174. 1日目の夜がくる

174. 1日目の夜がくる




 そして問題の夜がやってくる。明日は朝からキャンプ場に行くので早めに就寝することになった。


 男1人のオレに彼女、大親友、従妹……。この3人が同じ部屋で寝るわけだが、どうなってしまうのか!?とか何言ってんだよオレは。


「じゃあ電気消しますね!」


「おう!」


 そう言って夏帆は部屋の明かりを消した。真っ暗になり視界が完全に奪われてしまった。大丈夫。オレの隣は黒崎だから。夏帆だと何かありそうだし、こいつなら大親友だから問題ないはず。


「むぅ……先輩の横が良かったです。それなら間違って布団に入れたのに」


「だから、お前はオレと反対の端なんだよ。」


「冬花先輩!間違って先輩の布団に入らないで下さいよ!?」


「そんなことしないわよ!身体が密着するだけで緊張するのに。」


「……寝ないんですか?」


 いつものやり取りに千春は呆れている。


「まぁまぁ、とりあえずみんな早く寝ようぜ?明日はキャンプだしな!おやすみー」


 こうしてオレ達は眠りについた。




 深夜2時くらいだろうか。目が覚めてしまった。隣を見ると黒崎は眠っているようだ。


「んっ……」


 寝返りを打った時に聞こえたその声にドキッとした。さっきまで気にしていなかったけど、黒崎ってこんなにも可愛いんだなって改めて思った。


 くそ……こっち見ないでくれ。眠れなくなるだろ……。そんなことを考えながらいると突然頭の上から呼ばれる。


「何してるんですか先輩?」


「秋兄」


「夏帆!?千春!?」


 2人は起きていたようで、オレを見つめていた。


「やっぱり冬花先輩を襲おうとしてるじゃないですか!」


「どこがだよ!」


「あっ黒崎って可愛いな……って顔してました!浮気です!監視して正解でしたね!」


「最低……秋兄。」


「待て!落ち着け!確かにちょっとだけ思ったかもしれないが、それは違うぞ!」


「もういいですよ!私も一緒に寝ます!」


 そう言って夏帆はオレの布団に入って来た。


「おい!狭いだろ!それに暑い!」


「私も一緒に寝る!」


 そう言うと千春もオレの布団に入って来る。そして夏帆と千春の柔らかい感触が伝わってくる。いかんいかん!これはダメだ。このままでは理性が崩壊する。何とかして抜け出さないと。でもどうやって?


「秋兄あったかい」


「えへへ〜先輩〜」


「ん……なに?……は?ちょっと何してるの!!そういうのダメって言ったわよね!?三人ともそこに正座しなさい」


「違うんだオレは無実だ!大親友、信じてくれ!」


 結局朝までオレと夏帆と千春は黒崎に説教を受けることになったのだった。

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