173. 大親友。これからも
173. 大親友。これからも
オレと黒崎は旅館を出て、近くを歩く。ここは田舎だからか空気が澄んでいて夜空に星が綺麗に見える。
「ほぅ……これはなかなか良い景色だな」
「ふふっ。良かったわ」
満足そうな笑みを浮かべた黒崎を見て、オレも自然と笑顔になる。それからしばらく歩いていると、公園のような場所を見つける。
「あら?こんなところに公園なんてあったかしら?」
「さぁ?行ってみるか」
「そうね」
公園の中に入るとそこにはベンチがあり、2人並んで座る。そして特に会話もなく、ただ目の前の暗闇を見つめているだけだったが、不思議とその沈黙が嫌じゃなかった。
「ねぇ神原君。私ね、今のみんなで遊ぶこういう感じとても好きなの。楽しいわ。」
「そりゃ良かったよ」
「私と神原君って1年生の時から同じクラスじゃない?こんなに楽しいならもっと早く仲良くなれたら良かったわ。これも夏帆ちゃんのおかげよね?」
「まぁそうだな……」
確かに黒崎と仲良くなったきっかけは夏帆であるのは間違いない。しかしそれでもここまで仲が良くなるとは思ってはいなかった。もしかして……本当に大親友なのか?
「……もっと早く仲良くなってたら……大親友じゃなかったかもしれないわね……」
「え?なんか言ったか?」
「ううん!なんでもないわ!」
一瞬だけ何かボソッと言った気がしたが聞き取れなかったので確認すると、すぐに誤魔化された。
「あっ!そろそろ帰りましょ!湯冷めしちゃうわ」
「そうだな」
「ねぇ神原君……これからも一緒にいてほしいわ。……大親友として」
「大親友なら、いちいち言わなくてもいいだろ?」
「ふふっそうね」
2人で旅館に戻ると、すでに夏帆と千春は露天風呂から出ていて、夏帆は『浮気ですか先輩!』と言って、千春は何も言わなかったが蔑んだ目をしていた。
そして黒崎を見ると、どこか楽しげな表情をしていた。
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