第14話 警察

「そろそろ観念したらどう?」


「うるさい!近寄るな!!」


街に響く声。


そこにはナイフをちらつかせた男と警察官である女が向かい合っていた。



「窃盗の次は殺人でもするつもり?これ以上、罪を重ねず大人しく逮捕されなさい。」


「一度やっちまったら引き下がれねぇんだよ!!」


説得をするものの、犯人は聴く耳持たずでナイフを前に突き出し、興奮状態である。




「まだやり直せるわ、だから…!?」


「うぁぁぁ!!死ねぇぇ!!」


そんな説得の最中、突然男がナイフを突き出したまま突進してきた。


だが、犯人の声と時同じくして、シュンッと空を切り裂くような音とパンッと響く金属音。




「ぐぁ!!…ナイフの刃先がない!?」


「今だ!!」


警官も少し驚いた表情はしたものの、すぐに理解したのか犯人の胸ぐらを掴み、


ダンッ、とそのまま背負い投げで犯人を地面に叩きつける。



「逮捕します!」


腕にはしっかりと手錠がはめられていた。



「どうやら終わったようね真弓。」


そこに現れたのはスナイパーライフルを手に持ったもう一人の女性の警察官。



「ナイス援護だったけど、犯人や私に当たってたらどうするつもりだったのよ!?あと発砲もそう簡単にするな!」


感謝はしているが、危険の伴う援護に厳重注意する。



「感謝はされても、説教はおかしいんじゃない?…あと、私が外す訳ないでしょ?」


当の本人は全然応えてないようで、むしろ腕自慢である。


しかし、あの場で誰も傷つくことなく的確に刃先を落とした実力は確かに優れていた。



「アンタみたいに交渉ばっかしてたら、傷つくのは自分自身よ?ま…言っても頑固だから私が援護してるんだけどね。」


「フフ…私の性格、よくわかってるじゃない?なら今後も頼むわよ?」


今日も平和は保たれそうである。



「垣本、朱雅、二人ともご苦労だったな?駆けつけたものの心配は必要なかったようだ。」


そう二人に労いの言葉を掛けるのは五十代ぐらいの警察官。



「蔵末さん、私達が揃えば解決できないことなどありませんよ!!ね?真弓。」


「え?…えぇ、この通り二人とも無事で犯人も逮捕しました。」


垣本と朱雅と呼ばれている女性二人はそう言って、誇らしげに敬礼をしている。



「ははは、俺も班長として誇らしいよ。」


どうやら蔵末は二人を含めた警察官を束ねる班長のようである。

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