第5話 報道

しかし、今日はそうはいかなかった。



〈国道沿いでバスと乗用車が衝突する事故が発生しました。〉


「この事故、結構近くだな…。」


それは、聞き馴染みのある地名が耳に入り、馴染みある場所が映し出されていたからである。



〈この事故によりバスに乗っていた上山真希さんが死亡し乗用車に乗っていた男性は軽いケガでした、なおバスには十人ほど乗り合わせていましたが他の乗客は軽い怪我で…〉


「今なんて?」


実際には聞こえたのだが、頭が真っ白になっているため理解が追いつかず、呆然と速報を眺め続ける。



聞き間違いだったのかも知れないと安堵しようとした矢先、テレビにはっきりと上山真希の文字が死亡という文字とともに表示されていたのだ。



「いやいや、同姓同名だろ?あいつなわけないし、そもそもその場所にいるわけないし!」


最近会って戦ったばかりの相手の死、それは突然すぎて驚きと絶望を隠しきれなかった。



〈上山真希さんは、間違い探しという大会に出場しており〉



「やめろよ…納得できねぇよ!!何かの間違いだ!!」



そう、何かの間違いであってほしかった。


いつのまにか、次の報道に移ったニュース。


テレビを眺め続けている真人だが、内容や音声は頭に入ってきてはいない。



ショックが唐突で大きすぎたのか、今までの大会での上山真希の姿が頭の中に流れ続ける。


それは終わることがあるのかと聞きたいほどに、何度も同じシーンが真人の中で駆け巡っていた。


数年同じ学校だった学ほど上山と過ごした時間は少ない、大会以外では会ったことがない…けれども、彼の中では大切なライバルだった。

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