第7話 葬式会場にて

約束してから数日後、学から葬式の日程連絡が入り、今日はその当日。


「お兄ちゃん出かけるの~?」


そう問いかけるのは夕食の後片付けをしている妹の舞。



「あぁ、友達の葬式だ、帰りは遅くなるから先に寝てていいぞ。」


「…親戚にだれか亡くなった人いたっけ?」


兄が行くのに、自分は葬式については聞いていないため疑問を抱く。



「いや、直接は関係ないがちょっとな…。」


「ふ~ん…それじゃあ行ってらっしゃーい、気をつけてね?」


舞は質問はするものの、深くは詮索せず手をヒラヒラさせている。


むしろその方が色々問いつめられなくて嬉しかったが。



「それじゃ。」


そう言って、真人は静かに家を出た。


夕暮れ時、不安はあるものの学に頼るつもりで集合場所に自転車を走らせる。



「よぅ、早いじゃん。」


「学もな?あのさ、俺達が勝手に大丈夫と言い出したけど許可とか葬式にいらないのか?親が知らなかったら…。」


そう話す学も集合時間より三十分程度早く、真人も落ち着かないのか会ってすぐに不安を吐露する。



「俺がいるから大丈夫だし許可ってなんだよ?前も言ったがお前は来るべきだっつーの。」


真人は学に納得させられたことがすこし不満だったが安心した。


安心したついでに本音を打ち明けた。



「というか俺はどちらにせよ一度、上山の家に先に行きたかったのに葬式会場直通か?」


どうやら真人は、大丈夫だと言われても、とにかく上山の両親に話してから行きたかったらしい。



「それならそうと言えよな~まぁ、後で会うから結果オーライ。」


(お前のその考えが間違いだよ…。)


そう、真人は静かに心の中でつぶやくのだった。




会場は上山と同じクラスの者が来ているためか、普通の葬式会場よりかなり学生が多い。


「おっ学じゃん、久しぶり。」


中に入ってすぐ声をかけてきたのは学よりも体格がたくましい学生だった。



「おぉ!哲哉か、久しぶり~あ、紹介する!俺の友達の葉月真人だ。」


「どうも。」


学の突然の自己紹介にあわせて真人はペコリと頭を下げる。



「んでっ、こっちは俺の元クラスメートの安藤 哲哉(あんどう てつや)だ。」


「よろしくな?でもよぉ学、あんま話したことのない上山のためにどうして俺まで葬式に。」



安藤 哲哉


悪い奴ではないと思うが真人にとって、さっきの発言は納得いかなかった。



「まぁまぁ…そう言うなって?事故に会うなんて上山だって想像してなかったし無念だろうし、それに何かの縁だ。」


学が言いたいことを言ってくれたので真人は黙っている。



「まぁ、学と再会できたからいいか…そろそろ始まるな、それじゃあ。」


そう言って哲哉はほかの同級生のほうへと去っていった。

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