側にすり寄っていると、


「美優お姉さまがこれくらい素直なら良いのに…。本当に見習って欲しいですよ。生理の痛みが嫌だから、お兄ちゃんと体を入れ替えるなんて、やっていることが、メチャクチャだよ~。」

 美優にルールや常識は通用しなかった。


純は美優の体の俺にブラを身に付けさせ、生理用品と下着を身に付けた。

(肌触りが違うな、女性の下着は…。でも、下腹部の違和感と痛みが…。)


 シャツとスカートを身に付けてブレザーを着ると俺は完璧な柏野 美優になった。

それを見て俺の姿の美優は、

「可愛いよ、私は…。美少女はいいな、見ているだけで興奮する。」

 そう声を掛けられて触られると、


「うれしい。許嫁にそんな事を言われると…引っ付いてもいいかな?」

 そう言って昨日の恋歌さんみたいになって俺は引っ付いていた。


「触らないでください!お兄ちゃんが…穢れます!」

 純がその手を払い除けてくれた。


(どうやら、触られるとおかしくなるみたいだな…。)

「あっ、純、ありがとう。お前だけが頼りだ、今日はよろしく。」

 素直にお礼を言い、感謝の気持ちを述べると、


「美優お姉さま、もうこれで良くないですか?しっくり来てます。この美優なら、一生、私は仲良くなれますよ。」

 純が俺の姿の美優に言っていたので、美優は、


「これからの火曜日はあさおん美少女で決定だな。いいか?悟くん。」

 (なんだよコイツ…。)その問いに俺は、


「無理に決まっているだろ?返してくれ俺の体を…。」と答えていた。

 俺は入れ替わりを承諾するわけ無い。


「無理~。もう決めちゃったもん。火曜日はずっとこのままだよ?」

 (マジか…)その言葉に俺は美優の体で崩れさっていた。


 朝食は体の痛みで食べる気になれなかったが、純が優しくフルーツなどの食べやすい物を進めてきて、体力が持たないからと、言って全力で俺の心配をしてくれた。やがて登校時間になり、美優として学校に行くことになった。


 しかし、この入れ替わりの裏に美優の企みがまだまだあった事に気付かなかった。俺はこの後、美優の体で振り回される地獄を味わうことなった。

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