第10話

次の日の朝。


授業前の朝から、すみれがクラスに現れて、写真を響介の机にバラまいた。


「これは…昨日の…」


アン子も見つめている。金髪は得意気に言った。


「昨日は座敷童と楽しくデートしてたみたいね」


「デートじゃない!…そういう感覚じゃない…」


「帽子も買ったりして、これがデートでなくて何なの?」


響介は弁解しようとしたが、金髪にさえぎられた。


「幼馴染はしょせん幼馴染。そこには母性本能はあっても、愛は無いわ」


痛いところを刺される。言葉を無くしてると、


「ま、あきらめてまたデートしましょうね。座敷童は死ね‼」


そう言うと教室のドアをピシャンと閉めた。


俺とアン子は茫然としていたが、アン子が少し笑いだす。


「フフ…そんなに嫉妬する事だったのん?」


「そうらしいな。写真写してるくらいだから」


「今度またもんじゃ焼きたべるん!餅チーズも餅牛肉もまだ食べて無かったの!」


「ああ。行こう」


そう言いながら考えた。幼馴染は恋愛感情に発展しないのだろうか。


幼稚園時代から、確かにお守をしている感覚で一緒にいたのは事実だ。そこには恋愛というにはまた違った感情が壁になっている。


そして1時間目の授業が始まった。


12 ジェットコースター


「オッドアイ君!またデートでもしましょうか」


「俺はアン子ともんじゃ焼き食べにいくんだぜ?」


「そんなしょうもない食べ物でなくて、もっと美味しいものを食べません?ふかひれスープとか北京ダックもいいわね」


休み時間に教室に入ってきた金髪は自信たっぷりの様子だ。


「そうだ!今度の土日を使って不二急ハイランドに行かないか?」


「え…ジェットコースターですの?」


「おや、学園イチのお嬢様には無理かなー?」


「べ、べつに平気ですけど?」


「じゃあ本当に行くか!幽霊屋敷が恐いんだこれが」


「失礼しますわ!」


金髪は青ざめて逃げ帰ってしまう。俺より机が1つ前にいたアン子も、


「不二急いきたいの!」


アン子は平気らしかった。


なんだか3人デートみたいな感じになるなぁ。まああの感じだと金髪は悩んでるはずだ。


その時はアン子と2人でジェットコースターに乗ろうじゃないか。


とりあえず今日はもんじゃ焼きを食べにいこう。


金髪はまた、黒いスーツの男を呼び出した。


「これから不二急ハイランドの下見にいくわよ。授業なんてサボってもリカバリできるから」


昼休みのお弁当タイムに今日は金髪は来なかった。まあアン子の弁当だけで問題無しだからいいけど。


こりゃよっぽどジェットコースターが苦手らしい。当日が楽しみだ。

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