「何色」

「みてみて! 白い紫陽花だよ!」

「おぉ、綺麗だね」

「アナベルっていうんだって」

 あれから三年経った。あれからは僕らも高校を卒業し、それぞれ別の道に進んだ。とは言え、特に変わったことはない。強いてあげるとするならば……そうだね、僕も雨が好きになった。そのくらいかな。


『ねね、今年さ、ここいこ!』

「どこー?」

『ここのあじさい園』

「えぇ、ちょっと遠くない?」

『こっちは前行ったじゃーん』

「んーー」

 変わった事二つ目。ふたりで一緒に紫陽花を見に行くようになったこと。僕も陽菜も、別の大学に進んだのだが、なんだかんだ陽菜とが一番仲良くなってしまっていた。


『次の休みいつー?』

「ちょっとまってて……えっとねぇ、13日とかどう?」

『あーいいね。わかった、13ね!』


――


 6月13日。特急で陽菜のいる地元まで四時間二分かけて戻り、そこからアジサイ園まで陽菜の車で一時間半。大体六時間かけて目的地へと向かった。


「おぉぉ、綺麗」

「ほんとにね、こうやって流依と紫陽花を見に来るなんて、結構ひさびさじゃない?」

「そうかなぁ、ほらこの前のゴールデンウイークにも散歩したじゃん」

 陽菜は少し変な顔をして、「そうだね」と言った。

「ねぇ流依、流依はさ、何色が好き?」

「僕? 僕はこのピンクかなぁ。陽菜は?」

「うーーん、私はね、青!」

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