第14話 嫉妬は最大の原動力

「もちろん村の男たちは、何も答えませんでした。そして金持ちは答えない男を見ては妻と子を殺しにかかる。そして男は必死に守ろうとするが、結局やられ、その家族の家に死体が3つ転がったままになるケースがほとんどだったそう。


ある1人を除いては」


「ある1人って...」


「はい。アロクスです。彼の家には死体が2つ転がっており、アロクス自身は行方がわからなかったのです。


彼はおそらく、選択に答えたのでしょう。その2択、どっちを選んでも罪は一緒です。だから私はアロクスを...」


「で、でも!そんな状況だから仕方ないじゃないですか!アロクスさんはどうしようもできなかったんですよ!」


「いいえ、そんなことはありませんよ。アロクスは私と約束しました。どんなに辛い状況でも、どんなに苦しい時でもあの子を、妻を死んでも助けるって。


あれはなんだったのか。所詮口約束に過ぎないというのか。命の危機の前に臆してしまったのか。全く相応しくない。あの子を守る立場としてあいつは全く相応しくなかったんだ!!」


「...それで、どう...するんですか?」


「何がですか?」


「アロクスさんに会って...」


「もちろん決まっています。あんなことをしながら、こんなところでのうのうと働いているあの野郎に引導を渡します。私たちをまだギリギリ繋いでいた細い糸を切りに行きます。


そして自分のしたことがいかに非道で、いかに残酷で、いかにむごたらしく、無慈悲なことをしたのかとわからせにいくのです」


「そんな、あなたはいいんですか?そんなことで大事な親友を無くしてしまっても!」


「そんなことで...。あなたはどれだけ私があの子のことが好きで、フラれてから毎晩のように悔し涙を流したかわからないのですか?


アロクスに嫉妬し、羨望しながらも関係を保ち続けた私の辛さがわからないのですか?


まぁ、分からなくても仕方がありません。全てこっちの話です。あなたと話すのもこれで最後でしょう。


では、さようなら」


最後に畳み掛けられた言葉は気持ちが乗っているはずなのに何故か軽く感じてしまった。

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