第18話 問い

「しかし、あなた達がこの話を聞くことで、何か手がかりが見つかると思って来たんですがね…。」


すこし残念そうに情報が書かれていた手帳を閉じる。


それを見た真人は今だとばかりに、あの事故について質問してみた。



「あの…蔵末さん、今からすこし前にバスと乗用車が衝突事故を起こしましたよね?」


真人は遠まわしに訪ねてみることにした。


自分でも信じがたい話に、いきなり話してしまっても混乱を招くのは一目瞭然だからだ。



「え~っと、上山真希さんがお亡くなりになられたあの事故でしょうか?」


「!!...はい、その亡くなった人物は上山真希でしたか?」


学もその質問には思わず反応してしまう。


これでも十分に混乱を誘う発言なのだが、今はこの程度ならば、そうも言ってられないようである。



「えぇ…その事件は私が担当してましたから、上山真希さんに間違いはないかと、その事件が何か?」


「いえ、上山は自分達の知り合いだったもので…。」


切り出したのはいいが、やはり上山母の話は信じがたく、話すのはやめたほうがいい…真人はそう思えて仕方がなかった。



そこで…


その答えが帰ってきた時、落ち着いた声で学はある質問をした。



「彼女の遺体、どうしましたか?」


二人にとって、その質問の返事によっては非現実的な考えに行き着く。



「?...事故のわりに上山さんの遺体は外傷はあったものの綺麗に原型を留め、解剖せずとも、死因は頭部強打、出血多量によるものと分かったため遺族にそのままお返ししました。」


(遺体を遺族に返した…なら遺体を上山母は受け取ったことになる、ならなぜ生きていると言えた?葬式を知らなかった…なら遺体は?)


真人の中でさらに謎が溢れ出す。


上山母も遺体については何も触れてはいなかった。



「先ほどから話が上山さんについての話になっていますが、この事件と何か関係があるのですか?」


疑問に思った蔵末は二人に尋ねる。


それもそのはず、現在の話はあくまで学の友人が殺害された話だからだ。



「いぇ、関係あるかはわからないですが少し気になることがありまして…。」


そう言った真人は上山家であった出来事を話そうとした。


しかし…相変わらず、なぜか話してはいけないような気がして話ができなかった。



沈黙が続く中、再び学が口を開く。


「蔵末さん、今から話す内容は信じても信じなくてもかまいません、しかし他言無用でお願いします。」


「おい、学!?」


真人は学が言おうとしていることが理解できた。


真人の口から言いにくいなら学が言うといった状況である。

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