悪役令嬢に○されそうです。助けてください……
夢病マッキー
第1話 目を開けると、そこは監獄
目を開けると、そこは監獄のような景色が広がっていました。
いや、監獄でした。
殺風景で何もない真っ黒な箱の中に閉じ込められているようで檻のように鉄の棒が縦に刺さっているが、その先も真っ暗でした。
何もかもが思い出せない。
状況を整理しようとするが、何も思い出せない。
と、そこへ声が聞こえてきた。
「あら、もうお目覚め?」
頭が割れるくらいに憎悪が湧いてくる。
私はわらわらと蘇ってきた記憶をたどりだした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はクゴンカ王国の王子様であるマルク様の誕生日パーティー。
ウキウキで向かっている私はマルクの幼馴染なのです。
私は数年ぶりにお城の中に入ります。
なぜなら昔はよくマルクと遊ぶ時にこっそり入ったこともあったからです。
そしてパーティー会場に入ると大勢の人がいました。
そこにはマルクやメイド、国のお金持ち達や一流アーティスト達が揃っていました。
私はマルクのお願いで呼ばれたただの幼馴染なのでここにいる人たちと比べると少し貧相な格好をしてるのでちょっぴり恥ずかしく思いました。
そんなところに綺麗な服を着た、国1番のお金持ちであるお嬢様のマリアがやってきました。
マリアは私を舐めるように見た後にこう言った。
「あなたがアノンさん?汚らしい服ね。よくこんな服で私のマルク様のお誕生日パーティーに来れたわね。
そんな汚いものを見てると私まで汚れてしまうわ。さっさと消えなさい。」
すらすらと出てきた罵詈雑言にどう反応していいか分からず、そもそもなぜ初対面の私にこんな事を言ってきたのか?
しかし相手も年下のお嬢様だしお姉さんらしく優しい口調で疑問を解決しようと思い、
「あら、マリアちゃん?おはようございます。そうなのよ~私の服汚いのよ~。ところでどうして私の名前を知ってるの?」
なるべく優しく聞いたが、マリアは元から怒り気味だった顔がさらに怒ったようになり答えた。
「どうしてじゃないわよ!私がマルク様と楽しくお話ししてたらなぜかあんたの名前が出てきたから、どんな女かと思い見にきたらこんな汚い女だったとわね」
馬鹿にしたような口調で私への暴言は続いた。
「あんたみたいな汚い女がなんでマルク様の綺麗な口から出てくるのよ!マルク様を私から奪おうなんて考えてたらタダじゃ置かないからね!
言っとくけど私、お金持ちだから。
いつ死んでもいいように覚悟なさい!」
「死んでもいいように」
彼女の口から簡単に出たこの言葉にうっすらと恐怖を感じた。
何か嫌な予感がした。
私だってマルクに恋心がないわけではない。ただ何かしているわけでもないのにほんとに殺されかねない。
それが金持ちの子供。
そういうイメージが私の中にはあった。
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