第2話 入団式

ボロボロの狭い盗賊団アジトで晴れてぼくの入団式は開催される事となった。


「まずは挨拶をさせてもらう、あたしの名前はルナ、ここの盗賊団のボスだ!」


「はじめまして、この度入団させて頂きましたクロと言います」


「よろしく~、わたしもクロだよ~!凄い偶然!」


「え?同じ名前なんですか!?」


ルナよりも一回り小さい幼女、キョロキョロ動いて小動物みたいに可愛い。

しかしまさか同じ名前とは驚いた。


「あんたら同じ名前って紛らわしいからどっちか改名しろ!」


紛らわしいという理由で改名しろと命令された戸惑った。

そして2人は相談を始めた。


「ぼくはもう何十年もクロって名前だからいきなり変えるのは…会員や書類関係の変更手続きも面倒で…まだそちらの場合だと傷も浅いかと…」


「…う、うん。じゃぁこっちでかえる…ね」


仮にも自分よりも先輩(幼女だが)に対応を押し付けるのは気が引けたが、ここは涙を飲んでもらって今後埋め合わせをしようと誓うぼくであった。


「改めて、あたしはルナだ!」


「はじめまして、クロと言います」


「…クロエ」


新たにクロエとなった先輩に深く頭を下げた。


「あの他には?」


「他って?ここの盗賊団はあんたも合わせて3人だぞ」


とんでもない小規模な団体だったらしい、まぁでも贅沢は言わない。

まさか草原を寝ていて再就職先が決まるとは思ってもいなかった。

こういう機会は大切にしていこう、スキルアップだスキルアップ。

勤続年数は嘘をつかない、社会経験は黄金にも勝ると転職攻略本にも書いてあった。


ここで頑張っていこう、そう固く誓った。

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