218. 真の仲間になる

218. 真の仲間になる




 そして朝。オレはアパートの部屋の前で夏帆を待っている。


「おい。遅いんだが?」


「遅くないですよ。私、時間通りです!先輩がたまたま早かっただけですよ!」


 そう言って頬を膨らませる夏帆。可愛いな。すると千春も同じタイミングで出てくる。


「あっおはよう秋兄。夏帆さん。」


「おう。」


「おはよう千春ちゃん。千春ちゃんも一緒に学校行きましょう!」


「はい。行きましょう」


 は?なんだ?夏帆と千春ってこんなに仲良かったっけ?まぁいいか。そんなことを思いながら三人で歩き出す。


「あっ!思い出した!そう言えば先輩。私に隠してることありますよね?」


「なんだよ……隠してることって?」


「私怒っちゃいますよ?もう怒りましたけどね!」


 えぇ……。なんだろう全然心当たりがないんだが……。隠し事とかするタイプじゃないし。というか何を隠してると思ってんだこいつは?


「私知ってるんですからね。先輩が千春ちゃんから告白されたの!」


「え!?」


「ごめん秋兄。言っちゃった」


「おいマジか……」


「ねぇどう言うことですか!?私に内緒にしてたなんて酷いですよ!!なんかやましいことしようとしてたんじゃないですか!?」


「そんなわけねぇだろ!」


 オレは千春のためを思って言わなかっただけだぞ……。


「ぷっ。冗談ですよ!もう怒ってません。許します。でも次は絶対教えてくださいね?」


「なんかごめんね秋兄。やっぱり黙ってることできなくて」


「いや、千春がいいならいいけどさ」


「だから私と千春ちゃんは真の仲間になったんです!」


 なんだよ真の仲間って……。別に仲間じゃなくてもいいんだけど……。


「これで私は千春ちゃんも冬花先輩も真の仲間になったんです!これで変なことできないですからね先輩?したら怒りますけど!」


「はいはい。ほら遅刻するぞ」


 それから学校に着くまでずっと夏帆が絡んできたせいで大変だった。というかこの前の修学旅行の時の黒崎のことがバレたらどうしたらいいんだ……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る