第5話 昼休みは各曜日の許嫁昼食会?
美優が聖奈さんに連れていかれたまま、一限目の授業が始まった。
担当の教師が、二人がいないことに気付き、
「桜庭 聖奈と柏野 美優がいないぞ?どこに行ったんだ、桜庭 静香?」
生徒会長の聖奈さんの実妹の静香さんに聞いていた。
「先生、柏野姉妹が喧嘩を始めてしまい、原因を作った美優さんを生徒会長のお姉ちゃんが連れて行きました。今ごろ、生活指導室だと思います。」
どうやら、静香さんは涼しい顔をしてすべて見ていたみたいだ。
「そうか、なら仕方ないな。授業を始める。」(先生、仕方ないの?)
生徒会長の聖奈さんは絶対的な存在らしい。教師すら、手を出せないのか?しかし、美優よ、詰めが甘いな。恋歌と聖奈の師弟関係もちゃんと改変しておけよ、敵ばかりのお前はクラスでさらに立場を失うぞ?
でも、さすがは特進クラスの授業だ。普段とは格が違うぞ。元々、二年のままの静香さん、俺、美優の三人は学年成績がトップスリーだったし、恋歌、聖奈も各年代で、断トツのトップだったらしい。妹の純も恐らくほぼ変わらないだろう。
(これは身内の学力成績争いが激しそうだ。気を引き締めないと…。)
次の授業の前には聖奈さんも美優も帰ってきた。ただ、美優の元気が無くなっており、姉の恋歌に謝罪をして椅子に座り、まったく動かなくなった。
(何があると、ああいう感じになるのかな?怖いな、会長の生活指導。)
昼休みになり、恋歌さんは束縛を開始した。わざと美優たちを集めて、俺と女子五人で昼を食べる事になった。端から見たらハーレムだが、今の俺には地獄なんだ。
「悟史、私の事が好きなら、弁当を私に食べさせろ!そして、みんなの前で恋歌が好きだと言え!」
(マウントを取り始めたな。この子。これもメンヘラ一種なの?)
言う通りにしないと、何をするかが分からないし、従おう。
でもその発言を不服と思う者が、
「恋歌お姉さま、大人げないですよ。分別をわきまえてください。」
妹の純は正義に忠実だ。場の空気よりも、常識や良識にうるさい。
「純よ、そこの愚妹が悪いのだ。朝から私や悟史にちょっかいを出す、愚かな女がいるから、私の男に手を出すな!と宣言しなければならんのだ。」
正当化しているが、やりたいだけでしょ?恋歌さんは。
すると静香さんが、
「今回はうちの姉もいますが、ジャッジは公平にするのでお願いします。」
(えっ、審判?まともな静香さんは許嫁候補じゃ無いのか…残念だな。)
「私も恋歌様の応援をしたいのですが、水曜日の担当になりました。だから、今日だけしか応援できないのです。」聖奈さんは少ししょんぼりしている。
(桜庭姉は恋愛にポンコツなのが、可愛いんだよ。)
妹の純はいつもブレずに話していた。
「各お姉さまには常識の範囲内での行動をお願いします。特に柏野姉妹のお二人はお兄ちゃんに負担を掛けすぎです。」
トラブルメーカーの美優と朝から束縛しまくるメンヘラ恋歌の事だ。
「お前は義妹だからな。忠告は受け取るが、指図は受けん。私のやりたいようにやるんだ。優柔不断の悟史には行動力のある私が相応しい。」
恋歌さんは自信満々で言い放っている。
「美優?大丈夫か?」何も話さない彼女を心配したら、
「大丈夫です。お義兄さま。先程は無礼な真似をしてしまい、申し訳ありませんでした。」(兄と呼んできたよ。)
美優は聖奈さんの生活指導の影響でいつもと違う人間になっていた。
昼休みで分かったのは、許嫁担当する曜日のメンバー順と担当曜日以外の時は俺たちに対して無理やり立ち入らない事。美優が見せしめにやられてしまったから、尚更、立ち入らないだろう。
日付が替わった時点で立場が変わるのか?0時スタートなのか?それとも朝からの担当なのかな?謎過ぎるよ、交代のタイミングが…分からない。
とりあえず今日の俺は恋歌さんの言うことを聞き続けていた。無理難題はなかったが、行動の束縛がスゴいのだった。体の密着が無いのは授業のみ…くらいの勢いだ。
無事に授業も終えて、あとは帰るだけになったのだが…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます