第7話

俺とすみれは腕組みしながらウィンドウショッピングを楽しんでいた。


どれも綺麗だが高価で、手が出ない品ばかりだった。俺はケバブの残りを腹に入れてから、


「すみれ、悪いけど俺の財布からは買えない物ばかりだぞ?」


「私はカードで支払いするからいいの。それよりケバブ代がまだだったわね。はい千円」


俺は素直に千円受け取った。


「ああこの服いいわぁ…」


一着にすみれが見惚れている。


「どう?私に似合うと思う?」


「ちょっと大人向けな服だけど、すみれなら似合うんじゃないかな」


「ホント?じゃあ買っちゃおうかしら。両親からちゃんと貰ったクレジットカードだから問題はないとは思うけど…」


「すみれのウチは金持ちなんだな」


「両親は財産を増やす目的でポートフォリオを組んで不労所得を得ているの」


「ポート…何?まあいいや買っちゃえば?」


そしてすみれはお店に入り、すぐ戻って来た。


「買っちゃった!あとで着てる所らぁいんで送るね!」


「おう」


「あとブランド物のバッグも欲しいのよねー。うん、バッグは重要。プリガリの明るい色のバッグが欲しいの」


「それいくらするんだ?」


「35万くらいかな」


さらっとすみれは言ったが、次元が違い過ぎる。35万あればエコバッグ買うぞ俺は。


「バッグはまた今度買ってくれ。あとプルガリのサイトもあるから、そこで買えばいい」


「そうね。でも実物見るのは大事よ」


まあ言いたい事は分かる。俺もネットのフリマサイトでパンツを買ったら、Mサイズで全然着れなかった苦い思い出がある。


「そろそろランチにしましょうか。プルガリ本店のランチコースにしましょう」


「いやいやいや…待ってくれ、俺は牛丼屋か日安屋でいいんだぞ?」


「さ、もうすぐだから行きましょう。でもドレスコードがあるから、ネクタイ買ってあげるね」


何だこの感じ。もう今日は朝から昼過ぎまで、白黒の輪が頭の中でぐるぐると回っている。


怪しい影も絶賛徘徊中。


こうしてすみれとのデートは続いてゆく。

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