10. なら問題はない

10. なら問題はない




「ねぇねぇ先輩。今度の休みにデートしましょうよ!私たち付き合ってから、まだ一回しかデートしてないですよ?」


「その一回って、ただ買い物をしただけだろ。大袈裟にデートとか言うなよ」


「付き合ってることは否定しないんですね?」


「もう何百回も否定しているが?」


 オレがそう答えると、白石は不満そうな顔をした。唇を尖らせてブーイングする。


「むぅ……じゃあ先輩の好きな人ってどういう人なんですか?」


「は?なんでそんなことお前に言わなくちゃいけないんだよ」


「言わないなら私だと認識しますから、次から否定しないでくださいね」


 本当にうぜぇ。マジでこいつ……いい性格をしているな。


「どうなんですか先輩?可愛い系?美人系?」


「……そうだな、強いて言うなら可愛い系か?」


「それって私のことじゃないですよね?」


「それはないから安心しろ」


 こいつは何を言ってるんだろう……。いや、何を言いたいのか別にわかるけどさ。ウザいのが気に入らない。


「でも私は可愛い系ですよね?」


「自分で言っちゃうあたりがあざといって感じだよなぁ……」


「なら私でもいいですよね先輩?違いますか?だから私が彼女でも問題はないということで解決ですね!だからデートしましょう!」


 こいつめんどくせえ……でもまぁ確かに顔は可愛いと思うぞ?黙っていればだけど。喋るとウザいけど。結局、話はずっと平行線だったので、仕方なくオレは今度の休みに白石と出かけることになった。

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