第8話
俺とすみれは、プルガリのレストランで食事中だ。
コースなんだが、一口だけで終わってしまう料理ばっかり運んでくる。全然腹が満たされない。
「すみれ、いつもこんな場所で食事してるのか?」
「まぁ、気分転換に来る事がおおいわね。」
やっとメインディッシュがきた。ビーフステーキだ。思い切り口に運び、がっつく。
隣の貴婦人が俺を見て、まあなんという子でしょうと言わんばかりにハンカチで口をふさぐ。
肉を食い終わった時、入り口で何やらもめてる光景に目を配った。
「…お子様だけの来店はちょっと…」
「お子様じゃないん!高校生なの!」
近づいてみると、店員に吹っ掛けてるのはアン子だった!
「アン子、なんでここに…!」
「ずっとデート現場をついてきたの」
やれやれである。仕方がないので、すみれを呼んで店を出た。
「何でここに座敷童がいるわけ?」
すみれの態度が急変する。
「追いかけてたん。」
すみれはタクシーを呼んだ。
「あんたたちは恋人同士なわけ?今日のデートは最後でつまずいたわ。座敷童と一緒に帰ればいいじゃない」
そう言って、タクシーに乗り込み一人で行ってしまった。
「何で俺たちについて来たんだ?」
「不安だったん」
はぁ…とため息しか出なかった。
「俺らはタクシー代もないから、歩いて帰ろう」
俺とアン子は超幼馴染だ。そんなアン子を助けてあげなきゃと思い、親がやってる空手道場に入門したんだ。それはもう恋愛とはまた違った何かである。
「あそこの唐揚げ食べ放題の店に行くん!お金ならウチもってるん!」
確かに魅力的だ。しかし、
「アン子、本当にお金あるのか?」
「ウチ、今バイトしてるん」
「マジでか!どこでだ」
「怖かったけどネットカフェ。コンビニは背が低すぎて断られたん!」
「よし、じゃあ唐揚げいこうか!」
そこで2人とも腹いっぱい唐揚げを食べた。
「やっぱりアン子を守らなきゃな!」
「守ってほしいの!」
それからは寄り道もせずに帰宅した。アン子がネカフェで働いている姿を想像して思わず笑ってしまった。
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