第19話 4人で脱出!
「あの、じゃあ私たちと協力していただけませんか...?私、ここから出たいんです」
「そうだな。わかった。ここにいる全員があの野郎に敵対心が芽生えている。ここは協力するほかないだろう。
それと、君すまないな。なぜ君が捕まっているのかは知らないがとても悪そうには見えない。
あの金持ちの娘のことだ。君はここにいるべき人間じゃない。それなのに、俺はここで言うことを聞くしかなく、警備をしていた...」
「全然いいんです!アロクスさんは何も悪くありませんよ!」
「こんな若い子に励まされるとはな。わかった。この四人でここから脱出しよう」
「アロクスさんは復讐しなくていいんですか?」
「いいよ。久しく人と話していなくて、いつしか自分を見失っていたのかもしれない。
君たちと話していたら復讐なんてバカバカしくなったよ。
今の目標は君をここから安全に出すことだ」
「ふふっ。ありがとうございます!私、アノンって言います。よろしくお願いします」
「宜しく」
「よかったよ。アロクスがアロクスのままで。俺の名前はマック。最初は丁寧に喋ってだけど、実際は結構フランクなんで。よろしく」
「マックさん、よろしくお願いします」
こうして、私たち四人はここから出るために、協力することとなった。一気に仲間が二人も増えた。そして今ではここの警備隊長も仲間だ。
脱出は近い未来にあるだろう。
そう、脱出は。
「よしっ。とりあえずどうするんだ。脱出といっても闇雲に出るんじゃアノンちゃんが危険に晒されちまう。
とりあえず作戦を立てようか」
「そうですね。以前まで私とアノンさんで決めていた作戦といたしまして、まずこの地下から一階に出る必要があるので警備隊長を切り抜けなければいけなかったのですが、もう地下隊長は我々の仲間なのでそこは心配入りませんね」
サルバドールが今までの計画を振り返る。
「なるほどな。じゃあそのまま一階から出ちゃえばいいんじゃないの?」
マックが言う。
「いや、一階の玄関付近にはとんでもない量の監視カメラがついている。そして24時間交代制でびっちりと監視役も付いている。
アノンちゃんは今囚人服だし一度バレると多分すぐ見つかってしまう」
「そうですね。何か策は...」
サルバドールが呟く。そしたら何か気付いた様子でアロクスが問う。
「そういえばお前、どうやってここに入ったんだ?囚人でなくとも部外者はとっ捕まえられるはずだぞ」
「え。それは、四階に大きめの窓があったから、そこから入って影に隠れながら地下まで来たんだよ」
「ふーん。お前そんなことできるんだな」
「まぁな。お前を探すために、いろんな練習をしたよ。それで身についたのかもな。
それと、玄関付近には監視カメラがいっぱいあるって言ってたけど、通路にはそこまでなかったから、二階の窓からロープかなんかを垂らせばいいんじゃない?」
「うーん。この人数でできますかね」
脱出の作戦会議は行き詰まっていた。
それにしてもなんだろう。今日の違和感は。朝起きた時からそうだった。今日はマリアが来なかったのだ。
何かはわからないけれど、私の体のどこかで何か、嫌な予感を感じ取っていた。
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