第2話 苦い記憶
なぜ私がそんな偏見を持ってるかと言うと、それは昔マルクと遊んでいた時に起きたことのせいだ。
その日は久しぶりにマルクと遊ぶ日
「ごめ~ん。剣術の稽古が長引いちゃって。待った?」
「いや、私はマルクのためならいくらでも待ってるよ」
「やっぱ待ってはいるんだ」
「フフフ、まぁね」
久しぶりだがいつも通りごく普通に会話をし、街を歩き回りいつも通り楽しんだ。楽しみのあまり時間を忘れてずっと遊んでいた。そして気づけば少し遠くの村へやってきた。
実はその村、1人のお金持ちが1番上に君臨していて村人たちはそのお金持ちが儲かるようにずっと働かされているような村だった。
クゴンカ国の中でも上位に来るほど治安が悪く時々反乱も起こるらしいがお金持ちが手配した兵士達にことごとく負けて
くのだ。
その時の私たちはそんなことも知らずに村へ入っていったのだ。
「なんか、みんなの顔が少し暗いね」
「そうだね。クゴンカにこんな村があったんだ。しかもかなり広い」
枯れかけた草木が目立つその村は活気という言葉とは遠い存在にあった。
みんなが死んだ目をしていて、ただ村の形をした檻に閉じ込められ、生きているのではなく、生かされ続けているような感じだ。
私たちがその村に入った時はタイミングが悪かったのかもしれない。
入らないのが1番なんだろうけど、もっと違う時間に入ればあんな光景を見なくて済んだのに。
私たちが入った時、その村で金持ちへの反乱が起ころうとしていた時だったのだ。
村へ入り、少しした時に荒ぶった声が聞こえてきた。
「お前ら武器は持ったかー!」
「はい!!」
「嫁、子供は避難させたか!」
「はい!!」
「あいつを倒す準備はできてるか!」
「はい!!」
リーダー的な男が周りの男たちに必死に問いかけると、その男たちも負けじと大声で応える。
その大声に隠れた気合と殺意は半端じゃないものだった。
その迫力だけでここの村人たちがどんな酷い生活を強いられてきたのかがうかがえる。
好奇心旺盛なその時の私たちは隠れてその戦いを見守ることにした。
そんなことしなければよかったのに。
「お前ら!行くぞーー!」
「オオー!!!!」
リーダー的な男が問いかけると、周りの男たちも大声で返事し橋の向こう側のおそらく金持ちがいる場所へ向かっていった。
橋の方を見ると村人たちの反乱がわかっていたのか、大勢の兵士たちが待ち構えている。
強そうな鉄の剣や鉄の鎧、ムキムキの体の兵士たちと比べ、村人たちはその辺で拾ったような木の棒やボロボロの皮の服、痩せこけた体と一目見ただけでも勝敗は分かりきっていた。
だが村人たちは怯むことなく果敢に攻める。
おそらく彼らはこの戦争に勝つことが目的ではなく、あの金持ちに最大限反抗したという意思を見せたかったのではないだろうか。
それほどまでに戦力に差があったのだ。
これから起こる光景を想像するだけで私の心は苦しくなった。
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