第4話 束縛状態を拒否すると…。
学校に向かう三人、今日は俺と妹の純、そして月曜担当の恋歌。
「お兄ちゃん。なんでそんなに疲れているの?それと恋歌お姉さまはなぜ?お兄ちゃんの腕を組んで離さないのですか?」
妹の純は恋歌に腕を固められて動けない俺たちに話し掛けていた。
「純よ!私たちは許嫁だ!どこに行くのも常に離れてはいけない。」
恋歌さんは朝からずっと俺から離れない。
「お姉さま、そんなルールありませんよ?むしろ、兄が困っていますから離してあげてください。」
純よ、気持ちは嬉しいのだが、彼女に文句を言うと、
「おい!妹と言えど、私たちの事に介入することは許されんぞ。」
彼女は唯我独尊の人間だ。誰の指図も受けない。
「介入はしていませんよ?常識を問いかけているのです。」
この妹はどの姉だろうが、必ずダメな点を指摘する。
「生意気な妹だ。減らず口を姉に叩くとは…。まずは腕を組むのを止めるかを聞こう。悟吏、私と腕を組みたいだろ?貴様は。」
俺に選択権を委ねてきた。
「恋歌、腕を組むのは止めよう。やり過ぎは校則違反にもなるから…。」
と彼女に考えて欲しくなって止めさせる事を選んだ。
「そうか…、仕方ないな…。」(あれ?あっさりしてる…。)
彼女は手を離したあと、メチャクチャへこみだした。
そのあとの恋歌は横に歩いてくれているが、話し掛けても返事をしなくなった。その理由を純に聞いてみると、
「私が知ってるわけないじゃん。お兄ちゃんが傷付けたんでしょ?」
冷たいよ、我が妹よ。腕組みを断っただけなのに…。
理由が分からない。くっつくのを止めさせただけで、話し掛けても無視するでも、黙って付いてくる。腕を組んでくれなくて、寂しいのか?
「恋歌、ごめん。どうしたら、機嫌を直してくれるんだ?」
「なんで私の言うことを聞いてくれないの?許嫁でしょ?そんなに私の事が嫌いなの?私の事をうっとおしいとずっと思っているの?」
彼女は一つの拒否で物凄く、病んでいた。
その状態を見ていた、妹は、
「なるほど、メンヘラなのか…。美優お姉さまが何かしたよね、絶対。」
「メンヘラ?何それ?」と聞きたかったのだが、
妹と話していただけなのに、恋歌さんが声を荒げて、
「ほら!私を無視して、妹ばかりと話して…。私なんかどうでもいいの?」
「それとも、もう私に飽きて捨てちゃうつもりなのね。ひどい!」
(ヤバいぞ。恋歌さんが壊れちゃったよ?)
俺はそのあと、死ぬほど謝って許して欲しいと頼み込んだ。恋歌さんの言う通りにするから…とここまで言うとしばらくしたあとに、
「じゃあ、私の言うことは絶対だよ!もう二度と逆らわないでね。」
なんでこうなったの?恋歌さん…面倒な女の子になってるし。
それからの恋歌さんはずっと上機嫌だった。腕を組んで楽しそうに歩いているし、これに何か言うのが、怖くなった。メンヘラ…ってこういう人の事なのか…。
「私が許嫁で幸せ者だな!お前は!」楽しそうに彼女が話すので、
「本当だね。こんな可愛い子にずっと束縛される俺は幸せだよ。」
俺の発言もヤバくなっていたのを聞いた妹は、
「ドMなお兄ちゃんにぴったりの彼女だよ。」さりげなく距離を取っていた。
学校に着いて教室に行くと、常識も過去も改変した光景が広がっていた。一年だった妹は同じ学年で同じクラスだし、三年だった聖奈さんも同じクラスになってるし。どうなってるんだよこの許嫁の曜日担当ルール。全員同じクラスメイトじゃねぇか。
(二年の特進クラスだから、姉妹が集まる偏りが出ている設定らしい。)
「お前!私以外の女を見るな!」彼女はまた怒り始めた。
今日の許嫁はクラスを眺める事すら許さない。
「楽しんでいるようだな、悟史。」元凶がやって来たが、
「美優!それ以上、近寄るな。私の許嫁だ!」
絶賛活動中、メンヘラ許嫁の恋歌さんは、実の妹すら敵視してる。
「お姉ちゃん、私に悟史を取られるのが、怖いんだ~。」
やめろ!煽るな、バカ妹が!恋歌さんはお前とは違い、繊細なんだよ!
「美優、貴様!私の妹のくせに舐めるなよ。今すぐ、殺してやる!」
ヤバいよ、柏野姉妹がガチ喧嘩を始めるつもりだよ。恋歌さんは美優の近くまで詰め寄り、顔に向けて蹴りを入れようとした。(相手が妹だからガチだ)
そこに純が来て、恋歌の蹴りを払い除けた。
「暴力はルール違反ですよ?恋歌お姉さま。」武闘派の妹が止めに入る。
「うるさいぞ!姉妹ゲンカの邪魔をするな!」
この姉妹は昔から気が合わないんだよ。いつも、愚妹呼ばわりしてたな。
「やはり、私が大好きなんだな。純よ。」美優は懲りてない。
「勘違いしないでください。お兄ちゃんのためです。それにもう一人あなたを怒らせた人がいますよ?ほら、後ろに…。」
純は背後に怒っていたもう一人を指さすと…そこには、
「美優ちゃん?なんでいつもあなたは問題ばかり起こすの?」
笑顔でキレていた桜庭 聖奈、生徒会長がいた。そして、彼女は
「妹を連れて行きますね?恋歌様。」彼女は美優の腰を持って担ぐと、
「頼んだぞ、聖奈。」恋歌さんの許可と同時に生徒会長の聖奈さんは、
「さあ、たっぷりとお仕置きしてあげますね?」
笑顔の聖奈さんがそう言うと、美優は教室からどこかへ連れ去られた。
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