異世界帰りのチートスキルホルダー ~勇者と呼ばれた召喚師は今日もダンジョンにこもって、お仕事頑張ります。

あずま悠紀

第1話


「えっとー。あちらの世界で俺達勇者パーティー一行を倒したあの怪物。名前なんだっけ? あぁそうだ。あれを倒すまで帰れないんだろ?」

目の前にいる中年の男性を見据えながら僕は口を開いた。

そう言う彼の右手には、見慣れた黒い剣があった。

いやまぁそれはいいんだけどさ。

ちょっとまてよ、あんたいつの時代の話をしてるんだよ!!!! 今時ラノベとかだって異世界から帰って来た主人公はそんな喋り方しないぞ!!

「いや待ってくれ。それなら俺達が倒した相手じゃないのか?それにあいつらの名前なんて覚えていないし。というか俺はただ普通に生きて普通の人間になりたいだけだ。別に勇者でも英雄でもない!」

「何を言っているんですか。あなたはその特別な力で世界を救ってきたんですよ。だからあなたはこの世界に呼ばれてきたんじゃないですか」

は? いやその理屈はよく分からないんだが? というか、そもそもどうして俺だったんだよ?もっとこう勇者に相応しい人だっていたと思うんだけどなぁ?

(どうするんだよ?)

隣に立つもう一人の僕に向かって念話で話しかけてくる彼に対して小さく溜め息をついた後で、ゆっくりと首を横に振ったのであった。

そして改めて視線を前に向けると目の前の中年男性へと問いかけることにしたのだ。

「あのー、すいませんけど僕にも何が何なのか全然分かっていないんで教えてもらえないでしょうかね?」


***

俺の名は山吹龍斗(さんばきらいと)と言う。ごく平凡な名前のどこにでもあるような高校生をしているはずだ。身長170センチ。成績は上の下くらいだし顔もこれといってイケメンではないがそこそこイケていると思う。運動神経もそこそこあって頭も良い。だけど性格が悪いという事はない。むしろ優しいほうだと思うのだが何故か友人は少ない。

そんな訳で学校に行って授業を受ければ家に帰る。たま

「今日は何をする?」とか「何かしようぜ」と友達同士で遊ぶ事もあるが基本1人で行動している事が多いのだ。趣味としてはネットサーフィンしたりアニメを見たりといった感じなのだがあまり周りからはオタクと思われていないらしく意外だとよく言われたりするのだ。

趣味はゲーム。といってもそこまで詳しいわけではなくせいぜい有名な物や人気のあるシリーズ物はそれなりに押さえているという程度なのだ。

さっき言っていた異世界モノの話というのも最近人気があるみたいだったので暇潰しも兼ねてやってみようと思って手を出し始めたものだったりするのだ。

もちろん最初の内は面白かったけれど飽きるのはあっという間。すぐに別のゲームを探したりしていたものだ。

そんな時に現れたのがその『異世界へ行こう!!』っていうゲームである。なんでもゲームの主人公が異能

「チート能力って言うのかな。なんかすごい特殊能力があるみたいなんだ」

そう言いつつ俺は画面の中で楽しそうに戦っているキャラを見ながらニヤリと笑ってやったのだ。こういう時に大活躍するのがこの「脳内お助けキャラ君3号」(俺命名w)こと隣の席に座る黒縁眼鏡をかけたクラスメイト兼親友にしてオタク仲間の男「高嶺和輝(たかみねかずてる)」であったのだ。ちなみにこいつとは小学生以来の付き合いだったりするがお互い別々の中学に進んだ後は殆ど話す事もなくなってしまったが、たまたま高校が同じだったということもあってまた一緒につるむようになってきていたのである。

ちなみにコイツは結構イケメンなので実はモテたりするのだが本人が重度のアニオタ

「なんだよ、またお前異世界に行きたいとか言ってんのかよ。ホント懲りないよな」

「そういうなって、だってほらこんなの見たこともないじゃないか?しかも自分が戦うなんてすげー興奮しない?」

まぁ確かにそうだよな。

実際このゲームを始めてから毎日のように夢に出てくるようになったしな。それに他のサイトで似たような設定のゲームをやっていた時よりも格段に強い主人公がいるんだよなぁ?これは間違いなく現実に近い世界で異世界に行く為の方法が確立されてきているに違いないんだ!

(おいおい、そんな無責任なこと言うなよ。下手したら命の危険だってあるかもしれないだろう?)

しかし、それを言ったところでもうどうなる訳でもないし、とりあえずやれる事をやってみないと

「でもさぁ、異世界召喚の方法をネットで調べても出てくるんだよなぁ。これは確実に何か方法があるはずだって、そう思ったんだよ!」

(はぁ?なんだそれ?)

そんな話をしながらも画面に目を戻せば主人公の男が巨大モンスターを倒していた。うーんどうせなら自分で倒してみたくなるんだよなぁ、でもどうやって異世界に行くんだろ。やっぱり異世界への門を出現させるとかなんだろうか?

(だから落ち着けって。そんな事を考えなくても向こうから来てもらえるんじゃないか?)

それだ!!それだよ。

「うん決めた。絶対にあの怪物を倒してみせる!!」

そして俺はパソコンを立ち上げると検索エンジンに検索ワードを打ち込んだのであった。

するとそこにはいくつかの異世界にいく方法が書き記されていたのだ!それによるとまずはインターネットを利用して自分の中にある願望を明確にする必要があるのだという。それがどういう形になるかによって転移する世界が違うのだそうである。つまりは俺が思い描く異世界へと行けばいいわけだからどんなものでもいいという事になるはず。

(ちょっと、龍斗!?本当にやる気なのか??マジで行くつもりか?なぁ??)

しかしここで俺はハッとして固まってしまった。

もしこれがただのネット小説の設定だったりしたならどれだけよかっただろうと思わずにいられなかったのである!なぜならもしも実際に行けるとしたら?

「いや待て待て龍斗?その顔は完全に異世界に行こうと思っている顔だが?ダメだからな?いくら俺が付き合ってやると言っても危険が大きすぎるぞ!?いや、俺達2人だけなら何とか逃げられるかも知れないが、どう見てもあの世界には沢山の命が存在するし、それを守る力を持っているんだぞ。そんな所にお前みたいな初心者プレイヤーを送り込めるわけないだろう」

いや、でもさ。

(俺も行きたいです!!)

はぁっ!?

「いやいやいやいやいや。何言ってるんだ龍斗。というか今のお前にはそもそもレベルが低すぎて話にならないから。まだゲーム序盤のレベル20程度しかないじゃん?それにチートも何もないんだろう?無理だろ」

いやいや、そこはアレだろ?神様的な人が現れて色々サポートしてくれるんじゃねーのか?っていうかさ?

「えっと、じゃあさ?ステータス画面を見せてくれれば俺達のステータスを確認してさ、それでこれからの方針を決めればいいんじゃねぇーかなーとか思うんだけど?」

そんな言葉を口にした俺は隣に座っている和輝に目を向けるとその手をぎゅっと握り締めたの

「いや、待てよ龍斗?さすがの俺もその考えは無いと思うぞ?だってあれは創作の中の話で現実世界にはないんだからさ。そんな非科学的なことを口にしたら駄目だ」

は?何を今更そんな常識人ぶっているんだ?

「そんな訳ないってば。あれだって立派な異世界へ行く方法のひとつじゃないか!」

「いやまぁそれはそうなんだが、それでもだ。そんな簡単にステータス画面が出せるなんて信じられないだろ」

あ、そっかー。普通じゃないんだったわ。っていうか今まで普通だとか異常だとかって考える余裕もなかったし忘れてた。

でもそう言われてしまうと少し寂しい気がしてしまうんだよな。

「でもそれならどうすれば確認できるんだよ?まさかあれだぞ?俺がゲームみたいだと思ったら出てくるような便利な機能がついてるとか、そんな展開ないんだぞ?そもそもステータスオープンとか唱えて出て来いって言うのがおかしいと思わないか?ゲームなんだから、普通、メニュー画面とか、コマンド一覧画面とかでてきそうなものだろう」

そうだ、それなのに何もないのが問題なのだ。

俺はこの異世界へと来るときに神様に「何かをして欲しいとは思っていても、具体的にこうしたいというものがないのであればこのままでは帰れない」ってはっきりと言われてるんだし、だったらせめて最低限の能力だけでも欲しいと思ってしまったのも仕方ない事だと俺は信じたい

「うーん?そりゃそうだけど。でも俺達一般人に出来る事なんて限られているし」

それは分かってるけど。

どうせ俺達には何も出来ないって諦めて、それでずっと引き籠もって生活していくなんてごめんだ。そんなの嫌だ。絶対。だったらやれる事は何でもやってやるしかねェだろ。

俺の決意を見て取ったのか隣にいる男は溜め息をつくと呆れた顔をしながらも笑みを浮かべていたのであった。

異世界モノを書くにあたり、どうしても主人公が現代に戻るという選択肢はないと思っていたのですが。しかし、どう考えてもあの魔王を倒した後の世界を放置して帰っていいはずないよね?って事でこういう結末となりました。

「は?」

目の前にあるモニターを見ながら俺は小さく声をあげていた。というかこの画面、どこで見ているんだよとツッコミを入れたかったけど、それよりもだ。

どうして俺はこんなにも冷静なのだろう? まるで映画か何かを見ているような気分なのだ。しかも、この異世界での自分の姿がはっきりと脳裏に浮かんでくるのである。しかもそれが当たり前のように感じてしまっているのだ。

これっていったい何が起こっているんだ?

「なぁ和輝。俺は本当に元の世界の俺なのか?何か別の人物みたいになってるような気がしないか?」

そんな疑問が湧いて出てきているのだ。というか、この状況についていくだけでいっぱい一杯というのが正しいかもしれないのだが。

「そうだな。確かにそうだ。お前は間違いなく龍斗だよ。だって顔が一緒だし。それに、俺が知ってるお前ってもっとテンション高いはずだもん」

そうなのか?まぁ確かにそうかもしれんな。というか、なんかこう。自分が体験してきた記憶もあるし、感情の共有っていうのかな。自分がどう思っていたのかも全部分かるっていうのかな。なんかそんな状態なんだが。

「まぁ、いいや。取り敢えず俺はこの世界で生きていく事に決めたからな!俺がやりたいように生きてやる!!」

「お、おう。随分と吹っ切れたな。でもいいか、絶対に命を粗末にするようなことはすんじゃねーぞ?危なくなった時は逃げるのが一番だからな?特に俺はお前が無事に元の世界へ帰す為に頑張って強くならないといけねーからな。その事を絶対に忘れんなよ?」

ん?俺が帰りたくないって言ったら残る気まんまんだったのかよ。というよりコイツの方が心配なんだけどなぁ

「はぁ、まぁ分かったよ。とにかく俺はもうこっちで暮らすことを決めた。だからさっき言っていた俺が強くなるための方法を頼む」

そうだ、俺が強くなって和輝を助けてあげなきゃいけないんだ。コイ

「待て、それは俺がやる」

俺の言葉に対して和輝の奴が即座に反応してくる。

おいこら、ちょっとまてや!! 俺の楽しみを取るんじゃねえよ!というか俺の異世界ライフが始まるんだから黙ってみてろ!!

(えっとさ。俺、和輝の事助けたいんだけど、どうしたらいい?)

とりあえず、俺の脳内に話しかけてきている存在へと問いかけてみた。

しかし返ってきた答えは何とも無責任なもので。

(はぁ、そんな事を言われてもなぁ。別に俺達、契約を結んでいるわけでもないし、龍斗の頼みだからこうして手伝っているだけなんだぞ?それってどうなんだ?)

「なんですかあなた達は?私を誰だと思っているんです?」

(は?お前こそなんだって?俺達が誰かって?そんな事も知らんのか?俺は神、この世界を作り出した存在に決まってんだろ)

は? いやいやいやいや。そんな馬鹿な事があってたまるか。俺は普通の人間だぞ?って、いや待て、普通ではない?ってそういう話じゃないんだって! そんな混乱している状況の中、俺と同じような事を考えたらしい目の前の人物が口を開くと。

「龍斗君?もしかして君は僕が分からないのかい?ほら、君の幼馴染の黒石 一希だよ?あぁそうか。やっぱり覚えてないか。でも大丈夫だよ。きっとまた思い出せるはずだから。今は僕の力が必要なはず。だからね?これから一緒にがんばろう?」

(はぁ!?えっと、ちょっとよく分からんのだけど。俺は俺だっての!てか俺の事は龍斗って呼べ!!そして俺の名前は黒石龍斗であって神じゃねぇから!!)

そんな言葉を俺が口にするとなぜか隣にいた男は目を細めるとその手に力を込めて俺を睨んできた。

いやいや、ちょっと待てよ。お前ら俺の事が見えていないからってさ、それはあんまりだろ?いくらなんでもさ、もう少し俺に敬意を払うとかそういった気持ちがあってもいいんじゃなかって思うぞ? 俺はただ単に自分の思った通りにしたいと思っているだけなのに。

(あの

「龍斗君、あまり調子に乗ってると殺しちゃうけど、それでもいいの?」

「龍斗?お前もしかして、さっさとここから逃げたいとか思っていないか?だったら俺と一緒に行動した方が色々と楽だと思うんだ。その、何だ、お前さえその気があるなら俺の嫁になる権利を与えるって約束しても構わんぞ?ってか俺も正直言うとお前みたいなイケメンは大好きなんだよ!!さて、どうだ?ここで死ぬか、俺の愛人になって俺を助けるか、どち

「あー、うん。俺が悪かったです。すいません。マジですみませんでした」

「ふふん。分かってくれたようで良かったですよ」

目の前にいる男の迫力っていうか

「っていうかさ、龍斗、もしかして今、こいつの事ぶん殴ろうとした?駄目じゃんかよ、一応、神様っていう設定なんだからさ。俺だってそんな事しなくても、俺達を強くする事が出来るんだから。大人しく聞いておいた方がいいって」

そんな事を言い出すのである。いや、お前は本当に俺の味方なのか!?っていうかさ、もしかしてこの神様って、実はコイツに脅されてたりしない?だって明らかに態度がおかしいもん。なんかこの人、目が泳いでるし。

(って、あーそうそう。ちなみに神様、ひとつ教えて欲しい事があるんですけどいいでしょうか?ステータスの開き方っていうかやり方を教えてほしいんですよ

「あ、はい。分かりました。えっとステータス画面を開くのに必要なのはステータスカードを手に取って意識を集中する事で出てくるはずですが。あれ?もしかしてまだ持っていなかったりします?」

は?そんなの持ってないって。いやまぁステータスカードを貰うとかって話を全くしていなかったけどさ。そもそも俺はここに来てすぐに気絶してしまったから、この世界に来たときの記憶なんて一切無いっての。

でもそうなってくると困ったな。それならどうやってステータスを確認するのだろう?

(和輝、どうやったらこの画面が出ると思う?そもそもこのステータス画面を俺は出せるのだろうか?というより俺は本当にこの世界の人間になっているのかな?それなら和輝の

「龍斗、ちょっと待てって。確かにこの人は神だって自分で言ってるけど、俺にはどう見てもそう見えないんだ。もしかすると神様に騙されている可能性もある。龍斗の事は信用できる相手だとは思ってるし俺も協力するつもりだ。だから一旦落ち着こう」

え? なに?どういうことなの?俺って騙されてるの!?

(は?な、何を言ってんだ。そんなのありえないだろ。というかなんでいきなりこんな展開になったんだよ。もしかしてこの俺って、とんでもない奴だったりする?

「あの、どうしましたか?なにかありましたか?」

目の前にいる男がそんな俺達の会話を聞いて不思議

「は?そんなのおかしいっての!なんで俺が龍斗の為にここまでしてやらないといけねーんだよ!ふざけんな!だいたい俺は龍斗とお前が仲良くなって欲しいから協力してただけだって!だから、これ以上邪魔をするのをやめてくれよ!それに俺はこの世界で最強の存在になりたいんだよ!その為にも俺は強くなりてぇんだよ!」

おい!何勝手に暴走してくれてんだよ。ってか本当になんで俺は異世界に居るのにコイツと漫才をしなければならないんだ。って、まぁ理由は簡単だよな。俺のせいか

「龍斗君?どうして君はそんなにも僕の事を警戒するんだい?君とは仲のいい友達同士だと思っていたのに、僕は寂しい限りだよ」

おい、やめろ。なんだその捨てられた犬のような目で俺を見るな!ってか、俺も和輝もそこまでの間柄じゃないはずだろ! そういえば昔、こんな感じの目をした人がいたような気がしなくもない。確か俺がまだ小学生の時だったか?俺って小さい頃から割といい感じに運動神経がいいって事で色々と言われてた記憶があるんだけど、そのせいでイジメの対象になってたんだが。その時に庇ってくれたのが、

「あー!分かったよ。もう俺は何もしないからさ。そんなに睨まないでくれって。俺は別にそいつと敵対しようとかそういうつもりはないんだ。むしろ友好的な関係を築きたいって考えてんだからさ」

そうだよ。その人が助けてくれたんだよ。俺にとってはヒーローって言葉はこの人の為にあるようなものなんだ。というか、その人にそっくりだ。

「ふぅ、ようやく落ち着いたみたいですね。まったく、急に暴れ出したかと思えば、急に静まったり、一体あなた達はなんなんですかね。はぁ、とにかくこれでようやくステータスを開く方法を教える事が出来ます。ではいきますよ」

おい、こらちょっとまて!なに勝手に進めようと

「ステータスを開く方法は、自分が思い描く最強の姿を想像すること。そうすればステータスのウィンドウが表示されるはずです」

「お!本当じゃん。というわけで龍斗、ちょっとやってみろよ。さっきは俺のせいで騒いじまって悪い。俺の事は心配せずに強くイメージしろって!きっと大丈夫だからさ。あ、俺の嫁の事は後で紹介し あ、もう無理っぽいな

「はい。龍斗君のスキルを確認してみたんですが。やはり異世界召喚はされていませんでしたね。それなのになぜこのような力を?」

ん? なんだ?今の声。ってそれよりも俺は結局なんなの?

「いや、そんな事言われてもさ。龍斗はただの一般人だぜ?そりゃあレベルだけは少し高いかもしれねーけど、それ以外は別に普通の高校生だろ?それとも、お前が異世界に連れてきたんじゃないのか?」

「そんな、私達は別に、そんなつもりで連れてきたんじゃ。でももし仮に私が彼をここに呼んだのだとしたら私は彼の人生を狂わせてしまった事になるのか。それは申し訳

「いやいや、待てって!そんなの気にする必要は無いって!そもそもお前達が何をしたって龍斗は元の世界に帰る事が出来ないわけだし、だからといってお前らが責任を感じる必要もないだろうが」

いかん。話が変な方向へと進んでしまった。ここはなんとかしないと俺が困

「い、いえ。違い、ま、す。ぼぐ、ごめんなさい、龍ど君」

「え?」

「は?龍斗?大丈夫か?」

いやいやいやいや、大丈夫じゃねーよ!?って、なんだこれ?急に体が熱くなって!?ってかマジで熱いって!?ちょっと、誰か止めろよ!!

「うぉ!?なんだこの光。眩しすぎて直視できねぇぞ。ちょ、どうするよ」

いや、マジで頼むから、どうにかして俺を助けてくれって!!マジで熱いから!!このままいくとヤバいっ

「うわっ、うげっ」

「龍斗?おい龍斗?しっかりしろ!!」

「はっ、うぷっ」

俺は気がついた時には自分の吐き出した物の上で仰向けで倒れていた。って、え?嘘だろ?まさか、もしかして本当に死んで

「はっ!だ、大丈夫ですか?だ、だだだ、だれが、誰が龍斗君をころ

「待てって。お前も落ち着いて考えないとダメだぞ。もしかしたらこれは俺達の仕業ではなくて他の第三者によって引き起こされた事態かも知んないんだからさ」

え?なに、何が起きたの。俺、死ん、

「うぷ、お、俺はいったいなんで」

そして俺は意識を取り戻して体を起こした。どうなっているんだ?って、あれ?ここどこ?なんか妙な物がいっぱいあって。っていうか俺はさっきまで学校帰りに和輝と一緒に帰って、そしたら目の前にいたあの男が

「龍斗、無事だったんだ。よかった」

「ん?って和輝!?どうしてお前がいるんだ?お前こそどうなってるんだよ」

「いや、それが俺にもさっぱり。っていうかさ、俺達一緒に下校中だったろ?それで龍斗が突然苦しそうな声を出したと思ったら目の前が白くなって」

あれ?もしかして俺がおかしくなったのってあの男のせいなのか?それにしては和輝の格好ってなんかコスプレみたいな恰好をしているんだけど。でもあの男の見た目は確かに神様っぽかったもんな。でもそんな事よりもだ。まず俺に起き上がって状況を把握しないといけないな。そう思った俺はとりあえず周りをグルッと見回してみることにした。

え?え?ええええええ

「なんだよコレ?なんで俺はこんなところにいるんだよ。なぁなぁ、俺達はいったいどこにいるんだよ」

俺達の周囲には様々なゲームに出て来そうなアイテムの数々が置かれていた。しかもその数はとても多くて数える事すら困難だったのだ。俺はその中のひとつに目がとまりそれを手に取ると

「なぁ和輝、なんだよこの武器?剣にしては短すぎねーか?こんなもの使えるの?っていうか和輝はなんだよそれ?まるで鎧を着ているようにしか見えないんだけれど、それにそんな重そうな防具をつけて動くことができるなんて凄いじゃないか」

「うん?あ、いや違うんだ。この装備品?俺もさっぱり分かんなくて、気づいたら身につけていたっていうか」

おいおいおい、どういうことだ。という事はやっぱり

「和輝は本当に神様にあったんだ。そうに違いないんだ」

しかし神様だか天使だかよく分からないが、その男の正体は未だに謎だったりするんだよな。もしかして俺達の目の前にいる男は本当に神様で、あの男が俺達に危害を加えようとした存在って可能性もあったりもするんだよな。そう考えると目の前にいる男が怪しく見えて仕方がなかった。すると、

「は?俺?何を言ってんだお前。俺は神様でお前らは人間だっての」

そんな事を言って来る。って

「は?えっと、ちょっと意味が。え?神様?本当に神様だって言うの?あの人。っていうか、俺達の事が見えてる?」

「だから何度も言ってるだろうが!お前は何を言っているんだ!お前の頭の中はどうかしているんじゃないのか?」

おいおいおい、どうしようか。どうやら俺の幼馴染である桐谷和輝には、俺の頭の中にはおかしな人にしか映っていないようだ。だけど俺にも言いたい事がある。

「いやいやいや、待ってくれよ。というより、俺の事を覚えてないか?」

「覚えてるかって。そんなこと当たり前だろ?何年お前の友達やってきたと思ってんだ。って、おい、龍斗。俺の話聞いてた?なんでいきなり泣きそうになって 」

「お?おお?なんだって?なんの事を言っていたの?俺の聞き間違えかな?俺の友達がどうのこうのって」

「ああ?なに訳の分からないことを、俺に友達が居なかったのって小学校の時までだぞ?あ、いや中学生になってからは何人かは友達がいたか。それでも高校に入ってからはいないって!な?そうだよな?」

いやいや、ちょっと、マジで、ちょっとまって、それなら俺にだって言いたい事があってだな。俺はそんな話を聞かされると

「そんなわけないだろうが!俺にだって中学の時はお前以外にもいたよ!というか、そんな話はもういいからさ。早く俺達が何故ここにいるのか説明して欲しいんだが」

「だからお前達は選ばれたんだよ。これから先ずっと異世界で生きて貰う為に」

そんな話を急にし出す自称神様。

なんとなくそんな感じの事が予想できて、というかもう完全に確定的な気がしていたんだけど、実際にそれを口にされると言い返せない。というわけで

「いや、でも異世界とか言われても実感がないし。正直に言わせてもらってもいいかい?異世界って言われても全然信じらんねーし、そもそも、お前の言ってることが信用できるかどうか怪しいってのが俺の意見なわけで」

そうやって俺は反論する事にした。

「お?なに?なんだよ。疑っているの?俺様の力を否定する気?俺の力は本物なのに?」

そう言ってこちらに手を向けてくる。ってなんだこれ?

「え?」

なんだよ?なんでコイツが持っている杖みたいな物がこっちを向いて、なんともないはずなのになんかゾクっとして え?えええ?な、なんで俺の服の袖から

「ほーん。なるほどね。そういう能力もあるのか。いや、それにしても異世界召喚をしたのは初めてだけれど、意外と簡単じゃない。というか、これはむしろ楽かもしれない」

そう言いながらニヤリと笑いやがった。こいつ絶対に普通じゃない。っていうよりこの場に居る誰とも違った異様なオーラを放っているって! やばいやばすぎるって!これは本格的に逃げ出さないと! 俺は必死で逃げる事にした。というわけで全力で走ってみたんだけど、何故か足が重くて動きにくいような気がした。

って、おいおいおいおい!待て待て待て待て、なんなんだよ。なんなんだよ。

「え、龍斗?なんでいきなり走り出して、ちょ、待って」

「和輝、頼むよ!少しの間だけ待っていてくれよ。俺は今ちょっと、この得体のしれない化け物から離れなきゃいけないんだ!」

「は?なに、それ、って。なにか、くる」

「ん?って、お、おわぁ!?」

何か巨大な物体が上から落ちてきて地面を大きく揺らし俺達の目の前に落ちてきた。それはまるでドラゴンのような形をしていた。しかし体は青くてとても巨大であり、その瞳は赤く光りまるで血走っているようであった。そして俺はそいつと視線が合ってしまい思わず恐怖から声を出してしまうと

「ひぃっ、い、いまのはまさかブレス!?くっ、危ないところだった。和輝は大丈夫だったか」

「うっわ。俺の方に倒れて来たのはお前の方だったろ?というかさ、本当に、なんだよアレ。もしかして、もしかしてなんだけどさ、あのバケモノが龍斗が言ってるバケモノって事じゃ無いのか?」

おいおいおいおい、まさか。でも

「あのバケモンが龍斗の言う神様だってのはありえないと思うぞ。ってことは」

俺は再び神様っぽい男の方へと顔を向けた。しかし彼はすでに俺達を見ておらず

「な、なぜこんな所に」

などと呟いていたのだった。

「龍斗!!俺の後ろにいろって」

和輝は急いで立ち上がると腰に差してあった黒い刀を引き抜いて構えた。そして目の前にいる龍のような怪物を睨みつけ

「さっきのやつはブレスを放ったみたいだったけど。あんな攻撃に直撃して生きていた奴は見たことがねーな。まぁ俺達を殺すつもりだったんだろうさ」

「え、そうなの?っていうかさ、さっき俺がくらったあれって」

「ん?」

「もしかしてお前の特殊能力ってヤツだったりしないか?」

「あ?俺の特殊能力?」

「そうそう、なんかよく分かんないんだけど、なんかさっきから妙に身体が重たいっていうか、体が思うように動かないんだよ」

「へぇ、そっか。でも安心しろ。俺はお前の味方だから。あの化け物を退治したらすぐに治してやるから。それにアイツを倒すのに協力してくれれば、お前を元の世界に返してもらえるように取りはからってやるよ」

いや、なんとなく分かるんだよ。コイツが言っている事は本当だって。でも

「和輝。気持ちはありがたいんだけど、本当にお前が言ってる通りにあいつが俺達の敵なのか?それを判断する材料が無いんだよな。それにさっき俺に向かってブレスを吐いてきたってのも」

「そんな事は問題ねーよ。っていうか、そんなこと気にするよりも早くここから逃げた方が良いかもしんねーぜ。というかだ、もしさっきのブレスを食らって生きていられるのだとするとだ。アイツはかなり強いモンスターかもしれねーって」

「あ、そうか。でも」

「あぁ?もしかしてお前まだ俺の言ってること信じられないの?あぁ?」

「あぁ?なんだって?聞こえねえんだよ。もっとはっきり喋ってくれないか?それともそのデカい耳は飾りだったりするんですかね?だったらその無駄な耳切り落としちまえよ」

俺達は喧嘩を始めてしまった。だけど

「ふむ。しかし困りましたねぇ。あなた達はどうやらとてつもなく強い力を持っているようだ。どうです?このまま私と共に行動しませんか?悪いようには致しませんよ」

突然そんな事を言われて戸惑ってしまう俺と和輝。っていうか、コイツ俺達にそんな話をしてくるとか

「いやいや、何言っているのか分からないって!というかだ、なんでそんな事を急に言い出すんだよ。意味がわからねーよ。お前があのバケモノの親玉か何かで、俺達が邪魔だから殺そうとか、そういう考えなら」

そんなことを言い出す和輝。

確かにそんな風にしか見えないよな。だって目の前にいるのは神様だか何だか知らねーが 明らかに普通の人じゃないもんな。だけどさ

「おいおい、なんでそんな事を言われなきゃならないんだ。私はお前らに何も危害を加えていないじゃないか。どうしてお前らを殺さなきゃいけないんだ?それにお前らにとってもいい話だと思うんだよ。異世界に行って魔王を倒してくれるだけで良いんだよ。簡単な話だろ?あっちの世界に行けば好きなだけ暴れても文句は言われないし、金もある。女に不自由することも無い」

なんて言われてもだ

「ふざけんじゃねぇよ!いきなり襲ってきて殺されそうになったと思ったら今度は異世界で好き勝手やりましょうだ?馬鹿にするのもいい加減にしろってんだ!」

和輝の言う通りなんだよな。俺だって同じ意見だよ。異世界で俺TUEEEしてみたい願望はあるけれど、命の危険がある異世界に行きたいとか思った事は一度もなかったからな。しかしそんな風に思っていた俺に対して自称神(仮)から言われた言葉とは

「異世界にはお前らが想像するような危険は一切ないぞ?というよりむしろ安全過ぎる程にな。だからなにも怖がる事は無いんだ。それにだ、さっきの一撃でお前が死んでいたとしても何ら問題は」

「そんなの信じろっていうのか!俺はお前に攻撃されて死にかけたっていうのに」

「ん?なんで?なんでって、そんなのは決まっているだろう。私がお前を殺そうとしていたからに決まって」

「いやいやいやいや、だからそれを信じろって方がおかしいんだって。な?そうだよな、和輝」

俺は和輝の肩に手を置き同意を求めたのだが

「龍斗?龍斗、龍斗。ちょっと、なにが起こっているの?」

え?なにがって、なに?なんで和輝の奴俺の顔をまじまじと見てくるの?

「和輝?えっと、なにが起きているかはわからないけど、俺達ってこの自称神の人に殺されるところを助けてもらったんだよな?」

「う、うん」

俺達は目の前の男が発したとんでもない一言を聞いて驚き固まってしまう。

いや、まさかそんなはずは

「なに?お前らの頭の上を見てみろって。そこにあるのが見えるか?」

俺は恐る恐る頭に手をやってみると、そこにはなぜか小さな突起物が二つ生えていたのである。

ってこれ?これまさか角とかじゃないよな?俺の額に?ってことは、これってやっぱり。俺と和輝の目の前にいる男の姿が段々と変わりだし。そして俺はその姿を見ながら おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい、なんだよこれは

「あーーーーー、マジで?マジで言っちゃってる系なんですか?」

思わずそう呟いたのだ。だってそう思うしかないじゃんか。俺と和輝の前には全身を鎧で覆われている一人の大柄な男の姿があったからだ。身長は二メートルはありそうなくらいで横幅も広くそして顔の部分には鬼の顔をした仮面を被っているせいもあってどんな顔立ちをしているのかは全くわからなくなってしまっていたのだった。

「さぁ、二人とも。私について来てください」

目の前の男、俺の頭上に角らしき物をつけさせてくれた張本人であり自称神様であり今は全身をフルプレートアーマーに包まれてしまって性別どころか顔も分からない謎な人物になってしまった人は

「って、えぇ?ついてこいってどこへ!?って、いやその前にその格好どうにかしろよって、あれ?」

俺の言葉を聞いた謎の人物が突然しゃがみ込み

「ははははははは、まさか。いやまさかまさかまさか、そう来るか!!くっくくくくく、まさかのその展開か。なるほど、そういう事だったわけか。いいぞいいな。最高に愉快な状況になって来た。まさかここであのスキルを手に入れる事が出来るなど思っていなかったが、なるほど」

一人でブツブツと喋っている。というかさ

「って、なんなんですか。その独り言いつのは。気持ち悪っ。いやそれよりもさ、一体どういうこと?あのバケモノの事もそうだし。っていうかさ」

俺の隣で呆然としている和輝の方へと視線を向けると

「龍斗。俺の頭がおかしくなったのかな?目の前にいる男の顔が」

あ、やっぱりお前も見えるんだ。というか俺と同じものが

「いや、俺の目に映るこいつも。というかさ」

「「俺のステータス画面が表示されてる!!」」

俺達が叫ぶと同時に目の前にいる自称神は俺達の方へと顔を向けた。しかしすぐに興味を失ったのかそのまま歩き出したのだった。しかしそんな事はどうでも良かった。

そう、俺達の前にはステータスウィンドウが出現して俺達の今の状況を表示していたのだった。

名前:神崎 龍太

(かんざき りゅうた)

年齢:25歳

レベル:456788090728693/456009997567988

筋力:50億2千万3860569

頑強性:15京68400兆5701058

体力:50兆76391億4200

魔導力:5064079866599480000

「な、なんだよこの数値は。っていうかレベル高すぎじゃね?なんなんだよ50万って、それに魔力に至っては500万以上とか」

俺と和輝はお互いにお互いを見つめ合いながら口をパクパクさせている。

いやだって仕方がないと思うんだよ。だって俺達はこんな数値を見たことが無いんだし、普通なら信じられないだろう。だけどさ、ほら、俺達の目の前で表示されている俺達の能力値ってヤツ、それを見れば誰だって

「はは、はははは、はははははは、マジかよ。なぁなぁ龍斗。これって俺達のステータスだよね?」

「は?お前なにを言って、そういばなんでだよ?なんでいきなり現れたんだよ?」

よし、まず落ち着こう。ここは深呼吸をしてそれからだ。

すーーー、ふぅーーー。よし。それで

「まてよ、確か自称神様に頭を殴られて。そしたらいつの間にかこの異世界に来ていたんだけど」

俺達がそんな話をし始めた時だった。ふっと俺達に語り掛けてきた存在が現れた。それは今までに見たことも会ったこともない女の声だったのだが

『あなたたちは私に選ばれた者です』

は?選ばれた?なにが?それにあなたたち?

『あなたたちの力は世界のバランスを破壊しかねません。なので私はあなたたちにチートを与える事にいたしました』

いや待て待ってくれよ、

「いやいや、ちょっとまった。話がぶっ飛び過ぎでしょ?って言うかさ、なんなのこれ?急に俺達の視界にこんな物が映し出されているんだけどさ。それにあなたが選ばれただのどうのって、そもそもあんたがいったいなにものかすら知らないのに」

俺の言うことは

「おー、それな。俺の頭についている角っぽいものについても聞きたいし、っていうかあんたが誰か教えろよ」

そうそう。和輝の言うとおりだよな。急に現れてきて訳がわからないんだって

「いやはや。まさかこのような方法で選ばれるとは思いませんでしたよ」

まただ。今度はさっきとは違う声だな。それに女ってよりもまだ少女に近いような?

「ってかなんなんだよ!なんで女の子が男の人みたいな話し方をするんだよ!って、ん?」

え? 今度俺達の前に現れたのは金髪で白いドレスを身に纏った女性だと思ったら違った。よく見てみれば、そこには銀色の

「って、あれ?この子ってもしかして人形なのか?」

俺の言葉に和輝も納得したようで何度もうなずいている

「そうだね。言われてみるとそんな感じだな。この子の表情や動きにはまるで生気がないというか」

いやいやいやいや、和輝の言うように確かに言われてみたらってそんな事を思っている場合じゃないって

「おい、自称神」

俺は自称神に詰め寄る

「いやだから、俺はお前らに危害を加えるつもりはないと言っているだろ。さっきのは少し驚いたが別に問題は無い」

な、何を言っているんだ?って思ったけれど、そんなの嘘に決まっているんだ。

「おいおい、そんなの信じるとでも思ってるのかよ」

俺の言葉を肯定してくれる和輝はうんうんとうなずくと俺の腕を掴み引き離そうとした

「ちょ、なにするんだよ。俺の話を聞けよ」

俺は和輝に掴まれた腕を振り払い再び近寄ろうとしたのだが、そこで俺の前に和輝が手を広げ立ち塞がってきたのだった。

「なに?なんなの?なんなのなんなの?なんなのなんなの!?ねぇ?ちょっと?えっとさ、本当にさ、一体どうなっているのさ!?俺はさ、ついさっきまでコンビニに行っていたはずなんだよ。なんだよここ、なんなんだよ。俺はさ、もう嫌になるくらいこの手の物語は読んでいるしゲームも沢山やっていたしそれなりには知識はあると思ってたけど。でもな、流石にありえねーだろうよ!」

「お、おう?お前、突然なに叫んでるんだよ。って、まさかお前も」

「俺も同じ状態。でもお前のステータスはもっと凄いぞ。俺のはなんか数字だけが表示されていたけど、お前の方なんて文字で表示されるようになってる」

マジで?俺の方が?というかさ、

「って、お前。ステータス画面に俺の能力とか表示されてるのか?っていうか見れているのか?って、そういえばお前って」

俺は隣で必死になっている和輝を見ながら、先程自称神に言われたことを思い出したのだった。

そう、あいつは俺達になにをした?俺達はあの変な空間の中で自称神様から頭に衝撃を受け。気がついた時にはここに居たわけで

「そういや、なんなんだよ。なんなんだよこの状況は」

「なぁ、和輝」

「あぁ、龍斗」

二人で目を合わせると俺達はお互いの手を握る

「「これは絶対に夢だよな」」

そうだ、それ以外ありえないんだ

「ってことで、ほっぺをつねるぜ。いくぞ?いっせの」

そして

「「あいたたっ、いってぇぇぇえぇぇええぇえええぇええぇぇぇえぇぇぇえぇぇえぇえええぇえええええぇぇぇえええええぇぇぇぇぇ!!!」」

痛い!!マジか!!めっちゃいてぇ!!って、

「「うっぎゃぁああああっ!!マジか!!夢じゃなかったのぉおおお!!」」

マジか!!いやマジかよ!!なんだよそれ!!どういうことなんだよ!!い

「というか和輝。さっきお前も自分の能力を確かめただろ?」

そうなんだよ。俺達の頭上には相変わらず俺達が持っている謎のステータスウィンドウが浮かんだままなわけで、俺達のレベルとか筋力だとか頑強性とかいろんがごちゃ混ぜになったヤツが表示しまくられているんだよ。ちなみに和輝の方はこうだった

名前:神崎 和輝

(かんざき かずき)

年齢:25歳(見た目10代後半)

レベル:456009808966944/46800000044682

筋力:46億8千万4896億49701万4387654

「ってかさ。和輝ってさ。ステータスの最大値ヤバくね?」

なんだよこれ、マジで俺のステータスの半分もあるんですけど

「はは、そんな事無いって。それよりもお前こそその能力値が」

そう言うも、俺のステータスをマジマジと見る。そんな和輝だが

「でも俺達のこの現状を考えるとやっぱりここは異世界だよ」

「そうだよな。俺達が異世界に来たって事で間違いなさそうだ」

「だね。ま、いいじゃん。とりあえず俺達の能力はこんな感じだって分かったことだしさ。あとはどうにかなるんじゃね?だってチートだし」

そう言うと、和輝は大きくため息をつく

「だな。ま、なるようになるだろ」

和輝の言葉に俺も大きく溜息をする

「ほんとそれな。ってか俺ってさ、結構オタクなんだよね」

いや、ホント。だって考えてみ?普通さ、急に現れた女の子に『私に選ばれたチートです』って言われても普通信じられるか?俺だったら信じないね 俺の言葉に首を横に振る和輝は

「それは言えるな。ってか、それ俺のセリフだわ。いきなりさぁ『選ばれたのです』って言われてさぁ。それで『これから頑張ってください』だよ?意味分らん。マジで何言ってんの?ってなったし」

そうだよな。普通ならそう考えるよね。俺

「それで俺達が選ばれた理由が世界のバラン」

そこまで言うと

「それは違います」

え?違うの?じゃ、なんでだよ? 俺が言葉にしようとしたら和輝の声に被せられるようにして聞こえてきた女の声

「世界のバランスを守る為。貴方たちは私の使徒なのです」

いやだからさ。なにが違うっていう

「俺達が選ばれたって言うのもおかしいよな」

「だね。それにそのバランスってのもよく分からないよな」

いやいや、和輝。

「俺が思うに。選ばれた理由は分かるよ」

俺の言葉に

「本当かよ?」

「あぁ、多分間違ないだろうな」

そんな俺の言葉に対して

「あのさ。さっきの神様みたいな女にさ、選ばれたとか選ばれたとか言ってきたわけだろ?」

ま、まぁな。

「だったら俺達の事を選んでくれているって事じゃないの?」

確かにそれっぽい事を言ってたし。それに俺達は神様に選ばれたらしい。でも

「でもさ、それならさ、なんで『世界の均衡を保つために』なんて言うのかな」

確かにな。バランスが崩れないようにしろとか言えば良いようなもんなのに

「うーん、そこが謎だよな。それに俺達は選ばれましたとさ。だけどその理由がさっぱりわからないんだよね」

俺がそう言い切ると

「だな。それにさっきの自称神は俺達と話をするときに必ずと言ってもいい程、『俺達は選ばれた存在だ』っていう言葉を織り交ぜてきていた。まるで自分達に都合のいい世界に転生させてあげると言わんばかりに。それがさ、正直気になるんだよ。なんか変に誘導されている感じがするっていうの?」

俺の言葉に和輝はうなずくと

「だな。でもさ、そんな俺達の話を聞いていた女の子は俺達に『この世界に順応できるのであれば、私はあなた達に最大限のサポートを行いましょう。まずはその力を使ってこの世界で生き抜きなさい。大丈夫です。この世界にはすでに魔王を倒した英雄である貴方たちが居て、さらには強力な武器も与えておきました。貴方たちに足りない部分はこちらで全て補いますので安心して旅に出てください」って言ったわけでしょ?」

そうだよ。でもさ

「確かにな。それを聞いているうちに俺はさ、なんていうの?妙に引っかかってさ。でも考えれば考えただけ訳が分からなくなるからそこで考えるのを止めたんだったよな」

そう、そうなのだ。だから俺は今の状況を整理しようと思っているのだ 俺は一度大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせることにした。そうしないと思考がぐちゃぐちゃになってしまうからだ

「俺達の能力を考えてもどう見ても俺達はチートを持っているわけで、しかも俺達が異世界から来たというのを知っている人物から俺達は選ばれたなんて言っている。俺達は本当に何かに選ばれたのか、それとも単に利用されているのかはわからないけれど、このままここに居るとヤバイ気がする」

そうだ、この世界には俺達の知っている人間がいるのかいないのかすらもまだ分かっていなくて、そのうえでこの世界をどうするかってのを決める前に色々と決めなくてはいけない事が多すぎるわけで。

「俺のスキルって本当にこの世界でも使えるのかな?それとも」

和輝がそう言いかけた時に、目の前にいた自称神の美少女に動きがあった

「お前の力は本当に素晴らしい物だよ。勇者として覚醒している」

その声と共に現れた少女は

「ふむ。流石は私が認めた男だな。まさかお前の様な強者が現れてくれるとは」

えっと。なんだよこのお姫様風の恰好をしている女性は。俺の視線を受けた和輝も困惑顔のまま

「龍斗。俺さ、こっち来てもしかしたらとか思ってるんだけど」

「お?お前もか。実は俺もちょっと考えていた事があるんだよ」

俺はそう言うと和輝と目を合わせてニヤリと笑う

「じゃあさ」

「あぁ」

「俺達が」

「うん」

そして二人で目を合わせるとお互いを小突くと 俺と和輝は大きく叫んだ

「「俺たちって実はもう既に死んでたりしない?!」」

俺と和輝が叫ぶのを見ても、まったく動じないお姫様

「ほう、気付いたか。いや気付かれていたかと言うべきか」

はっ!?も、もしかして俺ってやっちゃいましたか?って、あれ?和輝?お前なにしてんのよ

「なっ!!和輝お前何やってんだ!!やめ」

俺の制止を振り切り和輝が手に持っていたのは、俺の鞄の中から出したと思われるカメラ

「はい、撮ってま~す」

って、え?もしかして俺達がこうなった原因って、これ?これなのか?! 俺が自分の能力について話そうとしていると急に和輝が立ち上がって俺の肩に腕を乗せる。

何が始まるのだろうかと見ていると、スマホを手に取ったと思ったらそのまま構えた。

おいおい。俺の顔ってそこまで

「はいチーズ」

って、パシャリ

「おっけ、後でメールで送ってやる」

って。はい?なにこれ?どういう状況? 和輝はそのまま立ち去ると、すぐに戻ってきた。って

「マジか、写真かよ。はぁ、なんだろうなぁ、ってかさ。こういうのってマジかよってなるだろ?」

「だね。マジでビビッた」

まさにそれ。

そんな事を俺らが考えていると、お姫様風のお姉さんは俺らにこう告げてきた

「あ、これですか?これ、私を撮影するためのカメラですよ?」

って、はぁ?

「いやね。俺達はあんたがさっき言っていたことを聞いたうえでさ。もしもこの世界が俺達にとって、都合の良い世界になっているとしたら、その証拠を残すために写真を撮りまくろうと思ってさ」

な、なんなんだ? 俺達の事をチラ見しながらそう言ってくる自称神様。

「な、なによ。私のことをずっと監視して、私の弱みを握っているつもり?」

え?な

「そうです。あなたの事はずっと前から見ています。なのであなたが持っている力だって私には全て見えているんですから!!」

そっか。俺らのことを見ているのはコイツじゃなかったのか

「なぁ、俺らを監視している人。いや、俺達の力が見えているという神様ってどこにいんの?」

俺は和輝に話しかけると

「あぁ、なんか俺にも良く分かんないけどさ。とりあえずこの子には逆らわない方が良いって感じているよ」

和輝も同じことを考えているみたいだしな。俺の幼馴染は俺よりも賢いなぁ そんな事を考えていたが、突然 ガシャァア

「って、うぉおおお!!なんだ?」

俺達はいつの間にか檻の中に居た 俺達の周りに集まってきているのは明らかに人ではなくモンスターだ。そう。つまりここはダンジョンってわけだ

「ど、どうしようか」

俺は慌てながらも和輝の方を見ると

「どうしような」

和輝の頬に一筋の汗が流れた瞬間。俺達は大きな爆発によって吹き飛ばされてしまう。どうやら俺らは、さっき俺が考えていたことが正解だという事が分かり、俺達の世界で言うとゲームのラスボス的な場所に転移させられたらしい。しかもご丁寧に俺達二人だけを隔離されて、その部屋に閉じ込められてしまっており、その扉は絶対に開ける事ができない。そんな状態だ いやいや、待ってくださいよ。

「さぁ、私の手下を倒してください」

俺らの前に現れた少女に言われても、倒せって、そりゃ無理ゲーですわ。

「ねぇ。僕達をこんな目に遭わせて、一体なんなの?」

そんな言葉を口にしたのは和輝だ。

「ふふ、私はただあなた達の力を正しく使う為に」

あぁ、そういう事か

「あぁ、お前はやっぱり神なんかじゃないな」

そう、この子は神様なんかじゃない。この子を俺達は知って居るぞ。

「そうだな。確かにこいつは偽物だよ。なんつーか、俺達はこの子の本性を知っていた。この子と初めて出会った時から分かっていた」

俺と和輝の言葉を聞いて驚いている女の子。っていうかさ、俺達はこの子の事を誰よりもよく知っているしな。俺達はこいつのせいで色々と大変な事になってるわけで。だからこそ分かる。こいつの正体は

「はぁ。俺達がさっきまで何をしてたかっていうのも見ていたんだろ?」

俺がそう聞くと、少しだけ焦った表情をした女の子だったが

「えぇ。勿論。あなた方の活躍も見させていただきました」

嘘だな。まぁ、そんなのは良いんだけどさ。

「じゃあ、質問なんだけどさ。どうして俺達にこだわるんだ?それにさ。お前が言っている力を使う為の条件が『試練』って何?」

「へ?え?それはその」

動揺する女の子を見ながら俺達が笑っているのを見てムキになったのか、彼女は

「ふ、ふん!!そんなもの決まっているじゃないですか!!私が貴方達にチャンスを与えたというだけです。私は別に貴方達に何か特別な感情を持っているわけではありませんから」

ふむふむ。そう来ますか

「なにがおかしいんですか!!そもそも私が」

「なぁ」

「なんだよ」

「俺が言うのもなんだけどさ。もう止めにしね?俺達のことを知っている奴なんて、この世に一人も居ないと分かっただけでも収穫だったわけで」

「そうかぁ?俺はちょっと不満が残るというか」

そう言いつつも和輝も納得したらしく俺の方をジッと見てくる

「よし、じゃあ、帰ろうか。俺達の世界に帰るとするよ」

「そうだな。俺達を閉じ込めた奴にお礼をしないとな」

そんな話をしていた俺と和輝。だが、ここで一つの事実に俺と和輝はこの場に来て始めて気が付き驚くことになった 俺達が帰ると決めたその時に、突如現れた謎の空間から聞こえてきた音は バタン という音。俺の目の前に居たはずのお姫様の姿が無くなっていたのだ えっと、これは 俺達はしばらく黙

「お?なぁなぁ。和輝。お前って本当に凄いよな」

「だな。流石は我が友だよ」

俺と和輝はその日。本当に久しぶりに心から笑い合った あのさ、皆様 今日はさ、本当に色々とあったと思う。俺と和輝も最初はこの世界での生活を満喫していた。だけどさ、それでも俺と和輝は気付いたんだ。このままここに留まっても良い事はないってさ。だって俺と和輝には

「龍斗!!俺はこの世界に残ってもいいかなって思ってきたぜ」

「いやいや、お前は流され過ぎだよ」

和輝の言葉

「龍斗。僕はこの世界は楽しいけどさ。この世界にいつまでも居るのはちょっと」

「いや、俺は残る」

俺は俺の友達である、俺の幼馴染である、俺の恋人でもある、俺が唯一無二だと認める相手

「和輝くん。君の気持ちはよくわかるよ。うん。君の意見を尊重したいと思っている」

「そう言ってくれるとありがたいね」

そんな俺達の様子をニコニコ顔で眺めながら見ている女が俺達の傍に近づいてきた

「え?何々?二人で内緒話?それとも私に隠れて浮気とか?」

「「違う」」

即答

「まぁいいよ。私もね、二人の意見に賛成なのよ。だから二人に協力してあげるね」

って、おいおい。なに言ってるんだよこの娘は

「はいはい。俺も和輝と同じ考えな訳ですよ」

「いや、待て待て、俺が悪かったからさ、ほら、一緒に頑張ろうじゃないか!!三人なら何でもできる!!きっと何とかなる!!って事でさ、一旦ここから脱出しませんか?」

「はぁ?なに言っちゃってくれてるんですか。和輝は」

「そうよ?和輝くんは馬鹿なの?ねぇ、そうなの?だってさ、そんなの当たり前でしょ。そんな簡単な事、このおバカな二人にも出来るに決まって」

あ、この女の人って 俺はその女性を見てみると、彼女はこちらに向かってウィンクをしてきたので、とりあえず俺は

「あ、はい。そうですね。このお二人は頭が良いんで、僕達はさっさと逃げちゃいましょう」

俺がそう言ったその瞬間。急に俺と和輝の周りに結界のようなものが現れ、俺達はその中に閉じこめられてしまった

「お、お、お」

「どうやら私達は嵌められたみたいだね」

な、なんなんだよ。これ。なんな

「なんでよぉおおおお!!!!」

俺達の後ろから大きな声が聞こえたので俺達は振り向くと、そこには、先程までは居なかったのに何故か居て。そうして涙目になっている少女がいた

「いや、そんな事を言われても困るんですが」

そんな事を俺は呟いているのだが、そんな事を気にしないのか、いきなり俺の腕をガシっと掴んできたので俺は反射的に少女の手を振り払ってしまった

「痛いじゃないのよ!!」

「って、はぁあああ!?お前が先に手を出して来たんじゃねぇか!!」

そんな事を口にしてみたところ

「そうそう。そういえば、さっきのは酷くない?」

和輝までもが俺を責め立ててきた そんな和輝をジロッと見るとその視線が怖いと感じたのか

「ご、ごめんなさい。ってなんなの?あんた達。なんなのよ。私のことを無視して、ふざけんなよ」

そう言い放った少女の瞳からは大粒の涙が流れており

「ふふふ、あぁそうかそうか。じゃあこうしましょう。今、ここで殺し合ってくれないかしら?そして、その死体をあなた達が食べる。どう?」

なにを言い出すんだよコイツは。なんなんだよマジで

「なぁ、龍斗。こいつの話を聞いちまった俺達が悪いとは言わねえけどよ、こいつはやばいよ。俺達の手に負える相手じゃねぇ。逃げるのが最善だ」

「あぁ、確かにそうだな。でもさ、なんかムカつくし、ちょっとくらい痛い目を見れば良いと思うんだよな」

はぁ。なんなのだろうか。俺はどうしてこんなにもイラついているのだろうな なんつーかさ、さっきまであんなに優しかったじゃん。俺達に対してそんな酷い事ってさ。普通は思わないはずなんだがな。そう思いつつ目の前の女の子を見ると 俺達が話し合いを終えると 彼女は嬉しそうに ニターリ そんな擬音が聞こえてきそうな態度を取った後 その口を大きく開いた。そしてそこから放たれた言葉は

「喰われろ」

たったその一言。それだけの言葉が俺達に突き刺さったのだ

「「うわぁぁぁああああ!!!」」

俺と和輝はその言葉を聞き、恐怖

「は?」

したのも束の間。次の瞬間には俺達の視界に映っていた女の子は跡形もなく消え去っていた。俺達がさっきまで会話をしていた場所には女の子の姿はなく、あるのは 地面が少し凹んだり。壁に傷がついたような。何かしらの跡があるだけ そんな異様な光景を見た俺はというと

「あれ?」

そんな素っ頓狂な声で反応してしまった。そのせいで周りから注目を浴びている えっと、そんな事よりも

「今の女の子。どこに消えた?」

俺のそんな発言は

「いや、何言っているんだ?お前、目の前にいたじゃないか。女の子の事を。というより俺の友達と仲良く手を繋いでさ。それにさ、俺達が女の子から何かされそうだったところを俺が止めたんだけど、その時の衝撃的な痛みのせいで、つい、悲鳴を上げちまって」

そう、俺達があの子によって襲われようとしていたのを止めようとした和輝は、そのまま俺と共にあの子の攻撃に巻き込まれてしまい、壁に衝突した。その後すぐに俺があの子に向かって攻撃を繰り出し、それであの子はどこかへと姿を消していったのだ。つまり和輝があの子と一緒に俺の前から姿を消した理由というのは

「和輝の嘘だよね。あの時俺が感じたのは間違いなくあの子の攻撃だった」

「なぁ龍斗。お前も俺の事をおちょくってんの?」

和輝は本当に不機嫌になってしまったようだ。それはそうと

「あぁぁあ、あ、そうだ!!ステータス確認しないとな。よし、ステータスオープン!!って」

俺はいつもの癖で自分のスキルを確認すると

名前:橘 龍斗 Lv1(5/6)

職業:召喚師

HP 100 MP 200 AT 210 DF 207 SP 102 MA 112 MD 475 ME 921 SKP 345 属性:風

加護:火精霊の加護

(全能力微上昇)

所持スキル

「言語変換」.「アイテムボックス」「ファイアブレスLV1」NEW!「ウィンドブロウ」New

「ウォーターボール」

ユニークスキル

「モンスターテイム」.「召喚契約」

固有称号 【異世界からの旅人】

と出てきたのだ いやいやいや、これさ、明らかにおかしくないか?なんで俺のステータス画面から見慣れたあのウィンドウが出てきているんだ?しかも俺の称号ってなんだよそれ ってかそもそもさ

「おいおい和輝さんよ。俺達は本当にこの世界に来ちゃっているって事なんじゃないか?」

俺は和輝に向かってそう言うと

「おいおい。本当に何を言っているんだよ龍斗は。ここは現実世界で、俺達は夢の中にいるわけじゃねぇぞ」

そんな事を口にしているが和輝の足は完全に止まっていて俺の言葉を信じていないのが一目瞭然であった 俺はとりあえず周りの様子を見る事にしたのだが、俺達の近くには何もない空間をただひたすら歩いている人がいたり。よく分からない物体が宙を漂っており、他にも

「え?あれ?私何でここに戻ってきちゃったのかしら?ねぇねぇ、君。私さっき変な人に話しかけられてね。そしたら急に体が浮いて」

なんて言っている女性も居たり。その他にも

「あぁ。なんなんだよこの気持ち悪い生き物はよぉ。おいこら待てよ。なんでついてくんの?まじでやめてくれよぉおお!!」

って、叫んでる男がいたりした。

俺はその光景を見て

「おいおい。なんなんだよこの世界」

思わずそんな言葉を吐いてしまったのだ そんな俺は一旦、和輝と二人だけで話ができる所を探すことにしたのだが、その前に

「ねぇ和輝、ちょっと話したい事があるんだけどいいかな?」

「あぁいいぜ。なんだ?愛の告白なら大歓迎だけどな」

和輝はそんな事を俺に向かって言い出した

「ばっかじゃねぇの?そんなんじゃねぇし」

「はいはい。そういう事にしておきますよ。んで、俺の話ってなんなの?」

「いやまぁ俺の話をする前にまずは和輝に聞きたいんだけどさ。さっき俺達に向かってきた女の子についてどう思う?」

俺はそう問いかけると

「さぁ?俺にも分からねえよ。だってよ、あんな可愛い娘が急に俺達の前に姿を見せたかと思ったらさ。攻撃してきたってどういうことだよ。意味わかんねぇよ。俺達はあの子が泣いて助けを求めていたようにしか思えなかったんだ。なのになんで、なんであれが急にあんなことをしたのか俺には全く想像がつかねえ」

そう言った後に和輝は続けて言った

「なぁ龍斗、俺にさ。一つ提案があるんだ」

「あぁ。奇遇だな」

俺と和輝がお互いにアイコンタクトを取ると俺達は手を差し出して握る

すると俺達の周囲に薄い幕のようなものが現れたのと同時に俺達が立っている地面に文字が出てきたのだ 名前:斉藤和樹Lv15

性別:男

「おぉ」

俺は思わず声をあげてしまったのだがそんな事は気にしない。なぜなら今重要なのは目の前に出ているこの表示だ 和輝はそんな声を耳にしながら俺の肩に手を置いて

「さぁ、これからどうする?」

「うーーん、そうだな」

和輝とそんな話をしている最中にも俺達の周囲では俺達に気が付いていないのか、はたまた無視をしているのか、もしくは和輝と同じように驚いて思考回路を停止させているのかは知らんが、取り敢えずは誰も何も行動を起こしていなかった。

「まぁこのままだとどうにもなんないよな。じゃあさ、ここから逃げ出そうか」

「え?」

「い、いや、お前さ。さっき自分で言ってたじゃん。俺達が今居る場所は異世界かもしれないと。もしそうだとしたら、ここでジッとしていても仕方ないと思うんだよな」

そう告げられた俺は確かにそうだと思ってしまった。

俺は少しの間だけ考え込むと結論を出そうとしていたのである しかし、そんな俺に一つの選択肢が示されることになろうとは思ってもいなかったのだ 俺と斉藤 二人はこの場を離れ、逃げる為にもと移動をしていたのだ。そんな時であった。俺達の目の前に黒い影が現れ ズサッ!!!!! 俺と和 人は咄嵯の出来事に動く事が出来なかった そして目の前に現れた黒ローブは

「我が同胞。お前達を殺しに来た!!」

ただその一言を言い放った後こちらに襲ってきたのだ。それを見ていた俺は反射的に動いていた 俺の意識が追いつくよりも早く身体が動いてしまっていたのだ ドゴォオオン!! という音と共に吹き飛ばされた黒いフードの人物は俺が殴りつけた壁から落下して地面に叩きつけられ気絶してしまった

「おい、あんた。俺の友達に一体何をしてくれているんだよ」

「龍斗。お前が何をやったのかは俺にはさっぱりだけれど。俺も一緒に戦うぜ」

俺が斉藤に向かって言うと そんな事を言われた斉藤は

「いや、ここは任せろ。それよりも和輝、あの女の人を頼んだぞ。多分、今の俺達が束になってかかればどうにか出来ると思うんだ。俺はさ、龍斗の事を信じてるから、こんな時に嘘をつくような奴じゃないと信じているからこその行動だからな。俺、頑張るよ。俺なりに」

「は?」

俺が何を言おうとも、そんな俺の声は斉藤の耳には届いておらず。そのまま走り去っていった

「おい待てって。あ、あいつどこ行った!?って、和輝が向かっていた方向に走って行きやがった。は?」

俺は何が何だかわからなかった

「いや、マジでなんで」

俺はその場で頭を抱えながら 俺のスキルが正常に作動していなかった事にようやく気づいたのだ 俺のスキルが正常に働いていなく、しかも発動条件の分からない謎の魔法を発動しちまったのが現状。それに、俺が今まで使ってきて分かった事がある。それは この世界の人間と魔物は敵対関係にあるということだ。現に今も、先ほどまで仲良く喋っていたはずの和輝とあの女は敵対して戦闘を行っているというわけだし それに俺が

「和輝、大丈夫なのかな」

俺はそんな心配事を口から零した時 俺の背後には一人の女の子がいた

「ん?」

俺はそんな言葉を発し振り返ろうとするも

「ふむ。なるほどのぅ」

俺が後ろを振り向こうとした瞬間。その子は何かを考え込んだ様子のままそんな事を言った その言葉の意味が分からずに困惑した俺はただその場に立ってその子を見ていると 女の子は

「さて、と、それじゃあやっちゃいますかねっと」

女の子の足元から紫色の光が出現した それが俺の方に向かって放たれようとした次の瞬間だった。俺は何故か女の子の手を取って抱き寄せてしまったのである 俺の腕の中で女の子は俺の顔を凝

「は?え?あ?あれ?なんで」

俺は驚きで目をパチクリとさせているとそんな声を出していた

「おぬしは何故我を助けた?どうして助けたのだ?さっさと殺す事も出来たのだぞ?それでもなぜ」

俺に対して色々と質問をして来たのだ

「え、あ、その、なんだよ、ほら、俺の知り合いが危ない目に遭いそうになっていたのを助けないとだろ?って、なんだよこの説明口調は」

俺は自分で口に出したセリフに疑問を持ちながらも 俺は目の前にいる小さな少女の背中に向かってこう問いかけるのであった

「俺、なんか悪いことしちゃったか?」

俺は自分の身に起こ

「な、なんてこいつ、我を抱き寄せてきたかと思えば、なんて事を言うんだ。って、いかんいかん、動揺している場合ではないぞ。こやつは何を言っているんだ?何を言っているんだぁああ!」

俺は必死の形相で叫んでいると俺の背後からは俺が抱っこ

「は?ちょ、なにこれ、なにこれぇ。なんで俺。この娘を抱いて」

俺は慌ててその手を離そうとするのだが ギュウウ 俺の指がまるで離れたくないと言うかのように彼女の胸に強く食い込んでいく そして彼女は恥ずかしそうにもじもじとしているのだが 俺の顔は真っ赤になり、耳も赤く染まり、体温も急激に上昇していった。すると俺と彼女に光の膜が現れた これはなんなんだと俺

「な、なんだ?この光はなんだって、なんだよ。なんだよこの娘」

俺はその姿を見て絶句した 俺はその娘の外見を見て思わず見とれてしまうと

「な、何見てるんだよ!もう、見るなよバカァ」

彼女はそんな言葉を漏らしたのだ そんな彼女が着ていた服の上から見える二つの山を目にしながら俺は思った この子の服装ってエロいよなぁ。なんて事を思っていたりすると

「おいおい。そんな事よりこの子、本当に何者なんですか?」

そんな疑問を口にしていた俺の身体を包んでいた光は突然消えた それと同時に俺達は元の場所に戻ろうと動き出すのであったが、俺が抱きしめている腕の中の人物に気がつき俺はすぐに

「おいおい、どうすんだよ」

そう呟くと同時に俺は再び固まってしまった なぜならば目の前に立っている女性は俺にいきなり襲いかかってきた女性なのだが、なんというか。なんだろうね?とりあえず、うん。美人さんだわ は?ちょっとまってよ、ねぇ、え、えええ、どうしたらいいんですか?っていうかさ

「俺、この状況だと絶対に変態だよね」と俺は自分自身でそう思い始めてしまったのだけれどもどうしようもなく 俺の脳内では様々な思考回路を働かせながら目の前の女性に視線を向けると女性は顔を伏せたまま何も言って来ないのだ。だが、よく

「なぁ」

俺が声を掛けるとビクッとした女性がこちらに振り向くのだがその顔はとても可愛いらしく、そして美しい。そして肌の色は透き通るような綺麗さを醸し出しているのだ。俺はついそんな彼女の姿をみつめてしまっていると

「な、なんでしょうか?」

と尋ねられたのだ

「お主。さっきから何をしているんだ」と俺は言われてしまったのだ。いやさ、俺にもよくわからないんだけどさ。気がついたら、俺はその女性のことを見ていたのだ。俺はそんな自分に嫌気がさしてしまい

「えーーーと」

なにから説明したらいいのか俺が困っていると、俺のスキル欄が点滅していること

「お、おお。そう言えば、お前に聞きたいことがあったんだ」

「な、なんじゃ。さっきは我の事を無視したり。急に押し倒してきたかと思えば、今度はなにか」

そんなことを言われたが

「お前、もしかしてだけど、異世界から来たんだったりしない?」

「い、異、界じゃと?一体どういう意味なのじゃ」と そう聞かれたのだ

「い、いやその、な、なんでもないです。ごめんなさい」と俺は謝る そんな会話をしている最中も目の前の女性は首を傾げながら俺を睨むように見ているとそんな時 バタン!! という音が聞こえた そして

「うぎゃぁ」

と声が漏れる 俺はその悲鳴を聞いた途端に女性の腰を引き寄せた

「お前がやったのかな?」と尋ねると目の前の彼女は少しだけ震えており

「そ、そんなつもりはなかったのだ。その」と口篭っていた 俺はそんな彼女に対してため息をつくと俺は地面に降り立った

「あのですね。別に怒ってはいませんから。それよりもこれからはもっと冷静になってください。俺達みたいな力を持たない人間が勝てる程この世界の魔物は甘くありませんから」

俺の言葉に納得したのか。それとも俺が嘘はついてないと信じたのか 俺には全く分からないけども 彼女は少しだけ考える仕草

「お主には敵わんのう。まさかこんなところで我の気配に気づくものが現れるとは思ってもいなかったぞ」

「まぁ。そんな感じがするんですよ。俺」

俺がそんな返事をすると同時にまたもや俺は誰かに抱きつかれてしまい俺は動けなくなってしまう

「ふふふふふ。面白い。我の事が分かるというのならさっさと話してしまおうかの」

俺は目の前にいる女 その正体はこの世界で魔王と呼ばれている存在であった 俺のステータス画面を見ると俺の目の前には【名前】

《ルア

種族:ダークエルフ》と表示されていた。ちなみにダークエルフってなんだ?と思い、俺がその言葉を発した後。魔王が教えてくれたのである

「な、な、なんで、私が貴様のような下民などに抱かれていなければならない」と、彼女はそんな事を言ったのである。そんな俺の腕の中で暴言を言う魔王 俺は

「なんなんだよ。ったく、そんなこと俺だって知りてぇよ」と俺は声に出してしまったのである 俺が声を出したせいなのか 魔王はさらに

「なっ!?お、おのれ、この私の胸に触っただけでは飽き足らず。私にそのような言葉を吐き出したな!!」

俺に対しての悪口をどんどん言い始めると俺は魔王から逃げようと思ったのだ しかし俺の考えとは裏腹に 俺が逃げる前に 俺に抱きついている女の子の腕の力が一気に強くなったかと思うと

「な、なんて事をいうの。お、おばあちゃんに向かってなんてこと」

俺は耳を疑ってしまった

「なぁ、あんたって本当に何者なんだ?」と

「だから言っているではないか。私はこの世界を闇に落とすためにこの地に舞い降りた闇の精霊。それが我が一族だ」とそんな事を言われて俺はさらに驚いたのであった。

この世界において魔族は人と共存

「ってことはさ。あんたがここに来た理由っていうのはその」

俺の言葉に耳を傾けることなく彼女は俺の頬に自分の唇を当ててきた

「ふふ。やはり人間というものは美味じゃな」

そう言うと彼女は自分の口に付いた血の味を確認していたのであった

「って。俺のファーストキスが」

「な、何を馬鹿な事を言っておるのだ。そんなものでいちいち大騒ぎをして。人間ってのは弱い生き物なのだな。ははは」

俺は自分の大切なものを汚された気分になってしまい、その怒りは自分に向けてしまい、俺は自分自身に怒っていたのである 俺ってば 俺ってば 俺ってば、どうして

「お主はな。そんなことで落ち込む必要などないのであろう?お主はそんな奴ではない。そうだろう?」と魔王は優しい言葉をくれた 俺が落ち込んでいるのを察したのだろうか 目の前にいる小さな女の子の口からそんな事が出てきたことに俺は感動していたのであった そんな女の子の姿に俺は

「ありがとう。って、おいおい。俺は子供じゃないんだぞ?もう大人なんだぞ?」と俺の言葉をスルーされてしまったので俺は自分で自分をフォローする事にしたのであった 俺の言葉に小さな女の子は微笑みを見せてくれていた

「で?なぁ。さっきからお前がやっている事の意味を聞かせてほしいんだけど」

俺がそう聞くとその答え

「この世界が闇に落ちれば全てが手に入るのだろう?この世界に生きる全ての者よ、恐怖するがいい、絶望に叩き落とし、その全てを支配せよ」と、とんでもない発言をしたのだ 俺がこの世界に来る前は俺達はコンビニに行く途中だったはずなのだ 俺がこの世界の仕組みを改めて知るために彼女に尋ねようとしたとき、彼女の背後からは俺に話しかけてきたあの男が

「魔王、もう我慢できねぇよ」とそう叫んだ そんな男の声を聞いた魔王は

「はぁ」とため息をついた その瞬間に男は魔王に向かって斬りかかっていったのであった するとそんな男の剣を軽く受け止めていたのである すると

「お、お前。何してんの?」と俺は尋ねていた そんな質問を俺は投げかけるのであったが、目の前にいる女の子に そんな事は通用しないのだ

「この者、邪魔をしないでくれるかな?」

その言葉を発せられた瞬間に 俺達は その場から動けなくなってしまったのだ まるで、その言葉を言われた途端に 金縛りにでも遭っているかのように俺は動くことが出来なくなっていたのだ

「なんだよこれ、どういうことだ?」と俺は声を出していた

「どうなっているんだよ?」と俺の身体に巻き付いている腕に力を入れようとするのだが ビクともしなかったのである そんな状況になっていると目の前の彼女は

「は、はは。こ、これは面白い」と笑い出した

「なんなんだよお前」と俺は口に出してしまう そんな俺の発言に対して目の前の魔王は口元をニヤッとさせていたのだ そして彼女は俺の顔に近づいてくると、俺の首に手を回すとこう呟いたのである

「面白いな。その力はなかなか使えるな、なぁ。お主、名を教えてくれるか?」と聞かれたので俺はその問いに素直に従うと

「お主の名は?」

「和輝だよ」と

「そうか、お主の名前は和輝くんというのだね」と笑顔を向けられるのだが俺は この状況が一体なんなのかが全く分からなかったのである 俺は、いきなり現れてきた魔王と名乗る女の子 そんな子に何故か首絞め

「ちょ、待て。やめろ。やめて下さい、お願いします。苦しいですからやめて」

俺は慌ててそんな事を口走ってしまうのだが

「はっはっは。お主が私の質問に答えぬからだ」と笑っているだけだった

「なに、お前のスキルの力を使ってやっているだけなのだろう。心配はいらない」と

「え、スキル」

俺がそう言うと彼女は「そうだ。お前が使ったスキルは私のスキルと同じスキルだ」と言うのである

「え、同じスキル」と、俺の言葉に反応して彼女は 俺を抱きしめると

「お主にはこの私のスキルをお主に貸そう。なぁに、悪いように使わなければ大丈夫じゃ」と、俺はそんな言葉を聞き そんなスキルが貰えるというのならと俺はそのスキルについて色々と聞こうとすると、そんな事を気にすることなく彼女はまたも俺の首筋に噛みついてきて俺は声が出なくなってしまっていた 俺は、その光景を眺めながら、こんな事を思う あぁ、俺の目の前で一体何

「なに、ただ、お主ならきっと良い道を切り開いてくれそうだったから。だから、な」と俺の頬をペロっと舐めるのであった 俺は今。この異世界と呼ばれるこの場所にて この世界を崩壊させる為にやってきた魔族と言われる魔王と戦っているのである そんな魔王は 目の前で俺の事を見下ろしていたのであった

「お主。名はなんという」と、そう問いかけてくる魔王に対して俺は名前を答えると、そんな時、俺の隣にいたはずのあの男が魔王の前に立つ

「お、おまえ」

俺は声を出そうとするのだが、声が上手く出せない すると、目の前に立っている女の子に抱き寄せられてしまい、声が出せなくなったのと同時に 俺

「俺に、こんな事をしたら、この国にいる勇者が黙ってないぜ?」とそんなセリフを口にすることが出来たのである

「なんじゃそれは?その、なんとかゆう奴とは?」

俺はそんな疑問を投げかけられる すると隣にいる魔王様も首を傾げて「勇者」という言葉が気になったのか俺の腕の中から抜け出すと俺と魔王の間に割って入ってきたのである

「貴様。我の和輝くんに何か用でもあるのか?」

そんな言葉を聞いてしまった俺は魔王の口から俺の名前が出ると「ちょっと」と言いそうになったところで 魔王は俺にウインクをするなり俺の口に人差し指を近づけた その行為があまりにも可愛くて、綺麗

「なによ。私に文句があるのであればさっさと出てこい!!」

「なんだてめぇ。俺はそいつが欲しいんだから、邪魔なんだよ」と この世界では珍しい黒髪短髪、黒い瞳のイケメン 見た目は高校生の男の子がそこに立っていたのである 彼は 《 》という名前らしいのだけれど、俺には名前の部分だけが文字化けして見えてしまう その文字が彼のステータス画面で表示される名前部分に当たるのだろうとは分かるのだが そんな彼の名前を表示できる部分に俺には 【

「は、はぁ。お前こそ俺の前からいなくなりな。じゃないと、痛い目に合うぞ?」

そんなことを言い放つと俺の方を見ながら

「あんた、俺と一緒に来てくれないか?」

俺は、その一言を耳にしただけで体が震え出してしまったのであった だって俺は、今までの人生において女の子からそんな誘いを受ける事が無かったからである

「ふぅん。そうなの?でもさ。私はもう決めたんだよ。私がこの世界の支配者になってやるってさ。あんたみたいな奴はそこでじっとしてればいいよ」

彼女はそう言うと俺を自分の胸へと引き寄せた

「あ、あんたは」そんな彼女の顔を見て その容姿を見た

「あ、あれ、なにこれ」と俺は口を動かしていた その俺の行動に対して魔王は俺の顔を見ると「な、なんなのだその顔は」と口に出すのであった 俺の目の前にいる少女は、その真っ赤に染まった目を細めてこちらを睨んでくる 俺はそんな目を見るのは初めてだったので戸惑っているのである 俺が、初めて見た魔王はもっと幼い子だったような気がするのに 俺に抱きついてきているのは そんなに年の差が無い感じに見える女性なのだ 俺はその魔王を改めて見てみた 俺より身長は低いが 年齢は恐らく俺よりも少し下なのではないかと思われるほど童顔をしている魔王 その幼さが残ったその表情で見つめられている俺はどうしていいか分からずに

「え?ど、どうしたんだ?なんかあったのか?」と そんな言葉しか出ない俺に魔王は俺の耳を噛んできた

「いっつ!!って。お前。急になにやってんだ?」と俺は驚きながらもそう言って 俺の言葉を聞いた彼女は俺から離れるのである そんな時に俺は思い出すのだ

「そういえばさっきまでいたあいつは?」

そんな事を思ってしまっていると目の前から突然 その男が消えたのだ

「は?」と 俺はそう言ってしまったのだ そしてその男は

「俺の邪魔をした報いだ。俺の経験値となって消えてしまえ」と聞こえてきた

「なに」

俺が驚いてそんな声

「うわ」と 魔王が声を上げた 俺は目の前の状況を理解するのに時間を要したのであった そうすると魔王は「え、なに、今の。なんだったの?」なんていう言葉を放ってしまう 俺はそんな彼女を守るようにして前に立ち塞がると、先程、俺の目の前から忽然と姿を消したはずの

「なんで、なんで生きてるんだ?」と

「え?」と 魔王はその言葉の意味が分からないらしく俺の服を握りしめていたのである

「あの攻撃、お前は喰らっていないっていうのか?」と俺は尋ねる すると魔王は

「うん。多分」と

「じゃあさ、じゃあお前は、俺の後ろで何を見ていたんだよ?」と俺は口に出してしまうと

「ごめんなさい」と謝ってきたのだ

「あ、別にお前が悪いとかそういうことじゃなくて、ただ」俺は、ただ俺の前で人が死んだという事実に心を痛めてしまっていたのだ そんな俺達の前に先程の男のスキルなのかは分からないのだけれど、またもや現れたのである

「へぇ。こいつもなかなか面白いじゃん。ねぇ、君達は一体何なのさ?」

俺達は目の前に現れた

「お、お前。まだ生きているというのか」と魔王がそう呟く そんな魔王の姿を見て目の前にいるその男 黒髪を後ろに流し固めており、赤い瞳をしている、その男は俺に「なぁなぁ、そこの女、こいつ殺せば、僕がその女を手に入れても文句無いだろう?」と尋ねてくる 俺は

「ふざけんな。俺の目の前から消えるか、大人しくここから去れ」と俺はそう口に出したのだが その言葉に魔王は

「お主、本当に、人間か?」

「え、なに、そんなに驚くほどの物なのか」

「だってさ、私の結界、壊れないもん」

俺は魔王が発する 《

「そんなに気にする事ないんじゃないの?まあ、俺にはお前らの力が全く効かないんだけどね。それにお前らがこの俺の目の前から立ち去ってくれるなら俺は何もせずに帰ってあげるよ」

「なんだよそれ」と俺がそう言うと魔王は俺を抱きしめながら「和輝くん。逃げよう」と俺の手を握ってくるのである 俺はその魔王の行動が気に入らなかったようで「おい。お前さ、俺の目の前からいなくなってくんない?俺さぁ邪魔なんだよね」と目の前にいるその黒髪短髪のイケメンは魔王に向かって剣を構えだしたのである

「や、やめてくれ、頼む。俺の命、なら好きなだけ持って行っても構わない。だからどうかやめて欲しいのだ。お主に何かされた訳じゃない」

魔王が必死にそう言っている 俺に助けを求めるようにして抱きついてきていた

「魔王さん、俺からもお願いだ。俺なら大丈夫。この人達は、俺の友人でもあるから」と言うと魔王は泣きそうな顔で

「和輝くんがそう言うなら」と納得してくれて俺は魔王と離れようとしたのであった すると、俺の腕の中に魔王は飛び込んできて俺にしがみつくようにして隠れてしまったのである そんな俺の事を

「へぇ、やっぱりそいつがお気に入りってか。いいよな。魔王に愛される。羨ましいぜ」と目の前の男はそんな事を言うと「じゃあな」と言ってどこかに行こうとした その時である 俺達のいるこの場所で異変が起きたのである その男が歩き出そうとした瞬間 足を止めたのである すると 《

「おい。待ってくれないか?」と俺がそんな言葉をかけると 《

「あぁ?誰に言ってんだよ?この俺様に。今忙しいんだ。お前に構っていられないんだってば。そんなのも分からないの?」と彼は俺の事を見ながら「そんなに魔王が大事だって言うんだったらさ、今、魔王に危害を加えようとしないのは分かるよな?」と彼は俺の事を挑発するようにそう言うと、その場から離れていく

「お、おまえ。まさかとは思うけど、あいつがどこに向っているかわかるか?」

「んー。わかんな。でも。さっきあいつ、転移石を持っていた」

「なんだそれは」と

「簡単に言うならば、行きたい場所に移動出来る」そう言い放ったのである

「マジですか、じゃあ、あいつを追いかければなんとかなるかもしれない」

俺がそう言い終わるなり俺は走り出してしまっていた 俺達が走っている姿を遠くから眺めている者達がいた事に俺は気付かなかった 《 はぁ。やっと手に入れたのですよ》と声が聞こえてくる 《えぇ、でもこれで、邪魔者も排除出来たはずなので》と言い合っている

「あれはいったい、どういう事なのだ。私は魔王なのじゃぞ?」

《分かっています。ですがあなた様がこちらに残られるのであれば何も問題はございません》と魔王の側に仕える側近 そしてその2人の視線の先にいる少女 少女の名前はアリスと言い、そのアリスと魔王の間には深い関係がありそうな感じだった その証拠に 魔王と少女は互いに抱き合っていたのであった

「でもさ、これから私達はどうすればいいのかなって思ってるんだよ。この世界って魔王がいてもさ、勇者がいないんだからさ」と魔王の側近の男がそう口にする そして 《我々、魔族にも問題があるのですが。あの方は神の力を得ているのかもしれませぬ。でなければ説明

「あ、そうそう。俺達、異世界から来ちゃったみたいなんですよ」と俺の言葉を聞いた彼女は俺の事を 睨むような目つきをしてきた そんな彼女を見た俺と魔王の事を魔王の側近は魔王を庇うようにしながら魔王に話しかけた

「えっと、その話はどこで知ったんですか?」と そんな魔王の護衛をする彼女の問いに俺は正直に答えるのである 俺は自分が勇者ではないことを彼女に告げたのであった

「え、ええ。でしたら、魔王陛下のお力、いえ、お力を頂く必要は無いですね」なんて事を言った後、すぐに 魔王の耳元に近づいていたのである

「え?ちょ、な、何をするのだ!?」なんて魔王

「失礼を承知の上で申し上げますが。今は魔王としての自覚を持ちましょう。このお方が本当の意味であなたのご主人様なんだという自覚を持って行動してください。いいですね」なんて事を言って魔王から離れて行ってしまうのだけれど、俺が不思議そうな顔をしていたら彼女が振り返り、「ではさっそくで悪いのだけれど」と言い出した時に俺は慌てて口を挟んだのだった 《あ、あの。すいません!俺達も実は色々と事情があってここに留まっているだけで。その目的も果さなければいけないっていうかさ。そんな状況だから早く戻らないとなって思ってて》と言うと彼女は少し考え事をしているようだったので

「ええと、魔王様の知り合いとかが近くにいたのかどうか知りたくてさ」なんて言葉を漏らすと彼女は「いないと思うの」と答えてくれる そんな時である 俺達に誰かが向かって来るのである その人物をよく見ると、金髪ロングの女性である事が分かり

「え、なんでこんな所に、人間が?え?」と混乱しているようだ

「ちょっと、お主ら、妾がこの世界の王である事を知らなさすぎるのではないか?その前にその男は本当に何者なのじゃ」と言われてしまい 俺は

「ああ、えと、この人?が魔王って事で良いのか?」と聞くと魔王の側近の男は慌てだし

「ち、違います、こっちの方は確かに魔王陛下に間違いありませんが、こちらはその方ではなくてその方の従者である」と言ったのだが、目の前の少女は、そんな話をまるで聞いておらず、目の前の男に対して怒りをぶつけてくるのである

「はぁ?じゃあお前らは何なんだよ。いきなり俺の前に出てくるんじゃねぇよ。この俺に迷惑をかけようとするなら、ただじゃ済まないぜ?」と黒髪短髪をした男がそう言うのだけれど

「おい、こいつやばいぞ。さっきのあいつよりも強い力を持っているんじゃないのか?」と俺はそう口に出してしまう そんな俺の事を「おま!」と 俺の腕の中で魔王が俺にそう伝えてきたのであるが俺が「いや。多分違うと思うよ」なんて事を口に出してしまうと

「な、何を根拠に」

《はい。この男は間違いなく魔王より上の位にあるものでしょう》

「な、なんじゃと?」と魔王は驚きの声を上げたのだ

「おやおやまあまあとしか言えないわね。本当に面白い」

そんな言葉を残しその男は消えていったのだが その男は消えたのではなく、俺達が歩いて来た

「さっきの黒ずくめの男はいったい誰なんだ?本当に魔王がここに?」

そんな言葉を残して俺は意識を失った 目を覚ましたらそこは見たこともない景色が広がっていた

「あ、和輝くん、起きたのね。ここは何処だと思う?」と魔王に尋ねられたので

「俺にも分からない。だけど。とりあえず言える事はさ、俺は死んでないってことだけは分かった」と俺は答えたのだった 俺はそんな会話をした後

「なぁ。さっきからそこに隠れている奴、さっさと出てこいよ」と口に出すと目の前に突然人が出現した 俺はそんな魔法?的な力を初めて見て感動してしまい その人の手を掴み

「なぁ、それって、どうやって使うんだ?」なんて事を尋ねる そんな俺を魔王は呆れたような顔で見ているのだが、気にする事なく

「そんな事知らないのよ。だってこれ私の能力だもん」

俺がその言葉を聞き終わるとまた一人、そしてもう一人と増えていってしまい、結局その場には

「俺を含めて6名がいる訳だ」と口にすると魔王が

「もう。和輝くんたら、急に現れた女の子に手を握るだなんて」と口を尖らせて怒っている するとそんな魔王の事を見た5名の内の1人の女性が「へぇー魔王って、そんな反応をする事もあるのねぇ」と言うと魔王の側近の女性は「当たり前なのよ。私が教育係として側に居たんだから。そんなの常識なのよ」と言ってくるのである 《そんな話は置いといて、あなたはなぜ、こちらの世界で存在できるんですか?そもそもどうやってあの世界から出て来られたんですか?》なんて事を言い出したかと思えば今度は 《はぁ、

「あの」

「ちょっと」

「待ってくれないか?」

と一斉に喋り出し 誰がどの順番で話していいか分からなくなってしまったので 魔王の方に顔を向けると魔王は

「なぁなぁ。皆の者、ちょっと静かにしてくれんかな?それと、質問には全部ちゃんと答えてあげてくれんかのう?」

そう言うと 俺を含めたその場の全員が 《わかりました 了解しました 承知したのよ わかったのですよ なんだよ そうなのか そうなのです うん、任せてよ! ですわ ですなの

「はい」

》と そう言いながら黙るのである すると、一人の少女が俺に「貴方達二人はさ、どうしてあの世界から抜け出してきたの?」と聞かれてしまったので俺は正直に答えるのである

「あのさ、あのさ」俺は、魔王にそう言うと 《

「あ、そうだ、そうだった。お前の名前を聞いてなかった」なんて事を言ってしまった 魔王の側近はそんな俺を見て笑っていた 《 《 はいはいはーい!! 《 はい

「ええええ」

「おま!」と俺の事を見ていたのである 《

「ふむ。それは確かにおかしいのよ」と

「だよなぁ。やっぱり変だよな」

「でも、あなた達は異世界の人間なのよね。それで、異世界に召喚されてさ。そっから、何かあったわけ?普通だったらその異世界から元の世界に戻れると思うんだけど」と言われたので 魔王は不思議そうな顔をしていたのだが

「俺達はその異世界で、勇者にされたんですよ。勇者になった俺は仲間と一緒に旅に出て、魔王を倒しに行くっていう目的があって、それが達成されると、その異世界の勇者は役目を終えてしまうという仕組みになっていたみたいで。そしてその役目を終えたら勇者ってのはその勇者によって違っていて。その勇者の能力もその時で変わるっていう不思議なシステムがあって」と言うと 魔王の側近が「つまりさ。あんたがこの世界に来た時にその勇者の能力はどんな能力に変わったって言ってるの?」と 魔王の側近が魔王の側近の人にそんな事を言ったのであった

「そういえば」

魔王の側近が俺の手を握りながら 俺に向かって話しかける

「あのね。あなたのステータスを見た時、あなたの能力が、えっと、なんて言ったかしら?ほら、あの。なんか凄い名前になってて。それにあなたの能力が変化した理由が、その世界にある魔力の影響かもしれないって」と言い出して、それから 魔王の側近の女性が、少し慌てたように 俺の手を握っている女性を見ながら 俺の顔色を伺いながら「ねえ。あなたの名前はなんて言うの?私はアリスって言うんだけど」

とそんな事を言われ 俺は少し困った表情を浮かべ 魔王の側近がそんな俺を見兼ねて助け舟を出してくれた

「え、と。ちょっとまって、ちょっと」と言いながら 魔王の側近である女性は魔王と何やら相談を始めていたのである 《魔王様には、私からお話し致します。

「ちょ、おい。何で魔王の事を様付けしているんだ?」

「ああ。別にいいのよ」と魔王が言うのだが、俺は納得できなかったのだが「そんな事は後回しで」と言い出すので 俺は仕方なく、その二人の会話を聞く事にしたのだった 俺がその二人から離れて和輝の近くに移動すると、和輝も何やら魔王に尋ねたい事があるらしいようで魔王に尋ねていたのだけれど、その質問の内容が俺が先程述べた事の復唱である事を理解したので、和輝も何となく状況が掴めて来たようではあるのだが、どう考えてもあの二人が言っている事は矛盾だらけであり、その疑問を解消しないと先に進まないと言う事でお互いに考えをまとめようとしてみた

「なぁ、あの人達が言ってる事、少しおかしいんじゃないか?だって俺達の世界が魔王のせいで大変な事になっている事ぐらい俺にも分かってきたぞ。そんな事をこの世界の魔王なら知っているはずだろ?」と言ったのである そんな事を和輝と話し合っていたら 目の前にいる金髪の少女が口を開いた その少女の姿は金髪のロングヘアーの可愛らしさの中に気高さを感じさせる美少女で年齢は10代半ばくらいに見えるし背の高さは150センチ位しかなさそうな

「あなた達の言いたい事はわかるのよ。だからとりあえずは自己紹介をしましょうよ。私の事はアリスって呼んでくれればいいわ。」

「はぁ、まあ、良いけど」と俺が言うと、その隣の男性からも声をかけられた

「ああ。俺の名は 黒石龍斗って言うんだ」と するとその男性は「俺が黒石の名字を名乗るのは初めてかもしれねぇな」なんて言葉を発し「あ、ああ、まあそうかもな。まあそんな事よりもだ、この世界はなんなんだ?あの黒い奴とかは誰なんだよ」と黒髪の男性がそんな事を言うのであるが「いや、俺達がそれを一番知りたかった事なんだよな」と和輝が言い出すのである そんな言葉を発した和輝を黒髪短髪の男性が見つめ そして「君らは一体何を言っているんだ?」と尋ねられたのだけれど 和輝は「俺達だってよくわからないんだ。いきなり俺達が召喚され、魔王を倒すために一緒に戦って欲しいと懇願されただけであって、詳しい話は俺達にだって分かっていないんだ。俺達もさっき目を覚ましたばっかりなんだから」

「そう。じゃあ、とりあえずさ、あの子のところに行きましょ」

「は?」

「だから、あの魔王と呼ばれている女の子よ。あの子だって私達と同じように、こっちの世界にやって来たばかりで、まだ現状をよく把握できていないでいるんだから」と少女の事を俺に伝えてきた その言葉で俺は我に返り その少女の方を見ると少女は魔王と呼ばれていた

「え?ちょっと。その、魔王?

「なのよ?」ってなんじゃそりゃ。お前魔王じゃないだろ。そもそも俺と年齢変わらないだろ」

俺のそんな言葉を聞いたのか聞いていないのかどうか定かではないが魔王と名乗る

「そうね。だって私が、魔王なの。魔王、そう名乗っても間違いではないのよ?ただ魔王というのは称号的なモノでもあるの。私が魔王になったのは最近だもん」

魔王と名乗った少女を俺が呆然と眺めていると魔王はそんな俺を睨みつけ「早く行きますわ。貴方達、名前は?」

そんな魔王の言葉に対して俺と和輝はお互いの視線を交わし合い、俺が「俺は桐谷って言うんだ」と伝えると、魔王は「そう。ではカズキさん。そしてリュウトさんの二人ですわね。わかりました。私が貴方たちを導きます」と言うと、その魔王の隣で微笑んでいた女性が俺達を見て「あら、貴方達二人は勇者だったのですわよね。それでそのお隣は?」と聞かれてしまった

「あー、その、」俺が何と説明していいかわからず困っていると「あ、そうだ、自己紹介するね。俺の事はカイトで構わないよ。それで、君の名は?」

すると

「えっと、私はリリアって言うのよ。宜しくお願いします。それとさ、貴方たちはどうしてこんな世界に来ることになったの?」と言われてしまったのだが俺は「そんな事、俺達に聞かれてもな。分からないから」と口にすると、その女性は魔王に

「ねぇ。リリィ。その人達を、何処に連れて行けばいいのかな?魔王城には入れないでしょ?私達魔王城の外に出ると、あの怪物みたいな魔物に襲われちゃうの」なんて

「ああ、そうなんですか」俺は、この人が何で魔王城に行けないか知らないけれど、きっとその人の方が、俺なんかより魔王に近い位置に存在している人物だと思うんだけど。そんなことを考えていると

「それならば、ここなら問題はないのですよ」と言って 魔王の側近の女性が魔王に向かって「魔王様。魔王城内に転移する魔法を発動させてよろしいですか? 《 《 《 はい

「ええ」

《 はい はい 了解ですわ

「おう」

》と返事をした。その瞬間 《

「きゃあ!」と言う叫び声が聞こえ 《 《 はい 《 はい はい はい はい はい はい 》と言う言葉が響き渡った。

「おい。これはどういうことなんだよ」

俺は思わず叫んでしまったのだが 魔王は そんな事を気にする事も無く 魔王の側近の女性に指示を出した

「マオ。貴女、ちょっとその方々を安全な場所へ」なんて事を言われたので俺は「はぁ。安全な場所、ってどこに行くんだよ」なんて事を口にした 《 《 はい

「ああ。ここは魔王様の居城。魔王城の中なのですから。安全と言えばこの世界のどこでも安全でございましょう」

俺は目の前で魔王の側近の人から、この世界は実は魔族によって支配されているって言われても納得できなかったのだが、俺達は今魔王城と呼ばれる建物の中にいる

「あのさ。その魔王ってのはこの世界を牛耳る存在って事なのか?」なんて事を魔王に尋ねてみると 魔王の側近である女性も 俺の疑問を理解したのであろう

「魔王と言うのはですね。勇者と同じ役目を担うものでして。勇者と言う役割を持った者がこの世界に現れた時には魔王も同じように現れるようになっているんですよ。魔王は勇者が役目を終える時が来るまでは死ねない体になりまして。勇者が旅を終えた時が魔王の役目の終了の時であり魔王も同じく死ぬ事になるのでございます」

なんて事を言われてしまい 俺は ますます分からなくなってしまったのであった 俺はこの女性の説明を受けて

「えっと、魔王の役割を終えた時に、死んだりしないのか?魔王が死んだら魔王の部下達とか、その後どうなるんだ? 《 はい 《 《 はい 《はいな 《 《はいっ 《

「え?そんなに、はいと、いいな。って思ったら駄目なの?」と、 俺が質問したら、目の前にいる側近が 少し慌てているように感じられた 魔王の側近の人は「いえ、その、それは私共が判断すべきことでは無く、あくまでも、魔王様に判断を委ねなければならぬ事だと。それに、今の時点では、そのような話を、私達が軽々しく語るべき事ではないと」と俺に言ってきた 確かにその通りなのだろうけれど 俺としては気になるところでもある

「あの、この世界は一体なんなんでしょうか。俺が先程説明した事は本当の話なんでしょうが。でもこの世界が俺のいた世界では無かったのなら 俺達にとっては全く見知らぬ土地であるはずなのに。俺達の暮らしていた国とはあまりにも違う環境だし。俺達が暮らしている街だって。こんな山奥にあるような村じゃない」と、そんな疑問を俺が述べると 俺の疑問は目の前の金髪少女にぶつけられたようで「そう言えばさ、あんたら。どうやってこの村に辿り着いたの?」と言われたので 俺が

「え?」と答えると、目の前の金髪少女は続けて「あのさ。私のスキルの力があれば 人の住む場所まで転移させる事も可能だから、もし良かったらの話で良いんだけど、私についてきてくれない?」

なんて提案を受け そんな言葉を告げられたのだけれど俺は正直に「そんな事が出来るなんて、すごい力なんだな」なんて事を俺が言うと彼女は嬉しそうにしている様子を見せていたので この子が俺に対して何かを企んでいる訳では無いみたいだけど でも俺にとっては異世界からの迷い込んだ身なわけだし この世界に知り合いがいる訳でもないんだし。そんな不安が頭を過ってしまった そうしている間にも魔王と側近

「リリアさんは」と俺が名前を言う前に「リリアで大丈夫だよ。その方が可愛いし。って言ってもリリィが呼びにくいのは分かるけどね」なんて言葉を発していたので

「あー、そう、なんだ」俺の頭の中では、その呼び方はちょっと抵抗があるけど まあ、魔王本人がそう呼んで欲しいっていうのなら仕方が無いのか? そんな事を思いながら「まあ、分かった。じゃあ俺の事は好きにして呼んでくれて構わないけど」なんて言うと

「うん。ありがとう。よろしくね。って、まあ、さっきの話は置いておいて、それよりもさ。あなた達がこの世界にやってきた方法とかは本当にわからないんだよね?」と尋ねられてしまったのだ 俺達が困惑したまま「あ、ああ。そうだ」と答えると「じゃあさ。取り敢えず、これから向かう場所は安全な所だから。私達についきてくれれば 後は私達に任せてよ」と自信ありげに言われたので 俺は素直に彼女を信じる事にしたのだ。

だって、俺だってまだ現状を把握出来ているか分からないんだしさ 俺は 魔王の事を信用出来るか出来ないか で言えば、魔王の事は信じようと思っていた。だって、彼女の瞳の奥に見える感情が偽りの無いものだと思えたから。そうして魔王が「じゃあ行きますわよ」と

「ああ」俺が返事を返した途端に、魔王と俺は白い光の渦に包まれていき

「わっ!なにこれ!」俺は驚きの声を上げた。そんな俺の傍に居た少女が心配そうに声を掛けてきた「リュウト君、だよね?私が付いていますから。安心して」その言葉と共に俺達は光の中に吸い込まれていった

「ここは?」俺と魔王の二人は転移魔法と言うモノによって 一瞬のうちに、全く知らない場所に辿り着いていたのであった 俺は目の前の状況が理解出来なかった。俺が居る場所は森の中で 木々の隙間から漏れる光が俺の視界を遮り そして目の前には 俺に背を向けている小さな

「お、女の子?なのか?」俺が目の前の人を見て呟くと、その声に反応してその女の子は俺の方へと向き直ると、突然の俺の言葉を聞いたせいなのか その顔には 大きな笑みを浮かべているではないか。しかも 満面の笑顔である。だが その笑みとは裏腹に俺の心は激しく揺れ動いてしまうくらいの美少女の顔があったのであった。その瞬間

「ふぉおーーー!」

俺が絶叫してしまう程の美少女がそこには存在していたのであった 俺は、魔王と一緒に その少女の美しさに見惚れていた。そんな俺たち二人に向かって 一人の人物が近寄ってきて「あれ? どうして? どうして貴方達二人がここに来ちゃうの?」なんて言葉を掛けてきたので俺は思わず「貴方は誰なんですか?それと、この人は一体? 」俺は魔王を庇うかのように立ちふさがったのだった。すると

「あら?貴方はこの娘さんの事が嫌いになってしまったのかな?」と、その女性は笑いながらも少しだけ俺に詰め寄るようにしながら尋ねてきていたので俺は焦って答えた「いや、別に、そういう意味じゃなくて、俺に何の用事ですか」俺がその問い掛けに対して質問をするのと同時に背後に立っていた魔王に小声で

「俺の後ろに隠れろ」と告げると「わかった。私は貴女の後ろに身を隠させてもらうわね」と言ってくれた。それから暫くの間 謎の人物との対話が続く事になったのだがその内容はというと、殆どは彼女が一方的に喋る内容ばかりで俺は何も話せなくなってしまったのだがそんな状況を打開する為にも 俺は「それで結局のところ、アンタは何者なんだよ」と言ってやった すると「あら?そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名前は リーゼロッテと言いまして。まあ、見ての通りエルフですわ」なんて事をその女エルフは言っていたのだが その言葉を聞いていたら

「あ、やっぱり、そうでしたか」なんて言葉が俺の口から飛び出してしまっていた。何故なら、俺が見つめているその少女の背中からは長い銀色の髪と金色の美しい羽が生えておりその手は白く とても柔らかそうであった。それに俺は心を奪われた。俺が憧れていた姿。それがそこにあったから。俺の目には その女性の姿が映るのであった。そう。俺が子供の頃に憧れていた

『天使』の姿そのものに見えてしまう程 綺麗な容姿をしていたからだ。

そう思っていた俺に 魔王は「な、な、なんて羨ましいの!! その方、凄い美人じゃない。い、一体何処の生まれなのかしら? ね、ね、ねぇ教えてちょうだい。って言うより。私もそっちに連れて行ってくれないかしら」なんて言ってきた。いやまぁ 魔王にはまだ早いだろう。そう思って俺は「ダメに決まってんだろうが。そんな簡単に連れていけるかよ。そんな簡単な話じゃないんだぞ。こっちの世界に来ていきなりこんな話を持ちかけられるとは想像すらしてなかったんだ。もう少し考えて話をして欲しいもんだぜ」俺はそう口にしていた しかし 俺の発言に腹を立てたのか魔王は「な、何を言っているの。私だってそんな話になるとは想定していなかったんだもん」なんて反論をしてきている 俺はそんなやりとりを続けていると 目の前の銀髪をしている女性が口を開いた「えっと、とりあえず、貴方が今いる場所の説明をしても良いかしら?」なんて事を言われてしまった。その発言に対して魔王が即座に言葉を返し「そんな事よりも早く私をそちらの国に転移させてくださらないでしょうか」なんて言っていたが、それに対して目の前の女性が魔王に話しかけようとしたところで「あ、そうか、私とした事が何をしているんだろう。私。まず、あなた達二人の状況を説明する必要がありましたよね」なんて言ってきた そして、そんな言葉に続けてその人物は「では説明しますね。あなた達のいた世界とは別次元に存在する異世界が存在する事はご存知ですよね。そう。その世界はあなたのいた世界では無く 異世界なのです。そこで。あなた達二人を呼んだ理由なんですが 魔王の役割を終えた後に死ぬ必要は無いと伝えておくべきなのか? 《はい

「それとも伝えるべきではないのか?どう思う?」

俺達が召喚されて 初めて魔王に会った時の事を思い出す。あの時。俺が魔王の立場になって考えるならば 自分が役目を終え死を選んだ時に その後の世界の事を考えれば 魔王の代わりになる者を探さなくてはならないはずなのだ。でも、それを目の前にいる少女に伝える必要があるのだろうか? 俺はそんな考えに辿り着き、魔王に問いかけると

「んーー。それは、その人がどんな判断を下すのかはわからないけど。でも、もし。その人に自分の役割を全うした後は生きたいと言う意思があるなら。その時にでも私から提案してみるのが良いんじゃない?だって。私達はこの世界に生きる人間だからさ。私の代わりになる者が現れたとしても 私がその人の身内だとは限らないんだし。もしかすると 私の後釜を狙う人がいるかもしれないじゃん」

魔王はそう言いながら、まるで俺の考えを見透かすような発言をしてきたのだ 俺の頭の中には一つの選択肢が生まれた。魔王には

「その人の意思を尊重するよ。だから魔王の代わりを探す事に専念してくれないかい」そんな言葉が俺の中に浮かび上がってくる。だが、魔王

「うん。まあ。それもアリだと思うんだけどね。でも、もしも。私の身に何かが起きてしまえば。私が生きている間に後継者を育てないといけないと思うのよね」なんて事を言った。

「そうだよ。もしもの時は俺達がなんとかしないとならない訳だし。って言っても俺が勇者として召喚されているって時点で もう、俺に出来る事は限られている訳で。だからこそ。魔王。君にしかできない事もある訳じゃないか」と、俺と魔王が話しをしていると「あらあら。二人でこそこそと相談をなさっているようですが。私の存在を無視してまで話し合いをする必要はないと思いますけど。それよりも こちらに転移させる前に、一つお願いしたい事があるのですけど よろしいですか」と目の前の女性は、少し困った表情で 俺達に話しかけてきた。俺と魔王は目を合わせ、お互いに軽く溜息を吐くと 魔王の方が その女性に向けてこう返答をした「それで、お願いというのは、なんですか?その内容によっては 叶える事が難しい場合もありますけど」そんな魔王の質問に対して 目の前の女性が 魔王に対して願いを伝えた

「貴方が魔王としての役割を果たし終えた後で良いのですが 貴方の持っているスキルと、そのステータスを見せてもらえませんか?もちろん。悪用するつもりはないから」その発言を聞いた瞬間に魔王は顔を赤くして「な、なんでですか?」と動揺しながら尋ね返したのだ すると女性は魔王の耳元に口を近付けると「ちょっと貴方に興味があって。少しだけ鑑定をさせてもらいたいの」なんて言っていたのであった 目の前の銀髪の美少女の口から出てきた

「興味があるので、是非とも 貴方の持っている力を、見せてくださいね」という言葉を聞き魔王は体を震わせている「ど、どうして?どうして私を鑑定しようなんて思っちゃったの?」なんて 小さな声で質問を投げかけていた 魔王のその問い掛け

「どうしてって。どうしてなのかな?自分でもよくわかんなくなちゃったのだけど。そういえば。貴女の名前は何と言うの?貴女が名乗った名前は 私と同じ名前だったでしょう?だったら。その貴女の名前には 私への想いが詰まっているんでしょうね」俺は魔王の言葉に反応していた。その言葉で俺は確信してしまったのである この目の前の少女こそが、もう一人の俺だ と、そう思った瞬間に俺は魔王と視線を合わせる為に体を動かしたのだが 何故か魔王は俺と顔を合わせたく無いみたいだった「どうして?どうして貴方達はそんなに見つめ合って、頬を真っ赤にしているんですか?ねぇ、リュウト君。貴方も魔王様も、一体何をお考えになっているのか。私にはよくわかりません」そんな事を呟きながらリーゼロッテと名乗るその女性は俺と魔王のやり取りを見守っていた。俺がリーゼロッテに視線を向けた事で俺と魔王は見つめ合う事になるとリーゼロッテは

「あらあら、ふふふ。本当に面白い二人なんですのね。ってことは。二人は お互いに惹かれ合っている。って事なのかしら」リーゼロッテは俺と魔王の顔色を見てそう告げていた

「あのね。別に私は、その。そんな関係になった覚えはありませんので、変な妄想しないでもらえますかね」と俺は慌てて答えてしまったのだが

「そ、そうなんですよ。そんな感情が二人の間に生まれるとか。そういう話はあり得ないのですよ。だからね、私達がそんな感じの会話をしてた。って勘違いするのは勘弁してほしいかな」なんて言葉を付け加えて魔王もリーゼロッテにそう語りかけたのだが

「あらあら、あらあら。うっかり口が滑ってしまいましたわ。これは失敗でしたね。まさか。貴女達のその気持ちは偽りな物なの?私はてっきり。私にもチャンスはあると思っていたのに。もしかして まだ、その気持ちが固まっていないのに。無理矢理 その方に私との子供を産ませようとしている。なんてそんな邪な心を持って私の前に現れたのかと思ってしまいましたのに」そんな言葉を吐き出したリーゼ

「いえ、そんな心を持ったりなんてしていませんよ」俺は咄嵯にそんな言葉を口にしていた。何故ならば。俺の心の中には魔王に子供が出来ないという事を嘆いていた自分自身が居たのである。だからこそ。今の俺の本心としては、魔王の子供が出来なくてもいいと思っている だが その思いとは裏腹に 言葉にしてみれば「心の中ではそんな風に考えているんだよ」と言っているようなものなのであった

「へぇーー。そうなんだぁ。でも、なんだぁ。やっぱり 二人の仲がそこまで深まっていないなら。問題ないのかな?そうだよ。ね?私の力が必要な時は いつでも私に声を掛けてくれたらいいんだから。だからね、そんな悲しい事は口にしないでほしいな。だって 私にとっても大切な人が二人も死んでしまうかも知れないなんて 嫌だし。だから 二人が結ばれなかったとしても 私がどうにかしてあげる」そう言うリーゼの目に光る涙は本物だと感じた そんな事を言われたら俺も魔王もどうするべきか?と考えてしまうだろう そして 俺は考えた末に魔王に話を振る事にする「おい、魔王。さっきの 子供を作るという話だけどな。俺達が、もしもお前との間に子を授かるとしたら 一体どうすれば 子供を産む事が出来るようになるんだ?」俺は真剣な眼差しで 魔王を見つめ、魔王の口から出てくる答えに意識を集中させていた

「えっとね。私が勇者のスキルを持っているように。魔王の勇者のスキルは特別なんだけど それが どんなスキルなのかは私自身も詳しくはわかってはいないの。でもね。勇者のスキルを持っていた人は必ず勇者になれる訳じゃないらしいんだよ。それこそ。

私のように この異世界に生きる者達の中で勇者に相応しい存在を探している。みたいな事が書いてある本を読んだ事があるよ」魔王がそんな説明をした直後 目の前に表示されていた俺達のステータスウィンドウの右上に新たに文字が表示されるようになっていた そしてそこには『勇者の称号が授けられました』と 書かれている その文字列を見た俺と魔王が互いに目を向け合っていた。そのタイミングを待っていたかのように俺と魔王の目線が絡み合う。すると魔王は

「なんかさ。これって凄いことが起きてるって気がしてきた。だって。私達の名前が同じだと言う事 それに。私のスキルが使えるようになっている。って言うか。もしかすると 私が持っていた能力も使えたりしているのかも。とりあえず。試しに、使ってみるから。ちょっとだけ、時間をくれる?」魔王はそう言ってから数秒後に 目の前に存在していたステータス画面に手を当て、何やら操作をしているようだった すると、突然に魔王の手のひらが淡く発光し始めると、その手の平から 先程まで俺の視界に入っていたのと同じ様に 謎の画面が浮かび上がってくると、そこには、俺の名前 それと魔王の名前、更には俺の持っている勇者の固有ス キルと思われる名称が表示されており、

「おおおーー。これが俺の能力?俺の力なのか?マジかよ」と驚きながら そのステータス画面を見詰めてしまっていたのだった。

「おぉ、これはなかなか興味深い現象だな。俺の方も確認してみる必要があるみたいだからな。ちょっとだけ、借りさせて貰うぞ」

「あっ、ちょっと待って。今、私が持っている勇者のスキルも見せるよ」

俺と魔王が勇者のスキルについて話をし始めた時 それを遮るようにリーゼロッテが「ちょ、ちょっと、待ちなさい。私の事も忘れないでよね。私の名前は、リーゼロッテ、リザ、レーツェですわ」

「ああ、悪い。悪かった。つい興奮しちまってたぜ」俺は素直に謝る事にしたのだが 魔王は自分の方こそ失礼だったと言わんばかりに 申し訳なさそうな雰囲気を出しつつ「あ、すいませんね。私の方が夢中になってしまいまして、私の名前は、リーゼ、と申すものでございます。以後 お見知りおきを、お願い致します」リーゼロッテに向かって深々とお辞儀をしながら自分の名前を自己紹介をしていたのであった リーゼロッテが魔王に対して「私の名前と貴方の名前にどのような意味が込められているんですか?もしかして、ご両親が付けて下さった名前ではないのですか?」なんて質問をすると、魔王は何だかもじもじした

「いえ、そのですね。私の本名は魔王 なんですが。親は、人間だったりするんですよ。私も小さい頃から、その名前に嫌悪感があったのは確かですよ。だって。名前で判断されてしまわないか?なんて思った時期もあったくらいなんです」そんな魔王の発言を聞いたリーゼロッテは

「え?もしかして。もしかして、貴方も、もしかして 元の世界に帰る方法が見付かっているんじゃなくて?私ね。私も元いた世界に帰れないんじゃないかな? って思っていたから。私と同じように帰ろうとしている人の力になってあげたいって思って、だから、その。貴方を元の世界に戻す為の協力を惜しまないつもり」そんな事を言った

「そっか。私と同じ境遇の人だったのか。私も、実はね。その、魔王っていう名前が大嫌いだったんだよね。でもね。私は勇者になりたいなって思っていて、それで頑張っていたらね。私にもやっと 魔王になる才能があるって言われて、嬉しかったんだけど、そのせいでね。私の名前を馬鹿にする人がいっぱいいてね。

そんな人達が居る所に私は戻りたくはなかったけど。それでも 勇者になれれば、元の世界に帰れるような、そういう可能性が生まれるかと思ったから。でもね。私には無理だったんだと思う」

「そうなの?貴方なら。魔王の才能が有るんだから。もしかしたら、この世界で魔王として生活するのも良いかも知れないわね。それに。貴方には仲間が沢山いるんだもの」リーゼロッテが優しい口調のまま 魔王に告げる その一言は魔王の胸に突き刺さっていた 何故ならば魔王の頭の中に一人の人物が思い描かれていたからである。それは 和輝であり 和輝の事を思うと どうしても、今の現状は良くないような気がしてしまうのだ もしも。本当に。自分が魔王として生きて行く事になるのであれば それはきっと幸せなのであろう だが、それを選ぶ事によって

「私が望んでいる未来が手に入らないかもしれないのが怖い」その言葉を心の底に隠していた魔王であった そして 魔王がそんな葛藤に苛まれている最中も、俺が魔王に抱いていた疑問をぶつけると、その返答に困るかのような雰囲気を感じ取り その会話を中断させる事なく聞いていたリーゼロッテの瞳が少しだけ寂し気な色に変わっているように見えたので「なぁ、あんたは、魔王の勇者としてのスキルの事を知りたくないのか?それに俺のスキルが発動出来るかどうかとか」

そんな俺の言葉を受けて リーゼロッテは微笑を浮かべ

「えぇ、私だって その事は聞きたいと思っていますよ。だけど、その前に私はリーゼという名前の人間がどんな存在なのかを知って欲しいと思っておりますので、どうか私達の会話を聞きながらでも、貴女達のお話を聞いて貰えるとありがたいのですけれど」

「ふぅーん。そういうもんかね? まっ、いいか。そういう事情ならば俺としても聞かない方が良いかな?」俺は そう言ってから 再び魔王と向き合ったのである そんな魔王は 何だかさっきまでの様子が消え去っているように見える。それは どこか、いつもの雰囲気を取り戻したように感じられ、だからこそ、魔王が何かを決意したのだと理解していた

「ねぇ。私達 友達になろうよ。お互いに同じ様な悩みを持って生きて来た者同士だし。それにね。私が魔王の力を持っていなければ 勇者の力で私を縛って従わせるって方法も取れたかも知れないけど 今は勇者の称号を持っているわけでもないし。それに 私の力が使えるようになっているんでしょ?だったら 別に問題はないはず」リーゼロッテがそう言い終わると同時に俺の方を見てきたため 俺はリーゼロッテが求めている返事をするべく口を開こうとしていた矢先に 俺と魔王が口を挟む暇すら与えずに、俺と魔王の手を掴み 握手を交わした その直後、突然に眩しい光が 俺達が立っていた場所を包み込むように発生してしまい それがおさまると俺

「あれ?ここはどこだ?おい、みんな。無事か?」と声を出すと「うん。大丈夫。私はここに居るよ」そんな魔王の声と「あら。どうやらとてつもない事態に発展しそうだな。なにやら俺と魔王は異世界に飛ばされたみたいなんだけどな。一体どうしたら ここから出られるんだ?」という そんな俺の言葉を遮る形で 突如として聞こえてきた声に俺達3人は顔を見合わせる事となる

『お前達。無事に勇者の力を手に入れたようだな。これでようやくお前達をこの場に呼び寄せる事が出来た』

俺達は 突然の出来事に遭遇してしまったが どうにかして俺達三人だけでも冷静さを取り戻すために

「ちょっと 待って貰えませんか。私達も状況が上手く把握出来ていない状態ですから」とリーゼロッテが魔王と手を繋いだまま 自分達の前に存在していた人影に向かって話しかけると「確かに。私だってこんな体験は初めてだからね。それに、いきなり勇者だって言って連れて来られたんだから、こっちだって もう少し話をしたいと思っている所だよ」俺もまたリーゼロッテに同意する形で言葉を返すと「私もこの二人と同じ考えだ。貴方は何の為に私達を呼び出したの?そもそも 貴方は、誰?何者で。なんのために、私達に干渉しようとしているの?」とリーゼロッテが 魔王が、立て続けに言葉を放っていくのを見

「あのぉ、私から一つだけ宜しくて?」俺の横からそんな発言をしながら手を上げている女性 リーゼロッテはそんな発言をした女性が何者なのかを知っているようで「あぁ。ごめんなさい。リーゼさん、私もついつい熱くなってしまっておりましたわ。貴方が居て下されば 私も助かりますわ」リーゼロッテと その人物は そんな短いやり取りをすると「私からも質問があります」魔王が俺達の横に立ち並ぶようにして その人物に向かって

「貴方が、この世界に存在する者達に対して、魔王の力を使って強制的に命令を下せる存在だというのであれば。今ここで 貴方を倒します。ですが、そうでないので有れば、私達と行動を共にしてくれませんか? 貴方が 私達に魔王の力を与えてくれた人物であると言うのであれば。私は 魔王の力を持った者として、貴方に協力しなければならないと思います」魔王がそんな事を その相手に対して言ってしまったので「おぃおぃ。ちょい待ち。魔王にそんな風に言われたんじゃあ。俺としては断れないって思っちゃうじゃんかよぉ。仕方ない。その頼みを聞いてやるしかないかぁ」そんな俺の発言に対して リーゼロッテが呆れた様子を隠し切れない表情を見せながら

「私からも良いかしら?貴方は、どうして、私達を呼んだんですか?それと 貴方の名前は、なんですか?まさかとは思いますが。その見た目通りの名前では無いんですからね?」なんて事を言われてしまい「俺の自己紹介は良いとして、そろそろ君の名前を教えて欲しいな」俺がそんな風にお願いすると

「分かりましたわ。貴方は私の質問に対して何も教えてはくれないみたいですね。では、こちらの質問に先に答えて貰いましよう」なんて事を言われるのだが そこで俺の隣に立つ魔王に目配せすると「じゃあさ、俺の名前よりも魔王の名前の方が大事だって事なの?それは失礼じゃないか?俺の名前なんて これから先 生きて行く上で必要になってくる訳じゃないでしょ?だったらさ 先に名前を名乗るべきだって思わない?」と そんな風にしてリーゼが魔王のフォローをした 魔王の事を気にしているのか。それとも魔王が気になっているのか。分からないけど。俺が その魔王の方を見ると 少しだけ顔を赤らめているのを見てしまって 俺が、魔王の顔を見ている事をリーゼに悟られてしまうと

「ふふふっ、なんだかさ。こうして 改めて見ていると。やっぱり 和輝くんには敵いそうも無いな。私の事を好きになっても 貴方の恋は実らないよ。それでも 私は、和輝の事が好き。だけど 今の私の心の中には貴方しか存在してはいないんだ」魔王のその一言で俺の心臓は激しく動いていた

「まあまあっ、とりあえず お互い様でしょ?それで、貴女のお名前は?」リーゼロッテが俺に変わって リーゼが俺が思っていた通りの台詞を口にしてくれていた 俺としても、その方が気が楽である

「そうだったな。まずは、お互いに自己紹介をしてからだな。俺の名前は、そうだな。まだ、決まっていない。というよりも、これから、決めようとしていて、この場ではまだ、仮の名を使っていた」俺がそんな感じで言うと 魔王は首を傾げ 不思議そうな顔をしていたのだが 俺は自分のスキルを確かめたかったのだ。

そして俺は俺の目の前にある画面が映し出されたのを確認して、そこから文字を打ち込んでいき、その名前を入力した後に確定のボタンを押す。そして 俺の手元にステータスカードが現れた事で俺は確信する事になる。これは間違いなく。俺のチートスキルによる産物だと言えるだろうと思ったのだ。だからこそ「魔王よ。君には俺の本名を教えよう。だから、君の本当の名前を俺に教えてくれるかい?それから、俺の能力を説明していく事にするよ」俺は魔王に告げると「ふふふ、分かった。私も、私の本当名を告げるから、その代り 貴方の能力を聞かせて貰えないかな」と返されて 魔王は俺のステータスカードの方に目を向けながらそんな事を言うので 俺は「いいよ。ただし 他の人には絶対に内緒にしてくれるのなら、だけど」と告げておく リーゼロッテと リーゼが魔王の手を取り

「ほれっ、俺達の力も見せてあげるよ。これでも、お前達の力になると思うんだけど?」そんな二人の声に魔王が俺の顔を見てくる 俺は 二人の様子を伺っている リーゼロッテの瞳が怪しげな輝きを見せているのは俺の

「ちょっと、リーゼちゃん!私は、別にそこまでは して欲しくは ないのですよ?」

魔王は慌てている 俺の方はといえばリーゼロッテに何かを仕掛けられている感覚があった。

俺の中に存在しているもう一人の自分が何かをしようとしてくるような感じを受け取めた。

俺は 咄嵯に魔王を抱き寄せる形になっていた。魔王を抱きしめるような形で、彼女の唇を俺自身の唇を重ねる形で

「俺は 魔王の事が大好きだよ。それに 君は もう 独りぼっちではないはずだ。それにね。君自身が望んでいる未来を、君自身も掴む権利が有るんだよ」

魔王の耳元で俺はそう囁くと

「ううん。大丈夫だから。ありがとう。貴方が 私を受け入れてくれている。それが嬉しかった。私の初めての 好きな人に 貴方がなってくれた。嬉しいよ。本当に ありがとう」

魔王がそんな風に言ってきている間にも リーゼロッテから放たれている光が俺の全身を覆い隠そうとしてくるが 俺はそんな事は意に介さず 魔王の身体に 俺が身につけている鎧や武器が 吸い寄せられるようにして俺達の周りに集まるように集まって来るのを感じて そんな俺達の前に、一人の人物が姿を現したのである。

その姿を見た瞬間に魔王は驚いた様子を見せて 魔王の肩に乗っていた小鳥達が羽ばたいていき 空高く飛んで行く姿が見えると

「えっと、私に用があって来たの?貴方達は 私の仲間だと思っても 間違いない?」

その人物は 魔王に向けて 優しい声で 言葉を紡いでいく。

「うん。間違いない」

魔王の言葉に、彼女は満足したかのように、微笑みを浮かべると

「そっかぁ。貴方の願いが叶ったから。貴方と その仲間の方々の力を私に与えて貰えたのね」

なんて事を そんな言葉を俺達に言ってきた。その人物こそは俺が望んでいた人。そう 俺の母親である「お、お母さん。来てくれたんだ。来てくれて あり、がとう」と、その言葉を俺の母 桜宮静香は「ふふっ、私が助けに来ては、駄目なのかしら? 私は、娘の幸せを願う母親でしかない。

だから私は この場に現れた。貴方の事をずっと見守ってきた 大切な娘が選んだ人を。その人の為に。

私はね 貴方が幸せになれるのならば 私は、どうなっても良いと思っているの。

だけど 私は、私自身を守る為の力を持っている訳ではない。

貴方の力になりたい。私の娘の為だけに、私をここに導いて欲しい。そう願っています」と その言葉と共に 魔王の傍に光の珠が現れ 魔王の目の前に移動すると、そこに現れた人物の容姿が 一瞬で変化していったのであった。

俺は今 何が起きたのか 分からなかった。だが 魔王の側に出現した人物は間違いなく、母さんであった 俺の母親は 俺の目の前に現れ 俺の頭を撫でてくれたのである

「大きくなったわね。和輝。

私は、和輝の事を 今でも愛していますよ」と 俺の頭に触れながら言ってくるので「お母さん。俺は、俺も 俺は 今も昔も 変わらない。ただ ただ お袋だけが 好きだ」そう伝える そんな

「あら、うふふっ。それは光栄ですね。ですが、今の私は 和輝。貴方の力となる為に、この世界に現れました」

そんな事を俺に告げながら 俺と 和 人を見るなり「貴方は、勇者様なのね?貴方の事も知っているわよ。私の娘である 和輝は、私にとって かけがえのない家族でしかないのよ。貴方が私に対して抱いている気持ちも 分かっては居るのよ。それでもね。貴方が どんなに 想ってくれていても。私の心の中には 既に、愛する人が いるのよ。私の全てを愛してくれる。その人と一緒になれる。それだけが私の望む事。

その為に 貴方は必要ないわ」と そう言い放った その女性は俺に向かって「さあ、私と契約を結びなさい。この世界を救う勇者様 いえ 和輝くん だったかしら? それと 貴方が一緒に居たいと願う女性」

とだけ言うと 俺と和 人の手を取ってくるので俺はその手を握り返し、二人で契約する事にしたのであるが、それは ほんの僅かな時間だったのだ 何故なら俺は俺としての存在を取り戻した それは良いのだが 俺は自分の姿を視認してしまっていた。俺は リーゼロッテと 魔王の姿を確認すると「なぁ?魔王?俺は俺の姿をしているけど お前から見てもそうなのか?」そんな事を尋ねると魔王は リーゼロッテが持っている水晶を眺めながら 少しばかり考えた後に

「んーっ。和輝? 和輝なの?その姿は何だか変な感じがする。和輝が私と初めて出逢った時に 私は 今の和輝と、ほぼ同じくらいの年の頃なんだけど、今の和輝は 私の年齢よりも、少しだけ幼い感じに見えるんだよね」そんな風に答えてくれたので「そうなのか?じゃあ、リーゼロッテも 同じ感じになっているんだろうね」

そんな話を俺がリーゼと魔王に告げる するとリーゼは 魔王から渡されたらしい鏡

「ねぇ?魔王さま。これを見て下さい。これが本来の私なんですよ。今は この世界に呼ばれたせいもあって、この姿ですが 本来の姿はこれなんです。でも、私は 貴方のお側に置いて貰えるなら それで構わないのですが それでは 貴方に負担をかける事になってしまいますので、せめて 魔王様にも私達の力を 差し上げようと思うのです。どうか 私達に力を貸して頂けないでしょうか?」と言うと 魔王は困り顔をしながら「えっと、あの、私の方からもお願いしてもいいかな?実は、私達 私達は その、私達の力で、和 輝に 何かをしてあげられないかなって思っていたから」なんて事を俺に言ってきたりもしたので

「えっと、俺は俺だからさ。まぁ、いいんじゃ無い? 魔王が嫌じゃないって言ってるのであれば 別に俺は何も問題は無いよ。俺の力が、二人に宿るのであれば 俺は 二人の事を 守りたいからね」

俺がそう告げるとリーゼは 嬉しさのあまり 魔王の胸に抱きついて泣いている。

それを 見つめていた 俺の母親の表情が優しい笑顔に変わり「うふふっ。私には勿体ない娘ね。二人共 これからもよろしくね」とそんな事を口にしていたのである。

リーゼが落ち着きを取り戻すまで待っていた魔王が「改めて自己紹介をしますね。

私の名前はリーゼロッテと言います。和貴さんの事を私は昔から 好きです。貴方は、こんな私を、許してくれますか?」と不安げに聞いてきたので俺は「もちろんだよ。君も大切な 俺の妻だ。俺は君の事が大好きなんだよ」と口にしながら抱きしめる 魔王に視線を向けると魔王の顔が赤くなっているのを確認してしまう

「うぅ。わ、わたし。わた、しも。かず、とさんが。大好き、大好き」と魔王は口にしてきてくれる そんな魔王がとても愛お

「私だって和輝が好きなんだから」

とリーゼが頬を膨らませながら 魔王を睨んでいるが、そんな事を気にした素振りも無く「和貴は、私の事を好きなんでしょ? 和希?私の事も好きなんだよね。違うのかしら?もしそうなら どうして私の事を好きと言ってくれないの?」

そう問いかけてくる そしてそんな状況の中で母さんは 俺に目配せをしてくる 俺は 仕方がなく「リーゼ?俺も君が大好きだ」と答えると「嬉しい。ありがとう。和希」そう言いつつ、リー

「魔王ちゃん。貴方が和樹を好きになっても、それは当然の事だと私思うの。だから、貴方も、もっと自分に自信を持ちなさいよ。和樹は、私が知る中でも最高に格好良くて可愛い。貴方が和貴に惹かれるのは無理はない。私も同じ立場になったのだから、よく分かるの。だけど、負けないから。私は絶対に、和 樹の一番になる。それが私に課せられた使命だから。

魔王ちゃん。私はね。今こうして、和 輝の前に立つ事が出来た事に満足をしている。だけど 本当は、この役目は 貴方のもの。貴方こそが和 輝と結ばれるべきだと思ってしまう。だけどね。貴方が 和輝を選んだの。ならば 私に出来る事はただ一つ。私の愛する息子の事を全力で支えて、私自身も幸せを手に入れる。その事しか出来ないから。

和輝は私の宝物。私の息子。それは間違いないわ。だからこそ 和輝。貴方は私が命を賭けても、幸せにするべき人。そんな人を私が傷つける訳にはいかない。だから、私は貴方が和輝と どんな結末を迎えようと、私は貴方の味方をする。例えその結果 私に何が起きようと、それは私にとって些細な事に過ぎないの。私は貴方が幸せになってくれれば、それだけで幸せだから。私は、私の娘の為だけに 私は存在するのだから。

それに、私は貴方の母親である前に、貴方が産み出してくれた一人の女の子なのだもの。私は私として 愛する息子の為に生きる。それだけよ。私は私の幸せの為に。貴方を愛すると決めたから」そう語る彼女の目は本気であり、俺を想う母の愛情を強く感じる事が出来るものだった。俺は、魔王に 俺の思いを伝えた上で「魔王。俺はさ、俺は 今でも、俺は 魔王を愛している。君は、俺が初めて恋をした少女だ。だけどさ、俺は今。目の前に立っている、俺の母親である 桜宮静香という女性の気持ちが痛いほどわかるんだ。

だから俺は 魔王と一緒になる道を選ぶ。これは決して浮気ではないんだ。確かに俺はリーゼロッテに告白された。それでも 俺は やっぱりリーゼロッテではなく リーゼロッテと同じ顔をしている魔王を選びたいと思っている自分が居るのもまた事実だ。だけど それでも 魔王。君に俺の母さんの気持ちを知って欲しいんだ。その上で俺は魔王が望むようにしたいと考えているんだ。

リーゼも、リーゼ。

お前の気持ちはよく分かったよ。俺はな。正直言って 俺自身、母さんに抱いている感情がある。

それはな 母親への想いだ。俺は母さんが、自分の事を想ってくれていることを知っている。俺に抱いている気持ちがある事も、それは理解しているつもりだ。俺はさ、母さんに対して抱いている気持ちは 多分、リーゼに対するものとは違ったもので 俺は俺が抱いている気持ちに嘘をつく気は更々無いんだ。

俺はリーゼの事も好きだよ。本当に愛しく思っているんだ。だけどさ、リーゼ。

今の俺はさ、俺が愛するのは一人しかいないんだよ。俺は、魔王と、魔王と共に生きていきたいんだ。俺は魔王に、心の底から愛されていると感じているから。リーゼ?俺はな。

今の俺の全てで、魔王を愛したいんだ」そう言うと 俺はリーゼに近づき「リーゼ。俺の心を受け取って欲しい」そんな言葉

「はい」

リーゼがそう言うと同時に俺とリーゼが口付けを交わし合う すると俺達の姿が変化する 俺の姿が変化して魔王と同じ容姿に変わっていくのを眺める そして俺は 魔王の姿を目にした瞬間 俺がリーゼを抱きしめた時のような感覚に襲われるのであった そしてリーゼロッテの姿を見た俺は 自分の心に、リーゼの事が 俺の事が好きなのだと言うことを認識させてしまう。そして それと同時に俺はリーゼに「ごめんな」と呟いていたのだった そんな光景を見た魔王が「ねぇ?お母さん?私と和輝は、二人で一人。二人で一人。二人揃って 初めて 和輝なの」と口にして、そして俺の方を向く

「ねぇ?和輝?貴方は私の事を、私だけの事を考えて下さい。貴方の本当の願いを教えて欲しい。

私は 貴方の妻であり そして、貴方の恋人でいたいと願っています。だから 貴方の願いを聞かせて?」魔王は俺に告げる 俺は俺の心の内を吐露する「そうだね。じゃあ。まずは 君の名前を 君が この世界で生きている証を俺に刻んでくれ」そんな風に告げると魔王は 微笑み「分かりました」と口にするなり 魔王は自分の指先を切り落とし「はい。私の愛しき貴方様。私の名は リリアナと言います」魔王は、そう口にし 自らの手を差し出し俺の手を握るのを見届けた後 今度は魔王が自分の唇を噛むと血が流れ出す

「我が主よ。どうか私に貴方の力をお与えください」そんな魔王の言葉に呼応するように俺に何かが流れ込んできた。その瞬間俺の中の魔力回路が激しく動き出した その流れ込んでくる力

「凄いなこれ。今までとは段違いだ。

それにしても魔王の体液は、回復薬みたいな効果も 持っているのか」そんな俺の声を聞いて魔王こと リーアロッテは俺に近づいてきて そのまま 俺を抱き締める「これで和貴も私と、同じ存在になれたの。和樹が この世界に存在する為に、私も貴方と生きる事を許される」そんな言葉を俺に口にしてくる。そんなリーゼの頭を撫でながら

「ありがとう。リーゼ。

リーゼ。俺は君の事が好きだよ。俺の妻になってくれるかい?」

そんな俺の問いかけに リーゼは嬉しさが溢れんばかりの笑顔で「もちろんです。私は 貴方を、貴方だけを愛していますから」

魔王が口にして「おめでとう」なんて言葉をかけられるが、俺はそんな二人のやりとりを見ながら「母さん。俺はこれから、魔王と一緒の道を歩むよ。俺は 魔王の事を愛してもいるんだ。俺は魔王の望みを叶えたいと思っているんだ」そう言うと「私はね、あの子の為ならば、この身をなげうつ事も、厭わないわ。私は私の存在全てを魔王ちゃんの為に捧げるわ。それが 私に与えられた使命でもあるから。私は 和輝が幸せならそれで良いの」と母さんは言ってくるので、それに対して俺は母さんに感謝の意を伝えるべく「いつも見守ってくれてありがとう。これからはずっと一緒に居てくれるんだよな?母さん。俺は母さんの息子なんだからさ」そう言うと母さんは涙を浮かべ「当たり前じゃないの。和輝。私の可愛い息子。貴方が望むなら私はいつまでも、和輝の傍にいるよ」そう口にしてくれた

「魔王。君はどうなんだ?」

「私も和貴が望んでくれたなら、私は貴方の隣に居続ける。それだけの事よ。私には、私を創った創造神に 与えられた使命があり、私はそれを遂行する為に生まれたのです。私の生きる意味が 和貴と共にある事にあるという事を忘れないで」

魔王のこの言葉に俺は

「俺は魔王を絶対に幸せにするよ。君と過ごす時間を俺は絶対に大切にするから。俺は魔王を愛している。君と俺は もう運命で結ばれているんだよ。君だって、そう感じているんじゃないかな?」

「えぇ。私は貴方との未来を望んでいるからこそ、貴方を受け入れた。私がこの身を委ねたのは 貴方だけだもの。私にとっても和樹。あなたこそが私の唯一人。和輝と過すこの一時の時間に私の幸せはあるの」そう

「俺はさ。俺は魔王 お前が幸せになる道を、一緒に模索したい。だから、その為にも俺に力を貸してくれないかな。

俺は リーゼが好きだ。リーゼと一緒に、俺達の新しい家を作っていきたいと思っている。だから、その家を護っていくために、俺と一緒に、魔王の幸せを探して行こうぜ?俺も魔王と一緒に幸せになれる方法を、必死に探していく。俺は 俺が 幸せになるために、全力で お前の 幸せになる方法を探すからさ。俺と一緒に頑張っていこうな。リーゼと俺が作る家に 幸せが訪れるように」

「そうね。私が貴方と結ばれることで、私の願いが叶うのだとしたら 私は私の願いの為に貴方に全てを任せましょう。私の命は全て 私の幸せの為にあり 私の願いの為だけに存在している。私が求める幸せは 貴方にしか作れない。私の全てを賭けて 私は貴方を幸福にする為に尽くしますから 私が求めているのはたった一つの真実。私は貴方を愛していますから」そう口にした そして、魔王ことリリアナは、この世界では最強の存在となるのだが それはまた別の話である。俺は俺の大切な人の願いの為に戦うことを決意したのである。魔王と勇者 二つの道 俺は俺の意思を持って 戦いに挑む事になるのだった 魔王は俺の

「なぁ?リーゼ?ちょっと聞いておきたい事があるんだけど、いいか?」

「うん。大丈夫ですよ。なに?聞きたいことがあるんですね?何でも答えてあげます」と俺の腕の中に収まっているリーゼが答えると

「俺は、魔王の力の一部を得た訳だけど 今の俺は魔王と同等の力を使えるようになったのだろうか?」俺が魔王にそんな事を質問をするのを見て、俺に抱きついている母さんとリーゼが少しばかり驚いた表情を見せた そして

「それは無理でしょうね。和輝が今持っている魔力回路は私と貴方だけの物です。それは誰にも真似のできない 奇跡のようなものなんですよ。

私達は二人で一人。貴方と私の二人で作り上げた絆の力が生んだ 愛の証です。貴方だけが、私の力を引き出せるの。私達がお互いに愛し合いながら歩んできた結果なの。だから、他の人に同じ事が出来るわけではありません。貴方だからこそ出来る 貴方の固有能力 つまり、スキルと言った方がいいのかしら?でも そんな風に言ったほうが、格好がつくかも知れませんね。そんな感じの能力だと思うから、貴方と私は、二人で一つなのだから、二人で一緒に、協力して 戦えば最強って事でしょ?」魔王がそう言って俺を見つめてくると「な?そういう事だ」と言ってきたのだった「俺の能力は魔王の力と 相性が良いのかもしれないんだよね。魔王の力が、リーゼの魔法や魔術に対しての防御力がかなり上がるし、リーゼの身体能力を俺のステータスに合わせて強化してくれているみたいだし、魔王と俺って本当に 相思相愛でラブラブカップルだったんだなって思うよ」俺が照れ隠しでそう告げるのだけど、リーゼが頬を染めて「はい」と口にした時、魔王の顔も真っ赤になっていたのだ そんな光景を目にしていた母さんが「ふーん。なんか面白そうな事をやってたわねぇ。二人っきりの秘密の時間を過ごしたとか、ま、あんたたちは私の娘と息子なの。どんな秘密があっても不思議ではないわね。私も和貴の事は大好きなの。私達家族にとって 和貴は、この世界の人間じゃ無いの。そんな貴方と、私の息子が二人で力を合わせ お互いを想い合う事ができたのなら、それが何よりも一番の武器となり、そして防具にもなるのかも知れない。でもね。お母さんは、あんたが、自分の娘を悲しませるようなことをしない子だと信じてるのよ?」と母さんは微笑み

「そうよ。お姉ちゃんに任せときなさい! 私だって和輝の事、大好きなんだから、負けないんだから!!」なんて言葉をリーアが言うと「あ~はいはい。私もね和輝の事が世界で1番大好きなのは リーアだから。そこんところ間違えないようにね!」と

「はい。ごめんねリーちゃん」なんてやり取りをしながら

「和輝さん」

そんな事を母さんが言ってくる

「あ、そうだな。母さんにリーアを紹介してなかったよ。この子が俺の嫁さんになった、魔導王 の魔王 リーザリット リーアロッテさんだ」

俺の言葉に母さんは驚きながらも「は、初めまして」と言葉にして

「あら。はじめまし」と言いかけた時に「はい。はじめまして。私は和輝の妻になりましたリーアと申します。以後お見知り置き下さい」そう言うと母さんも

「そう。よろしくね。私のことは気軽にママと呼んでくれるかしら?私には和貴の産みの親と言う事以外、あまり関係はないし、貴方が私の事を受け入れてくれたのなら、私は リーアと仲良くなりたいと思うから」そんな母さんと、魔王が握手をしている姿を見ていたら なんだか凄く不思議な気持ちになってしまった「なぁ。俺は魔王と一緒に居ても 良いんだよな?」なんて言葉をつい口にしてしまって、その俺の声に魔王と母さんが何とも言えない表情をしていたので 俺は苦笑いしながら、「ま、なんだかんだで 母さんにも認めてもらえてさ。俺は幸せだよ」なんて事を俺が言うと 魔王は俺の腕に顔を擦り付けて

「ありがとう。私の事も受け入れてくれて」と嬉しさ

「母さんが 和輝の本当のお母さんなんだよ? だから、和輝は 私と結婚する前に、母さんに会うべきだった」

「うん。そうだな。俺もリーゼに会えて良かったよ。俺と母さんに、魔王は大切なものをたくさんくれたからさ」

「うん。私は和輝に出逢えただけで、それだけで幸せ。私は和貴に何もあげられて無いけどね」

「いいよ。俺は これからリーゼと一緒に過ごしていく時間の中で 俺はリーゼにたくさんのものを与えられる存在になりたいと思っているんだ。それに、これから もっと楽しい時間が過せるようになるよ」

「私は 和貴と過していく時間があるだけで 私は和輝を愛し続けていく。私は和輝だけしか見えていないのだから」

「そうか」俺はリーゼと腕を組みながら歩き出すと 母さんはそんな二人の姿を目で追いつつ「ふーん。ま、二人が幸せならそれで良いか」なんて事を俺達に聞こえない様に呟いていたの

「さ、今日は色々とあったから 早く帰ろうか。皆が待っててくれるんだろ?」と俺はリーゼと手を繋ぎ 家路に着くのだった 俺は今、とても大切な人を護る為に戦いに身を投じていたのだが

「どうやらお前達の敵である俺は、魔王と同じ力を手に入れてしまっており、しかもお前達が想像しているよりも、遥かに強い力を手に入れたらしい」

そんな事を俺は 目の前で立ち塞がっている勇者一行に 言い放ち、俺は、自分が使える最強の

「お前が この世で最も忌まわしき存在 だ。お前のような者がこの世界に存在してはならない」

「それは俺のセリフだ。この世界において、この俺を最も邪魔に思い排除したいと思っているのは お前等だろ?なぁ 勇人?この世界における、俺の存在は異質なもの つまりは 俺はこの世界を破滅させる為に存在する悪魔の化身なんだよ。俺は勇者という役割を持った男によって封印された 異世界から召喚される災厄をもたらす魔王 の成れの果てであり 魔王の力と 俺の力は相性が抜群なのだ。だからこそ お前達が何を思って 俺を殺そうなどと考えたのは知らないが俺は、魔王リリアナの魂を受け継ぐ勇者である和輝くんで 俺は俺として生き続けるために お前らをぶっ殺すから 死にたくなければ この俺を止めようとするな。そしてこの場から去る事を勧めるぞ?俺の仲間は俺の愛する妻である リーゼ と リリアナ そしてリーゼの母 レシアの3人で全員である そして 俺は俺自身の大切な物を全て守る為に戦い抜くだけだ」

俺が魔王の力で得た力を開放すると、辺り一面の大地に亀裂が入り、そして

「おい お前 和輝だっけ?お前 何か勘違いしてねぇのか?」

そんな事を俺に向けて口にしてきた奴がいる

「ほう。それは俺に対しての宣戦布告だと思っても良いんだよね?」

俺は目の前で仁王立ちする 大男の顔面を殴り飛ばしてやりたくなった だが、俺は冷静さを欠かないようにする こいつは確か勇者だったはずだ つまり、俺とは敵対する者同士で、お互いに戦う運命の間柄のはず ならば、何故 今 目の前に立ち塞がって俺に対して喧嘩を売ってきたのかが理解できなかったのだ そんな風に考えていると

「おい和輝!いい加減にしろよな。こんな馬鹿げた茶番はもう止めにするぜ。そもそもなぁ 何の力もないガキが調子に乗りすぎなんだよな」と目の前にいる大男がそんな言葉を投げかけてきたのである

「どういう事だよ?それってさ。つまりは 何の力も持っていないただの子供が粋がるなって事なのか?ま、それもそうかもな 確かに俺には何も無い。でもさ。何にも出来ない子供だとは思わないんだよ。少なくともさ、自分の大切なモノを守れる程度の強さはあると思うし、それを誇示する事のどこが悪いんだ?そんなに弱い人間に思われるのが 心外なんだよ。俺はね、魔王を倒す力を持っているんだって 言ってやろうとも思ったんだけど、リーゼや母さん、俺の家族はみんな、俺が魔王を討伐できるほど強くないと分かってくれてるんだ。俺に無理をして欲しくはない って言ってくれてるし、母さんなんか 俺が無茶をするのを止める為に、必死に勉強をしてくれてる そんな人達を見ていると 俺が強くならないと って思うんだよ。母さんの為にも 父さんみたいな優しい大人になれるように頑張らないとってね」俺のその言葉を聞いて大男は笑っていたのであった

「なるほどな。お前の考えはよくわかったよ。俺はさ、別にそんなに 強い人間が好きなわけじゃ無いんだ。俺よりも強い人間はごまんといる。でもさ それでも俺は守りたかったんだよ。何よりも大事な者をね。まあ、そんな事を言っているけど 和輝は強いから安心はしていた。だってさ、お前は 本当に強かったからな。お前を護るために戦える事が嬉しかった。そんな時に、魔王が俺の前に現れてさ

『私は和輝と共に歩む。和輝と一緒に居たい。だから私も一緒に連れて行くんだ』

そう告げられて 俺は迷った。だって、俺は お前が好きなんだからな。まあ その時にさ、あの時 和輝とリーザちゃんは2人だけの空間を作ってたから 俺は邪魔になるかな?と思ったけど お前らが、これからもずっと仲良く生きていってほしいと願ってさ そんな想いを伝えに行った。そしたらよ。お前らさ。凄くいい雰囲気で、まるで恋人みたいじゃねぇか 俺はそれが羨ましかったんだよなぁ。だから 和輝には俺と一緒に魔王を倒してもらおうと思っていたんだ。俺がお前らの事を守ってやるんだ そんな気持ちで 俺は魔王と戦っていたんだよ」そう言うと その男は、泣き出してしまったので 俺は「悪かった。そこまで考えてあげてなくて お前の事を信じてなかった。俺はさ、自分よりも強い相手なんて存在しない そう考えていたから 正直 悔しくて、仕方が無かったんだ。だから 俺よりも強い存在がいる事を認めたくは無かった」なんて事を、その男の肩に両手を置き 優しく撫でてやったら「お前は 優しすぎる。俺が女だったら惚れちまってたかもな」そんな事を口にしたので俺は思わず吹き出しそうになったが「それは困るかもな。なんせ俺は男だしな。だから俺とリーゼの間に 割って入るのなら俺は容赦はしないぞ?」そう口にした瞬間、その男の顔色が真っ青になった

「じょ、冗談に決まってんだろ。俺はホモじゃねぇんだから」

「ははは。だよな」なんて会話をしている最中 魔王は少し恥ずかしそうな表情をしていた どうやら魔王も、今のやり取りが照れくさかったのだろう 俺達はそれからしばらく雑談をしたのちに 俺は家路につこうとしたら「なぁ 俺達も仲間に入れてくれよ」

勇者と大男のパーティの全員が俺とリーゼの元に歩み寄ってきたのである

「うん?別に構わないけど。でも 君達に魔王の相手をさせるつもりは無いよ。魔王の力は俺と同等だから それに魔王の攻撃手段は、全て把握済みだから」俺がそう口にすると勇者は「へぇー。お前、俺のステータス覗けるようになってたのか?」なんて言葉を返してくると 俺の後ろにいたはずのリーゼとリリアナ母さんの姿が無くなっており 俺は慌てて周りを確認すると、俺の背後に魔王とリーゼとリリアナ母は立っており、「お、おい。まさかとは思うが お前の本当の目的ってさ 俺の背後を取り攻撃する為の囮として使う為だけなんじゃ無いよな?」

「んなわきゃないでしょーが。あんたがどれだけ強くなったのか試してみたのよ」なんて言葉を聞きながら俺はため息をつくのであった。

俺は、今、魔王の側近と そして俺の両親と食事会なるものを行っていた。

ちなみにだけど、この部屋は俺の部屋だ。

リーゼやリリアナお母さんが家に住み始めてからも この部屋は、リーゼ達が泊まりに来た時に、使って貰おうと思っていたのもあって リー

「ふふ。相変わらずの美味しい料理だ。毎日食べても飽きる事が無い な」

そんな事を言う魔王の目の前には、色鮮やかな料理の数々が並んでいる。そして

「ほぉー。これはなかなか面白い食材を使っているのだな」

そんな事を呟きながら目の前に置かれた小瓶を眺めていた魔王。

「それは、エルフの作った調味料なんです。確かその中身は魚醤ですよね?それはそのままかけても勿論良いのですが、こうしてサラダなどに振りかけると風味が増すんですよ」

魔王の言葉を受けて魔王の隣に座る勇者と 俺の両親は、楽しそうに語り合っていた 俺は、俺と魔王以外の4人が楽しく食事をしているのを見ながら この魔王ってのは、一体何を考えているのだろうかと不思議に感じた。

そして

「そういえば魔王はさ、勇者である和輝くんと戦う事に躊躇しているような気がするんだけど それって もしかしたら和輝と仲良くなりたいとは思っているのかな?それとさ、どうして俺の頭の中には こんなにも和輝の情報が流れ込んで来るのさ」

そんな疑問を口にしてみたところ リリアナ母が リリ「あははは。それ、多分、私の仕業です。リリアナとリリィとリーゼの3人で話し合って あなたに、魔王様を殺させない様に あなたを魔王の力で操れないようにするには、魔王を封印する事が一番だと考えましたの」

俺の頭を軽く叩きながらそんな事を告げるリリアナ母。そして

「私も同じ意見でした。魔王さまは和輝と友達になりたいと思っていましたが、やはり私達の事を考えて下さり、和輝の事を本気で殺す気だったと思います。そんな事はさせたくないって気持ちはあったのですが それでも やっぱり魔王さまの力を利用すれば世界を征服する事が出来る。その力があれば和輝や私達の家族を守る事も出来るんじゃないか?と心のどこかでは考えていました。なので私は、魔王の力と知識を得る為に 自分の魂に魔王の一部を刻み込んだのです。その時に 魔王から和輝に対して攻撃をしない限り、私はあなたの側にいる資格がないと考え、私自身を あなたが倒した敵が所持していた魔剣の柄の中へと封じ込める事にしました。そんな私の行動を魔王は理解してくれたのだと感じています」

魔王の力の一部を手にする事により魔王の記憶や能力の殆どが俺の中に流れ込んでくるようになってしまったらしい

「なぁ。魔王の力を手にした俺を、君はどう思っている?俺を 魔王の手先にでもしようと思っているのか?それとも もう俺に力を与えるのは嫌だとか、そんな事を思ってしまったのかな?」俺が魔王の力を手に入れてからの日々を思い返せば魔王はそんなに嫌そうにしている訳でもないのだが、一応は聞いておかなければならない事だと思い そう問いかけてみると 魔王は リリ

「そんな事はありません。ただ あなたが魔王の力を手に入れた時 その力に恐怖を覚えているかもしれないと、その不安が拭いきれなかっただけです」

「そうか。そんなに心配しなくても、俺は君を裏切る事なんて絶対にありえないよ。もし仮に俺が 君の事を嫌って、殺したいと考えてしまったとしても 俺はきっと、魔王を殺すという選択肢を選ぶ事はできないよ。俺はさ、自分の大切な人の事を守りたいって思う。でも それはさ 自分の大切な人達も守れなくなってしまう可能性がある と分かっていてもだよ。だからさ 魔王の力を手にいれた俺も 君と同じように その力は必要だと思うし だからこそ、俺は 自分が魔王の力を使い 世界を支配してしまう前に、どうにかして魔王の力を奪い取り それを無効化できる方法がないものかを探さないといけないんだ」

そんな風に決意を口にした俺であったが、魔王から伝わってきた感情は、魔王が俺に対して持っている想いがどんなものなのかが はっきりと分かるほど強いものだったのである。

魔王は「なぁ。お前、もしかしてさ 本当に、俺と一緒に来てくれるつもりなの?」

俺は魔王の問い掛けに対し、即答をすることが出来ずに少しだけ考える時間が欲しいと言い出したのだが その答えを出すのに必要な時間すら与えられず、すぐに結論を出してくれと急かして来た。だから俺は、俺の心の中にある想いを伝えてやった。俺は魔王を護りたいという強い気持ちをだ。魔王はその俺の気持ちを聞くと涙

「ごめんなさい」と一言謝ったので「何が悪かったってんだよ。俺とお前は同じ想いを持ってんだぜ。だったら、お前の事を恨む理由なんて一つも無いって事だよ」

俺の言葉を聞いた魔王は「そう言ってくれるのか?」と尋ねてきやがったので 俺は

「ああ。お前と俺は親友なんだからな」そう伝えると魔王の瞳からは大量の水滴が溢れ出してくると、俺に向かって抱きついて来て泣きじゃくっていた 俺は魔王が泣き止むまで優しく抱きしめ続けてやる。そんな光景を見た俺とリーゼ、リリアナ、勇者、大男、リリ母さん、リリ父さん 皆が優しい眼差しで俺たち

「さっきさ、俺は魔王の事が好きなんじゃないかって思ったんだけど、魔王ってば俺の心を読めるんでしょ?なら俺の気持ちも知っているはずだよね?」

俺は、魔王の事が好きで、恋愛的な意味でも好きだって事を伝えると リリ「うふふー。そうなんだ。へぇー。そっか。龍斗ってばリリアナちゃんとリリアナさんのお父さんと大好きな二人の女の子達がいるのにも関わらず 魔王様が好きだったなんて知らなかったな」と口にしたので「おいこら、俺にはリーゼも、リリアナも、リーゼの親父さんも居るだろうが!それにな お前だってリーゼとリーリアの母なんだぞ。リリアナとリーリアの父親もお前な訳だし なんつーかさ、お前は俺の妻の一人でもある訳だから、もっと堂々としていろって話だろ。なんつーのさ 俺と魔王とリリィはさ 家族ってのに当てはまると俺は思うし、家族の中で誰が一番って話をするんであれば そりゃ俺にとっては当然 俺の家族で在るお前になるんだしさ 俺としてはさ もっと自信を持てって感じなんだよな」俺の言葉を受けて魔王は俺の胸に顔を押し付けてくると再び激しく号泣してしまう

「魔王さま 私もあなたの気持ちはよくわかりますよ。私があなたの立場になったとしても同じ事をしますよ。あなたは、私の娘であり、娘と同じ立場のリーゼが あなたの命を救ったんですよ。私にとってもリーゼはとても大事な子なんです」

そんなリリアナ母さんの言葉を耳にしながら、魔王の気持ちを理解しようと試みるが 俺の頭では上手く理解することができず 困っている俺を見兼ねたのか

「龍ちゃん。難しく考えなくて良いんだよ。リリィにとってあなたが かけがえのない存在であるように 私にとっても、あなたは大切な息子なの。だからあなたが、この先、どのような選択をしていこうが私は、あなたが望むのならば ずっと側にいてあげるし、あなたが道を間違えそうになった時には、その過ちを止めるのが、私の役割なの」

リリ母さんは そんな意味深な事を言うと、まるで母親が小さな子供をあやすかのように魔王の頭を撫でながら魔王が泣いてしまう度に、何度も俺に謝罪を繰り返していたのであった。

俺は今 俺が異世界転移する前の世界に戻るための準備を進めていた。と言ってもそんなに難しいことではないのだが 俺のスキルを使えばいつでも元の世界に戻れるからね。

だけど 今は魔王の側近 リリアナ母さんが、魔王の代わりに世界の統治をしているわけで

「もしもさ、魔王さまがこの世界のどこかにいるって知られたりした場合って もしかしたら あの人達はまた魔王さまを捕らえに来るんじゃ無いかな?」

そんな心配をしながら 俺は魔王を元の世界に戻す為の準備を進めていたのだ。すると俺の考えを読み取った魔王は「その可能性はかなり高いと予想されています」と言うのだった。そして「魔王さまは、魔王様が魔王の力を手にした時のことを覚えている?あれってさ、どうやって魔王の力を手に入れたの?」

魔王の力を手に入れた方法について詳しく聞いてみたのだ。

魔王が手に入れた力の根源は 神 そのものを自分の中に宿してしまった事によって 自分の力だけで自分の魂を消滅させた事で 自分の力の一部を切り離し 魔王の力をその力の一部を自分の身体に埋め込んだ事が原因のようだ。なので、その部分を切除すれば俺でも魔王の力を扱うことが出来るって事らしい。俺はそんな事をしている場合じゃないと思い 魔王の身体に手を伸ばそうとするのだが そんな時、魔王は「私は魔王である前に1人の女性なので、そんなに簡単に肌を見せるなんて事は出来ないので無理にでも脱がそうとしたりしたら 私に酷い事をしたってお姉さま方に言いつけてやりますから」と、そんな事を

「魔王さま。俺はさ もう魔王の力が使えなくてもいいやって考えているんだよね。だから 魔王の力を手に入れる為に使った物なんか要らないから捨てちまえ。それでも魔王の力は消えないかもしれないけど、その時はその時だよ」

俺はそんな言葉を口にしたのであるが 魔王は「それでは あまりにも申し訳なさすぎるのです」

そんな気持ちを魔王から伝えられてしまうと俺は魔王にお願いをした。「そんなに気になるんだったら 魔王さまが俺を好きになってくれたら、俺に全てを預けて欲しい」そんな風に俺の思いを伝えたのだよ。

そんな俺の発言に対して魔王の反応が鈍かったりする訳でもなく、「それでは私の方も少しだけ、わがままな部分を見せさせてもらいますね。これから言う事は嘘偽りが無い真実の話です。私の願いは、貴方と共に歩む道ではなく 私の力を受け継ぐ者の誕生なのです。つまり 私の魂が朽ち果てた後でも貴方と添い遂げたいと願う その想いは私の心に深く刻まれたものです」

魔王はそんな風に語り始めると、その話は、まだ見ぬ未来の子孫達に向けたものであった。そんな魔王が語る未来の子供達が生きるために必要な能力を身に付ける為の条件を纏めてみれば 1)魔剣の所有者 2)女神の加護 3)精霊の祝福 4)英雄の血族 5)運命の塔 6)七色の扉を開く鍵 7)真祖の呪いを解く

「魔王。俺は、君のその話を聞いた上で言わせてもらうとさ、君はさ、やっぱり人間と仲良くなってさ、その人と結ばれてほしいと俺は思ってしまうんだよね。だからさ 俺は君に俺が生きている間は、魔王の力はいらないって思っていてもさ、君に俺が死ぬ時に魔王の力を譲るっていう形をとってもらいたいと思ってるんだ。俺は魔王が大切で、君のことをとても愛していて 君のことを誰よりも大事にしたいって思うんだよ。こんなにも誰かを愛して、大切って思った事は初めてなんだよ。俺はさ、自分の大切な人には幸せであって欲しいと思うんだよね。それはさ、自分じゃなく、大切な人が幸せになる事が、自分が幸せなんだ。俺って欲張りだから、沢山の人を笑顔にできたらって考えて行動していたらいつの間にか王様みたいな感じになっているしね。だから、俺は自分が大切だと思う人に幸せになって欲しい。だからこそ俺は 俺は 自分が大切な人の事を大切に出来なくなってしまった時点で俺は大切な人から笑顔を奪う存在になり得るとそう考えたら俺は 魔王 お前のことを守り抜きたい。その想いだけが今の俺の心の支えになっていて 俺を支えてくれてるんだ」

魔王が口にしたのは 俺との別れが近いという予言めいたものであり 魔王は「私は、あなたのことを愛してしまってから、ずっと後悔していました。どうしてもっと素直になれなかったのだろうと、あなたと初めて出会った時の気持ちを思い出したかったって、ずっと考えていてやっと最近になってようやく思い出せてきたのですよ」魔王は俺の頬に触れると「私が、あなたの事が大好きだ。って、あなたのことが世界で誰より大好きだ。って 伝えたくて 伝えたくって ずっと伝え続けてきましたよね?あれ 本当だったんですよ。私があなたと出会えたのは偶然だったとしても、それから私が今まで過ごしてきた時間の中で、あなたの優しさに触れ続けていきながら、私の気持ちが大きくなっていくのを感じていく中で 私もいつしかあなたのことが好きで好きでたまらないようになってしまい どうしようもないほど大好きなあなたを どうしても独り占めにしたくなったんです。

あなたには 私以外 必要ないって 私はあなただけのモノであり、他の女性達と結ばれるような事をされては困ると私はあなたを独占したくなり あなたと二人きりの時間を増やしていき あなたが私だけを 私だけに優しい瞳を向けてくれるようになるまで私は 私自身に暗示をかけてあなたに対する好意を隠すことにしました。

本当はあなたに、私だけを好きになって貰えるようになってから私も あなたの事を愛する事にした方が良いとわかっていたけれど でも、あなたに少しでも早く私の事を女としてみて欲しいと思った私は、我慢が出来ずに 先にあなたに好きって告げてしまった。その結果が 今の状況を作りあげてしまったんだ」と

「俺も 最初はね 魔王が魔王で無くなれば、きっと俺も普通に生きていくことができるようになるだろうと思っていたんだよ。だから、もしもさ、もしもだよ。魔王が俺と夫婦になりたいって言ってくれるのであればさ、魔王の夫に俺はなりたいと本気で思うんだ」と、そんな俺の言葉を受けた魔王は俺に甘えてくると、抱きついてきてはキスをしてきたのだ。

そんな魔王が「私は あなたと、あなたと一緒に生きて行きたい。この命尽きる瞬間までもあなたと共に過ごしたい」と 俺の目を見ながら

「私にとって 魔王の力は そんなに重要なものじゃないんだよ。あなたさえ居ればそれで良い。ただ それだけなんだ。あなたと一緒だったら 例えどんな過酷な世界だって乗り越えられる。私を孤独の暗闇から救いだしてくれた あなたが傍にいるだけで私は強くなれるような気がする。そんな事を考えながら私は 自分の身体から 少しずつ 何かが抜け落ちていく感覚を感じていたのだ。だけど私はそれが何なのかが分からずにいて ただ不安に怯えていただけだった。私は怖かったよ。私の中から大切な物が零れ落ちる度に 私の身体が私では無くなっていく まるで 私の身体を使って別の者が、その器で動き出すかのように 私は私の人格が消え去るのが怖い だけど、そんな恐怖を拭い去ってくれたあなたを手放すつもりは無い もう私は絶対にこの身が滅びるまではあなたから離れる気なんてない もしもこの場から離れなければいけなくなった時は一緒に着いて行く覚悟は既にできている 私は魔王でありながらあなたの妻となる為に生まれ変わるのだから」

魔王の言っている意味は良く理解できなかったのだが 彼女は真剣にその話をしてくれていることだけはわかる。そして 俺の心の中が暖かく満たされている事もあって彼女の願いを受け入れることにしたのだ。するとそんなタイミングを見計らったかのようにリリ母さんが俺の前に姿を見せて リリ母さんは 突然 俺の事をぎゅっと抱きしめると、そのまま俺に優しく口づけをしてくるのだった。

そんな事をしていると魔王の側近である女性が姿を現すと「魔王様、その、先程の件で あの方からの伝言があります」そんな

「その話は後にして 魔王は俺が連れて帰っちゃうから」と そんな言葉を口にしてしまうと魔王の返事を待たずに、その世界へと魔王を連れて帰る事に成功してしまうのであった。そんな事をしてしまった俺の身体からは 一気に力が抜けたかのようなそんな感覚に陥るのだが、それでも何とかその場に留まろうと必死で踏ん張ろうとするも、やはり耐える事ができずにその場で意識を失ってしまうのである。

目を覚ますとそこは魔王城にある自分の寝室で そこで寝かされていたみたいである。俺はそんな事よりも魔王は無事だろうかと そんな事を考えているのだが 俺の部屋に誰かが訪れたらしく、俺の視界には魔王の姿が入ってきた。

「私を助けてくれた事は本当に感謝します。ですが貴方にはもう十分に過ぎるほどの報酬を受け取っているのだから無理をするなと言っておきますね」魔王の態度はいつもと変わらなかった。だから俺は彼女に言うのだよ「無理なんかしてないし、俺は助けたかったんだからしょうがないじゃん」と 俺はそう口にしながら部屋を後にしようとすると 彼女がこう言ってきた。「私あなたの妻にして下さい。そうでなければ嫌です」そんな風に そんな言葉を聞いてしまったら 俺は彼女を抱き締めてしまい 魔王は 俺を受け入れてしまうのだった。

それから魔王の願いを聞き入れた俺達の関係は更に深い関係になっていき。俺は 自分の娘を授かる事になるとは思いもしなかったのである。

魔王との愛し合った夜から1ヶ月ほど経過した。そんな時俺は リリスに呼ばれて屋敷に呼び出されたのである。何でも 最近 魔物達の数が目に見えて減っているそうだ その為 魔王と相談したところ 魔族の数を増やす計画を発動させたらしい なので俺に頼みごとがあると、魔王と仲良しの精霊達に相談をして

「私の娘達を鍛えて欲しい」

と、そう言われた俺は魔王の娘であるリリムちゃんと会う事になった。

そして俺達は精霊達が暮らす村へと向かうのであった。俺達を出迎えたのは精霊の中でも上位にあたる 水精霊達だった 俺は精霊王と会話を交わすのは始めてだったが 魔王は以前から面識があって色々とお世話になっていたようだ 俺の知らない間に、いつの間にか魔王と精霊王が顔見知りとなっていたのだから驚いてしまうのは当然だろう?精霊王は魔王と仲良くなって以来 定期的に遊びに来てくれており、そのおかげで 魔王の悩みとかも聞く機会が増えたのだと魔王は言っていた そして 俺は魔王の子供達に、これからは

「お父さんって呼んでいいんだよ?」って そんな事を伝えてあげようとしたんだよね。

そんな風に 精霊王に子供達を紹介して貰って子供達と挨拶を交わしたり、子供達に訓練をつけてほしいと言われた俺は 早速 子供達に俺のスキルを見せてあげることにすると 子供でも 既に自分の持っている能力について知っている事も多く。自分のステータスを見て 確認したいことはしっかりと把握していたので すぐに戦闘態勢を整える事ができていた。そんなこんなで最初の頃こそ苦戦していたが 数日経過するころにはかなり動けるようになり。俺も、かなり加減して戦ったりしたんだけれど。最終的には俺と模擬戦しても勝てるぐらいに強くなっていた。魔王との子供は 全員がチート持ちなのだから、当たり前と言えば 当たり前なのかも知れないけれど そう

「私達と本気で殺し合ってみない」と、俺の事を殺せるかもしれないと本気で考えたのかは解らないが そういう事を口にして 俺の事を襲ってくるのだから それはさすがに危険だと思ったから とりあえずは俺が相手になるとだけ伝えたのだ。俺の言葉を聞いた 子供達は俺の事を殺しにきたのだが、あまりにも弱いから少しばかり本気を出しただけで俺を殺すと口にした子まで出てきていたのだから驚きである。だけど 俺は殺すつもりは無かったんだけどね それじゃあ、本気出してみるかなぁ? それからしばらくの間 俺も本気を出すとどうなるかを、俺自身試していくことになった。本気出しただけで殺され

「やっぱり勇者は強かった」と 言われても困るわけだし そう思った時に俺の中に居る 魔王の存在が目に入った。

今の魔王には俺が力を貸す必要が無いほど強いはずなのに、魔王には 何か俺の助けが必要な事があるようなそんな気がしたからだ。そして案の定というか、なんというべきか 魔王には この先の戦いで俺が手を貸してくれることが予想できたらしく この先の世界で何が起きようと 全て対処する為に必要な

「力」が欲しいと言うので 俺が「魔王に俺の力の一部を渡すと魔王の魂と俺の肉体は融合されるだろうけど大丈夫なのか?」と、俺は魔王に伝えた。だけど、魔王はそれについては覚悟をしているようで、魔王は

「あなたならきっと、私の事を助けてくれる。そんな気がします。だから、私は貴方の事が大好きになりました。だから私も、私に全てを託してくれる貴方を信じて、私は私として あなたの事を愛し続けて行きたいと思っています」と言ってくれた。

魔王はそんな言葉を言ってくれるのと同時に俺の唇を奪い、キスをしたのだった。そして俺の力の一部は魔王の身体へと移って行く。その力は魔王の中で覚醒

「この日の為に私は生きてきた。私は勇者の力を手に入れ あなたと一緒に生きて行きたい。私に、あなたを救わせて そして、あなたと二人で幸せに暮らさせて」そう言うと 魔王は俺に甘え始める

「あなたに会えてよかった」と、嬉しそうに微笑む魔王を俺は抱きしめてあげる

「俺の方こそありがとう。これからもよろしくな」そうして 二人は夫婦になるのである。そんな魔王との甘い生活が これからは始まる。そんな予感がする 魔王

「私に全てを託してくれてありがとう。これで 私も、本当の意味で、やっと救われたのかもしれません。これからもずっと、私の事を大切にしてくれますか?」と、尋ねてくる魔王に

「ああ これからも一緒に居よう 俺はお前を一人にするつもりは無い 絶対に離したりしないから、安心しろよ。俺と、この先 どんな困難が訪れようと 一緒に立ち向かっていこう」と 俺はそう伝える

「うん。私は絶対に あなたから離れたくない。あなたさえ居てくれれば 他に何もいりません」

魔王は俺の手を取ると、俺に優しく触れていく。俺は魔王の手をそっと握り返し 魔王の気持ちに応え

「俺はもう二度と、大切な家族を失いたくはないんだ。たとえそれが 神であっても俺は全力で戦い、そして勝つ 相手が誰であろうと 例え神様でも、俺は 俺は俺が信じてやれる存在を守り抜く」そんな言葉を口にした。すると魔王は「ありがとう。嬉しいです。それにしても どうしてリュウトは あの時 私のことを助けてくれたのですか?」

俺は正直に答える。魔王の事を俺は助けたいと心から思っての行動であったと。

魔王はその言葉を聞くと、「ふふっ。そうだったんですか。では 改めて言わせて下さい。私は、私の名前はリリムと言います。これから、宜しくお願いします」そう言うと、リ

「ああ、こちらこそ頼むな」

魔王改めリリムは笑顔を浮かべながらこう口にしたのである リュウトも、あの人のことを好きなんじゃないの?と聞いてみたのです。その問いかけに、彼は一瞬考え込んでしまった。それは、彼の心に少なからず迷いが生じている事を物語っていて

(これは、ひょっとしたら脈アリかしら?)そんな風に思うのですが、同時に私自身も不安を感じている訳でして、もし、仮に彼が、その人を選んだ場合、私が邪魔になってしまうんじゃないかとか、色々と考えてしまい、中々一歩が踏み出せなくなってしまったのですよね その事に悩んでいた時でしたので余計に彼から答えを聞きたかったのですよ ただそんな状況だったのでしょうね?

「まあ、なんだ 魔王とは一応は上手く付き合っていくつもりだ だから心配しなくても良い それより魔王の娘を鍛えるのは問題無いだろう?」

その言葉に思わず頬を赤らめてしまった。だって「魔王とは一応は上手く付き合いますし、ちゃんとお嫁さんにするんだし、娘を鍛える事に関してもちゃんとするし だから、そのぉ、あんまり意識させないでほしいかなぁ」と。つい口からこぼれてしまった。恥ずかしくなってしまい俯いていると「別にリリスが悪い訳ではないぞ リリスとの事は俺も真剣だし大事にしたいと思っている でも、だからこそ焦っても仕方が無いと思えるからこそ俺は俺なりに頑張って行くんだよリリスの事もリリシスのこともな」と、そう言ってくれて そして「リリムちゃん達 鍛えるって話は、魔王が俺に任せると 言ってきた話だったからさ ちゃんとその期待に応えるからさ それで 俺の頼みも ちゃんと聞いてくれないか?」と 私に対して こんな事を伝えてきてくれたのだから 私は嬉しくなり、その願いを受け入れるのであった そして、私は、彼と別れ 水精霊達に挨拶をした後に、そのまま精霊王の所に向かうと そこには、精霊王だけではなく、精霊姫も一緒に来ており、どうしたの? 精霊王様に呼ばれたから来てみたんだけど。と聞くと「私もね?君に聞きたいことがあったんだよ」と、言われたのだ。なんだろうと思っていたのだけれど「単刀直入に聞くけど、君の事を僕は知っているんだよ?僕と同じ転生者でしょ」と、聞かれてしまう「私ね。君には凄く興味があったんだよね」と言われて戸惑っている私の顔を覗き込んできた。それから精霊王は微笑みながら「大丈夫だよ。別に怒ったりする理由もないでしょ?でも 本当に君は不思議だよね 僕と同じように前世の記憶を持っているなんて」と言ってくるので 精霊王は一体、どこまでを知っているのかしら そう思ってしまう

「う~ん。なんでそう思ったのかはわからないんだけれど。私が前世の記憶を持っていた事と そして、異世界帰りで この世界に戻って来たっていう事を知っていたからなの?」

そう尋ねると「やっぱり、そうだったんだ。まあね 君には、少しばかり教えないといけない事が有るかもな」と言うのだけど そんな私に「まずは一つ目だ この世界に帰ってこれたことに感謝してあげて欲しい。この世界を滅ぼそうとしていたのは間違いなく僕の仲間だからさ」と そんな事を言う 私は驚きを隠せない。確かに、魔王の側にも仲間がいるとは思っていたのだけれど。それについては納得している。だから魔王に会えば 私も理解出来る

「そしてもう一つ これから話すことは内緒にしておいて欲しい」と 言われるのだけど 私としても、気になっていたことではあったのだから その提案を受け容れ 私はその言葉に耳を傾ける

「じゃあ、とりあえず まずは最初に謝らせて欲しい ごめん。僕がこの世界を滅ぼすように唆されていたから それは紛れも無い事実だった。だけど 君が、魔王である彼女が僕にとってどんな存在か そんな彼女の事を良く知りもしないうちに 勝手に君と会って決め付けていた そして、魔王の側についても大丈夫だと勝手に思い込んでいた そのせいで、魔王のことを救えず、彼女を死なせてしまった。僕の力不足の せいで、彼女は死んでしまった 魔王だけじゃない。この世界で 彼女を助けてあげられなかった そして、勇者の魂を持っていても救えなかった。結局、誰も守れなかった 魔王を助ける為に戦っていたというのに」と そう言うと泣き始めてしまい そんな彼の姿を見ているだけで私の胸も張り裂けそうな気持ちになってしまった

「それでも。俺は 俺だけは、あいつの想いを無駄にしないと それだけは絶対に守り通すと、誓える。絶対に忘れない だから お前には感謝をしている」と、俺に向かってそう言ってくれた。

そして、俺と魔王の娘との模擬戦の日々が始まるのだが、その日を境にして、俺と魔王の娘である、リーサとの訓練が本格化していく

「では これから、貴方の事を見極めさせて頂きます」と言ってきたので、俺の剣の腕を見せてやる。と意気込んだまでは良かったが 魔王は手加減してくれているとはいえ その実力差は明らかであり 俺の体捌きがまるでなっていない事を思い知らされただけであった そんな訳で「まあ 最初からそんな感じだったからな。俺は勇者の力と魔王の力が融合された チート能力持ちだ。簡単に勝てる訳がない そんな訳だ これから毎日特訓するぞ 俺もまだまだ強くなりたいからな」

と 俺はそんな言葉を魔王に投げかけてみると 魔王も笑顔を見せながら

「はい 分かりました。私もこれからはリュウトと一緒なのです。だから頑張るのですよ」

と やる気を満ち溢れさせながらそう言うと その日の夜から早速訓練を始めてくれるのであった。

しかし、ここで俺に衝撃の出来事が起こってしまう 魔王と一緒に食事をして、風呂に入っている最中 俺が脱衣場に戻ると、そこに魔王がいた。

俺と魔王が互いに固まったまま、数秒が経過してしまい。そこで俺は慌てて「な、な、なんで お、お前がここに居るんだ!?」「そ、そ、そっちこそ!!どうして入って来るんです!!」と お互いがお互いに大声で叫び合い。

そして魔王の方は、裸を隠すのが精一杯のようで、俺に背を向け

「ど、どっから、はい、入ってきたのよ」と聞いてきて 俺は素直に答えていく。と 俺は、俺の言葉に呆然としてしまう。

魔王が

「そっか。そっ、なんだ。そんな理由だったんだ。そ、そりゃ、そうだよね。私みたいな ちんちくりんに興味なんか ある訳がないもの」とか言い出し始めたので

「何が、言いたいんだ?」

と尋ねてみると

「だって。リュウトは 私が魔王だから 仕方なく、その役目として、一緒に居てくれているんでしょ?」とか口にしてくるので 俺はそんな訳ないだろうと、否定し「あのな リリム。俺は魔王だから一緒に居たいと思ったんじゃないし ましてや魔王の娘だからとかでもない。俺自身の意志で 俺は 俺の意志で、一緒にいたいから、今こうして行動を共にして 一緒に生活を送っているんだ」そう言うと 魔王の肩をつかみ こちらを向かせ

「リリムの事は嫌いでも 俺の事は好きでいてもらえるなら それに越したことはない」と伝えると「うん。ありがとう。私も好きだよ。ずっと。私の初めてを貰って欲しいくらいにね。でも今は無理かな?」と言ってくれるので、その言葉に対して「

まだ早いと思うからさ。俺もそういう事に関して経験は無いし 俺自身、リリムを、大切にしたいと、心から思えるから もっと時間をかければ、きっと大丈夫だろうし。焦らなくて良い 焦らなくても良いからさ」

と伝えておく。

すると そんな俺に対して

「焦りたくないけど 私 もう我慢できないかもしれない。だって 好きな人に抱きしめられているとね?私、ドキドキしちゃうから その、変なところ触らないでよね」

なんて言われてしまう 俺は、俺の顔は多分真っ赤になり

「わ、悪い すぐに離れる。その 俺は、別に、そう言ったつもりは、無かったんだが」

俺は、慌てながら リリムに背中を押されて外に出されてしまい。扉越しに魔王から「バカ。出てけ。こ、子供に、こんな事を言われたって。困るくせに」と言われると、何も言えない。確かにそうなのだ。だが 俺は俺の本心をちゃんと話してきたのだ。だから ちゃんと向き合おう。ちゃんと魔王とも そして魔王をちゃんと助けようと そう思ったのだ

「魔王、ちょっと話がある。開けても大丈夫か?」

「うん。どうせまた 恥ずかしくて顔合わせられなくなるし その前に、リュウトとお話ししておきたかったし」

「俺も話しておきたい事があったし丁度良かった」

「じゃあ 入ってきていいのだよ」

そして 俺と魔王は2人並んで テーブルに座り、話を始める まずは、この世界で起きている異変についてだ 俺と、魔王の娘、リーサとの戦いが始まった翌日から数日の間 この世界には魔物と呼ばれる生物が現れるようになっていた

「魔王の娘が召喚した魔族達は 皆一様に人間を襲うように命令を受けているみたいだし。まあ 俺としても その件に関しては特に思うこともないが。だけど問題はここから先だ」と俺は話を繋げていく 俺は、まず、最初に俺達がこの世界に帰ってきた時 和輝が魔王の娘と戦っていることを告げてくるのだが、俺達も魔王と戦う為 そして元の世界に帰る為に魔王城に向かい。そして魔王と戦った。その結果、なんとか勝つことはできたのだが、魔王が倒れてしまい「魔王。君はどうして魔王になったんだ?」と聞く それに対して魔王は「私 お父さんの事 あんまり知らないの いつも仕事ばっかりで家にいない たまに帰ってきたと思ったら、お母さんが作ってくれたご飯に 手をつけることもしないで、そのまま書斎に入って そして1日 ほとんど部屋から出てきません」

魔王が言うように 俺は魔王の親父さんの事を知らないのである そんな訳だから魔王の事も分からなかった そんな訳だ。と 俺は魔王の話を聞いたあと「そろそろ行こうぜ あいつらも心配している頃だしさ」と魔王の手を引き走り始める そんな訳だ

「なあ 魔王ってさ どうして魔王になろうとしたんだよ」と俺が聞いてみると

「ん~。最初は 私と 母さんを 捨てていった父の事を嫌っていたから。それから、そんな父のようになりたくなかったからかなぁ」と答えると 俺は「なるほどな。確かに俺の世界でも、虐待されている子供が 大人になるにつれ。暴力を振るうようになった。そんな例が無いわけじゃないからな。気持ちは分かるよ」と言ってしまう すると そんな俺を見て「そ、それだけなのかしら その。本当は 私が魔王になってしまった事で 父が死んでしまい それどころか、魔王の力を手に入れた私は、自分がこの世界で どんな存在になって どんな風に思われるのか、それを知って欲しかっただけかもしれません」と、魔王がそう言ってくる

「そうだったか ごめんな 辛いことを思い出させてしまった」

「ううん。いいのですよ。それにリュウトも 和くんと別れる原因を作った私を恨んでいるんでしょう」と聞かれてしまった そんな魔王に対して俺は

「いや 別に恨みとかはないな。確かに俺の世界で俺は両親を失った だけど、それでも、両親は俺の為に生きてくれている そう信じているし。だから 俺には両親が遺してくれた妹が居てくれたし。そのせいか。そこまで悲しみもなかった」

「リュウトの家族って。もしかして」と、その言葉で俺は 目の前に居る娘は もしかしたら俺と同じ境遇なのでは?と思い始めてしまい。

そして、それは間違っていなかった。なぜなら、彼女の父親も

「魔王だったのよ」と言われたのであった

「そっか。同じ魔王同士 色々と大変だな」と言うと「まあ、仕方ないかなって思ってます。それよりも、これからどうします?」と言われてしまう。

そんな魔王の言葉に俺は少し考え込んで「俺が元の世界に戻れたのは 和輝が俺達の事を、助けたい。と強く願っていたからだ。ならば、魔王の父親が居なくなった今 魔王の娘であるお前が死ねば。もしかすれば、帰れるようになるかもしれない」と言ってみる すると「でも。そうなってしまった場合。私の力は完全に消滅し。二度と帰る事は出来ないでしょう」と言われる 俺は、魔王に向かって「魔王はそれで構わないのか」と

「えっ!? なんで!?」と 驚いてくる魔王に「魔王だって分かっていても やっぱりさ。お前はまだ、小さな女の子にしか見えないし。お前を、このまま放っておけないよ。だって 魔王だって。ただの娘で 家族が恋しい 寂しがり屋で、優しい子なのに その魔王ってのは、俺の世界でも。俺の住んでいる日本にも、俺の妹に手を出さなければ。俺達に害を加えようとしない限り 何もしなければ平和だったんだ」

そんな事を言うと 魔王は「本当に? 私と、一緒に暮らしてくれるの?」と不安げな顔をする 俺はそんな魔王に対し

「当たり前だろう? 俺が決めたんだからな」

「うん。私と一緒にいてね」と言って 俺を抱きしめてくるので 俺は、魔王を抱き返しながら 俺自身も魔王を強く抱きしめる

「あのな。魔王。もしも俺がさ 自分の世界の。日本で生きていたら お前みたいな、可愛い女の子と知り合いたいと思ってた。でもな 俺には 妹の咲がいるんだ。だからな もしも。もしもだよ。この世界でお前が困っていて、どうしても。そうしなければならない理由があって、お前の事を倒さなければいけない。そんな場面に出くわしてしまったなら。俺は全力で戦わせてもらうから。その辺だけは覚悟していて欲しい。それに、俺が今こうしていられるのは。全てお前のおかげだから。俺もできる範囲でなら協力はするつもりだから」

「うん。分かったよ。ありがとう。私 リュウトのそういうとこ 大好き」と言って俺の胸に顔を埋めてくる その姿を見ていると。俺は魔王に「俺に惚れたのか?」とからかうように言ってみた。

そうしたところ 魔王が急に慌てだし

「ち、違うのよ! ほ、ほら! だって さっきも助けに来てくれたから」と 恥ずかしがりだす 俺は そんな魔王に対して。つい悪戯したくなってしまい。魔王に近づき その体を抱きしめ「魔王。君を、守ってやる。俺は君の勇者だからな」なんて言ってみる

「もう。私だってね。いつまでも子供のままじゃ、ないんですからね」なんて言われてしまう。俺は慌てて 離れようとするのだが、離れられないでおり そのまましばらく時間が過ぎると「ねぇ 魔王とじゃなくてね。名前で呼んでくれると嬉しいかな」と言ってくるので

「わかった。じゃあリーサって呼ばせて貰おうかな」

「じゃあさ。今度は私が リュウって呼びましょうかね」と嬉しそうに笑っている魔王を見ながら「な、なんか 魔王ってイメージとかなり違わないですか?」と言ってしまう

「んふふ まあ、私自身に、戦う力はあまりありませんし。だけど 私の父のような人に出会ってしまえば 話は別になりますし だから 気をつけないとですね。だけど、私は、私なりに、がんばりますので」

そんな事を話し合った後 魔王城から出て俺達は仲間達のもとに戻る するとそこには俺

「あっ。リュウト その。無事で良かったよ」とリリムが言い「おかえりなさいませ。リュウト様」とルシアが挨拶してくると そこに 魔王であるリーサが「みんなにお願いがあるんだけど、いいかしら」と聞いてくるので「俺達は魔王である、あんたに従う。なんでも言ってくれ」と答えてしまう そして魔王であるリーサが「それじゃあ、早速なのですよ」と言い出した時「おい 魔王」と、そこで現れた人物が居たので、リーサに問いかけ「あんた、まさか俺達が知らないうちにこの世界で暴れていたりするんじゃないだろうな?」と聞いてみると 魔王の後ろの方から和輝が現れるのだが「あれは俺の知っている。幼馴染の黒石 一希であって、あの世界に居たときとは違うんだ」と言ってしまう そんな事を言われるのだが 俺は納得出来ずにいるのだが。そんな時に「大丈夫ですわ。私には分かりますもの。彼女は間違いなく、本物のリーサで間違いありませんわよ。それに私達の味方だと証明する為に。わざわざ彼女自らこちらに来ていただいているのです。信じてあげるべきです」と言ってくれ さらに

「私も リーシャさんが本物であると確信しています」と言った後に なぜか胸を張って自慢げな顔で俺のほうを見てくる

「なんだよ。俺の顔がどうだって言うつもりか」と言うと「べ、別に。あなたが私のことをどう思ってくれているのか。それが分かっただけでも、とても幸せだと思っているだけです」とだけ言ってくるのであった 俺はその言葉を聞き「そっか。そんな事言われたのは初めてだったな」とだけ言ってしまう そんな訳だ。そんな感じに 話が進んでいくと「なぁ 龍斗?もしかして。俺の事忘れていない?」と和輝が聞いてきた そんな和輝に対して俺は「ああ。もちろん 覚えているぜ。和」と言うと そんな和に向かって 魔王が抱きつきに行く 和は「魔王!?どうしてここに?」

「私は、あなたと一緒になるために来たんですよ」そんなことを言う魔王に対して 俺は、和が「いや。でも 今は、魔王は倒されたはずだけど」というと和に対して「確かに魔王は倒された だがな。その魔王はお前の妹だったのさ。だから 妹を倒す事になった、魔王に対して責任を感じた俺の父は魔王と共に死ぬことを選び、そして、俺にこう告げて死んだのさ。妹を頼む。俺が死んだ後は、あいつが俺の後を追うように死んでいったはずなんだが、どうやら、俺よりも長く生きれたみたいだ」と話し

「それで、和の所にやって来たってわけか」と、和に対して俺がそう言ってくると 和は そんな魔王を見て「そうなのか」とだけ答えてしまい 俺は思わず呆気にとられてしまう

「なに。お前ってば。その程度の気持ちしかなかったのかよ。って 俺の両親も こんな感じなのか?」と呟いてしまい

「俺はただ 母が、妹を守ってほしいとだけ言って この世界へと旅立った。ただ、その先で、たまたま。魔王として君臨してしまっただけなんだよ。ただ。それでも、俺にとっては、たった1人の妹な訳だし。そんな妹の事を大切に思うのは 当然だろう?」と言ってしまう それ

「当たり前のように言ってるけどな 俺は両親が居なかったから、分からないんだが やっぱり大切な人が居なくなるのは 嫌なものか?」と言うと 和は考え込むように 考え込み始めてしまう 和は「それはそうだろ。家族が、自分を残して死んでしまうのも。自分が先に死ぬ事も どっちにしても残された者は辛い」と言ってしまうと

「そう。だな」と俺はそれだけを言い。それ以上は言わずに黙り込んでしまった。すると 魔王が「リュウトも、きっと私の事を心配してくれてるんですね」と嬉しそうにしながら言ってきた そんな魔王に対し「俺がどう思っていたとしても、どうせ魔王は俺に付いて来るつもりだったんだろう?」と言ってしまうと「まあね」なんて言っていた。すると そんな魔王の服に付いているポケットの中から何かが飛び出すと、魔王に抱きつく その飛び出してきた存在とは、俺が魔王と出会った頃に倒したドラゴンであり。その背中からは妖精族の女王様であるアテナの姿が見える 俺はそんな2人をみて「なんで。アケミまで一緒に来ているんだ?」なんて言ってみる

「あら。私としてはですね。魔王は倒すべき相手ではありましたし、それに、私自身も 魔王は倒さなければならない相手だとも思っていましたし。ただ、その事でリュウトは、私達に恨みを持っていたかもしれませんが、そんなリュウトの心の傷は、魔王リーサが、埋めてくれると信じていましたので」と意味深な事を言ってきてしまって。さらに続けて

「そう。私達は仲間なのですから。リュウトだって 魔王を倒したことで罪悪感を抱いていると思いますし。そんな時は。誰かに相談しなさいよ。私はいつだって。リュウトの傍にいますし、私で良ければいくらでも良い相談に乗りますよ」と、まるで俺の考えを全てお見通しだとでも言うかのような口調で言うと そんな時「私からもお願いしますよ」と、いきなり背後に現れたのは魔王ではなく 魔王の体から飛び出したはずの 精霊神アケミス 彼女は「あなたの事は、最初から分かっていたので。その。私とリーザは、ずっと見守ってきましたし。そんな、あなたなら。きっと、この子を救えるって信じていたのですよ」と言いながら、俺の前に姿を現してくると 魔王に抱かれたままのアテナスが俺にキスしてくると その唇には甘酸っぱい味がするのだが その時にはすでに俺達は元の世界に戻ってきており。しかも、何故か魔王城の庭で俺とリリム、それから 魔王と その娘のアテナは俺達の目の前に存在していたのである 俺と、魔王の娘であるリーサ。その娘でもある リリアとアテスは魔王城から転移してくると「私達もね。あの世界での使命を終えて戻ってきたのですよ」と言い出してきた それだけではなく「なぁ リリスさんは どこにいるんだ?」と 俺の問いかけに対しリーサは 困った表情を浮かべ「あの人はね 今は、私にも会ってくれないので。だから 居場所まではちょっとね」と言ってくるのだった そう言えば俺はあの世界でリーサと出会い戦っている時に気付いたことがあるのだ「なぁ。俺の記憶にある限りでは リーシャが戦った勇者って 和輝の事じゃ無かったか?そう。和輝だ。俺達が居た世界の。和輝だよ。それが何で魔王の娘と戦ってたんだ?」と聞いてみると

「え?そうなのですか。でも、私にもよくわからないんですよ」と言ってきたのだが、俺にはどうしてもリーシャが和の事を知っていたとは思えない だから つい

「俺がリーシャと出会う前にあった戦いの中で、俺達は和と戦ったはずだぞ。

それも、勇者が俺達の味方をしていたはずなんだよ。それが、何でだ?って話になるよな」と俺が言ってしまうと そんな俺達を見ていた リーサが口を開いて

「それは恐らくですが、和が、私の事を魔王と知っていながらも。助けようとしてくださっていて そんな時に私が 彼に助けを求めたのが原因だと思うのです。それがきっかけで 彼の行動も変わっていったのかなって。そう。思ってしまいますよね」とだけ言い出すのであった。

そんな言葉を聞き俺は、リリリスとリーサに これからについて聞くと

「私は、しばらく、あなた達の旅に同行していきたいのですが。どうでしょう?」

と聞かれた時に

「俺達は 構わないんだけど。あんたの仲間だった魔王と、リーザのお父さんが許してくれないだろうな」と俺が答えると「それは、大丈夫じゃないの?ねぇ リーサ?」

と言って リリサがリーサに向かって微笑むのだが

「うん。私には分からないけど。大丈夫かな」

と言ってしまうのであった そして 俺達が魔王城に帰ってくる前に和と連絡を取り合っていたらしく 俺達の話を聞いていたみたいで 和の方は こちらの状況がある程度把握できたらしいのだが

「お前ら3人には悪いけど。しばらくはリーサルと行動を共にするように。それと。お前らは もうこっちに来るな」

と言われてしまい 和は俺達の事が嫌いなんじゃないかと、俺が考えてしまうのだが

「そんな事は無いんだよ。龍斗」と言う和に対して なぜか俺の隣にいた魔王が俺の腕を掴み自分の胸へと押し当ててくる 魔王は、頬を赤くしながら「リュウトはね。私と一緒に居れば幸せなんですよ」

なんて言われてしまうと俺は

「魔王!?なにしてんの!?」

と慌てて言ってしまった。しかし 魔王は そのまま 和に対して

「リュウトをよろしく頼むよ。和」と言うと 俺に対してキスをしてきて。それをみているだけの魔王の父親は、

「いいなぁ。私も 息子が欲しいわね」

と言っていて 俺としては なんと反応して良いのかわからず戸惑ってしまっている そして 和は

「あー まあ、お前らがそう言う関係になってるのは知っているけどさ。一応、まだ未成年なんだし、子供は作らないようにしろよ」なんて事を言ってくれたので俺は安心しているとそんな時でも和の後ろにいた女性が何かを訴えかけようとしていたのに俺は気づくのである

(この女が一体何をしたいのか知らないが 今はやめておけ)と心の中でだけ思ったら俺の考えが通じたのか黙り込んでくれるのだが、その後 和は俺に向けて

「そっちには 俺の息子もいるだろうし。それに その娘だってな。そろそろ親離れしないといけない歳なんだよ。分かるだろう?」と言ってしまうのである。

「なあ 和輝。あんたが俺に言ってる事が理解できないんだが?」と言うと和は、溜息交じりの呆れた声で「俺は リーサの父親であり 同時に、リリィの保護者でもあるわけだし。まあ 簡単に言ってしまえば お前も、リーサも、同じだ。俺の子みたいなもんだろ?」

和がそう言ってくると、俺とリーサ以外のみんなは、和がそう言っている事に納得したかのようにうなずくのであるが 俺はリーサと視線を合わせると リーサが小悪魔のように笑いながら「私と貴方が 同じだとしても、私は 別に気にしないよ」と

「え?どういう意味だ」なんて声を出してしまった瞬間に、突然の出来事が起こる

「私はね。君のような存在と結ばれる運命にあるような気がしていたからね」と言ってリーサの唇を奪った存在が現れたのだ それは紛れもなく魔王であり

「魔王さん!!ダメじゃないか」とリリサが魔王を止めるべく駆け寄るのだが、それを制止したのがアケミさんで、「いいんです」なんて事を言ったかと思うとその腕の中には妖精の女王様であるアテナがおり。さらにアテナが魔王に対し抱きつくのである。それだけでなく 和の妻でありアテナの姉であるアケミスまでもがその魔王に対し抱きつき始めていて。そんな様子を目の当たりにした俺は困惑してしまう

「ちょ、ちょっと待って。俺が 今一番気になっているのは、なんでリリアがそんな事を言ってるか、なんで魔王はアテナを抱き締めているんだ。なんで アテナは、アケミスの方に抱きついてるんだ?」

そんな俺の声に反応したアテナは俺を見つめながら

「私は リーザのお母様なのだから。あなただって、リーザの母親なのですよ」なんて言ってきたのだから

「い、意味がわかんないよ」と、それだけを口にし、さらに続けて「魔王も。そんなにリアナさんを抱きしめたりしなくても 今はリシアさんがいるんだし。それで良いんじゃないの」と言ったら、今度はリシアが近づいてきて

「私だって お母さんになりたいですよ。なのに どうして 私のところにリーアちゃんは来てくれないのですか?そんなにリーアママは 怖い女だと思われてるのかしら?」とか訳の分からない事を言うものだから、リリアさんに目を向けると「私にもわからないです。あの子が 何を望んでいるのかは」と言い出す始末で そんな中で和が口を開く

「なぁ。とりあえずだが。全員 俺の話を聞いてくれないか?」

そんな言葉でみんなの動きを止めてくれたかと思いきや和は アテナスを見ながら

「そのアテナスとかいうか その子は、リリアの娘じゃないぞ」などと言い出してしまったために俺達は一斉に騒ぎ出し始めてしまい収集がつくまでかなりの時間がかかってしまうのだが結局。和の説明を詳しく聞いていくとどうやら和の息子である勇者の和明という青年は異世界へ召喚されてしまったらしい。その時にその世界で出会ったアテナスという名の少女を連れてきたのだという。しかし魔王を裏切ったわけではないようで魔王軍側にも味方をしたらしく、魔王軍に囚われていたのを助けたのだと話してくれたのであったのだが。それを聞いた俺は 魔王の娘であるリシアをチラ見すると明らかに落ち込んでいる様子が目に見えて分かってしまい俺は、リーディアとリリアさんの二人に頼み込むことにしたのだ「リーシャが魔王だった頃の記憶を取り戻す為に手伝ってあげて欲しい」と頭を下げた。そうするとリーリアさんもリーディアさんもすぐに了承してくれ。魔王城で生活を始めることになった。そして俺達が旅立った後はリリアさんが、リシャが寂しくならないようにずっと傍に居てくれている 俺達がリリアスと出会ってからは俺達はリリアスと共に行動するようになって。しばらくの間は一緒に過ごしてきたのだけど。その間に俺はリリスとリシャと三人で暮らすようになり。そしてある日。魔王城に呼ばれてしまうとそこで 俺が勇者である勇者と初めて対面する事になるのだが、勇者がリーリスに話しかけると「久しぶりだな。お前は変わらないな」なんて言い出してきたのだ。俺はその勇者の言葉の意味

「俺はな。お前と同じ時間軸を歩んでいるはずなんだよ。俺には、お前との約束があるからさ。お前を、助けるために頑張っているわけなんだけど。なんでだろうな。なんで お前だけが そんな風に変わってない姿でいるんだ?俺と同じような顔と体格しておきながら。なぜ、年を取っていない?」

俺が この世界で暮らし始めた頃の話をしてくる 和に対してリーリスは 和の顔を見て少し嬉しそうな表情を浮かべてから「私は、もうこの身体に魂が定着してしまっているの。だからね。和の知っているリリアの見た目のままなんですよ」とだけ言い出したのである そんな言葉を聞かされても 和は納得

「そういう事もあるかもな。なぁ お前はリリリスなのか?リーリリスの転生した姿じゃないのか?」なんて言葉をかけてきた 和にリリアさんは

「違うよ。私が ここに居るのは。ただ、リーザを守る事が出来なくて。自分の娘を助けることが出来なかった事が今でも悔しくて、そして悲しかったの。だから、そんな後悔を、これからはしないようにしたい。そのために。リーアとして生まれ変わった私がすべき事だと思うの」とだけ言い出すと和が

「俺はさ。お前らみたいに強い力を持った人間に憧れたんだよ。俺みたいにはなれなかったが、それでも。その力を活かせる仕事に就きたかった。そんな時に出会った女の子が 魔王であり。お前の妹でもあるリリアで。俺はリリアに惹かれてしまったんだ。そして結婚する事になり、俺の子供も生まれたんだが。その時。俺はもうすぐ寿命を迎えるんだろうと思っていたんだ。そして俺は、自分の死を受け入れたんだ。俺は、自分が死んだ後の世界をお前に任せるつもりだったんだ。でも、俺は生きていたんだ。そして俺の代わりに、リーヤがこの世界で俺が残した子供達を救ってくれる事になった。それが お前なんだ。俺はお前の親父だぞ。そして、俺はお前が産まれてくる前にこの世界にやって来ていてな。お前とリーリスの事も見守っていたんだ。だから リーリアも、俺が守らなくちゃいけないと思った。だから この世界の神の力を借りて お前に近づいた。俺の事を嫌いになっても良い。でも 頼むからリーサを守ってやれよ」

なんて言葉を和が口にしたらリーリスの目からは大粒の涙が溢れだした 和に言われずとも、リーザの事を守ろうとは思っていたリーリスだったが。和の口から言われると今まで抑え込んでいた感情が爆発してしまったのであろう。その気持ちを感じ取ったリリアがリーリスに声をかけたのだ「私は リーザちゃんのママになったんだよ。だからね。私は あの子の為になるような事をしないといけないの」

そのリリスの言葉を受けてリリザもリーリアに向かって口を開き

「私はね。貴方の娘なのよ。お姉ちゃん。お祖母ちゃんと一緒にお婆ちゃんと孫と娘と家族みんなで過ごす時間を楽しもう?」と言ってくる その一言を聞いてしまっては さすがの母であるリリアでさえ涙を流し始めて しまいリリア自身も我慢出来なくなってしまったのか泣き崩れた瞬間に、その場にいた誰もが声を押し殺して泣いたのだがそんな時。アテナさんが口を開いた

「リリア。あなたの子供は元気な子でしょ?私達の娘なのだもの」と言うと、アテナスもまた同じ

「うん。リーザが あんなに明るくなって 笑顔で私と接してくれるようになったのは、貴方のお父さんのおかげなのよ。ありがとう。私をリリアにしてくれた貴方のおかげで 今こうして 私は貴方と話す事が出来るのです」と言うのであった。そうすると 和輝が

「そろそろいいか?リリア リリリス」と 言うと リリアとリリザが返事をすると同時に 二人は 光の粒子となって消えてしまう 和がそんな様子を見つめつつ 俺の方へと歩いてきて 肩に腕を乗せると口を開いて「リーヤが魔王を倒した時は、こんな事はなかったのにな。きっと。あいつは 自分の中で決着をつける為に 自らを犠牲にして リーヤの中に戻っていったんだよ。そして。今。あのリリリスがリーザの中に戻ってくるのを待ってるんじゃないかな」と言ってくれたのだ それを受けた俺も口を開く

「俺さ、ずっと考えていて 今やっと分かった気がするんだ。どうして、俺だけが 他の人より成長が早いのか。俺の両親は。既に亡くなっていて、俺を育ててくれた祖父母はもう高齢だから 今はまだ生きているけれど」と その先を言うのをためらっていたのだが和が その続きを口にしてくれた

「なるほどな。リーヤは 勇者である父親である 斉藤和也の血を引き継いで生まれてきているのかもしれんな」そんな事を

「それって。どういうことだよ」と言いながら 俺は和の腕を掴んだのであるが、和もそんな俺の反応を見てから「お前の母親 つまり 俺の妻はリリアであって リリアの母親じゃないんだ」そんな衝撃的な言葉をぶつけてきたのであった 俺は和の言ったことが信じられなかったのだけど 俺は確かにリシアやリリアさんの年齢を考えるとリリアさんが リリアの母親であっても おかしくはないと考えを改めた。

「ちょっと待ってよ。俺の母親だと思ってたのは 俺が勝手に思ってた事だし。そもそも、リリアが俺のお母さんだって証拠はあるの?」

そんな俺の声に反応して和が口を開く

「お前の父親 いや。リリシアの父親はリリアで間違いない。お前が生まれる前から リリアは自分の体内に子供を宿すために、俺が渡していた薬を使っていた。俺は、そんな彼女の傍で一緒に生活していたんだ。そして俺達は結婚した。そして俺達の子供のリシアは無事に産み落とされて。その時には、俺の役目も終わりかけていた。でも、そんな俺をリシアが選んでくれてからは、俺は彼女とともに過ごして来た。だが、俺達は寿命を迎えて。この世から去ったはずなのに。何故か 俺だけが。また。リリアと共に過ごせる時間を与えられてな。リシアも リリアがこの世界で俺との子供を生んでいると知って 俺と共に生きると決めてくれてからな。リディアが生まれたんだよ」そう言い終わると和が俺の方をじっと見つめてくるので そんな和に対して俺は

「お前はそれで良かったのか?」なんて言葉をかけると

「俺も。お前の事を ずっと見て来た。だから分かる。リーザは 間違いなくお前の娘だ。だから。お前の両親を俺に託して欲しい。俺はな お前を本当の意味で助けるために ここに来たんだよ」と俺を見つめる目には、迷いなんてものが一切感じられなく。俺は思わず笑ってしまった

「なんなんだよ 和は。俺の事が好き過ぎるだろうが。まぁ 良いか とりあえず 俺達は、これからどうするんだよ」そんな俺が問いかけた質問

「俺はな 俺の知っている世界に戻るよ。そこで リリアを待たせておくから」和は 自分の妻であるリリアの名前を口に出して 俺に伝えた。そして俺は、そんなリリアさんとの思い出話を聞かせてもらったのだ 俺は自分の中にリリアさんの記憶を封じ込めていたせいなのか。リリアと過ごしていた時の事は思い出せるのに、リリアがこの世界で暮らしていた頃の事が まるで写真のように抜け落ちてしまっていたのだから だから 俺は改めてリリアが、この世界でどのように

「俺を見守っていてくれたのか」が分かってしまって なんだか照れ臭かった。

そんな時に、俺が口を開く

「ところでさ。さっきさ。和輝とリーリスさんが 光り輝き始めたと思ったらさ。二人の身体が粒子状に変わっていかなかったか?あれは、一体 何が起きたっていうんだよ」と 俺は二人に向かって聞いてみると和とリーリスがそれぞれ口を開き始めるのであった。

「俺は 元々、人間ではなく。この世界の神の1柱で。リーリスの夫だった男だ。リリアとは夫婦として。恋人として。仲間としても付き合っていたんだよ。俺は この世界が大好きで。そしてこの世界を護ってくれていた神様の事をとても信頼していてね」そう言う和の口調には少し寂しさのようなものが含まれているような気がした。そして、その気持ちを感じ取ったのだろうか。リリスさんが話し始める

「私はね。魔王になる前に、神の世界に行く事になったんです。それはね。リリリアとして生きて行く事を私が決めた事で神の世界に行きたいと強く願ったからこそ叶うことになったんですよ。神の力というのは凄くてですね。私は自分の肉体に転生する事に成功した訳です」と説明を始め出す 和は和で、「そうだよな。お前は、この世界に居るべき存在ではないんだしな。だから リリアリスとしてのお前はここで死んでしまっているんだもんな。それにしても、俺達の息子に生まれ変わる事になるなんてな」と笑いだす和に対して、リーリスは口を開いた。「私のこの世界での存在は既にこの世にはないも同然の状態だから。だから、私達がこうして再び会える事自体おかしいんだけどね。それに 私達の子供が生まれてくるなんて思っていなかったのですよ」なんて事を言ってくるリーリスの瞳からは涙が溢れ出し始めていたのであった。すると和が「そうか。俺は お前の分まで生きるって誓ったから。もう俺を置いて逝かないでくれよ」と言いながら 抱きしめると。リーリアがそんな事をされて嬉しかったのだろうか 涙を流しつつも笑ってみせるのである。そんなリーリアの顔を見ながら俺は

「やっぱり。和輝とリリアは そういう関係だったんだな。それなら、俺は お前の分も生きてやるから。安心しろ。俺が死ぬのは 和よりは遅くしてもらって構わないぜ」と言うと、リリアさんと和は顔を見合わせてから「当たり前だ。俺よりも長生きしないで欲しい」なんて言葉をお互いに言い合うのである そんな時。リリアさんが「あの、私 和さんにどうしても伝えたい事があって。今 和さんと一緒に リシアとリーヤと一緒に暮らしているのですよね?和さんの 記憶を封じているリシアを貴方に任せたいと思っているの」と言い出した その言葉を聞いた俺は

「俺は、もう既に リシアの中に 俺の娘のリーザが存在している事も知っているよ。和輝は リシアの中にある俺の娘の存在を確認していたはずだ。だから もう リシアとリリスさんは親子として一緒に暮らしていてもおかしくはないんじゃないかと思うんだ。俺がリシアの傍にいても。リーシアがリーザの中から出てくる事は出来ないかもしれないけれど それでも。和の娘と娘であるリシアは いつかは向き合って話さないとダメなんだよ。俺もリリアもそう思ってた。そして、和は、お前の親父さんの血を引いているんだよな。お前は俺と同じような存在になってくれたんだよな」

そんな俺の言葉を聞いて

「俺は お前に言われないと気が付かなかったよ。ありがとうな」と言う和に対して

「俺は、何もしていない。ただ 思った事を言っただけだぞ?」と言うのであるが。和はその事に関しては、首を横に振るだけで、何も答えなかったのである そして俺達の前に現れたステータス画面が 突然表示された そこには、新しい名前が2つ記載されていたのだ。そして俺の名前はリシアになっていて 新しく現れた名前を見るとリリアとなっていたのである だから俺はすぐに その名前を指さすと

「俺の名前なんだけどさ。これはもしかして、俺の中に居るはずのリーザが付けたんじゃないかって思うんだけどさ。違うかな?俺は、リシアの身体の中に生まれたリーディアと俺の間に生まれた子供達がいるって知ったら。なんか嬉しいんだよ。和の両親から生まれたからなのか リリアさんのお母さんでもあるリリアがリシアと名付けたから 俺の中で生まれた子供にも。リシアという名前を与えたんだ。でも。なんとなく。リージアがリーリアとリリアを混ぜ合わせたみたいになったけど 別に良いよな?」と俺は和に向けて そう伝えるのだけど 和はそんな俺をじっと見つめながら

「リーシアって名前の子は きっとお前に似た子だと思う。俺とリリアが結婚してから 俺の両親は俺が20歳になるまでずっと見守ってくれていたんだ」と話し始めたので 俺は、和の両親の事を教えてもらう事にしたのである

「リシアは リリアと俺の遺伝子を引き継ぐ存在だ。つまりは リリアと俺の子どもという事なんだよ。俺には、リシアが生まれる前の事があまり思い出せないんだけど。確か。俺の両親が生きていた時代は 戦争とかもあってな。両親共に俺が生まれる前から死にかけてしまっていたんだよ。それで 俺は生まれて来ることが出来なかったんだけど 両親からリリアと俺のDNAを受け継いだ俺の妹が生まれてくれたらしい。俺の妹の名は リーザと言ってな。その子は、リーリアに良く似ているらしい。俺は、リシアを妊娠していたリリアとリーリアに付き添っていた時期にな。俺が見た夢の中の話になってしまうのだが。俺の傍に居てくれたリリアはリリアではなくて。この世界の神であり、リリアの父親で俺が命を賭けて護り通そうとしたリリア本人だったんだよ。俺は、自分がまだこの世界にいるのかと思っていたんだ。でも、そうじゃなくて。俺は、この世界に存在するべきじゃない存在だったみたいなんだ。でも、俺は、この世界でリーザと出会い、リリスや リリア リーザの母親とも出会って 俺が生きる理由が出来てしまったんだよ。だから俺は。お前の娘として リーザと出会わないようにする為に リティアとして、この世界で生きようと思ったんだ。だから、俺は。この世界に来るために必要だったスキル 《創造者》を使い。俺の代わりにこの世界で生きてくれそうな人間の女の子を探してみる事にしたんだ。それが、お前が転生した先であるリリスが俺の嫁になっていたんだよ。リリアの夫であった俺は、リリアと結ばれてからは 神様をやる必要がなくなったんだけど。リリアの旦那だから という理由で、この世界を 見守っていく役目を与えられているような状態なわけだよ」と その話を聞き終えてから俺は口を開いた。俺は この世界の神であるリリスが、なぜ 和の妻として生きているのかを知りたかったからである。それに、和の話だと。この世界に来ようと決めた時の和の記憶は、今の俺の記憶とはまた別のものなのかと思ってしまったからだ

「俺の記憶が封印されていた事を知っているんだよな。和は?もしかしてお前 本当はこの世界の人間なのか?そうなのか?」と言う俺に対して、和はこう話すのだ

「あぁ。お前の記憶も俺の記憶と同じようにしておいたはずなのに お前の記憶も俺と同じでなくなっているんだろう?俺は、実は元々は人間だったんだ」と言うと俺は驚く事になるのであった。だって俺は確かに覚えている そう思い込んでいたから 俺はそんな言葉を聞くことになるだなんて想像だにしていなかったからであった。それは和輝の話を聞いていた俺とリリスの事を少し離れたところから見守り続けていたリシアの事である

(私達って本当に凄いよねぇ~。リシア

「えぇ!!和君って私達と全く関係ない世界の住人だと思ったのにさっき和君の言っていた話は、私のお兄ちゃんが言ってた話とほぼ同じ内容なんだもんね」とリリスも同意して話し始めると「私は、リリアがリリアとして生きていた頃も、私はリシアとして生きていましたし、私は私の記憶を持っているリリアさんと一緒に生活をしていた時期もありましたね」と話してくれるのだ 私はリーリアに聞くと 和君の正体が分かったんだ その話を聞いている間も私は、リシアの様子を伺いながら。そして私は考えるのだ もし私がその考えを思いついていなかったとしたら どうなっていたんだろうか?そして、リー

「和は、どうして。その リシアのお母さんのリリアさんの事を知っていたの?もしかしてリシアが教えてもらったりしたの?」と私が質問をすると和君は答え始めるので 私は和の声に集中して聞いていく事にした

「そうだよ。俺がリーシアと出会った時。リーシアが、自分の母親が、お前と血の繋がりがあるって事を俺に打ち明けてきたんだよ。リリアさんは、自分の娘がリシアに成り代わる事を止めさせるつもりだったみたいだけどね。リシアが生まれた時。リシアはリーザの姿に変化していた。でも。俺は そんな姿にさせたくないって思ってね。リーザとリリアの娘で。俺の大事な女性であるリーシアの為に頑張ってみた。その結果 リーザと俺の間に出来たリリアの娘。リシアとリーリアの娘でもあるリーザと俺は結婚することになった。そして その2人の子供が 俺達夫婦にとって初めての子ども。リーザのお母さんでもあるリーディアが誕生したんだ。俺は この子を俺の愛する人との間に生まれた子でもあるからさ。リシアがこの子と仲良くなれると良いな。って思っていたんだけど リーザの生まれ変わりでもあるリリアの身体の中にあった俺とリーザの魂の一部が混ざった子がリシアとして産まれることが出来たみたいだから。良かった。って思うんだよ。そして俺は、リシアがリーザの容姿に似るように リシアがリーザになれるように 色々と努力していた。でも。リーザは俺よりも もっと凄い力を持っていて。リシアを成長させる事が 可能になったみたいで。リーシアの本当の姿を見られるようになったんだよ。まぁ。俺は、リリアが俺の傍に居る時に この世界に来ることができたから 俺はリシアの事も気に入っているから これからもこの姿でリシアの事は可愛がっていくつもりだけどな」って話し始めたんだよね そして和は、こんな風に続けてくれたの。だから 私は「リージア ごめんなさい。貴女がリーザとして生きた時間。私達が奪う事になったんだよね」と言う

「いいよ 謝ってくれなくても。だって 私。リシアのお母さんであるリリアスに、お願いされて この世界に来ることが決まったから リーディアとリージアとして生きてもいい。っていう許可をもらったようなものだし。それに。リーシアの気持ちは、何となく理解しているから。だって リリアの身体から 新しい肉体を創るためには まず リリアが生きていた時代に存在した人物か。それとも他の異世界の人物でなければならないって言われててさ。だから。リシアには辛い思いをさせているんじゃないかなって思ったんだけれど。この世界で生きていたはずの人の中から探し出したって事だったんだって知ったら やっぱり嬉しいじゃない?」と言いながら笑顔でそう告げてくるんだ。和輝の話だと リリスに和の両親は殺されたみたいで そんな事がなければ和の両親は死にかけながらもずっとこの世界を見続けてくれていたらしいけど。でも。和が両親を殺した相手を探し出したいと強く願い続ける事で和はその相手の居場所を知ろうとした結果。リリアは自分の力を解放する事に成功してしまったらしくて、その結果が今のような状況になってしまっているという事を教えてくれたの

「和は この世界にリシアとして生きてくれていたんだな」と 僕は、リシアが、リリアが リシアのお父さんである 和の両親の事を話してくれる そんなリシアのことを眺めながら呟いた 僕もリーザにこの世界に残って欲しかったな なんて考えていたんだけど この世界に来れて良かったって心の底から思えるようになっていたんだ。だって。僕には 和と一緒な事が幸せだって思えたんだから。それに、僕の目の前にいる和が、リーディアだった頃の和と瓜二つになっている事に気づいたんだよ この子は間違いなく。僕が大好きだった和の妹だった。

リーザちゃんが和のお母さんだったリリアとリーザがリシアに姿を変える前に

「リーシア。貴方は、この世界を好きですか?もしもリーシアがこの世界を愛せるようになる事があったのなら。リーシアは、私の妹であるリシアとして、この世界で生きても良いんですよ。でも。その時は リリアが、この世界にいるはずです。そして この世界で生きているリシア。あなたはこの世界で 私達の子どもで 私の息子であり夫であったリゼルトの血を引いているのです。リーザの母親であり。この世界の神であった私の兄が。貴方が、私の息子になるのに相応しい人間であるか。私は見極めなければなりません」と言われたリリスがリーティアとしてこの世界で生きているので 私はリリアに問いかけてみると、リ

「リーシアが、この世界の人達に受け入れられたら。この世界を、守れると思う。リーリアとリーリアのお兄ちゃんと お父様が暮らしていた世界を。私もリーシアが、リーディアとして リーザの身体に入って。リゼ

「リーザ」と私の名前を呼んでくれるようになって。嬉しくて。それに、私の事を大切に想ってくれる優しいお兄さんも現れて。私は リリアとリゼと一緒に暮らす事が出来るこの場所を守る為に頑張ろうと決めて、そして私はこの世界の神としての力を手に入れられたんです。そして。私は、私と同じ この世界で生まれたリシアを見守って行こうと決めた。それに、和が居てくれるから リリアと私は、リー

「リーディア」と和輝と名前を呼ぶようになったんだ」

私はリーリアがリシアとして、この世界の人に受け入れられたのかは、分からない。でも私は和君の事が好きになってしまったの。そして この世界に来て。リゼもリリアも リーシアも、皆 和君が大好きな家族なんだなぁって感じる。だから和君の事を支えてあげたいな。そう感じたのも事実で。でも、私は。私は。この世界に来た事を後悔はしてないんだよ 私は 私はね。和君のことが 大好きなんだ 和輝が 俺と初めて出会った時の事を話してくれた。そんな和輝に対して俺はこう伝えた 俺は「俺はお前に感謝をしているよ。お前がリリスを守ってくれたお陰でリリスやリリア。それにリーシアだって救われたと思っているんだからな。ありがとう」と感謝を告げるのと同時に俺はある事に気がついてしまったのだ リリアとリシアが入れ替わった事でリリアとリーリアの関係。つまりリリアの兄と姉だった2人がリリアに成り代わっているという事実 リシアにリリアとリリアがリリアとして生きていく上で大切な存在であるリリアの記憶が受け継がれている可能性は?と聞いてみる事にしたのである

「あ、あのさ もし、リリアの記憶を引き継いでいるんだとしたら。リリアはさ。その記憶を取り戻したら 今のリーシアが消えてしまう可能性があるんじゃないかな」と和は不安な顔をしながら言ってくるのだ。確かに。俺の記憶の中で 和の母親が言っていた言葉を思い出す。「もし、この世界に転生する時に前世の自分の身体と精神。そして能力を全て失ってしまったのならば。私は再びリーザと和輝。そして娘であるリシアと息子であるリゼルトが生きる世界を作れるのかもしれないと 期待をしていたのよ。でもね。リーザが和輝を愛しているように。リーゼもまた。和輝を愛するようには出来ていないのよね。リリアの魂はね。私が想像できない程の強さを持っているわ。だから 私はね。この世界に存在する私に出来る事を考えてきたの。リリアスとして生きてきた私と リリアとして生きて来たリーリア。そしてこの世界に存在するリシアの3人の関係と絆は特別だと言えるほどに固い物だったの。それに リリアはリリアスの器として生まれ変わる事が決まっていた存在だからこそ。私は、リリアの中にリリアとして生きたリリアの記憶を 魂に刻まれたリリアとしてのリリアとリーザとリーリア。そして 和の魂の一部を持つリゼルトを この世界に残したいと思っていたの。だから その事に関しては安心してくれていいわ。リーディア いいえ。リゼルトは、この世界に居るリシアと共にリーザとして、リシアとして、リリアの身体に魂が入り 新たな肉体を得た時。リーディアではなくリーザとして、リーリアとして。リリアとして生きる事を選択したの。でも リーザに和が恋をしてしまったのだから リゼにリーザとして、リーシアの肉体で リーシアとして生きる選択をしてもらいたいと思ってるんだよね。まぁ。和と結ばれて欲しいっていうのは、この子達を リーシアに会わせるために この世界に連れてきた時から 思ってるんだけど」と言う そうか。リリアが和の為に用意してくれていたリリアとリリアの娘

「リーシアは私達の子どもでもあるけれど 同時にこの世界に居るリーシアでもあるわけなのよ」とリリスが微笑みながら話すのだが それを聞いた瞬間 僕の中に違和感を感じた 僕は思わず叫んでしまった 僕の中にある和との繋がりが無くなってしまうのではないかと思ったからだ 僕は焦りを感じていた リシア

「私は 私のままだよ。和君は和君のままに。これからも和君とは一緒にいたいし これからもこの世界でずっと生きていたいと思えたから。私は 和輝と出会って。好きになって。和輝とずっと生きて行きたいって。この先もずっと。和輝と 和輝を愛せ続けるんだなって思うことが出来たから。だから 和貴。これからもよろしくお願いします。大好きです」と言ってくるんだ 僕の事を見つめる瞳が、本当に嬉しそうで 幸せそうで綺麗だったから。僕の中に感じていた寂しさなんて簡単に吹っ飛んで行ってしまったんだ。だから、リーリアの手を取ることができたし、リシアのことも抱きしめる事ができたんだよ。だから僕は思ったんだよ。リーリアはリリアじゃなくてリーシアとして生きて行くって言うなら僕はリーリアの事を受け入れることができると。だってさ

「そうだな リシアとして生きてくれていても僕は良いと思うぞ?でも やっぱり俺は。俺にとってはリーディアと過ごした時間が長すぎて忘れられないとも感じるんだよな。でも それで良いと思うんだよな 俺にとって一番大事な女性は今でもリーディアだからな リシアと付き合っていても 俺はきっとリーディとのことを大事にするだろうからさ。だからさ リシアがリシアのままで居てくれる方が助かるんだよ。俺だって。今はもうリーディアと別れて何年も経ってるから 今更リーディアを裏切る事なんて出来ないし。俺はさ。何度生まれ変わったとしても 俺は、和の側にいる事を誓う 和と一生共に生きて行くと決めているんだ。だから この気持ちだけは忘れないようにしようって」そう これが俺の想いだった 俺と和はリーゼと一緒にダンジョンに潜ったりしていたんだよ そういえば。この世界に来る前はこんな事はなかったんだよな。

なんか。俺と和って 恋人

「夫婦」とか言われると 照れちゃうんだけど でも嬉しいというかさ なんというか そんな事を考えてしまうのであった。そして今日は俺達がこの世界にやってきた日なのだから リリアの事を話したいと思うんだ。

リリア リリスの事を姉ちゃんと呼び始めたのも 実はこの世界に来てからの事で。この世界に来た当初は。俺とリリスの関係は親子みたいなものだったんだよね そんなリリスに対して、リシアは「私の事はリーザって呼んでね。私は貴方の事を姉ちゃんと呼ぶ事にしたの。それに、貴方は、私のお母さんなんだから。貴方が私の事をリシアと呼んだとしても。私もリリスの事を母ちゃんと呼ぶのが普通な気がするんだ」と言ったのが始まりで。今では リリスもリーザもリリアの事も「リゼ リーザ」って呼ぶようになっているんだ リリアにはリリアで 色々とお世話になったのもあるから 俺も和輝もリリアに甘えてばかりで申し訳ないとも感じたのだけど。それでもリリアが「私だって 和と和輝を独り占めしたい時もあったもん。和と和輝は2人だけのものであって欲しかった時があったの。でも。私は 今のこの生活が幸せなの。家族皆が笑って過ごす事が出来るこの場所が。和はさ お父さんとして頑張って貰わないとダメなんだから 私は、私が 頑張らなきゃって思えるようになってさ」って言ってくれたんだよね。だからさ。俺と和はリーディアと結婚する時に約束をしたんだ。俺達は絶対に離れないって事をね。そんな誓いを立てたんだよ 2人してね 俺も俺なりの思いを伝えさせて貰ったけどさ ただ。俺はさ リーディアの事を本気で愛しているんだよ。その証拠になるかどうか分かんないし。そんな事を気に

「リーゼル。大丈夫だよ。俺の言葉を信じて欲しい。リーディアも俺の言葉を心で受け止めてくれると信じている。俺とリリアの本当の子供はリゼルなんだ。俺は、リゼが居てくれたからこそ リゼルとリリアが居る世界に生まれ変わる事が出来たんたからな」そう言ったのだ。俺の目の前に立つ リーゼは俺の顔を見ながら笑顔を浮かべてくれるのだ そのリーゼを見て安心すると同時に俺はリーゼを抱きしめると「リーゼ これから大変だと思う。リリアに負けないくらいの美人さんだから きっと男達に言い寄られる事もあるだろう。でも これだけは言える。どんな状況に陥ろうと リゼルが生まれてこなければ お前は存在しなかったんだよ だから、自分を責めたりしないで欲しい。俺やリシア。そしてリリアに和 それから この世界のみんなと出会えた事に感謝をして 前向きに生きて行けばいいんだよ」そう伝えるのだ

「そうですよ それにリーゼルがリーディアの娘として この世界に現れていなければ。私は、私とリシアの遺伝子を引き継ぐ子どもを生めた事にはならないんですよ。私にとってはそれがとても大事な事なんです。私にこの世界に生きる意味を与えてくれているのは間違いなく。リゼルの存在なのですからね リーディアの娘である事が リリアの遺伝子を引き継いだ子どもが居ると言う事実が何よりも大切なのです。ですので リーディア あなたは胸を張って 私の娘として生きなさい」

リリスはリーゼに向けて優しく微笑みながら言葉を告げるのである

「はい わかりました。私 これから リシアとしてリーシアとしてリーディアとして。和輝の妻として生きていきます。でも 和輝の事が好きだから。だから。もし良かったら リリアも受け入れてあげてください リリアの事を娘だと思ってください 私が、私の母のように リリアを娘として可愛がり 守っていくつもりですので。それに、和貴との子供が女の子であれば、私は娘として。その子を、孫を慈しみ愛し抜く覚悟を持って育てていくつもりなので」と、リーゼは言うんだ だから 俺はリゼを抱き寄せながら リーディアに向かって「リゼ これからも宜しくな リーリアの事もリーゼのことも。リーリスの事もリリアのこともリーゼの事も俺は全部愛するよ。だってさ」と言うとリーディアは嬉しそうな表情になりながら

「うん。ありがとう。私のこと リリスと同じように。いえ それ以上に大切だと思えるようになったんだよ。リリアは」そう言ってきた

「あははは 和と和の旦那様が仲良くしてくれるのはとても嬉しいんだけど。和輝 ちょっと良いかな?」リリアがいきなり現れて。和に話しかけるんだけど 和に「和。リリアと少し話してくるからさ。この世界をリシアに案内してきて欲しいんだよ。お願いできるか」と頼むのだった リリアが言うにはさ

「私と和はさ リシアとリーリスに私達と同じ経験をして欲しくないって言うか。和が和として 和が幸せになってくれるのが一番の望みなんだよ 和輝 和として生きていてよ お願いだよ」と言って 泣き崩れてしまったんだよ

「リリア。和がこの世界で生きている以上 私は。この世界に生きる事を決めたから。私は、私が出来る事を見つけたいの 私は和輝のことが大好きだから 和とこの世界で一緒に居たいの でも。この世界で、私が生きて行く事によって 和を苦しめる事になったのなら。私は自分の存在を否定したいの。だって。私が和として生きれば。少なくとも私は リリスとしてではなく。リーザとして。リリアとしてこの世界で暮らすことができるんだから リシアは和として。リーシアは私のままで この世界に生きた方が良いんだよ。お願いだからさ もう1人の私の幸せを願わせて欲しいの ごめんね」と、涙を流してまで伝えて来たんだよ そんな事を言われてしまえば俺は 何も返すことができなくて でもな。リーリアが

「リリアの気持ちも分かるんだよね でもさ。リシアとして生きていく事に拘っているようだけど。でもさ。私達はこの世界に転生して来た人間なんだから 私達が前世で生きていた場所と今 私たちがいるここは 別の空間に存在するんだから 私達が、リーシアがリシアでいることを選ぶのも リリアがリリアであることを選んだのも。それは私達の自由なんだよ 和が、和輝が、2人が望む生き方を選びたいって思ってくれればいいだけなんだよ」って そしてリリアに「リリア。リシアがさ。リーゼの気持ちに気付くのって難しいかもしれない。でもさ。私が 私が和と和輝を愛するように。和と和輝にもさ。私を愛し続けて欲しいんだよね。私が 和に、和と和輝に抱かれたからこそ。私と和と和の3人でこうして笑い合える関係になれたんだから。だからさ。和と和と和輝の3人に、私も 私なりに愛されたいって思ったから。私の願いを聞いてくれたら。リリスが望んでいる事を叶えてくれたのならば リリスの事を リシアの母であり、私の母親である リリスを受け入れてくれる?私はリシアとしても、リリスでもあり。和の子どもを産む事ができたからこそ。今はリリアとリーゼの2人も受け入れる事ができるんだよ」って言われたんだ

「そうだな 俺もリゼとリーザの事は これからは俺の子供でもあると認識する事にする。俺は和輝として この世界で生きて行こうと思っている。そして、俺が愛した人 リシアの事も愛し続ける事を約束しよう。俺にはこの世界に来てから。沢山の仲間が出来て 支えてくれて本当に感謝しているんだ。その仲間のためにも 俺は 俺なりに出来ることをしたいと考えている」って伝えるのであった

「ふぅん。まぁいいでしょう でもリリアさんが そんな感じで話すなんて珍しいね でもさ なんかリゼちゃんと話してる時とか凄く自然で優しい感じが伝わってくるんだよねぇ それに 今の話をしていた時の表情とか見てると何かあったと思うんだよねぇ〜でもまぁ。私は和ちゃん一筋だけどさ でもね 私は2人を祝福するよ でもさぁ もしもリゼがリリアだったり。もしくはリーシアの事を私の妹として接しても良いと認めてくれるのであれば。その辺の事に関しては協力してくれても構わないからね」と、言い出したのだ。

「うむ。わかった だが 和の事は誰にも譲るつもりは無いからな」

そう言ったリリスは笑顔を浮かべているのである。そして 俺の方を見つめながら「でもな。リシアとして生きてくれ。お前もお前らしく生きていければ良いからな」そう言って 抱きしめてくれるのである

「えっ それって どういう意味?」リシアが驚いていたのだが

「リリア お前は私にとって娘のような存在であるのだ。私に本当の家族を与えてくれたのだ。だからこそ お前もリリア リーシアとしての自分を大切にしながら リリア リーゼルの姉となってくれるか」と 問いかけたのである。そしてリリアは嬉しさのあまりなのか「うん うん うん 」とうなづき 涙を流しながら 大声で泣いたまま リリアの胸の中で甘えたままだったのだ。そして俺に 抱きついてくるのである 俺は そっとリシアを抱き寄せるのであった。

リーリアの胸で

「お母さん。ありがとう」と言い続けるリゼルを抱きしめていた俺は「リーリア。リリアのことはリーゼルと一緒に守っていくよ。だから リリアも これからは今までよりも幸せになれるようにしていこう」と言うと「ありがとう 私は和のことが好き。大好きだから」そう言いながら俺にキスをしてくれたのだった。そしてリーゼの方を

「リーディア様。あなたは私にとっては娘ですから あなたのことだって私がしっかりとお守り致しますわ。でもさ リシアの事もしっかり守らないでどうするのですか。私とリーシアの事を 私とリシアは、親子だと思って頂いて大丈夫ですよ。私は娘に幸せになって貰いたいし。幸せにしていきたいんですから」

リリスの言葉を聞いたリディアは

「リリス。ありがとう。私のことも 母と娘のように受け入れてください。これからも リリアと和貴を宜しくお願いします」とリリスとリーゼはお互いに頭を下げ合い 微笑みながら握手をするのであった。すると突然の出来事が起きてしまった リディアがリーリスの頭を撫でながら

「私は リーゼルのことも大切にしていきますからね。だから 私を母親だと思ってください。私はリーリアがリリアの娘だったら。リーゼルもリーゼも私の娘として育てていきますから。だから 和貴の妻として そして和と和輝の子どもの事を守っていってくださいね」と言って また涙ぐんでいた そしてリリアは リディアに近づいていき

「リディアさん 私だって 私だって。私の方が年上なのかもしれませんけど 和に最初に会ったのは私が先なんですよ 私がリリスに リーリアという存在に生まれて来る事を告げて貰ったから和と出会えて結婚できたわけだし。それに。私も和の事が好きだから 私が 和と結ばれてから リリスも私達の家族になりましょう」と言うのであった そして「リリスは私にとっても妹みたいな存在だから だからリリスの事も大好きだよ」とも言っているのだった。

そして リーシアが泣き止んで 少し落ち着いて来たのを見た リーシアが「リリアも リリスも 私達の母になってくれるの?」と聞くと「当たり前でしょ でも。私は和輝と結婚するからさ。リリアとリーリスとリーリスの子供だけじゃなくて リリスの子供も守るんだからね。私は 和のことが大好きな女なんだからさ 」

と、リリアに言われて。リシアの顔から血の気が引いていってしまった でもね リーリスがね「私も和輝のお嫁さんになりたいよ。でもさ。私はこの世界で和と結婚できないんだよね リシアやリリア。リーリスとなら結婚してもいいって思ってるんだけどね それに。私がこの世界で和輝と結婚しないと この世界で生きる人たちも困っちゃうし 私が魔王になったらさ 私の魔力は凄く大きいらしいからさ 和の事を護る事もできるかもしれないんだよ それに 私の力って凄いんだからね」

そんな事を言っていたんだよね。それでさ。俺は和と和と和

「おい。俺は3人だけだぞ」って言われちゃったんだよね そして俺が「リリスはリリアのお母さんでリーリスの事は妹なんだろ。だったら 俺はリーリスと結婚したい。でも 今はリーザとしてリリスとリーリアとは付き合っているから その事はリリスとリリアには知っておいて欲しかったんだよ。でも リリアは 俺がリーゼの事を一番に思っている事も知っているからこそ 俺の側に居るのが嫌になっているのかなって思ったんだ」って伝えたんだ すると リシアも「そうそう リーサもね 私がリリアと出会ってリシアになる前はさ。ずっとリーサっていう名前を使っていたんだよ だからね 私はさ。和の子どもを産んだとしても。私は 和輝のことを愛しているんだし 私はこの世界で生きていたいんだよね。それにさ。和輝との赤ちゃんができた時にね。私達はリリスによって転生して来ているって聞いているからさ。もし、転生した人が 前世での自分を覚えていないようならさ その人は自分が転生してきた事を知らないままでいて欲しいなぁ〜と思っているからさ 前世では幸せになれなかったって思う人達は結構多いと思うんだよ。私の場合は、前世は不幸ではなかったから 今の自分を楽しんで生きているんだよね。だからさ もしもこの世界にいる誰かの前世が幸せな人生を送った人だった場合は 幸せを感じて過ごしていて欲しいな」って話したのだ 俺は「そっか。わかった。とりあえずさ。俺はリーザとリーゼルは俺が必ず守ってみせる。リーゼも俺に愛されれば良いんだよな。俺の愛を受け取らなかったとしても。リリアが愛してくれるから きっと幸せになってくれるだろう。リザのことも俺と和輝の子だと認識して。リザが愛せるようになるまでは俺が守って見せるから」そう言って リーザの唇に自分の唇を重ねたのだ。

「リーゼ。あなたもリリスと姉妹のような存在でしょ。リゼルだってあなたの娘のようなもんで。リーシアもリリアの妹のようなものだと思っているのだからね。だから。リーゼも安心してくれればいいのよ。それにね リリアがリーリアだってわかってくれたでしょ?私はね。もうリシアの時とは違う。リリスにリシアにしてもらった時と同じように。リーシアをリーゼにしてしまった。その事を後悔しているの だからこそ これからはリーゼルにもリーシアの時の記憶が残るようにしてあげる。私はリーゼに幸せになってもらいたい。リーゼとリゼルがリーリアとして生きていけるようになるために。私は頑張るから だから。和貴 あなただって。私にとって息子みたいなものだと思っていますからね。あなただって 私の大切な家族だから」そう言うと リリアは自分の胸にリゼルとリーゼルを抱いたリシアを引き入れ抱きしめると。そのまま眠りに落ちるのであった。

そして、翌日から。リリアの妊娠が判明したのであるが。それと同時にリーリアの体調に変化があったらしく。しばらくリーリアに休みを与えようと決めた。リリスの方は相変わらず

「ま、まさか 和ちゃん 本当に私達のお義母さんになってくれるの?」なんて 嬉しさを隠しきれない感じなんですけれどね ただ、俺も、和と 和と2人で話し合った上で リディアの事も大切にする事にしたのです それから数日後の事であるのだが、リリスに「あのさ、なんか 私の胸が大きくなっているような気しかしないんですけど」と言うと リリスがニヤリとした表情になり「ふぅん。そういう変化もあったか。私の娘達の変化も面白いけどね。それとは別に リシアの身体も変わってきているでしょ?」と言いながら、俺

「いやさ それはそうなんだけどさ ちょっとだけ胸が大きいというかなんというか」って言っている間に胸元に視線を向けている。そうです。実は最近ですね おっぱいに異変が起きたようで。俺は少し不安になりましたよ。なので。俺はある決心をしたんですよ。俺はね。リーゼを抱き寄せると「えっとな 今度の日曜日は俺とお前だけで過ごすからな。他の女の子と一緒に過ごさせないからな。それと、俺はリゼルとも和輝の事で話をしてくるよ」「あはははっ」リーゼに抱き寄せていたのだけど、突然。リザードマンが笑い出す

「和。そんなのは決まっているじゃん。和の気持ちを和が決めなさい」と言ってくれた。リーリアの事もリーゼとして一緒に過ごすようになったし。リーリアは「私もさ 私達の世界に帰る方法を探してみますね。でもさ リーリアとしての身体に慣れないとダメだからさ。しばらくは、私と一緒の時間を過ごしてくれるかな?」と言うと

「もちろん 俺はリーゼとリディアを大切にしていくから。それにさ。俺の妻になったら 今まで以上に、しっかりとサポートをして行くつもりだから。でも リーシアも、まだリゼルとしての生活があるから。もう少しの間 リーゼルでいても良いから」

と、伝えると「うん 和。私はね。今はリゼルの生活を満喫しようと思ってるの。それにね リリアさんも和貴のことを愛してるんでしょ。だったら 私は別に和貴を独占する必要は無いんだよね。和貴に愛されていられるのであれば、私はそれでもいいんだよ。和貴に愛される女性が増えることは喜ばしい事でもあるんだからね。それに 私はまだ高校生だよ。大人になるまで時間はたくさんあるからさ 和貴とリディアさんに教えて貰った事を元に私なりの恋愛の楽しみ方を考えていくからさ。だから リリアさんに 和輝さん。私の事をお願いします」と言って また頭を下げてくれた。

俺はリディアが寝てしまった後に

「リーゼは リーリアだった時の記憶が戻って良かったのかい?リーリアだった時は 色々と辛い想いをしていたと思うんだよ」とリーリアに対して話を切り出してみた すると リーザとしての姿のリーゼが俺の腕に抱きついてきて 俺の耳にキスをしてきて

「リーリアがさ 俺の前世の名前を知ってた理由って何となくわかる気がするんだよね。俺がさ 前世の記憶を取り戻した時に 俺には夢があって、その願いは叶わなかったんだよね。でもね この異世界に来てからさ この世界の人と出会いもしたけど、この世界に居る人達のためにも、俺と俺の愛する者だけでも、この世界で楽しく過ごして行こうって思ってたからさ。それでさ 俺って、この世界に来る前に神様って存在に会ったんだけどさ。この世界で魔王を倒してほしいと言われたんだよね。その時、俺はその依頼を断ったんだけどね。そうしたら 《そうですか。残念ですね。あなたは勇者に選ばれてもおかしくないほどの強さなのに あなたなら魔王を打ち倒す事ができるでしょう。

あなたの魂は既に 女神様によって救われていますからね》って言われたんだよね。

それで この世界でもし魔王が現れる事があるならば きっと俺はこの世界で生きてきた人の誰かによって選ばれるんじゃないかなって思っていたからさ。だから リーリアの事をリーリアだって分かった時には驚いたけど 俺はさ。リーゼに出会ってから。リーリアもリーザも 同じリーリアって思えるようになってきたし。

リーゼの事も好きだと思っているし。リーシアがリリアと同一人物だと知ってしまったわけだし。俺はさ。もうリーザもリシアもリゼルもリリアもリリアの子供で俺の家族なんだと思っているからさ。リーゼもさ リーリアもリリアも リシアもリーシアも同じ人間で、リーゼもリリアもリリアも みんなリリアだと思っているんだよ。だってさ。この世界で、俺が知っている人間は、この世界で生きている人しかいないんだからさ リーゼの事がリーリアと同じだって分かってからはさ もうさ 俺の中では リリアはリリスで、リーシアもリーシアだからさ。リリアはリーシアでもあったんだと思うんだよね。リーリアとして、リーザとして。リリアとして。リーゼとして。リーサとリリスは、みんな同じように俺に愛されればいいと、そう思ったから。俺の中でリーゼが、リーリアの生まれ変わりであっても、リーゼもリーリアも同じで 同じ存在だと思っているんだよ。だから これからも、俺が死ぬまで一緒に居て欲しい」そう言って リディアが目を覚ましても気にせず。思い切って、リーゼに自分の思いを告白した。

リディアは起きていて。ずっと俺たちの事を見ていてくれて。リゼが眠っている間に、リディがリゼを愛でている時

「ふふっ。なんか和輝さんの愛の重さを感じた気がしてね。ちょっと怖いけど嬉しいかも」と言うと続けて「でもね。和君も和貴も、私と、お姉ちゃんに対する態度が違いすぎると思うんだよね。だから、もう1つの部屋を用意してもらった方が良さそうだよね」なんて事を言っていたのだが

「あぁ。そっかそっかぁ」と言って俺はリゼの頭を撫でていたのだ。そして「ねぇ パパ?ママ? リゼルとして生きていこうかと思っていたんだけど。私の心の中にいる人は。私の大切な親友だった人でね。だから やっぱり。リリアに会いたくなっちゃった」と言うとリリアが微笑み リリアは「そっか。リーゼルが決めた事なら 私はそれで良いと思うよ。リーゼルも 私の妹だと思ってるからね。リーゼとリーザも 私の妹みたいなもんだと思うし。だから 私の娘が3人になるんだね。リーゼルとリリア それから リーリアとリゼルと私の娘」とリリアは言い切るのであった。

俺達が王都に向かうための準備が整った。と 言うことで、俺と和は準備を終えて、宿屋を出たのである。俺は「じゃあ。行ってくるよ」と言い 宿の外で馬車を停めていたので乗り込むと、和はリリアと共に 先に馬車に乗り込んでいた。

「それでは 行って参ります」そう告げるとリリスは俺と腕を組んできた。俺は「あのさ 俺は この世界に来たばかりの時はね。リーゼは嫌いだった。というか、どちらかと言えば、苦手なタイプの女性だった。それは今も変わってない。でも 俺はリーゼが好きになった。リゼは、俺の心の傷を埋めてくれるような女性だと感じたんだよね。それでさ リーゼとは もっと深い仲になりたいと思えたから だから俺はリゼを抱きしめたし、結婚を前提に付き合って欲しいと言ったんだよ。そんなリーゼがさ 今、目の前にいて 俺は幸せだよ。でもさ。リリアとリディアにも幸せを感じて貰えるように頑張るよ」と 俺は素直な気持ちを吐露するのだった。すると

「そうですね。私も 旦那様の気持ちが聞けて嬉しかったです。私は、そんなに気の効いた言葉を言う事はできないかもしれません。けれど、それでも。少しでも、私と一緒に過ごす時間を、楽しいと、心地が良いと感じてもらえるように努力したいと思います。だから、旦那様。私達を見守ってください」と リリスが 俺の腕に胸を押し当てて来て、甘えてきた。俺は「うん ありがとう。リリアとリディアが待ってるかもだし。急いで帰ろう」と言うと、リリスは

「はい」と答えてキスをしてきたのである。俺はリリア達と合流しようと馬を進めるのだったが 途中で

「えっ?リディアさんが、また倒れてしまった?」と俺は思わずリリアの

「うん。そうなんだよね。でも、リリアさんが一緒だから大丈夫だよ」の言葉を聞いて安心していたのだが 俺は嫌な予感がしたので

「和はどうしているんだ?」と聞いたところ

「うん。和は、和の魔力がリゼルさんの中にあった時に感じた気配に似てる人が、こちらに向かっているのに気付いて。その人に、リゼルさんと和の事は、私が話を通しておくからって伝えに行ってるんだよ。和なら大丈夫だよ。私もね。和のこと信じてるし。和のことも大好きだからさ。それにね。リーシアさんも、リゼルさんの事を知っていてさ。今はね。一緒に和と、リゼルさんを探して、和の元に連れてきてくれるって。それでね。今は、私の魔法を使ってリゼルさんと和は、私に見えないようになっているからね」と言われて 俺は少し複雑な心境になっていた。

「あっ 和輝さんに リリアさん?それと そちらの女性はどなたでしょうか?まぁとりあえず、中に入って下さい」と言って俺達は家に入っていった。そして俺は、リリア達の様子を見に行ったのだが 俺はそこで衝撃的な物を見る事になったのだった。

俺の嫁の一人であるリリアが、リゼルの身体に宿っているリーゼを

「リーゼルだろ!」って怒鳴りつけて、「あんたが誰なのか分からないから、あんたの本当の姿を晒せ!そうじゃないと、うちの息子に触る事も近づく事も許さないからね!!」とリーゼは

「分かりました。私の姿を見せれば宜しいのですか?でしたら見せましょう。これが今の私の真の姿でございます」と言いながらリリアの姿になると、リーリアの姿は消え失せて そこに立っていた者は、20歳くらいで黒髪長髪を後ろで縛っていて。瞳は蒼く 身長170cmほどあってモデル並みのスタイルを持つ美女が現れたのだった。しかし俺はそれよりも、俺の前世の名前を知っている人物が現れるのではないかと警戒していて、そっち

「ふーん それがあなたの本当の姿ね。まぁ あなたは確かに美しいと思うけど。あなたの本当の美しさは違うはずよ。あなたのその本当の美しさを見せてごらんなさい」そう言うと、リリアはリーゼに対して殺気を放ったのだ。すると リーゼルは自分の姿を見て、目を見開き驚いていたが、すぐに落ち着きを取り戻してからリリアを見て「あら あなたって凄いわね。あなたの力には興味があったのよね。あなたの力がどれ程のものなのか確かめさせて貰おうかしら」と妖艶な表情を見せたのだ。

俺が、リゼルやリーゼと話していた頃 リリアもまた別の者と会っていたのだった。「で?私の息子のこと 知っているのかしら?答えてくれないと 殺すわ」とリリアが言い放つと、その女性は、リリアが放った言葉に反応してリリアの顔を見たのだ。そして「私の可愛いリリア 久しぶりね」そう言った途端 リーゼルは 俺とリリアから姿を消してしまい、俺達がリーゼと話している間にリリアも姿を消してしまうのだった。リリアに俺の妻だと告げたリリアにそっくりな顔立ちをしている女性がリ

「リリア 貴方の夫であるリゼルの事を知りたいなら教えてあげる。私の夫はね 私の事を心の底から愛してくれた素敵な人なのよ。私も夫の事を深く愛してあげたいし、私だけじゃなくて私の家族を愛してくれるのよ。だからね。お願いがあるの。これから私の娘と弟がこの世界にやって来てくれるから。それまでに私の娘と弟の心を取り戻せたなら 私は喜んで貴方達に協力しても良いと思っているから。だからね。娘の心も元に戻して、弟の心も元に戻す手伝いをしてあげて欲しい」とそう言って、リーゼルは、リリアと和輝の前から姿を消したのである。俺は、俺に近づき

「ふふっ。本当にリゼルさんに似ている子なのね。でもね。私の方が、もっともっと綺麗だと思うんだけどね。ねぇ。そうだと思わない?旦那様?でね。リゼルさんに、リーゼルが会いに来たから連れてきて」とリゼルが リリアの前に現れたのである。俺はリーゼルを連れてきてから「あのさ。君の正体は分かった。でも なんでリーゼルはリゼルに力を貸す気になったのかな?」とリーゼに聞くと

「う〜ん。私は、リゼルの事を気に入っていたんだけど。リーゼルの心がね。もうダメになっちゃったんだよね。それでさ。リーゼはリリアの事が大好きなんだってさ。それでさ。リーリアちゃんに嫌われているみたいだけどさ。それでも、自分の力で リリアに、好かれるようになりたいとさ。それにさ。リーゼルはリゼルの中にいた頃にさ。リーゼはさ 自分の息子のように可愛くて仕方がなかったみたいなんだよね。だからさ 少しでもリリアさんに気に入られるような女性になるんだって張り切ってて。まぁでも。それが裏目に出ちゃったわけでね。私は リゼルの中にいた時にはリゼルの中にいたんだよね。だからね。私は、この世界の闇について詳しいよ。私にできる事なら協力したいと思うよ。だからさ リゼルに、もう一度、機会を貰えないかな」と言い出すのであった。

「リゼルがさ。リーゼルのことを気に入っているってのは分かるし、それじゃあ リーベルにさ。もう少し時間をあげるよ。ただし。もしもの時は覚悟しておくんだよ」と俺がリーデルに伝えるとリーディアが俺に向かって抱きついて来て 俺とキスをするリーゼなのであった。

俺はリーリア達とリゼ達との話し合いが終わったとリリアが告げ

「旦那様。それでね。リゼルに会ったから。リディアとリゼルさんがさ。旦那様の事で何か知ってるらしいんだよね。それでさ。旦那様の過去を調べてくれるってさ。私ね。リゼルとリディアの話を聞いたら、何かね。旦那様と私が出会う前の記憶が無いのに、その前の記憶があるように感じたの。だからね。もしかしたら、私は、旦那様と出会う前までに、他の誰かと結婚していたような気がしたんだよ。それでね。もしかして旦那様も、私の事が好きって思うようになるまでの記憶がないんじゃ無いかなって思っててね。それでリゼル達に協力しようと思ってたの。だからさ もし良ければ、私と一緒に調べに行かない?」とリディアが 俺とキスをし終えて 俺から離れていくと、リゼルが

「では、行きますか。リディアさんとリゼルの二人で」と言い出し

「ちょっ。リリアは置いてけぼりなのかい?」と俺はリーゼルに問いかけると

「えぇ。だって、リーリアさんの相手は、私にはできませんから。リーゼルはリーゼルで頑張るって意気込んでましたから。大丈夫ですよ。リーゼルなら きっと上手くやり遂げてくれますよ」と言われてしまったので

「はいはい そうですか」と諦めて答える俺なのだった。そして俺達は一旦 リリアとリリアの眷属のところに戻り。そこからリーゼとリーゼルがいる場所へと向かった。

俺とリリアと和輝とリリアの配下の人達とで俺達とリリアの昔の話を聞くために向かった先は王城であり。そこには既に俺の仲間達が全員揃っていて、何故かリシアの姿もそこにあったのである リリアも「あら?リーシアも来ていたんだね。ところでリーシア 何であんたもここにいるの?」と言って

「それは、私の愛するお兄様にお願いがあってきたのです」と言って俺の手を握ってきたのだった。

俺は、俺とリディアがリゼの事をリーリアに伝えようと話し合おうとリゼの目の前に立ち「俺達は、俺達の過去が知りたいんだ。リーリア 君がリゼの事を妹だと思えるようになったのは、過去の記憶を思い出してからなんだろ?リーゼ 俺がリーリアの妹だと感じたのは、過去に出会ってからだろ。リリア 俺達はさ。その出会いの前にどんな風に過ごしていたのか、俺が俺では無かった時があるんじゃないかと疑っている。そしてリリスが俺と出会った時に言った言葉を覚えてるだろ。リゼルとリーゼがリリアの元に現れるから 俺達を助けてくれって言われたのは、多分 リリアも覚えててくれてるよね。リーゼルとリーゼルに力を貸すと決めたリゼの為にも 俺達は 本当の俺を知る必要があると思わないかい?」と言ったのだが 俺達が、リーリアとリゼルの元に向かおうとするのと同時に俺に リーリアに

「リーリア リーゼルに力を貸してあげて欲しいんだ。それと これから先 俺達に手を貸す必要も無いと思うから 自由に生きてもいいよ。でもさ またどこかに行こうと思ったら、その時は必ず俺に会いに来てくれよな」と言い残して。俺は、皆んなを置いて一人、先にリーゼとリーゼルのところに戻ろうと一人で移動し始めようとしたんだけど。それを見ていた、アリシアと、アメリアとリリスが追いかけてきたのである。俺は、三姉妹には付いてくるなと言おうとしたら、俺が何かを言い終わる前に、リーザとレナスにリゼルが姿を現していて、 リーリアは三人を見てから「あなたたちって確か。リーリアが言ってたリリアとリーゼルの姉妹と、その子供達よね。でも 私はリリアとリゼルしか、ここにはいないはずよ」と言うと

「そうね。リーリア姉さんは私と、この人との再会に喜びを感じていたみたいだったけど。この人が、私の夫になってくれたから この人と結婚するために私は、一度この人の中で、眠ることにするわ。この人と一緒に 貴方達や 貴方達が連れている仲間が幸せになれるように願っているから リーリアは 私の代わりに、私の可愛いリゼルと仲良くしてね。それから 私はリーゼに力を与えるわ。リリアが、私とリゼルの話を、リーゼにしたら私も協力するってさっき決まったからね。リゼルとリーゼの力を合わせて これからも頑張って欲しいな」

そうリーゼは、俺の肩に頭を乗せながら リーリアに言うのであった。俺は、俺とリリアと和輝とリゼルとリーリアの六人で、リリアとリゼルが住んでいた場所に瞬間移動すると。そこで待っていたリリアは「やっと帰ってきたのね。私の娘に会ってくれない?」と言われて 俺は、俺が知るはずの無いリゼルの母親であるリリアが、リーゼルの母だという事に違和感を覚えることなく リリアに「リゼルは俺の娘だと思っているからね。君の娘じゃないかもしれないだなんて考えた事もないよ」と伝えたのであった。すると、俺が俺が思っていないような返事が俺の耳に聞こえて来たのであった。

「えっとね。あのね。リゼルちゃんは、私が生んだ子供だからさ。私がお母さんなんだよ」と言い出したのである。俺は、俺は何を言っているんだ?

「いや いやいやいや、いや、そんな馬鹿な。ちょっと待て待て待て待て、お前らって俺の子供だったわけ!?いやまぁ待てよ。冷静になれって 落ち着けよ俺 深呼吸しよう 吸ってー はいて〜 すぅー ふぅ〜 よし落ち着いた。

うん。あれかな。もしかしてさ リリアとリゼルの関係って、リゼルがリリアの中にいて、その中に入っていた頃の事を話してるのかな?」って聞いたら。

リゼもリーリアも、リーリアの後ろで恥ずかしそうにしている、リゼルもリリアも顔真っ赤にしていて、 それを聞いた リシアだけが

「へっ?なんで今頃? 今まで何で知らなかったんですか?って そっか、和輝君は 私が封印される前の記憶は無いんだったよね」とか言い出して。

そしてリゼルが「リリアママの赤ちゃんって 私?」とリリアに聞いていたのだ。リリアが「うっ うん。そうなんだよ。私がさ リゼルを妊娠した時にさ。リゼルの魂に、自分の体を一時的に貸しちゃったから。それで、そのまま 私が出産までしてしまったから 私が、その。リゼルを産んだんだけどね。それでさ。その リーリアにさ。私が、リーゼルに力を与えた後に、リーリアに力を与えて、私が消えていく前に、リリアとリーゼルに、何かあっても大丈夫なように、私の加護をつけておいたんだよね。だからさ。

リゼルもさ リーゼルの体に憑依すればさ。私の力と、私の力が使えるようになるし。それにさ。私の力で 私の意思を伝える事ができるようになるから。リゼルが、リーリアのお腹の中のリゼルが私の娘である事をリーゼルに伝える事が出来るんだよ」とリゼルに教えていたのだった

「つまりだ リーゼルがリーリアの体を借りて リーゼとして、リゼの眷属になる前の記憶があるのも。そもそもリゼが、俺に出会う前のリリアに宿っていたから。そして俺達と出逢った時には、もうリゼの体が壊れてしまっていて 俺は俺の体に入っていなくて。リーゼと融合しているような状態だろ?で。

俺が俺自身であって 俺は俺だけど 俺じゃなかったような記憶もある。でさ 俺の中には、もう一人の俺がいたんだよね。それが、リゼと融合した状態の時の俺でさ。俺が記憶をなくした原因なんじゃないかって思うんだよね」と俺

「あ!そう言えば 俺にはもう一人いるはずだったな。俺と同じような奴だよな。なんかさ俺と同じ名前の人だと思うんだけど、そいつと会話をした気がするのに。気のせいだったのかもしれねぇよ。まぁいいんじゃね?」と言う和輝に対して「だね。気にしても仕方ないしね。でも和輝もさりげなく、とんでもない爆弾を落としていったね〜」と言う俺に

「俺?俺がどうかしたのか?」って聞いてきたから

「なんでもない。何でもなきゃ、忘れてくれ」と言って話を終わらせたのだった

「リリアさん ご無沙汰しています」とリリスは、突然リリアの前に立って挨拶をしだす 俺は、俺はいきなり何が起きたんだ?と思ってたら 俺の隣にいた 魔王が、「勇者様。リリスさんはですね。お父様に頼まれたので 私と一緒に行動をしていただけですよ。なので気にしないで下さい。そしてお父様にお願いされた事は、リーリアにリリスとリーリスの娘で、私の妹でもあるリリアさんが力を授かるのに協力してほしい。という依頼でしたので。私とリリアは、その願いを受け入れてリリスがリーリスに力を貸しました。ですので お二人はリリアさんの妹分に当たる方になります。ですので これからは、私達は家族のようなものでして。これから先 よろしくお願いしますね。リリス」と言い出すと、 リーリアもリーリスも「は はい。わかりました」と驚いていた

「あの リーゼルちゃんが リゼルってどういうこと?」とリーゼルがリゼに尋ねたのである

「それはですね。まず、リーリアとリゼルの話からしましょう。

実はね。リーリアとリゼルのお母さんのリーリアがリゼルに、私の力を使って、私の娘になるように、リーゼルの中に入り込んで、そして娘にして その力でリーリアが消えるときに、一緒にリーゼルに力を授けたから リゼルが私の娘になっているって言うのが一つ。

それともう一つは、リーゼルがリーゼルになってからも 私はずっと リーゼルの意識の中で生きていて。そして私の娘が幸せになるために リーリアの力を使うために。リーリアにリーゼルと一体化して、リーゼルに力を貸すようにってリーリアに伝えたのが二つ目ね。そして、リゼルに力を与え終えてから。私が私の体を再構築するまでの時間は。リーゼルのお母さんであるリーリアに私の体を一時的に預けたの。だから 私の体は今はないのよ。でもね リリアのおかげで 今は リリアに、この子の体を、リーリムにあげようと思うんだけど。どうかな?リーゼル?」とリーリアがそうリゼルに伝えてきた リゼルはリゼルで、何か考えているみたいだったが。リゼルがリゼに「ママの体をリリアちゃんにあげるなんて。そんな事を勝手に決められるなんて嫌なの だって ママとリリアちゃんは 二人ともリゼルの大事な人で。リゼルにとって、一番大好きな人のはずなのに それなのに どうして勝手に決めて、自分だけのけ者にするんだよ」と怒っていたが それを聞いていたリーリスが

「私は、別に構いませんけどね。私が貴方の母親になった事で、リーリアが私の娘になってしまったわけでして。

でしたら。リーリアに、私の娘の体を リーリムに上げてしまうというのは、問題ないと、思うのですよね。むしろリーリムがリゼルのお母さんになってくれたほうが 私としても、とても嬉しく思います。それに、リゼルは、リゼルのままで 良いと思います。もしリゼルがそのままが良いなら そのままが、リゼルにとっても、嬉しい事だと、思いまして。だから、リーゼルのママは 私のままなんですよ。だからね。ママがリリアちゃんに、ママの体を返す時が来た時に。その時までにリリアちゃんにママの体を返したくないと思った時に ママに頼んで、返してもらえば良いじゃないですか?ね?」

そう言われたリゼルは

「わかったよ。リリスちゃん それじゃあ それまでに、いっぱい勉強して、ママに褒めてもらえるくらいに強くなるね。それでね。それでね。リリスちゃんにも。私の師匠に会って欲しいの それでね 色々と教えてもらいたい事があるの。それで、いつか リリスちゃんも弟子にしてもらいなさいよ 私が許可するからさ。いいよね。リシアちゃん リーリシア?」

リーゼルの言葉を聞いたリシアとリーリシアは笑顔になっていたのだ

「それでは 皆様も宜しいのでございますか?」と聞かれたリシアは

「うん。リーゼルさんを 信じてる。きっとリゼルも、私達が知らない間に、大変な事が沢山起きていたのかも知れないんだなって なんとなくだけどわかるから でも、今更そんなのどうでもいいもん リーゼはリゼルの体に、魂を入れてもらって、リゼルはリーゼルで、リーゼとして生きる事を選んだのよね。それに、リーゼの体に入った時の事を思い出すと、なんとなくだけど。なんで自分がここに居るのかが理解出来た気がするもの」と言うと

「リリスとリゼルが、リーリアが、私達の仲間に成った時の事を考えながら、話しをしてくれて。それを思い出してみると。確かに そうですね。私達とリゼルとリリスは、仲間に、そして家族のようになって。共に過ごす日々を送っていた気がするんです。そして そのおかげで、私は 私として生まれ変わることができたので。リゼルが、その体で産まれた時には、その事を知っていたはずなのですが、私がその事を知らなかった理由とか 色々と考えれば、考えるほど、不思議と そう言うものなんだと納得してしまうので。だから リゼルはリーゼルで居た方が良いのかもしれませんね」

「そうね。私も、そう思うわ。私とリーゼルとリゼルの三人は 姉妹のような存在なんですから。私達の絆が切れるようなことには なりませんから。それに リーゼルが、リーゼとして生きた記憶があるって事は、リーゼルがリゼの記憶を持って、生まれたからって事ですよね?それに、その事をリーゼルが受け入れて。その上で。リーゼルの人格を尊重しているのであれば。それは素晴らしいことだと思いましたので。私もリーゼの魂が入ったリーゼルに体を譲り渡す事に、異論はありませんので。私としては。このままでも良いのかなぁと。そう思っておりました。ですので」

リーゼとリーリアが 俺達の前で話を終えると リーゼルとリーリアがリゼとリーリの所に歩み寄り

「私からも、改めてよろしくお願いします」と頭を下げて挨拶をした それからしばらく話をしたんだが俺が

「とりあえずさ。リゼルの事も もっと知っておきたいとは思うし これから一緒に行動したりする事にもなると思うんだけど。まあ、それはおいといて。それよりもさ これからさ。魔物が増えてくるんだろ?だから、お前らさ。そろそろ帰る時期なんじゃねぇの?それとだな 俺って言ったらあれだしな。そっちもなんか色々とあって混乱するかもしれないし。そうだな。リーリアもリゼルも、俺の娘みたいなもんな訳だしさ。なんか呼び名を決めておくか?名前とか ニックネーム的な奴だよ。なんかある?」と言うと。リーリアが

「それだったらね〜 リーリのリを取って、リーリナにするのはどうかな?なんかリーリアの妹ってイメージじゃない?リリアちゃんの時はリゼルの体の事もあるから ちょっと呼びにくいけど。妹だったらいいかもって思って。でもね リゼルは 私の娘って事になってるから。やっぱり、私の名前を使ったほうが良いんじゃないかって思うんだよ。だからね。リーリとリリとリーゼルの三人が揃ったら、私の事をお姉ちゃんって呼んでくれるかな?」と言ったので、それを聞いていた他の四人も、「お兄さんとお義母さんで良いじゃないか。お義母さんはリゼルの事を呼ぶ時以外はリーゼルって呼ばないほうがいいかもね」と リゼルが言うのだが リーリアは不満げな顔をしてリーゼルの方を向いて、「だってお義理母さんよりお義理お姉さんのほうが可愛いくない?それに私は リリスやリリシアに、リリアちゃんと親子で一緒に過ごせたり。兄妹みたいになれたら良いなと思っているだけだし。そんなに深く考えてなかったし」と拗ねる感じで言うと リリスも

「そうですね。確かに私達が出会った時から。既にリーリアさんの事をリーリアと呼び捨てにしていましたからね。リーゼルとリーリアの関係は とても近い間柄に見えます。それと。リーリムが、お母さんと呼んでくれなくても。リリアはお母さんと呼ぶでしょう? つまり、家族同然な関係だと、そう思いますので。私達はリリアの家族。私にとっては 大切な娘であり。リーゼルにとっても リーリアとリーゼルの二人とは、本当の親娘のように思えるのです。そんな風に 思っていたはずなんですよ。私にとって リーリアは 実の母親のようで それでいて 友達とも少し違うような。そんな気持ちにさせられていて。不思議な人なのです。でも 私の中では リゼルにとっても、リリアにとっても。そして リゼルの中にいるリリアにとっても 私は、お母さんという位置付けなのです。もちろんリリスにとっても同じ様なものでしょう。そんな感覚なので。呼び方なんてどうでもいいじゃないですか?」と言うのであった リリアの一言を聞いたリゼルが 泣き出した リリアも リリアの中のリゼルが

「リゼル 泣かないでくださいよ。もう 本当に貴方って 仕方のない子ね でも それが可愛くて。大好きなんだけどね。ふぅ わかったわよ。私の事をリリムじゃなくて。私の事を、リーリアちゃんって、そう呼ぶようにすれば。良いんでしょ。まったく それで リゼルは、これからどうするつもりなの? リゼの体はリーリアに任せるとしてもさ リゼル自身の考えとか。目標だとか。何かやりたい事とかさ そういうのあるわけでしょ?」と聞くと リゼルは自分の体を抱きしめて「えっとね。まずは。魔王を倒す。そのために、強くなる必要があると。そう思っています」と言いながらリリアの顔を見ると リーゼルは、リーゼロッテに対して こんな事を言い始めたのである「私は、私の意思を継ぐものが居ないと。私の存在は忘れられてしまいそうな気がしていて。私の願いはただひとつだけ。自分の子孫を残す事で。その想いは叶わなかったけれど 今は、私が願った通りの形になっている。私が望んだ事ではないにしても。こうして、私の事を知っている人たちに出会えたのは、とても嬉しい事。だから、リゼルには、是非とも私と、リリアの子供。そしてリゼルと、リリアが作ってくれた子供の子孫たちと共に、平和になった世界を生きて行って欲しいと思って。それでね。もしね。もしもだよ。私が リゼルと出会っていなかった場合。私はこの世界のどこかで生き続けなければならなくなってしまっていたかも知れない。でも 私もね。その事を理解しているから。私が、今のリーゼルちゃんの体に宿ってしまったからこそ。私が消えてしまった時に、次のリゼルが現れてしまうと きっとまた悲しい思いをさせちゃうんだよね?それに リーシアが居るんだから リーシアが 新しいリーゼロッテになれば、大丈夫なんだろうけど」と話しを聞くとリゼルは リーゼの言葉の意味を理解して「はい。私の中で眠る、リーリスの記憶にある限り リーリエは私を恨んでいるようですね」と言うと「それって」と言うと リゼルが リーリアに向かって「私達の世界で、リーリスが生きていた世界とは別の世界に存在していたはずの。私達の仲間の誰かが作った世界なんです」とリゼルが自分の

「記憶の中にある。別の世界でも。その私の仲間の一人が残した日記によると。リーリスの記憶にあった通り。リーリアのお父様も リーリスの事を凄く大事にしてて。それはもう、異常なくらいにリーリスを溺愛して。リーリアを産ませてからも、毎日のようにリーリアに会いに来ていたんですけど。そのせいなのか。リーリスの世界では、リーリアは。そのお母様とリーリスを虐める人達に酷い目に遭わされていて。その恨みから、その人は復讐の魔法を生み出して。その魔法の実験に使われてしまっていた。私はリーリスが殺されたと聞かされて、私自身もその人の事を好きになってしまったから、助けられなかった事をずっと悔やんでいたんだと思います。私が、その人に恋をしたから。リーリアもリーシアも。そして私とリーリスの関係も変わってしまったのかもしれないんです」と言って 涙を流していたのを見て、リリスが近づき リゼルの手を取りながら優しく話しかける「ねぇ リーゼル あなたはまだリーリスの事が嫌い?」と聞かれると リゼルは 首を横に振り「いえ 嫌いだと思っていたのですが リーリスが私の中で眠っている間は 憎しみだとか そんな気持ちを感じなかったのは本当です」と答えたので リーゼル

「そうですか。それは良かったです」と言い

「それで。リーリが、リーゼルの中に眠っていても。リーゼとして目覚める可能性がある。と言う事は」と そう言ってリーリアの方を見るのだが リーゼルもリーゼルの中のリゼの魂も同じ事を考えていたのか その質問を口にしていた その言葉を聞いて 俺は、思わず笑みが溢れてしまう 《リリアが 私の中に入っていたのって。つまりは、私の中のリーリとして、記憶を持って生まれた。リーリアの魂が リーゼの中に入っていった結果 リーゼルの中にいるリゼルとリーリが一つになったという訳なんだ。

それは、つまり。私がリーゼルになるのだから

「リリス。あなたが リーリスとリーゼルの二人の分身体を作った理由は、リーリスに幸せに過ごして欲しいと思ったのもあるでしょうが。本当は違う理由もあったのではありませんか? リリスとリーリスの二人で、一人前の人格になって お互いに支え合う為なんじゃありませんか?」

リーリアのこの言葉が真実なのだとすれば、リーリアの中に入ったのは、俺とリゼルの娘のリリとリリシアだ そして、リーリの意識は。リーリとリリアとリーリアとリーリの四人分の力を持っている事になる。

まあ、リリアの言っていた通り。元々、リーリアは、俺が

「魔王討伐に行くために 勇者パーティーに入るためだろ? でもな。俺は お前の力になりたかった。だからこそ、俺は 勇者になってでも、お前を守りたいと思ったんだよ」って。そんな会話をしていた時があった。

俺とリーリアの事を見ていた、リーリアが こんな事を言い始めたのである リリアの表情が 少し寂しそうな感じに見えるけど。一体何を考えているのかな なんて思っていると 突然、魔王の声が聞こえてきたので、そちらに顔を向けると 目の前の女性と、少し話をしているようだったのだが そんな時 リーリアから、リゼルに、こんな事を聞いたのだ すると、すぐに リゼルが返事をして 二人だけの話が終わるまで待っていた

「それでね。私が リリアちゃんと、お義母さんとで、家族になりたいと思うからさ。私の事はリリアちゃんに。リーリアの事をお義姉さんと。そう呼ぶようにして貰えるように頼んでおいたんだよね」

そんな事を言われたので、リリスとリリシアの二人を見ると。二人共笑顔を浮かべていたので、リリアは、俺に何かを伝えたかったみたいだが。何を伝えようとしたのかが解らなかった でも 今の話の流れを考えると。きっと。俺に何かしらのお願いでもしたいんだろうけど。リリアが俺に伝えようとしている事を、察する事が出来るようになるには、まだまだ修行が必要だって事か

「ところでさ。リリア あんた。本当に良いわけ?リーゼの体に入っていて リーリアは、私と一緒に。私の中にいたリーリスって子の肉体を使って作られたの。つまり。私達二人は同一人物なんだけど。その。リリスは、私と同じで。その。男と女の二つの性があるって感じなの。それを踏まえて リーリアがリーリスと夫婦になって。私達は、姉妹になるっていうのはどうかなって思ったんだ」なんて話を聞くとリリアは「私は別に構わないよ。でも 私はリリアが居てくれるだけで幸せなんだけど。それでもいいならだけどね。それに 私は、リゼルにも、リーリアって子にも良い感情しか持っていないからね。だって リゼルとリーリアが結婚したら。リーリアも私のお義妹になるんでしょ?そしたら 私がリリアと仲良くしても 問題無いじゃない。私ね。リーリアのことも、リリアと同じくらいに大好きなの」と言うとリーリアはリリアの胸に飛び込んで抱きついた。その瞬間を 見てしまうと。やっぱり 魔王様ってリリアの事が好き過ぎて仕方がないんだろうなと思わされたのであった。

魔王はリーリスに対して、こんな事を尋ね始めると リーリスの事を抱きしめながら 頭を撫でながら優しい声音で「ねえ リーリス。貴方が。リーリアとして生きていた頃の話を、私にしてくれないかしら。私が知りたいのは リーリちゃんのこと。それから 私が、リーリスの体を、乗っ取ってしまったから、リーリが どんな思いで、自分の子供を産むのをやめて 一人で生きる道を選んだのか。それを私に聞かせてくれないかしら」と言ってきたのだった。

リーリは自分の母親からの頼みを聞き入れる事に決めて、自分の娘であり 自分が愛してやまない リリアから 離れて 自分の父親に向かって語りかける「わかったわ。それじゃ お父さん。話すね。あの時のことを」と言って。当時の記憶を思い出す為に、目を閉じるのであった。

その頃 魔王の側近はリーリムが消えた事で慌てふためいていたが。

「落ち着け!まずはリーリス様を見つけ出さなければならないだろうが」と大声を出して部下を鎮めようとするが その行動も意味がなく。さらに混乱が広がるばかりで。収拾する事はできなかった。その状況がしばらく続くと 側近の元に一通の手紙が届くのだった。

その内容を読んでいくうちに側近の額には青筋が浮き上がり「この手紙を書いた奴を探し出して、殺せ」と叫んでいた しかし いくら探そうとも。その者を見つけることはできずにいた。そんな中で。

この国の女王が、一人の男性と共に王城へと戻ってくるのだったが この男性は、女性を連れ帰ろうとしていて。女王はその事を止めさせようと、その男性に話しかけてみる

「ちょっと待ってください。それは、誰の子ですか?」と言ってくるのだが 女性は男性の袖を引っ張るように掴み離さなかったのである その様子を見た男は「貴様の知る事ではない」と言い放っていた すると、その様子を見てしまった女性が

「私の夫が。申し訳ございませんが。私は夫と、離れることも。夫以外の方を愛する事もできないのです」と言ってきたのだった そんな事を言われた女王も困り果てていた。その光景を見ていた他の者達からも 色々と質問攻めにあったのであるが 女は黙ったまま、その場から動こうとしない すると男が 女を抱き寄せる「心配はいらない。お前は 俺の妻として生きていけばいいだけだから」と 優しく、言い聞かせるような口調で言うと その言葉が嘘でない事が証明できる そう言ったのだ そして 二人のやり取りを見た者が言う「では この子の名前はなんと言うのでしょう」と言う問いに対して「お前達の好きにしろ」と 答えたのだった その男の返答を聞いた者は、自分達の想像していた回答と違うものを聞かされたので困惑していた そこで側近が「陛下」と、声をかけるのだが 女王は無視していた。その後、しばらくして、側近は、女王を呼び止めるのだが。そんな事を気にもせず どこかへ行ってしまう そんな出来事が数日の間。繰り返されていくのだが その間 何度も話しかけても、まともに取り

「あなたが私の事を思って言ってくださっている事はわかっております。でも、無理なものは無理なんです。私は、もう、あのような過ちを繰り返したくない。それだけです。

それと、あなたが、何を言おうとも、私は 絶対にあの方から離れられないのです。あなたがどう言ってくれようと、あなたが何をしてくれようとしても、それが覆る事は無いでしょう。だから、これ以上 私と、私の大切な人に関わるのであれば。あなたを殺してでも ここから出て行きましょう」と言われてしまう 結局 その件に関して、解決することは出来ず。女王に嫌われていると思い込むようになり。側近は 何もしなくなってしまった。

そして ある日の昼 王が突然に姿を消してしまい

「陛下がいなくなった」との報告が入るのだった そんな事を気にせずに。

王は、ある少女を連れて 森の中に入っていた そして 二人だけになり お互いに裸になると、抱き合い そして行為を始めてしまうのであったが。その時の少女の姿がリーリアで 王の事を「お父さん」と呼んでいたのは。また別の話である

「なあ。リリア」俺は、リゼルの方に視線を向けるのだが リーリアがリーリアになっている事を知ったのは つい最近なので そんな事を言われてみて 俺はリーリの方を見るのだが。特に変化はなさそうだし。リーリって、見た目はリーリスの若い頃に似ているし。リリシアは 元々リー

「えっとね。私ってリリスさんの記憶とか知識があるからさ。お姉さんみたいに感じる部分もあってね。お母さんと二人で、姉妹になりたいって気持ちもあるんだよ? あと 私はさ。そのね。今までずっと。私とリーリスの子供って、リーリムって名前を付けて育てて来たんだけどね。これから産まれてくる子供の名前を考える時に、同じ名前を使っちゃダメかなって思ったんだよね」と言うのだ

「ん?ああ、まぁ 別に良いんじゃないかな?だって。リリアって名前は俺とお前で一緒に決めたんだから。リリスには関係ないだろ?お前とリリスの仲が良いのって、昔からだし。今更って気がするぞ」なんて言葉を返してやると リーリアの顔が少しだけ緩んだような表情になったので、良かったと思ったのだが。そんな俺達に近づいて来る人物が現れたのだ その人は、リゼルに近づき こんな言葉をかけてくるのだった 《初めまして。私の名は、リリス。リーリスとは。双子になります。以後お見知りおきを。それで 早速で悪いのですが。貴方は何故、この世界に存在

「あらら。うっかり口が滑ってしまいましたわ。まさか。貴女達その程度しか、まだ、私の正体に気づいていないのかしら?もしかして そこまで愚かなのかしら? なら もっと分かりやすく。私の正体を見せてあげないといけませんわね。ふぅ。さてさてさーて。私とリリスの違いと言えば 外見でわかると思いますけど リーリスは、女の子として生きているけど 私が男の子でリリスが女の子で、二人は別人ってところですね」と言ってくるのだが、正直な感想を言うと 俺の頭の中で こいつは、リリリアと、魔王と、どっちなんだろうという疑問が生まれたのであった》と俺は思っていると

「そうか」と言いながらリーゼルの方を見ると その瞬間 何かの違和感を感じるのであった その感覚が何だったのか解らずにいると。リリスと名乗った人物がリーリアを自分の背中へと隠し「あらら。本当にわからないんですね。もしかして?私を倒せると思っているわけじゃないですよね?それだと。流石に私にもプライドというものが存在していますからね。それでは。本気で戦わせてもらいますよ?」と言うと魔法陣

「私はね。貴方みたいな人の事は嫌いだけど。リリスの事はとても愛しているんだ。だからね。私の手で殺してあげるよ。それに私は、あんたには負けないよ」と言うと同時に。リリスと名乗る人物は一瞬にして姿を消した それとほぼ同時にリリアの声が聞こえた気がしたが。それよりも先に体が動き始めていたのだ。それは何故か?理由は簡単で。リーリの事を危険に晒す事を避けたかったからである。だからこそ。リリリアスを守るために俺は、動くことにした。そして リーリスを守ろうとするのだが リーリスの目の前に転移してくるのだが、それと同時にリリスがリリスに向けて拳を振り下ろす動作を行うと リリムはリーリアを抱えて、その場

「リーリス」と言うリリスはリリアを見て言うのだが。そんな行動など無意味であった。その攻撃よりも早く。リリリアは、リーリスを庇いつつ 自分の持っている盾を使い リーリスへの攻撃を防いだのである。

リーリスは

「リーリスちゃん大丈夫?」と声をかけるとリーリは「ありがとうございます。リリスちゃんのおかげで私は無事です」と答えてくれた。

そのやり取りを見た リリスは、舌打ちをしながら「どうして。そいつなんかを守れたのかしら」と悔しそうな顔で言うのだった それを聞いていた リーリアは「ねえ。なんで、そんなこと言うの?私の大好きな友達に酷いことを言わないで」と言うと。その言葉を聞いていた、リリスは。「ふんっ。貴女こそ。私の事を裏切っておいて。よく平気でそんな事言えるわね」と言うと リリムが口を開く

「そんな事を言われる意味がわからないな。そもそもさ。お前が勝手に、私の前から居なくなっただけだろうが。私はお前のことなんてどうでもよかったのさ。でも それでもさ リリスが困っている時は。力になろうと思っていたさ。でも。そんな事すら、しようとしない奴が、何を言っているのかさっぱり分からないな」と言ってやったのである。そんな事を言われた リリスは

「そう言えば 私はあの後 どうなったのかも教えてくれなかったわよね」と言ってきやがった。だから

「何があったんだよ。お前の言うあの後は、私達が別れた時 私は そのまま家に戻ったはずだ。そこから 何も知らないんだから。知る必要も無いと思ったからだよ」と言うと その話を近くで聞いていた、リーリが「私も。何も知らされていませんでした。でも。そのせいでしょうか。私は。私を慕ってくれる者達がいる事に。全く、気付かなかったのですが。ある時に、私の前に、一人の男性が現れました」と語り出したのだ。その話を聞いた リリスが

「はあ? お前 男に興味があるの?」とバカにするように言ったのだが。リーリアがそんな言葉を言ったリリスの頭を叩いて「リーリス。そんな言い方しないの」と叱るように言い聞かせているのを見た。その光景を目にした俺は 思わず吹き出してしまった。そして「おい。その男がどんな人間なのか知らんが。あまりリーリアを困らせるような事はしないでくれ」と言ったのだった。

すると リリスは「ふーん。私のリリアは、もう、そんな事言うくらい。その男に夢中なんだぁ。でもさ。その子が私の妹になるのって 私 嫌だなぁ。でもさ。私は その子を殺すことはできないからさ。やっぱり。リリスが、私に勝つしかないと思うの。でもさ。私だってさ 貴女と戦えばどうなるか分かっているからさ。本当はこんな事をするつもりじゃなかったんだけどね。仕方ないか。貴女の事を殺せば 妹には、なれないものね」と言って、また消えようとするのだが そんな時に、リーリアが リーリスに対して「ねぇ 一つだけ。良いことを教えるけど。リーリスちゃんは。今、妊娠をしているのよ」と言うと リーリスが驚いて「え!?えええ!!ちょっと待って下さい。私がですか?私はまだ16歳なんですよ?子供を作る行為は。成人を迎えた後の話ではないんですかね?え?まさか。リリリスは、この世界に干渉してきたときに 私を騙したんですね。酷い。あんまりだぁ。私と、リリリは親友だと思っていたのにぃ」と言って泣き出しそうになるのだった。その姿を見ていた リーリアがリーリスの事を慰め始めたので俺は、二人の事を見る事を辞めて 魔王に視線を戻すと 魔王は「おや。貴方達は、まだ生きていたのかい。てっきり、私達に殺されたと思ったのだが。それなのに 貴方達のような、無謀者共は私達に挑むのか。面白いね。ならさ。私は、貴方達を殺したくは無いんだけどね。私も暇じゃないんだよ。だって、これから、リリスと一緒に暮らすための準備もしたいしさ」と言い出したのだ それを聞いた、俺が「へぇ リリア。お前 本当にリリアとして暮らしていくんだな。まぁ、俺の気持ちも理解してくれていて助かるよ」と言うとリリアの顔を見ながらニヤついた顔をして言ってやったのである そんな俺の言葉を聞いてリリスは、リーリアとリーリスに向かって

「リーリスはリリスのままだけど。あなただけは、リリアって呼ぶことにするわね。リーリス。貴女にその資格はないのよ。貴女は 魔王の妻になるんだから。そんな事をするのであれば 今ここで、殺すわよ」とリーリアに警告するのだが。リーリスの表情が変わったのだ そして「そんなの絶対に許さない。だって。私が私でいるためには。この世界に存在しなくちゃいけないんだもん。だから。私は私で生き続ける。だから 私の邪魔をする人達は。私の敵だから」と言うと リーリスの周りに紫色の光が放たれると同時に 俺が「リリア。リリスは、完全に暴走しかけているぞ。どうにかできないのか?」と言うと リーリアが答える前に リリスの身体が変化していき、その姿は 黒い肌を持った、悪魔の姿になったのである。それを目の当たりにした、リーリスは「リーリス。お願い。正気に戻って」とリリスの事を説得させようとするのだが

「そんな言葉は通用しない」と言う 魔王の側近が口を開いたのであった

「そんな事を言っている場合じゃないですよ」と言う側近の発言で我に返ったのかリーリスが「そうですね。私は 一体何を考えていたのかしら。リリリスの事もそうですけど。リリムさんは 大丈夫なの?それに、リーリリちゃん」と口を開きながら心配していた。そして俺は、目の前に現れた、悪魔の姿をした、リリスを見つめながら、「これは、流石に厳しい戦いになりそうだ。だからといって。諦めるわけにはいかないから。全力で行くぜ」と言うと

「リリスちゃんの事が気がかりだけど 今は、こっちに集中する」と言うと 和輝もリリスとリリスの変身した姿の方を見ていて「あの姿が、リリスの本当の姿なんだな。初めて見たな」と言うので

「そうなんだよな。あれが、本来 あの世界で見せていたリリスの姿だったんだよな」と答えると「そうなのかもしれないね。僕としては、あちらの姿で居る方が、僕は好きだな」と言うので

「確かにな」と答えてから「でも そんな話をしていても仕方がないよな」と言うと。

リリスが「あらら。リリムも 随分と変わってしまったようね。でも 私の大切なリリムだから。貴方の事をすぐに殺してあげる」と言うのと同時に。リリスの拳と リーリアとリリアと戦えるリリスとリリムは互角に戦っていたのである。だが そんな様子を見ている、リーリアが リーリアはリーリアと戦うリーリスの事を止めようとしたのである

「リリスちゃん ダメだよ。そんな事したら リリスちゃんは死んでしまう」と言うと「ふんっ リリムは リーリとリーリの事を恨んでいるはずでしょう?それに 私は リリリの事なんかよりも。リリリスが生きていること自体が嫌なんだから」と叫びだすのだった。

「リリス いい加減にしろ」とリリムは言うのだが。リリスはそれを聞き入れようとしなかったのである。そればかりか「私の事は リリスと呼ぶなぁぁぁ!!」と言ってきたのだった。そして

「私は もう昔の弱い自分とは違うんだよ。貴女達の言う通りさぁ もうリリアなんて居ないのさぁ だから。貴女達は私の敵だ」と言い放つと。今度は、リリムに向かって攻撃をしようとした時に 突然。俺の背後から攻撃が来た。それを受けた リリスは、「痛いじゃないかぁ」と言うと そこには。今まで姿を見せていなかった。俺の妹が姿を現したのだ。

妹を見た、俺以外の

「えええ!?」と言う驚きの声を上げた。その光景を見ていた リーリアが「あ、貴方がどうして此処に?しかもさっきの攻撃は 私達を殺すつもりでしょう」と言って 妹の方に問いかけたのだった。

すると、俺の妹の後ろから一人の男が現れたのである。その男の外見は、金髪の髪に青色の瞳を持ち、顔立ちも整っている男だった その男に俺は「久しぶりだね 父さん」と言うと、リリスとの戦いに集中していたはずの リリスが いきなり俺の方を向き、驚いた顔をしたのである リリス

「え? なんで。お父さんが?」と言うと。俺は

「ああ 俺の親父は お前と同じ転生者なんだが。リリアと一緒に暮らしていて。その時のリリアの様子がおかしくて。その原因がお前の母親とお前の親父の関係だと知って。お前達が幸せになるようにするために お前の両親を殺してお前の母の魂だけを救おうとしていたんだよ」と言うと

「嘘だ。信じれないよ。お父さんは、そんな事をするような人じゃなかったのに。でも。その話が本当だとして お母さんは、どうしているの?」とリリスは聞いてくるので 俺は、母が、もうすでに死んでいた事実を話すと

「う、嘘だよ。私 そんな事。知りたくもない。もうこれ以上私を苦しめないでよぉ」と泣き出すので そんな泣きじゃくっている、リーリアに、リリアにそっくりな少女が抱き着いたのだ。それを見た リリムは、何かに気付いたのか その女の子に話しかけた

「もしかしたら。貴方は リリリなのね」と言って リリリと名乗る少女の手を取るのだが

「リリム様 リリリスと、私には。血の繋がりがあるのですよね」と言うのだが

「違う。そんな事 関係ない。今となっては、私にとっての大切な娘なのだよ」と言うと

「そんな 酷いよ。私の事 裏切るの」とリリスが言うと。「リリリ。貴方はまだ、自分の立場を分かっていないようだな。私はね。貴女の事が嫌いだったんだよ。だって 私達家族を捨てて リリリアとリリリを産んだお母さんの側に付いたのが気に食わなかったんだから」と言うのである そんな、リリムの発言に対して、反論しようとする、リリスに 俺が

「リリリ。それ以上 リリム様に文句を言うようなら 俺のスキルで殺すぞ」と言うと

「はい。分かりました。申し訳ございません」と言うの

「お前達二人とも。まだ、戦う意思が残っているなら。俺の娘 リーリアと戦ってくれ。それがお前たちの罪滅ぼしだと思ってな」と言うと 二人はお互いに 剣を交えながら「わかった」と言うので 俺が、二人の戦いを見届ける事にしたのだが

「ねぇ。お父さん」と言われて振り返ると、そこに立っていたのは、俺に瓜二つの少女がいたので「えっと 君は 誰なんだ?」と尋ねると「うん。私の事は。お姉ちゃんって呼んで欲しいかな。だって。私はリリムちゃんの子供だしね」と言うので俺は リリムの所に駆け寄ると リリスと、リーリアの戦闘が再開されていて。激しい戦いが繰り広げられているのだが 俺は

「あのさ。俺の子供のリリアの事を、お願いしてもいいか?」とお願いするのだった それを聞いたリリムは「もちろん」と言うのだが リリスは それを遮るように 俺の前に出てきて「ダメ。私の邪魔はさせないから。だって、私が死ぬ事でしか、この世界が平和にならないから。私は魔王の妻になって 世界を、支配しなければいけないのだから。そして 私が生まれた理由でもある。リリアとの因縁を終わらせる為に。でも それは、私の為じゃないのよ。リリムちゃんの為に。だから そこをどいてよ。私はリリムちゃんを殺したら また、次の世界に行くのだから。だから 早くしないと 手遅れになる前に 早く殺さないと リリムちゃん」と言うのである それを聞いているリリムは

「そうね。貴女にとっては リリリの生まれ変わりである リリリスは邪魔な存在かもしれないわね。でも 貴女には、リリムという大事な人が居るでしょう。それにね。リリリスとリリスは、別人でしかないのよ。それに リリリはね。リリスの事を凄く愛していた。だから 貴女は リリリの生まれ変わりとか、そんな事を言いながら、結局は 過去の記憶に振り回されているだけなのかもしれない」と言うので 俺は、リリスの事が

「え?嘘だぁ。信じられないよ。だってさ 私とお母さんの約束したじゃん。リリリスとは、絶対に仲良くしようねって」と言うので 俺は「リリムは 本当にリリリスの事が好きだったんだよな。まぁ お前は、その思いが大きすぎるあまり 暴走しているだけだ。だから リリリは死んでしまったんじゃないか。そもそも、リリスは、リリムやリリリよりも、俺とリリアの事を優先して考えていたからこそ、死んだんじゃないのか?お前に殺された後、俺とリリアがどれだけ辛かった事かを想像できなかったからだろう」と言うと 俺の言葉を聞き入れたリリスが

「そうなの?でも。それでも、私は、お母さんに謝らないと 許してくれないかもだけど。でも 私も もう リリムちゃんと戦うつもりは無いから」と言うのである。それを聞いた 俺の妹が リリスの頭を優しく撫でてから「そっか。それなら 私も一緒にリリリスの所に連れて行ってくれる?」と言うのである。すると リリスは「え?リリムちゃんと一緒に?」と言うと 妹は「そうだよ。私はね。お父さんとお母さんが、大好きだった。それにね。リリリスにも会いたいと思っていたからね。私の本当のお父さんとお母さんが、どういう風に過ごしていたのか リリスが話してくれるなら聞きたいとも思っているからね」と微笑みかけながら言うのであった。すると

「いいけど リリム様が、許してくれないと思うから。今は無理だよ」と言うと 妹は「じゃあ 今日は諦めよう」と言ってくれたのだ。

それから、俺の親父が、俺に話しかけてくるのである。俺の親父の名前は。ライラと言い、金髪の青い瞳を持ち、俺と同じような外見をしている。ちなみに親父の年齢は三十四歳だ

「久しぶりだね リク。僕の娘を守ってくれて、ありがとう」と言って リリムの方を見て「リリム 僕は君を裏切った事は今でも悪かったと思っている。それは許されない行為だろうが。しかしだ。君の事を娘だと、今でも心の底では思っていんだ。だからこそ、娘のリリアとリリリを頼むよ」と懇願するように言ってくるので 俺は、そんな二人の会話を聞きながらも、「じゃあ リリリとリリリを宜しくな」と俺は言って立ち去ると、親父は「え?ちょっと待ってくれ」と言うのだが。リリムが、それを制したのだった。俺はそのやり取りを見た後に リリアの元に歩み寄り、その体に触れると。「おい リリア聞こえるか?返事しろよ。なぁ?」と俺の声に反応せずに眠っているように見える彼女に触れ続けているのだが、

「無駄だ リリスは、すでに リリアの心の中で眠ったよ。彼女は、これからリリアの中に封印される事になったのさ」と言う声が聞こえたので俺は「リリム?」と言うと リリムがこちらに向かってきており

「お前が私を殺してくれてたら こんなことにはならなかったのにな。私の中の魔族の血が暴れ出して。それで、この村にいる人間を皆殺しにしようとしていたんだよ。それをお前が阻止してくれたから 助かっていたんだけど。やっぱり 私が死ぬことで リリアは、リリスと一つになり、この世界は救われたのだよ。もうすぐで、私の命も消えてしまうけれど。お前とこうして出会えた事が嬉しかったよ」と言うので そんなリリムを 俺が

「そんなに死に急ぐ必要はないじゃないか。俺はお前の事が好きだぞ。それとも。あれか?リリリスは もう用済みだから、いらないと言う事なのか?」と言うと

「そんな事ないよ。私にとって、リリスとリリリは同じ人なんだし。私の大切な娘の一人なんだし」と必死に訴えかけてくるのだが

「俺はな。お前の事を大切に思うが。それと同時に リリスとリリリも同じくらい好きなんだよ。だからさ 俺はな。三人の幸せを願うために生きているのだから」と言って。彼女の体を、自分の腕の中に収めて

「俺と一緒に、新しい世界に行かないのか?俺は、二人と離れるのは寂しいし 出来れば。俺とリリムの三人で暮らしたいと思っているんだ」と話すと

「私を抱きしめたままで そういう事を言えるのってずるいわよね。でも。嬉しいわよ。私を大事に想っていてくれているんだって、伝わってきたから」と言うので 俺は

「それならば、俺が、死ぬまで側にいて、守らせて欲しい」と 伝えるのだが そんな言葉を聞いたリリムは泣き出しそうになるのだが すぐに表情を崩し笑顔を見せると「そう。そんな事を言われるとは思わなかったから 凄く恥ずかしい」と言ってきたので

「俺は本気だからな」と伝えていたら 《 はぁ。お兄ちゃんは本当に 困ったさんですね。まさか そんな言葉を。魔王の目の前で口に出すとは》と ため息混じりの呆れたような口調で 俺のスキルが語り掛けてきて。

「え?えぇ?なにそれ。スキルだとしても 私に対して なんて酷いスキルなの」と言うのである そして 魔王は「スキルは その者の願望に添って力を発揮すると 伝承には伝わっているのですよ」と呟くように言うので俺は「魔王。貴方もですか」と言うと 魔王は笑い出した そして「やはり 君は面白いな」と言うのだった それを聞いた俺は、苦笑しながら 俺の胸の中から飛び出してきたリーリアに「え?え?なんなの?」と言われてしまって。俺はどう説明したら良いのか分からなかった。俺が戸惑っているのを、見抜いた魔王が、俺の代わりに、リーリアとリーリアの子供達に、リリアとリリリスについて語って聞かせてくれるのであった そして、俺達がいるこの世界の事を。勇者が どんな人物なのかを説明してくれたのだ それは、リリムと、その両親を殺した勇者と同じ容姿の青年だという事も教えてもらったのである。だから。俺達は、その事に驚いてしまうと 《 まぁ

「あいつには、注意しないといけない」とは思っていたけど。そこまで悪い奴じゃ無かったはずなんだけどね。それに、私はあの男には 会った事が無いわよ。だって、私は。あの男が私の前に現れる前に死んでいたもの。だからね。リク君。私の為に、復讐なんて 考える必要は無いと思うのよ。だって、今となっては 私は。貴方と、ずっと一緒に居られるんだから。それに 私は、リリ

「ご主人様。大丈夫ですから」

「ん?リリア どうして?」

「ふふっ、だって 私だって、貴方の妻なのですから。私だって貴方の事を支えますから」と言うと。俺の体にくっついて来るので。そんな事をされると、俺は

「ありがとう。リリア」と言いながら。俺の手は、リリアの腰に回して 優しく撫で回すと リリアは「うぅ、そこ弱いの」と言うと リリアの顔が真っ赤になる 俺はそんなリリアを見つめながら 耳元で「ねぇ。もっと触れても いいかな」と聞いてみると。「だ、だめそんな風に言われたら 私の身体に、力が入っちゃうから あっ、でも。優しくして欲しい」と言ってきて リリアは潤んだ瞳で俺の事を見るのであった。するとリリスは俺達に近寄ってきて。

「リリム様 リリア様 私の旦那様に変なことはさせませんから」と言って俺の背中を叩いたのである そんな感じで過ごしていく内に

「あ、そうだ。忘れないうちに」と言うなり俺のステータス

「は?まじかこれってどういう事?」と 驚きの声を上げた。すると 俺の体からは、眩い光が放たれていき。それが、収まると。俺が身に付けている物が光だし、俺が持っていたスマホも発光すると、光の粒子になり、俺に吸収されるようにして消えると。そこには、俺の姿は消えていて。その場には。黒髪の女性がいたのである その姿を見たリリアとリリスは 俺のことを凝視しており。「え?なに?誰なの?私の愛する夫に化けるとか。いい度胸してんじゃねーか」と

「何なのよ。貴女は 私のリリム様の偽物じゃない」と言ってきたので。「違うわよ。リリア この子は。間違いなく。私の娘よ」と女性が答えると リリスは

「お母さん。なの?それじゃあ お父さんも」と言うので。

俺は、「リリス。君を産んでくれた人は、確かに リリムと言う人だよ。俺が産まれてくる前に 亡くなってしまったがな」と伝えると

「そうだったのですね。それで?あなたは 誰なのですか?」と 俺に質問してくるのだが

「俺は、俺だけど。まぁ その辺の説明は難しいが。簡単に言うとだな。今の俺の体は、魂の抜け殻でしかないんだよ。リリムは俺の中で眠っているだけに過ぎないし。さっきの俺の言葉が分かるなら。俺の言いたい事は、分かったんじゃないかな」と言うと。「つまり 私の中に入り込むつもりだと?」と言ってくるので

「その通り」と俺は答えた リリアはそれを聞きながらも 俺の体をじっと見続けていたのだが リリスは、信じられないと言った顔をしながら 俺の方を見ていた 俺は 《 リリムとリリスが、俺を受け入れてくれれば。俺は二人を守る事ができる存在になれるんだよ。ただ俺にできるのは こうして肉体を持たない霊体として、二人の側に居るだけだが》と言うと。二人はお互いの目を一度

「合わせ」それから リリムは リリスの方を見て「リリス 貴方の好きなようにして良いのよ。私がどうするかは、決まっているけれど。私は、リクが望んでいるように 貴方を受け入れる覚悟が出来ているのだから」とリリスに伝えたのである リリスは少し考え

「お母様は、受け入れても良いのですか?」と聞くと リリムは リリスを見ながら微笑むと 《 私はね。リリスに会えただけで もう満足しているんだよ。だからね 私は、リクの事を 受け入れるつもりでいる

「ありがとうございます。お父様の事を信じていなかったわけではないのですけど。それでも 信じ切れなかった私に このような選択をする機会を与えてくださって ありがとうございます」》と言うと リリアスは俺の事を「ええ。私の旦那さん よろしくお願いします」と 手を差し伸べてきたので 俺もそれに応えるべく 俺の手を伸ばして差し出すと。リリスはその手を掴んできたので そのままリリスの体を引き寄せて抱きしめていたのであった すると俺の腕の中からすり抜けるように リリアとリリアが姿を現していたのだ 俺と俺の娘である二人が 抱き合っている姿を目の前にしたリリアが。自分の胸に 両手を当てるようして

「リリア。貴方も、あの二人みたいに」と言うので 俺はリリムとリリスを 一旦離し「ごめんね。二人とも 今すぐでなくても良いから。でも 俺は、必ず二人を 俺が生きている間に。幸せにして見せるから。約束するから」と言うと。リリムとリリスが、二人で俺の事を見ながら

「私は あの子の母親で 今は、リリムと名前を変えているリリアを娘だと思っているから これからはリリムと呼んで欲しいの」とリリムが話すと。リリアは

「うん。そうだよね。今までの私は お母さんと一緒で 私はあの人の子供で。それは、今でも変わってはいないんだけど。あのね。リリアの記憶を持ったままでね。私は、リリムになったわけなんだけど。あの人に愛されているリリアの記憶を持っているって。それは、きっと。とても幸せな事だと思うの。だって。私にはあの人を、好きになってくれる人がいなかったのだから。そんな私に。こんなにも。大切に思ってもらえるようになった。それも全ては。私の力ではなく。リクさんの、心が起こした奇跡だって思えるのよ。だから 私にはね。この子が産まれてきただけでも嬉しかったのよ。それに 私の中のリリアも、喜んでくれていたの。この子と出逢わせてもらって。本当に感謝をしているわ」と言うと。俺の事を 俺とリリアの子供であり、もう一人の俺とも言えるような感覚になっていた

「リリア。リリアのおかげで 俺も、ここまで強くなったよ。それに リリアの事が 本当に大切なんだ。だから 君達の為に頑張ろうって思えてる」と

「ふふっ、ありがとう」と言うとリリムは俺とリリアを抱き寄せてくれたのである 俺はリリアとリリアに抱きしめられながら 俺達はしばらくの間そうしていたのだが

「さてと、私は、しばらく眠りにつきますから その間は リリアの事 任せましたよ」と言うと リリムは、光に包まれると消えていってしまい。俺はそんなリリスを見ていると。「ご主人様。私達の家族に」とリリスが言って来たので俺は、

「リリス。俺は、君が、いや。皆が好きなんだ」と言いながら 俺はリリスにキスをするのである。

そんな時だ 俺に近づいてくる人達がいる

「おぉ。これは凄いな。リリス殿の母上様なのかな?それならば納得出来るぞ」「ああ 私達が出会った頃より若々しい気がしないかい?」と、口々に言っているのを聞いて 俺は慌ててリリスから離れて「こ、これ!何をしている!」と、言うなり俺は リリスを背中に隠したのだった そんな様子を見た、リリムが居なくなった事に気づいたのか リーゼが近寄ってくると

「お久しぶりです。魔王様。今日は、この者達を、助けて下さり 感謝致します」と、深々と頭を下げてくるのであった 俺も、「初めまして。俺が リリアの父だ。そして、君は 魔王の一人娘か? 俺も初めて見る顔だ」と言うと

「えぇ。お母様にそっくりだと言われているんですよ。リリアは」と言ってリリアの方を見ているのである リリアが、俺の後ろにいるのを確認したリリムが、リリスの前に出てきて

「貴女がリリアね。話は聞いているから。私の方こそ、改めて 宜しくね」と言うと リリスはリリムに挨拶をしていたのである すると突然、俺に話しかけてきた奴がいたので そいつは、見た目30歳位のイケメンだった そんな俺が

「貴様が噂に聞いた、【剣聖】なのか?」と言うと。その男は俺の目の前まで来ると「そう言う貴方が、伝説の勇者 なんですね。いやぁ まさか。異世界召喚の儀を受けて 勇者に選ばれる人間が現れるなんて 夢に思いませんでしたよ。私は、【勇者パーティの一員】として、一緒に召喚されました 名前は ラギアスと申します。以後、よろしく」なんて言い出すのだが 《はい。俺もビックリしました》と言う そして俺は、「俺の名は レイヤと言う」と言うと 《

「俺が 貴方に勝てる確率は0パーセントですよ」と言う 《はい。貴方は確かに強そうではありますが。俺はそれ以上に強いはずなんですけどね》 俺が

「なにがおかしい」と言うと 《 いえ なんでもないですよ そう言えば。俺、ステータスを他人に見せないでくださいね。

「なぜ?そんな必要が」と聞くと。

《俺の能力とかがバレると 悪用される可能性があるので。特に 俺は この世界では存在しない能力を持っているみたいなので》と説明する すると。「ほう。君にそんな特殊な力がね。まぁいいだろう」と、だけ言い残し、彼は立ち去っていった。俺としては少し残念な気はしたが。彼からは何かを感じた。それは、俺の中にある 記憶と感情 それが刺激されたのだから 俺に リリア以外の 嫁が増えた事は、言うまでもないだろう。俺は 《 俺は今、俺の家がある村に帰

「リリス。俺は今 リリスの実家に向かってるんだけど、良かったら一緒に来ないか?」と尋ねると

「良いのですか?」と言ってきたので 俺は笑顔を見せながら。「もちろんだよ」と言うと 《俺は、この世界に来てから、俺の家に帰れていないので》と心の中で呟いていたのであった

「ところで。この乗り物は、どうなっているのですか?」

リリスが、不思議そうな顔をしながら

「この世界の技術じゃないのは間違いないよ」

と俺が、答えると。

「でも、こんなに大きな鉄の塊が動くだなんて信じられませんよ」と言っていた 俺達は、村に戻り。俺の帰りを待っていた

「お兄ちゃん。お土産は?」

と俺の服の裾を掴んで、甘えるように言ってきたのは 妹の 彩華だった 俺は、少し恥ずかしそうにしているリリアを見て リリアに目線を送ると、リリアは少し頬を赤くして「はい」と答えてくれると

「あーもう。かわいい」と言いながら 彩華は、リリアに抱きつくのである するとリリスが。「可愛い妹さんで羨ましいわね」とリリスが言うと 彩華の目がキラっと光ったと思うと。「リリス姉さんも。すんごく 美人さんだよね~♪」

と。いきなりリリスの手を握って ぶん回し始めたのであった すると 彩華は、「ちょっと待ってて おにぃ ちゃ あのね あの子達に、会わせたくて連れてきたんだよね」

と言うと

「あの子って もしかして」と言うと。リリスが「うん。リリアスの事だよ。それと あの子達が、新しい家族の」というのである そうなのだ。俺には、新しく増えた家族がいるのだが、まだ名前が無い為。俺達の中では 子供と呼んでいたのである。そんな俺達のもとに。俺の娘となる子供達が現れて

「ねぇ お父さま 私の事を覚えていますか?」と言った娘がいたのだ俺は、そんな娘に見覚えが無かったのであるが 俺は、「誰なんだよ」と言うと娘は 涙を流し始めてしまう 俺はどうして良いかわからずにいると 《マスターは鈍感すぎますね》と声が聞こえると。娘の横に。少女が現れたのである

(なんだ?お前らは?)

『初めまして。マスター。私の名前は リシアといいまして こちらは』

「初めまして 僕はリティアって言いいます リリアお姉ちゃんの妹になる者です」と二人同時に自己紹介をしたのであった 俺が呆気に取られていると。彩華が俺の元に歩いてきて

「おにぃ この子が 私の妹のリリアお姉ちゃんの妹なの」と言うと。

俺は

「へっ?だって リリアには姉妹がいないはずだぞ」と言うと リリスは。「お母様が リリアを妊娠した時には お腹の中にいたんですよ」と説明してくれたのである。そして俺は リリスの方を見る リリスも困っているような表情を見せていた そんな時である 俺達の方に駆け足してくる女性が見えたのである そして 女性は俺の前に立つと

「お初にお目に掛かります。私は、リリム様の護衛をしておりました メイリンと言います。この度はリリム様のお役に立てる事が出来ず 本当に申し訳ございませんでした」と言い頭を下げた そんな様子にリリスが「顔を上げて下さい」と 優しく語りかけるのであった 俺は リリスとメイリーンの話を聞き 俺の妻達を連れて 城に戻る事になったのである そんな俺達が 城に入ると、すぐにリリスの母親と、その側近の女性が出迎えてくれて、皆に挨拶を済ませると、俺達は部屋へと案内される そんな部屋には 魔王リリスの母 【ミレディアス】

リリスの姉 【リ

「おぉ 勇者様が、いらしたのか この度の騒動を収めて頂き 感謝致します」と言われ。

俺は、この人が。あの人と同じ存在だと思えず。「この方は、本当にあの人と同じ人なんでしょうか?」と言うと 魔王リリスの母親は、「えぇ。私は紛れもなく魔王 【リーゼ】ですよ」と、言われ

「はぁ」と言うと。俺に近づいてきたリリムは「レイヤさん 私にも分かるのですから、お気持ちが分からないとは言いませんけど。一応は、私のお義理母親なんですから」と言ってくる 《あっ!》と言うと。俺は頭を下げていた 俺の頭の上にはハテナマークが出ている状態だったが。とりあえず頭を下げた方が良さそうだと思い下げると。俺の頭を軽く撫でたあと、「ふむ」と言う言葉と共に席に戻っていく彼女を見つめているしかなかった それから俺は、この国で世話になった者達に挨拶をしたあとで、元の場所へ戻るべく移動を始めたわけだが 俺が戻るまで、この国の管理を任されている人達がいる場所に向かい話を聞くことにしたのだけれども。その途中である事件が起きたのであった 突然

「きゃー」と悲鳴が響き渡ってきたのだった。

そんな騒ぎを聞いて、俺の側に居てくれてる人達に指示を出すと。

俺自身は。走り出していた。そんな俺の背中に

「私も行きます」と言うリリスの声と同時に、メイリンも俺についてくるように走っていたのである 現場に到着するまでの間、俺は、リリスと一緒に この世界にやって来た時の事を思い出している間に現場に着いてしまい。そこには大勢の兵士達とリリムの姿があった。そして俺は「何が起きた?」と尋ねると。一人の

「私共は、この城を警護しておりましたところ。いきなり 魔法による攻撃がありました」

《魔法!?俺の知っている魔法とは違う》と思っていた俺に対して

「そうですか。分かりました。私は、この城の様子を見てきますので。貴女はここで待機していてください」と伝えるとリリスも「はい」と言ってくれるので、リリスを残し、他の人間には待機命令を出し。俺一人だけがその場を離れることにしたのであった 俺が 城内の様子を探ると、俺は違和感を感じたので、気配遮断を使い リリスに見つからないように近づく 俺が見た物は、数人の男女とリリアに似た容姿の少女がいて、その少女を囲むように兵士やメイド

「なにが 目的なのかはわからないが。リリアに害を成すのなら 俺の敵でしかない」そう思って俺はリリアのもとに向かう事にしたのである 俺はリリスの元に戻ると。俺と一緒に向かったはずの 俺の家族がいない事を伝えたら。リリスは 顔を真っ青にして「嘘ですよね?」と言って俺の腕を掴み。涙目になりながらも俺に訴えかけてきた。

「俺とリリスしかいなかったから。リリスは、ここから離れたくないだろうと思って、俺の家族の事を頼んだんだ。それに 俺が今から向かったところで 何もできないだろうしね」と言うと。リリスが何かを言い出そうとしたので、それを手で制すると

「俺もリリスも この世界では、特別な力を持っていても。ただの普通の人なんだよ。それは 俺達を呼び出してくれた人もわかっていたと思う。俺達が普通の存在だって。だからこそ。俺達が戦う相手ではないと思うんだ。だから 俺はこの世界で知り合った。リリアを助けに行きたいと思う。そして この世界を救う為じゃない リリアを守り。幸せにする為にだ」

俺の言葉を聞いていた メイリンは。涙を流しながら俺を見ていた 俺はリリムの所へ向かう リリムの部屋には、この城に滞在してくれている人達がいるはずなので、そこを目指す

「リリア 大丈夫か」と言うと。

「はい リリアスのおかげで、今は平気です」と言うリリア 俺は「リリア 君は俺にとって大事な妻だ 君にもしなにかあった時に後悔だけはしないようにしてくれ」と言うと リリアは「はい」と返事をするのであった。俺は リリスを呼び寄せる。

「俺達がいなくなった後で ここを頼むよ」と言い残して リリアスと二人で、この国から脱出する事に成功したのであった。そして、そのままリリアを連れ 転移を行い。俺は自分の家に帰る

「あれっ?」俺は、リリアスの手を握ると

『あの どうして手を?』と言うのであった。

俺の手が 少し震えている 俺は、この世界の事を

「なぁ リリス」と言いかけると

「リリアスさんが どうかしたのですか?」と言われ。俺は、「実は」と説明をした。するとリリスが、「わかりました。少しだけ待っていて下さい」と言うと。リリスが、リリアに

「貴方達って もしかして、双子だったりとかするの?」と言うと

「はい。私は、リリアスといいまして こちらの私は、リリスって言います」と二人同時に答えるのである そんな二人を見た俺は、あることを思い出す この二人が出会った事で、魔王の魂が二人に乗り移った事を思いだすと。リリスは、二人の頭を優しく撫

「ちょっといいかな?二人に確認したい事があるからさ。まずは、君の方を」と言いながら抱き寄せようとすると。リリスは、「おにぃ?駄目だよ。私にしてくれるんでしょ?私以外の女性を抱き寄せたりしたら、嫌なんだからね」と言うのだが俺は 《ん?どういう事?まあいいか とりあえず リリスにキスをしちゃえば問題はないはずだ》と考えてリリアの方にも近づき抱きしめることにするのだが俺の考えとは裏腹にリリアは恥ずかしそうに俺に抱きついて来て。顔を上げることも出来なくなってしまっていた 俺としては嬉しいんだけど。なんとも言えない状況になってしまっていると。そこにリリアの母親であるミレディアスが現れる

「あら 勇者様はおモテになられるのですね。リリア あなたに お話があります」と言うと

「な、なにかしら」と言って、離れてくれたので、俺はミレディアスの話を聞き、リリアスに、しばらくここで暮らして貰う事になるかもしれないことを告げた リリアスが「はい」と答えて 嬉しそうな笑顔を浮かべていたのだけれども。

「私達は」と言いかけて

「えぇ。あなたの気持ちはよくわかります。私も最初は不安で仕方がありませんでしたから。ですが これから先も。この世界に居てくれる限り、私の家族として よろしくお願いします」と言うと リリアの顔に

「ありがとう」と言う笑顔がこぼれると。

《リリスには悪いけど。リリスはリリアの側に居てもらうのが 俺的には安心だと思うから。これからはリリスにも寂しい思いをさせないで済みそうだ》と思っていると

「レイヤ ごめんなさい」と言ってリリスは 部屋から出て行ってしまうのであった。

それから数日が経ち。俺は、魔王の側近であり、魔王の娘でもあったメイリーンに この城を任せる事にしたのであるが。リリスの母親 ミレディアスとリリスの姉妹達は、城を出る

「この国を守って下さっている。レイヤ様の側に居させて欲しいのです」と。魔王に言われてしまうのであるが。俺は魔王達の安全の為、ミレディアス達とは距離を取ることにしたのである 魔王と、ミレディアス姉妹は リリスに俺の世話係になるように頼んだらしいのだけど。リリスはそれを拒否しているようで。そのせいか。リアリスは俺にくっついている時間が増えた気がしたのであった リリスと俺は、この国で、のんびりと過ごす 俺はリリアスの体を触らせてもらい。満足したところで。「なあ この世界は一体なんなんだ」と俺に聞くと リリスは「えっと。ここは【ディファス】という世界で。【リリア】は。私達の妹にあたる存在です。この【リリア】の世界では。私が【リリア】の姉になり。妹がリリアとなっています」

俺は「リリスの本当の名前はなんて言うんだ?」と尋ねると。

「私は、リリスですよ」と言うので「でもな 俺の中では。君は【リリス】だし。リリアスも俺にとっては大事な嫁になる人だ。そんな君達の呼び名はどうでもいい事じゃないだろう。リリアスとリリスは別々の名前で呼ぶよりも。俺の中では同じ名の方が呼びやすい」と言って

「そう言えば、二人は。リリアの体にいる時に意識はあったのか」と聞いてみた すると。リリスとリリアスが「私達が表に出る時は、いつも一緒に出ていましたよ」と リリアスが答えてくれた

「そうなのか 俺はこの世界にくるまでは 別の世界にいたわけで、その世界に 俺はもう帰れない。この世界に来る前に リリアに俺がここに来た時の記憶が引き継がれなかった事が気になっている」と話すと。

リリアは、困った表情をして。「私は その。レイヤさんと一緒にいた事は、覚えています。だけど。それ以外の思い出がないと言うか。それに、その」と言いづらそうにしていると。

「俺がこの世界に呼ばれた時、この世界の住人の記憶や経験を引き継ぐことが出来なかったみたいだな」とリリアに話しかけた リリスは、「やっぱり、この世界に来てくれても レイアは 私だけのものだよね」と言って、頬を赤く染めるのであった

「俺は 元いた世界の事も忘れたくはないが。こっちの世界でも。お前達と幸せな生活を送っていきたいと思う。だから。もし この世界を救ってくれと言われるような事があれば それは断ろうと思う」

俺がそういうと。リリスとリリアスが、俺を見つめ。リリスが「私達が力になれれば 良いんですけどね」と言うと。リリスが「それはそうと。今日は、お姉ちゃんとお母さん達が、ここに遊びに来られていてね」と言い出した瞬間。俺は、部屋の外に駆け出してしまっていた。そして、「俺が会いたいと思ってしまったからなのか?それとも ただタイミングの問題なだけなのか?」と思いながらも。リリアスとリリスを部屋に連れ戻す事にしたのである すると リリアが「あれっ?」と声を出すのだが。リリアスは「私は、気にしないわ」と言うのである。

「俺は。元の世界で暮らしていた時には、彼女がいた。それ故に、リリアの事だけをずっと愛していくことは出来ないと思う」と伝える

「私はそれでも構いません」と。俺はリリアに対して

「この世界にきて 初めて会った時から 俺はリリアのことが気になっていて。リリスは そんな俺に、リリアの世話役になれるよう話を持ち掛けてきて。その時から俺は リリアの側に居られるだけで幸せだと感じるようになっていたんだ」とリリアに伝え。俺は 彼女の耳と

「リリス リリアは、この世界に来る前の俺とのやり取りを覚えていないんだよ。俺の事を好きだと言ってくれる彼女だが。俺の心の中には リリアが存在している 俺とリリアの関係を壊したくないから、俺の側から離れていかないで欲しい。リリス 俺は 自分の気持ちを伝えずにはいられないほどに。俺の中にリリアの存在が大き過ぎて。このまま 俺の中で、彼女は大きくなって行く一方なんだ。俺は、自分の気持ちを抑えられず。今すぐにでもリリアを抱きしめたいと 心の底から思ってしまった。リリアの全てが 俺のものにならないとしても 側にいて欲しくて」と 言葉を続けると

「うん おにぃなら大丈夫。わかっていたもん。でも 寂しかった。リリアスさんは。おにぃのことが好きだって。おにぃのことをおにぃって呼ばず。レイヤって呼んでいたから。少しだけ嫉妬しちゃった。だから。リリアさんにお願いして おにぃに甘えるようにして貰おうと思ったの」と言う

「そんなに心配しなくても リリスも大事に思ってるし 俺にとっての大切な娘である事に変わりはないから」と俺は、リリスを抱き

「俺は君達二人を大切にするからさ。安心してくれないか?これからも仲良くして欲しい」とお願いをしたのだけれど。それを遮る形で 扉の向こうで聞いていた魔王が、慌てて俺達の前に姿を見せるなり 泣き出してしまって。そんな姿を見かねたミレディアスが部屋に入ってきて魔王の手を握るのだが魔王は、「ミレディアスさんには申し訳ないですが。今は私と、ミレディアスさんの二人だけにさせて下さい」と言ってくれた。それからしばらくの間は二人きりにしてあげることにしていたのだけれど 《なんだ?魔王は。ミレディアスさんが好きなのかな》と思っていると ミレディアスが「ごめんなさいね あの子達は私に任せてもらえますか?」と言ってきたのである 俺と、リリスは部屋から出て行こうとするのだが。リリアスが リリスの腕を掴み。リリアがリリスと手を繋いでいた。

《リリアの様子がおかしい》と感じたのである

「おにぃ ちょっと待って」と言うと。リリアは、リリスの方を見ながら「リリス リリアス ごめんなさい。私達。三姉妹の仲なのに 姉妹同士で争うようにしてしまった こんなの。家族じゃありませんよね」と言うのである リリスはリリアに向かって手を伸ばすと。リリアがその手を掴んだ その瞬間に リリアは俺の方を見て。「ありがとう私のために、ごめんなさい」と言うのだった 《えっ?何があったんだ》と不思議に思いながら 俺はリリアに、「魔王のところへ戻ってみてくれよ」と言うと。「はい レイヤ」と 返事をし。俺とリリアスを連れて。魔王の部屋へと入って行き。俺は、リリアと共に 魔王とミレディアスの話を聞かせてもらったのであるが。俺としては魔王の行動の意味がわからないままだったので。ミレディアスに聞いてみたのであるが。ミレディアスも よく分からないと言っていたのであった ミレディアスがリリスに目配せをするかのように合図を送ると。リリスがリリアを俺の隣に

「魔王。さっきまで、魔王が俺に言ってきた事なんだけどさ どうしてあんな事を言って来たんだ?」と 俺に問いかけてくる魔王は、しばらく考え込んだ末に 口を開いた「私は。リリスやリリアスと 血が繋がっていないんです。この世界では 私が本当の意味での母で、リリスとリリアスとは姉妹関係にあります」と言い始めた

「そうなんだ。俺はリリスに育てられたけど この世界の母親がいるんだったら。俺は母親を探さないとダメだろ。この世界の母親は 俺を育ててくれたんだから。それに 俺のいた世界での家族に別れの挨拶くらいさせてもらいたいしさ」と俺が言うと

「あなたがこの世界で生きる為に私の記憶を受け継いだ時 私と過ごした日々は 全て無かった事にされているはずです。だから 私が この世界であなたのお母さん代わりになっていたことは知らないと思いますよ」と言われてしまう リリスとリリアは、お互いに抱き合い。リリスが「リリアの言うとおりですよ」と言う

「そっか そうだよな 俺は俺なんだから。この世界での記憶も残っている。でも。向こうの世界で生きていた頃の記憶はあるわけだけど。こっちでの生活をしていく上で困った時に 向こうに助けて欲しいと思えば、その度に思い出す事が出来るはずだと思っていたけどそうでもないみたいだしな」と呟くように話すのだが。その時、リリアスが俺にキスをしてくるのである。そして、「私の体にも貴方と同じ刻印は刻まれているんですよ。貴方と一つになった時は この世界で過ごした記憶がある。貴方と一緒に過ごしていた時間や 二人で過ごしてきた時間の記憶が全て残っていた。だからこそ、私には分かるのです」と言ってくれるのである

「俺は、リリスから産まれて。その後しばらくして 別の女の子として転生したらしいんだ。その事実を受け入れてくれるか?」

「私は リリアから産れた存在ではありません。それでも。レイヤさんを愛するという事は変わりません。この気持ちは誰にも変える事が出来ないものです」と。彼女は俺の体を抱きしめるのである。その瞬間に 俺はリリスから 愛しい人としか言えないような 感情を受け取らずにはいられなかった。俺の気持ちは彼女から離れようがないのだけれども。俺は リリスを抱きしめると「俺の心の中には。いつもお前達がいてくれる どんな形であれ、俺はお前達が俺の心の中にいてくれるのであればそれで良いと思ってしまうんだ。それだけお前達の事を俺は大切に思ってる」と言うと。二人は、涙を流して喜んでくれるのであった。

《リリスやリリアスやリリス。それに、リリアだって みんな俺にとってかけがいのない大切な人なんだ。俺の大切な人の中に含まれている人達なんだからな》と思っていると ミレディアスが「リリア。私は、あなたの味方でいますからね」と。

ミレディアスがリリアに声をかけると

「おにぃと私達の間に入ってくる女は 許しません」と言い出す

「ふっ 貴様は、私より弱かったではないか」と、魔王は笑いながら言うのだが。リリスは「お母さん。私 おにぃと結婚したから よろしくね」と言い出し ミレディアスが リリスの頬っぺたをつねっているのが見えるのだった

「まぁ、俺は別に この世界に骨を埋める覚悟を決めて来たつもりだから これからの暮らしの中で 新しい仲間を増やしていければって思っているんだよ」なんて 俺はリリス達に話をしていたのである。

「リリスも、リリアスもこの世界を救おうと頑張っていたんだから 俺は二人の事を認めてあげたいし 一緒にこの世界を救ったり、平和に暮らせたらいいと思うんだけど。どうかな」と 俺は リリスとリリアの二人に尋ねると。二人は、お互いの目を見つめてから微笑んでくれていて。ミレディアスはリリスが魔王の娘であることを理解し、リリスはリリスで。リリアが俺の婚約者である事を理解したうえで。俺はリリアと二人で暮らすことを決断したのである。そして リリアが、「私達は、三人で暮らす事になるから、おにぃはリリスと、魔王さんと仲良くしてあげて」

「ああ、俺達は、これから仲良く暮らすんだもんな。ミレディアスさん。魔王とリリス達を 宜しく頼みますね」

「えぇ、私とミレディアスは親友ですもの。任せて頂戴ね」

「じゃあ リリス達とも友達ってことで 俺達も 友達になろうぜ。仲良くやっていこうじゃないか」

「私からも お願いします。私は、リリスや リリアスと違って。普通の人間なので 力になれるかどうかわかりませんけど。レイヤさんの力になります。だから 私も。リリス達と一緒に仲良くしてください」と言う 俺は ミレディアスに「それじゃ 俺と、リリス、魔王とで リリアス達を取り合うことになるって感じになるかもしれないけど大丈夫だよな? 俺がこの世界の男だとすると、一夫多妻なんて事だってあり得る訳だしさ そういうのに偏見はないからさ これから楽しく過ごして行こうな」と言うのである そんなこんなで、リリスは 俺の妻になってくれたのだった 魔王が部屋から出て来ると、ミレディアスに頭を下げ。自分の部屋へと戻って行ったのであるが。俺の方を見て「ごめんなさい。少し一人にして下さい」と言ってくれたので 俺は部屋を出たのだけれど。ミレディアスも部屋を出て来て。部屋の前で待っていた リーゼロッテと会話をしているのだが

「本当に、面白い子ね。私もあの子のこと。気に入ったわ。でも あの子ってば。この村の村娘の子じゃないみたいだし。一体どこの子なのかしらね?」と言うのだが 《そういえば あの子って、どこの国の王女とかじゃなくて。異世界から来た子なんだろうけど。リリスやリリアスと 同じ国の出身なのか?》と思っていると。「ミレア。ちょっと、私達の部屋まで付いて来てもらえないかしら」と言うのである

「えっ?それは構わないんだけど。どうしてなのよ。何か 相談事があるなら、ここですれば良くないかしら。他の人達に聞かれたくない内容でも。今から私の部屋に来れば良いだけなんだしさ」と言う ミレディアスに対して、リリスが俺を睨みつけると、「ミレディアスは、レイヤのことが好きになっちゃったみたいなんです。だから 二人きりになりたいっていう気持ちは分かりますけど 私としては面白くないんです。だから」と言っていた

「ふぅーん、な~るほどねぇ。分かった。リリアスにもそう伝えることにするよ。でもさ。私が居なくても。魔王はいるわけだし その辺の事に関しては安心できるんじゃないか?」と、ミレディアス

「そうなんですけど 魔王は魔王で レイヤと二人っきりになりたがっていたりする時があったりなかったりするので あまり油断ならない相手なんですよ。私は、レイヤのお姉ちゃんなんだから。レイヤを守る立場でいないといけませんから」

リリスの言葉を聞いて俺は、俺が元の世界に帰れるようになるまでは リリスが俺の姉という事にしておく方が良いかなと考えるようになっていた そして 俺の予想通りに リリアが、「レイ兄 私がこの村に引っ越してきた本当の理由は。魔王を監視する為っていうのもあったんだよね」

《んっ。どういう意味だ?もしかして 魔王のやつ 何か問題行動でも起こしたりしたのか?

「魔王の監視の為にこの村に引っ越す事になったんですか?」

「レイ兄 私達 この世界の神様が 私達の願いを叶えてくれたんだよ」

「この世界が危機に瀕するのを阻止する為に 召喚した存在が居るんだよ」

「その人物が誰であるか分からないから その人が、私達の世界に来て どんな事をしているかもわからないから この世界の危機を回避する為に この村にやってきたんだよね」

リリスとリリアは、二人揃って俺の顔を見ながら言うと 俺は「もしかして、この世界での勇者は、お前達ってわけか?」と言うと リリスとリリアは同時に、「うん。そうだけど」

「その話は またあとで詳しく話すけど とにかく。その人は、私のお母さんなの」と言うのであった

「お母さんの名前は 天城美麗。私達が、この世界に転生させられた理由を知っている人物。まぁ 詳しい事は知らないし。私も、私やリリアスの記憶を引き継いでるから 知ってる部分も多いんだけどね」とリリスは話すのである 《う~む。なんか、このリリスは、俺に嘘を言うつもりは無いようだし リリアも、魔王の事が心配だって言う気持ちが強いような気がしないでもないんだが》と思いつつ「そっか。まぁ、今は、俺に隠し事は無しにして欲しいと思ってるから 二人共これからは隠さずに話をしてほしいんだ」と頼むと 2人とも「分かった」と返事をするのである それから俺は、魔王の寝室に向かって行くのだが。そこには 既にミレディアスの姿は無くなっていた

「あれれ?おかしいなぁ。ミレアはもうここにはいなかったはずなのに。まぁ、そのうち戻ってくるとは思うけど。どうしようかな。このまま待つのも良いんだけど。リリア リリアス この村は、どのくらいの規模の人数が住んでいるのかわかんないし。それに。この村に住んでいる人達の名前も知らないから 挨拶回りしたいと思うんだけど。付き合ってくれるか?」と 俺が二人に尋ねてみると。リリアは、「うん もちろん。レイ兄の頼み事なら私は何でも聞いちゃうからね」と言い リリスも、「そうだね。じゃあ。私とレイ君と二人で一緒に行ってこようね」と言い出し 俺は二人の少女に手を繋がれながら歩き出したのだ そして俺は「とりあえずはだな」と話し出すと。「はい」リリアは答えたのだ

「まずは、この村の村長って人に会いに行きたいんだけど」

俺はそう言うと。二人は、俺の発言を受けてお互いに目配せをしながら「えっ!?そんな人に会っても意味がないですよ」「うん そんな人には会ったって無駄だと思うよ?」と言ってくるのである

「んっ?何が無駄だって言うんだ?俺は、村の人達に、俺達の存在を認めて貰っておかないと、生活していくうえで不便だと思ったんだ。だからさ。挨拶に行くべきなんだろうなって思ってさ。リリスや、リリア達はどう思っているのか知りたかったんだよね。ただ単にそれだけの理由ではあるんだけど。迷惑だったかな? 嫌なら。他の場所に行っても全然構わないんだよ」と 少しばかり気後れしながら、二人に尋ねると リリアが「私は別に良いんだけどさ。リリスが ちょっと難しいんじゃないかって思ったりもするんだけど」

《うわわ なんじゃこの展開は、俺の考えは、やっぱり間違っていたのか。でも

「俺と二人きりで、魔王は寂しくなかったのかい?」とか聞くわけにもいかないよな。そんなこと聞いたら怒られてしまいそうじゃないか そんなことを考えていた俺なのだが。リリスが急に「えへっ」っと微笑んで「でもさ レイヤの言ってる事も正しいんだし 村の中を歩くんだったら 村の人の事を知ることも大事だとも思うよ。それに。この村の村長さんは、と~っても優しい人で、話しやすいし。悪い人とかじゃないんだよね。私はね。あの人が村の代表だって事を知っていたから、挨拶をしたかったってのもあるんだよね。それに 私達の存在が受け入れられなくても 別に良いんじゃない?」と 俺が考えている事とは違う事を告げられたりしたので「そっ、そうなの?」なんて間の抜けた声を出してしまったのだけれど。リリアスは笑顔で「レイヤも、私達と同じ事を考えてたんですね」なんて言ってくる 《えぇ~っ 違うの?俺はね リリアの方から先に、村のみんなに会うべきだって言うような感じで話してきてくれたもんだから そういう風に思っていただけなんだけど》と思っていると 《俺が、リリアやリリスの言葉の真意を理解して無いだけだったりする?それと もしかしたらリリアは、わざと リリスに対して、自分が俺と一緒に行動するのが難しいかもしれない

「私が、魔王の相手をしている時に。魔王に何かあった時、助けに行けるか不安だもん」みたいな 意味あいのある言葉を口にしたりしたのかも知れない。そして、その会話の中で。リリアスが、自分の本心みたいなものをさらけ出してくれたのかもしれないな》なんて考えていたのであった 《それとも 俺の知らない何か別の理由があって 二人が別々に行動したがっていたのだろうか。でも、俺にその辺りの話をしてこないのはどうしてなのだろう。

もしかして、魔王と二人きりになれる時間を作りたいとか。魔王に対して嫉妬的な感情を持ってたりしてるとか》と、俺は 色々な思考をめぐらせていると。俺の腕

「リリス」とリリアが呼びかけ リリスは「はい なんでしょうか。リリアス」と答えていた

「魔王のこと。どうするつもりなのかな?」と、リリアは魔王の事を 気にかけているかのような口調で語りかける それに対してリリスが「そうねぇ。ミレアは、確かに強い存在だけど。魔王として存在しているミレアよりも、もっと凄い力を秘めてそうって感じるから もしもの時は私が、レイヤの手助けをしないといけないとは思うんだけど。

リリアスが、レイヤの傍を離れなければ大丈夫かな」なんて 俺からすればよく分からない そして、理解しきれない内容の言葉を紡ぎ出していると 突然。部屋の扉が

「失礼します。私は この度、この村にお世話になることになった。村の住人です。先程は 私の方こそ、挨拶に来られずに申し訳ありませんでした。実は、この部屋で 貴方が眠っている時を見計らい。私は貴方の魂の波動を感じ取っていたのです。そして、その事実を確認しました。私は、この世界において 新たな勇者の誕生をお祝いさせて頂こうと。そう決意致しましたのでございます。どうか これからも、この村にて生活を続けていきませんでしょう。

この世界が滅びぬ限り。私が勇者を守り続けると誓います」と 突然現れた女性の言葉を聞いた俺が、「おっ、俺の事?俺の事なんだよね?どういう意味なんだ?というか、誰なんだ?」と困惑気味になりながら呟くと 《ふぅ ようやく。私が求めていた状況になってくれたようですね。レイヤ様。いえ。今は、和樹殿と御呼びするのがよろしいのですか?とにかく、貴方が 私達が召喚した 最後の希望。そして 私達の愛する子。ミレディアスの娘なのではありませんか。私とて こんな事は、あまり望んではいないんですよ。ただ、この世界が破滅の危機に陥ってしまったからには そう簡単に、元の世界に戻る事など出来ないのが現状なのですから。私は、私の出来る事をするまでですよ。そう。この世界に生きる人々の命を守る為ならば 私は喜んで

「この身を捨てる」

その気持ちを忘れた事は無いんですからね。

レイリアスとリリアは、二人で村人達から 色々と質問されていた

「ところで。この村には何人ぐらいの住民が暮らしているんだい?」

《そういえば、まだ 村の人達の名前を聞いていないけど。まぁ、別に名前を知らなくたって生活は出来てしまうんだし問題は無いよな》と思っていたのだが 俺がそう尋ねてみると 村人の一人が

「私達は、この世界で 農業や林業といった仕事をしながら生活しているのですよ」と 教えてくれるのだが

「んっ?俺達は、この世界の神様から。勇者や聖女に相応しき者だけを召喚すると聞かされているんだけど。あれ? 俺の聞き間違いなのかな?なんかさ。俺達は、自分達の住んでいる地球と似たような星にある惑星 テラ と。そこで生活している者達の中から、適任者と認められた者が。この世界の神々から選ばれる そして、この世界に呼ばれた そんな話を聞いた事があるんだ。でも、俺も詳しくは知らないからさ。

今の発言については、忘れて欲しいんだけど。それで この村は一体何人くらいの人が住んでいるのかな?」と俺は問いかけてみると リリアスが、「この村は 約千人程度の人が住んでいます」と、笑顔で答えてきた

「うん。やっぱり 俺の聞いた話は、間違っていたようだな。ありがとう。じゃあ。そろそろ俺は、村の代表者に挨拶をしてきたいと思う」

《そうだよなぁ 流石に千人しか住人が居ないなら リリアの言ってた事の方が正しいんだよな。だってさ。俺の聞いている情報が正しいなら 確か 神ってのは「地球の人口が70億人以上 この世界に呼び寄せられた人間も その中に含まれている」とか言ってきてさ。でも、俺にはまだ この世界を滅ぼそうとする邪悪な奴等が、何処にいるのかが分からなくてさ そんな状況下で、そんなに多くの人を集めて しかも そんな人達を養っていくなんて。無理に決まってんじゃないかって思ってしまうんだけど でも

「俺に出来る事があったのなら」

俺は、この世界を救う為に。何としても頑張ろうと。心から思っているんだからな。俺の母さんと、姉貴が、俺を助けようと 必死で 俺の為に戦ってくれたんだし 今度は俺が 頑張っても罰は当たらないだろ》と。俺は心に決めて、村の代表の家へと向かい 村長である 男性と話をしてみることにする

「すみません ちょっと良いでしょうか?」

「あっ はい。私は、村の住民達と生活を共にしている 村長と言う立場の人間ではありますが。皆のまとめ役 というような感じの認識をしてくだされば幸いかと思われます」

「はい 分かりました。でしたらまずは自己紹介をしておいた方が良いと思いますよね?初めまして。僕は、桜木 和真といいます」

村長の名前は「ロランと言います。よろしくお願いいたします」《えっとさぁ?やっぱりおかしいよな。普通に考えてさ。俺に娘がいたとしたら。この人は絶対に知っていてもおかしくないはずなのにさ》 俺の心の中で渦巻いていたそんな疑念の念を汲み取ったのか。俺に対して、リリアスやリリアが何かを語りかけてきているような気がしたのだけれど 俺には何を言っているのかを聞き取る事が出来なかったんだよな

『えっ?聞こえないぞ』そんな事を思ってみたんだけれども俺の考え

「もしかして?私達の声が聞こえるんですか?」なんて事を言ってきたりするわけだから。きっと俺が「リリア達の存在について疑問を持っている」と、二人共分かってくれて 何かしらの方法で

「伝えてくれようとしている」と。俺は思う事にする。とりあえず 俺の方からも、リリアスやリリアの言葉に対する返答として「あぁ そうだけど それがどうかしたのかい?」って言葉を紡いでみる 《ふぅ なんとか会話が出来ている感じだ。リリアは「声に出して喋りかけてきてくれた方が嬉しいのにぃ~」みたいなニュアンスの言葉を漏らしているみたいだけどね。そしてリリスに関しては「声を出して話しかけるよりも こっちのほうが便利かもだよ」

「私の能力は、あくまで リリアスの力の一部を借りることが出来るってだけなんだからね」みたいなことを言っていたりする》俺の中で。そんな事を考えながらも。会話を続けていたのであった 俺は 村人達に対して「今日は疲れもあるので」とだけ告げると 自分の部屋へ 向かうように伝えたのだが。当然 リリアとリ

「それじゃあさ 一緒に部屋に帰ろうよ」と言ってくれる。そんな彼女達に、俺は微笑む 《なんでだろう。この世界に来たばかりの頃の俺は、女性に対して嫌悪感を抱いていたっていうのに 今は不思議と何も違和感がない これが 勇者に選ばれたからなのだろうか? それとも 単純に 俺が大人になったからなのだろうか? 分からない 俺がリリアスに対して、どう返事をするべきなのかを悩んでいると

「ねぇ 貴方が私を受け入れられないのは仕方が無いかもしれないわ。だけどさ 私はそれでもいいと思っていから 貴方が どんな判断を下そうが私は貴方の側にい続けるつもりなんだから 私の存在を邪魔だと思うんだったら 私を殺すなり どこか遠くの場所に行くようにするだけでもいいし もしも私が必要としてくれたのなら 私は、この村に居る そして貴方を支え続ける存在になりたいって そう考えているんだから 私は貴方に、貴方に必要とされる存在に、私は成りたい」リリアスは真剣な眼差しで、そんな事を俺に語りかける リリアが「そうですよ。リリアスの気持ちに偽りはないのです。私はね。ずっと貴方を見ていました。だからこそ 貴方の本当のお父様が。この世界で 勇者と呼ばれている人の事を知ったのならば。その人に。この村の人達が殺されたら嫌だって思ったんだ。だって この世界にも私達の故郷と同じこの星には沢山の人が暮らしている。それは私達がこの星に来る前から 分かっている事。でもさ そんな人殺しを平気な顔してやってるような そんな人間がさ。自分達の都合が良い時ばかりに。勇者とか。救世主だとか呼ばれてる人間の力を 使おうなんて考えるのは許せないよね?だからさ 和馬君も。そんな事はしないで欲しいな。

和馬の優しさに甘えて 和馬が和馬を嫌いになっても。和馬が私達の事を拒絶したとしても 和馬を守る為には 私もリリアも手段を選ばないし。例えそれで、他の人から憎まれる結果になったとしても。私はそれで構わないって。私はそう思っているんだよ。でも もしそうなったのなら。私達は、また別の場所で生きればいい。それだけの話」《うぅー この二人。本当に可愛いよな。もう抱きしめたくなっちゃって ヤバい 俺はリリアとリリアの事が好きで この二人の事を、本気で好きになっちゃってて だからさ。こんな状況になると ドキドキして なんか落ち着

「あっ ごめんなさい 私も。和真の事が大好き。私も。和馬に 愛されたいし。守られるより 守りたいもん だからさ。私は これからも。きっと 何回も。貴方に迷惑をかけてしまう。だけど きっと何があっても。この先、私が死んじゃっても。和馬を一人ぼっちになんてさせやしない。そんな風に 私は思っているし その為なら 私は何でもするつもり。そしてさ。リリスも、そう思っていてくれるはずだからさ 私達でさ。三人でさ。これからも 仲良くしようよ。和馬が私を必要としてくれる限りは、私とリリアは和真を 絶対に離さないし。誰にも渡すつもりもないから」そう言った後で、リリスが

「そうだよぉ リリアスちゃんの言う通り。私も和真と一緒に生きるって決めてるもの リリアスちゃんも、本当は理解出来てはいると思うんだけど。和 真君は この世界で生きていかなくちゃいけないし。この世界を救ってあげないといけないの」と言ったのだが

「そんなの。私の力を使えば簡単でしょ?」「違うの。違うんだよ この世界にはね 私達のような。神と呼ばれるような。強大な力を持つ者が存在しているの。私達にとっての天敵なの そんな存在を相手にするのに 今のままで勝てるの?」リリアスは黙ってしまった そんなやり取りをしながら。結局は俺達は

「一緒に部屋に戻ろう」という事で意見が一致した為 三人で 俺の部屋に向かって歩いて行く 道中は俺とリリアスとリリア 三人の関係性を お互いに確認していたのであった 俺の部屋に戻り リリアから話を聞く事にしてみる

「まずは、改めて、自己紹介をしておこうか 俺の名前は桜木 和真 17歳の高校生をしていて、俺が異世界召喚される前までの話をすると この村には 魔王であるリリアスとリリアと。あと リリスって名前の女性が暮らしていたんだ リリアスはこの村の魔王をしているらしいけど 基本的には、あまり外に出たりしなくて 俺達人間とのコミュニケーションをとるのは、俺とリリアに任せているって形になる そして、俺はリリアス達を家族として迎え入れるつもりだった しかし ある日に。勇者とやらが、突然現れて リリアスやリリアを殺そうとしているって聞いて それを防ごうとしていた時に、この世界に飛ばされてきたんだ」俺はそこまでの説明をした。リリスは何かを言いかけたようだったが口を閉ざしてしまった リリアスが「うん そういう訳で この子はリリスって名乗ってはいたけれども。本名はリリスじゃなくて リリスなんだよ リリアスってのは。私達の種族の名前なの」

「はぁ?なんだよ。それ?ってことはさ。お前らの本当の姿は あのリリアスなのか?ってか?マジか?えっとさ。この子も リリアスなんだろ?それじゃあさ。このリリアは?リリアと一緒で、やっぱりお前らもリリアとリリアスが混ざったような姿をしているの?それとも。リリアスとリリアの2人が合わさるとリリアなの?それじゃあ。俺の妻で勇者であるリリアさんや 勇者と勇者の子供と孫娘達ってことか?」俺の問いに対して リリアとリリアスがそれぞれの反応を見せてくれる

『まぁね 私と

「私の方」のリリアスが融合した姿だと思ってくれれば、わかりやすいかな?』リリアが「リリアス」の口調で 俺に語りかけてくる 《そう言われてみれば。なんとなく分かるかもしれない》俺の中に

「リリアスは リリアの方のリリアスってことだよね?」と、俺は呟いてみた。そうして、リリアが説明をしてくれる「私は この世界で、和馬と暮らす事になったリリアスにくっついて来たリリアなんだよ。私達の世界のリリアスって人は。もうこの世界には居ない でもさ 私はこの世界でも 私だけの特別なリリアスでいたかったんだ だから。私は「リリアス」として生きていた」《俺の中で、もう一人の自分が言っているように 確かにリアリスの姿がリリアと重なる事が多くなってきているように思える それはつまり それだけの時間を俺とリリアが過ごして来たからだろう それこそ 長い時間だ そして、リリアスも この世界で一緒に過ごしたリリアと変わらない性格と見た目だし。そりゃそうなるよなって思うよ だけど。俺は この子と出会ってから、まだ日が浅いからさ。正直に言えば 実感がわかない でも。だからこそ 俺がこの子の事を受け入れることが出来るかどうか?それは 分からないよな。だからこそ。俺の今の気持ちを正直に伝えておくしかないだろう》俺は「そっかなんか、ごめんね 俺の我がままのせいでさ 大変な事に巻き込んでしまって」「大丈夫 私は和真に助けてもらった時から。私の事を気にかけてくれてたのは知ってたから むしろ。ありがとう 私の事を受け入れてくれて 嬉しい 私の気持ちは。きっとリリスにも 伝わっていると思うし 大丈夫だよ だって 私が この子に負けたくない っていう感情も持っているのも確かだから」と、

「そうだよね。私達は二人で一つのリリアスなんだから 和真に好かれた方が きっと楽しいもんね」と、リリアが言ってくる「リリア 貴方は少し大人になりなさいよ 和真は 私を選んだんだよ」なんて事を リリアに向けて リリアが言っているのを聞いて「なるほどね それで リリアは俺に「私達を愛せ」なんて言ったんだな。それは理解できる。だけどさ それでいいのか?お前らはさ。二人だけしか存在しない世界にいたわけでもないのにさ。二人だけがいれば、後はどうでもいい。そんな風に考えてしまっても良いものなのか?」俺は、二人に質問してみ

「うーん。私にはよくわからないな。私とリリアは ずっと同じ存在で。どちらかが消えてしまわない限り 私達はずっとずっと一緒な存在だから だから。私とリリアには、二人しかいないって。そう考えていたし その考えが間違っていないって信じている だから 私はさ。二人っきりでも幸せになれていたし これから始まるであろう幸せな生活に期待を馳せる事ができるの」そんなリリアの発言を受けて、リリアは嬉しそうにしているのであった。リリアスは

「そうだよ。私は二人きりでも、別に良いよ。だって この世界で私と一緒にいられる人なんて リリアくらいだしさ。和真の側にいる時は、私の事を忘れていても構わない 私の事も大切に思ってくれて 私を愛していて欲しい。和真の心の奥底に、リリアの存在があるだけで。私は満足出来る。それで充分。私はリリアが好きなんだけど。リリアスも 私だから。だから 二人が愛しているなら それでも構わない それが 和真の心の中から消えたとしても 私は 和馬に、愛されなくても 私は、和馬の事を、愛してみせる」と、力強く言い切ったのだった。「リリアス。貴方も成長したわねぇ。この私が嫉妬しちゃいそうじゃない。和真に、ちゃんと 好きになってもらうまでは 和真には私を一番に見てもらいたい。そして 私を一番見て欲しいの 私達、リリアにとって リリアが1番であり 1人だけの世界 そこに和真が入って来なければ、何も問題はない。でも、そうじゃ無いんだ 私は。やっぱりリリアも。リリアスも好きだから 和真も、私も。二人のリリアが大切だと思ってくれるような女性になりたいって 今の話を聞くと思っちゃって 私も和真も お互いに、もっと 歩み寄る努力をしないとね お互いに」なんてことを言ってきてくれたのだ。そんな彼女達の言葉を聞いた俺の頭の中に《リリアスもリリアなんだ》そんな言葉と共に俺の中に浮かび上がってきたものがあった 俺は 目の前に座る3人の女性達に「あのさ。俺がお前らに求めているのは「夫婦としての営みをする」とかではなく。お互いを認め合う関係を築きたいんだよ。この子達の事を、妻だと、受け入れたからと言っても。いきなりはさすがに対応が出来ないと言うか お前らとは一緒に過ごす時間はまだまだ少ないけどさ。もう少し時間が経って落ち着いてくるまでの間はさ。やっぱり家族ごっこのような事しかしたくはないんだよ。俺の心の奥底には リリアがいるし。やっぱり、

「この子」は「この子」なんだよ。俺はこの子が。この子の全てが大好きなんだ それ故に。俺とお前らの関係は、まだ他人のようなものだ。お互いに 家族としての愛情が足りていないんだよ。これからは お互いに認め合って行こうぜ 俺は、俺の中のリリアを。

お前たちはお前たちの、自分自身の中にある。リリアスを大切にしながら、お互いに歩み寄って行けば。いつか、俺の求める関係になる事が出来ると信じているんだ。リリア。俺は 君のことを、この世の誰よりも 何よりも。誰より愛する自信はあるんだ」俺が 自分の想いを伝えると 彼女は 涙を流しながら

「うん 私も 和馬の事が好き。だから 私は。私とリリアの為にも。和馬を愛していきたい 貴方が。他の誰かと結ばれたりしないように」と。そんな感じで この日の夜からは、三人と俺とで仲良く眠る事になったのである。もちろん リリアスも この家に住みたいとか、この世界に来たいと言っているが。リリアスが リリアの力を扱えるようになるまで、少しの間待って貰う事にしたのであった 3人と夜を過ごすようになってから、数日が経った そんなある日の出来事である。いつも通り、仕事を終え 家に帰る途中、突然 俺はリリアに声をかけられた「おい!そっちの奴ら動くな!」俺は驚きながらも振り向い

「なんですか?」俺は 声をかけてきた人物に向かって質問する「なんですか?じゃねーよ お前らのその力、どこで手に入れた?って言うか。なんでそんなに強いんだ?もしかして、勇者と勇者の仲間の力を奪い取るスキルを持っていたのか?」と そんな問い掛けに

「はぁ。あんた馬鹿なんですか?」「なっ!お、俺の事を知っているみたいだけどさ。初対面だよな?」なんてやり取りをしている間に「まあな。一応は、魔王討伐を頼まれてここまでやってきた。ただ、リリアスやリリアスの母さんを攫われた上に、仲間とも逸れてしまった だからさ。もうここに居る意味がないんだよな」と

「ちょっと待ってくれませんかね。その言い方ですと。まるで貴方達が 魔王を倒してくれれば、私達は帰れるみたいな話になっているのですが」「そういうことにはならないよ。俺達の任務はあくまでリリアの奪還だ。俺達が、この世界をどうこうしようなんて考えは一切ない だが この世界には、勇者と呼ばれる人間が何人か存在しているのだろう そして その中には、魔王の事を倒そうと思っている者も当然のように存在する そして。リリアの居場所が分からず 俺が お前達とリリアの関係を詳しく知らない状態で 俺は お前達を、この場で殺すことが出来る つまり お前達を この場に放置すれば 勝手に死ぬだろうな」なんて 話をしてくるので 俺は、「そうなのか?だったら、俺達とリリアの関係を、俺が 俺自身の口で説明したらどうなるんだ?」と、聞くと

「それは無理だろう。だってさ。俺達は お前達の事をよく知らないんだ。だから 俺は、今すぐにでも、この場で 俺の目の前で この人達を殺してしまえば 俺に殺せれるだろう でも 俺は、俺の力で殺したかったんだよ。そうしなければ。お前の事を 信じられるわけが無いからな」「ははは。そうですよね 普通はそう思うはずですからね 貴方の考え方が、間違っていないって事だけは分かりましたよ」そんな言葉を返した後

「リリア。貴方には、私が居ます。だから安心してください。私が 絶対に貴方を守って見せます。だから 私を信じて」と、伝えると

「分かった。リリアはリリアに任せる。リリア。お母さんを頼む」そう口にすると「リリアス。後は任せて。私とリリアは 二人きりの双子なんだから きっと上手く行くよ」と リリアと リリアはリリアスに対して話しかけ「そうだよね 私達は二人っきりなんだよね。だから、きっと大丈夫だよね」なんて リリアスは言ってくる そんな二人のやりとりを見ながら俺は、この場をどう収めようか考えていたのであった 結局のところ

「リリアの母親は何処にいるのか」とか、色々と聞こうとすると 俺の身体から何かしらの力が抜けて行くのが分かるので「貴方が私を殺すつもりなら、私もそれに合わせて 貴方を殺そうとしますよ。貴方は私の力を知りたいのかもしれませんが。私の力は この世界に存在しないはずの能力です。そんなものが、貴方の目の前で使われてしまえば。貴方の力もバレてしまうかもしれない」なんて事を口にしていた それから暫くして 彼女は「はは。俺の負けだ。確かに リリアの言う通りだ。俺も 今の自分の力を完全にコントロールする事は出来ない もし、リリアの身に 何かが起きていたとしても 助けられないのでは 困りますからね」なんて 納得したように呟いていたのであった それからというものの。

リリアとは一緒にいる時間が増えたのではあるが。リリアとの仲を深めようと お互いに意識して行動するようになって 俺は 今まで リリアスに対しては「和輝が好きな人だ」と思っていたのが「和輝に愛されている子」という感覚に変わりつつあった。なので リ

「和貴。今日は、和貴にプレゼントを用意してきたんだ。これなんだけど」と、リリアスが言い出し

「これは?もしかしなくても。貴方は私と同じ事を考えていたんですか?」なんて 言葉が漏れ出してしまった俺なのである。そう言いながら 彼女が俺に見せてくれた物は。彼女の手作りのお守りだった。それを見て「リリアも。私と全く同じ事を考えてくれてたんだ。和輝は 私だけを見ていればいいんだよ 私は。私とリリアが幸せになるためには、和真の気持ちが一番大切なの 和真を、和真として愛する為には。和真の心の中に、和真を愛してくれる誰かの存在が必要になってくる それが 私達の場合は、和馬だったというだけの事なんだ」

「だから。私も。この世界で和馬を愛していくと決めたの。そして。二人で、これからの人生を歩むと このお揃いのペンダントに誓ったの。この世界の事を何もかも知ってしまった以上。私たちは。この世界で生きていこうと決めているから」なんて事を言っていた 俺が 二人の言葉を聞いて、俺自身がどう思っていたのかと言う事は 自分自身しか分からないのだが。それでも 俺が リリアスから受け取った物 それを見た時「リリアの事が。俺は好きだ。俺の妻になるべきなのは。リリアであってリリアじゃない」なんて事を感じさせられたのは事実だ 俺が リリアに「ありがとう。俺なんかにそこまで想ってくれて。凄く嬉しいよ これからも、リリスとリリアスと一緒に歩んでいくと。改めて約束するよ 君たち三人が 俺にとってかけがいのない存在なんだってことは。変わらないと思うからさ」と 伝え。その日から数日後のこと 俺は、リーゼロッテや魔王や、リリアスの4人で過ごしていたある日のことだった「和馬くん。君には リリアスや魔王ちゃん そして、私やリリアよりも。リリアスちゃんよりも、大事な人は居る?私はね。貴方を一人ぼっちにさせたくない。私は貴方の為なら、この命も、捧げられる覚悟があるんだよ。私にとっては、リリアスちゃんよりも、リリアちゃんよりも。リリアスちゃんよりも、リリアちゃんよりも、和輝が大事だから。だから 和輝。貴方の為ならば、この力を、いくらでも使って見せる」

俺は、そんなリリアスの声を聞き「リリアも、魔王も、リリアも、リリアも、みんなが俺にとっては 掛け替えの無い存在で。大切で。何があっても失いたくはない だけどさ 魔王。俺の為に自分の身を犠牲にするような行動を取らなくていいんだ。お前はお前の為に生きていてくれればそれで構わない それに、リリアスだって そうだろ?」と、魔王に伝えると リリアスも 魔王と同じような答えが返

「ううん。違う。そうじゃ無いの。和輝 私の願いを叶えてくれるって言ったよね。その願いを叶えるには。私には、まだ足りない物がたくさんあるの だけど。それを補える人が 目の前に現れたの。私はね。この人の妻に成りたいの この人を。リリアを救ってくれたこの人の力になりたい だから お願いします。私の旦那様になって下さい」なんて言われてしまった 俺としては もうすでに、リリアを嫁に迎え入れるつもりでいたのだ そんな時に

「私も 私も この子のお兄さんみたいに お兄さんみたいな人に リリアちゃんは渡しちゃダメなのだから お嫁さんにしてあげて欲しい」と リリアスは口にしてきたのである 魔王も リリアも「お父様。和真。二人共 お互いが。好きあってるみたいだね。だけど リリアには リリアなりの悩みが有るみたいなんだ 私にも話せないような秘密が有って。でも この子の秘密を知る事が出来る人間は、そう多くは無いはずなんだ もしも、この子が その秘密を話す気になれる日が来た時は、私もその相談に乗ってあげたいし。話してくれたとしても 私からは 絶対に離れないで欲しいと思ってるの」なんてことを口にすると「そうなのか?」と。俺が問いかけると

「そうなんだ」なんてことを魔王は言うと「実は 最近 お母さんと会ってるんだ」と口にし そして「私とお姉ちゃんは この世界で生まれた人間じゃ無くて。私達が生まれ育った星は 今は 別の名前を名乗って 全く別の世界になっちゃったけど。元々は、地球って名乗っていた場所にあったの。だから お母さんの事も。知っていて。

そして。お姉ちゃんもお母さんも。今となっては この世界の住人ではないから」とまで口にしてしまっていた 俺は。そこで。魔王が言おうとしている事を理解できたのであるが それはつまり。俺に、この異世界に来てもらう為に、二人は必死になってくれたんじゃないかという事である。そして 俺のステータスを確認してみたら

「俺は、一体何をしでかしたのだろうか?」と。疑問を浮かべながらも、二人の力になろうと心に誓うのであった 俺のステータスには 神殺しなんてスキルが表示されており 俺自身でさえも、どう扱えば良いのかわからないので 俺には手に負えないという事を伝える為だけに。二人に相談することにした

「なるほどね。そういう事か まぁ。私が言うのもなんだけれども。神様の力を使って 世界を書き換える事は可能なんだけど。その場合。この世界での和輝の存在が消えてなくなってしまう可能性があるのよ 和真くんには悪いけれど。今の和輝を。今の和輝のまま、和輝の望む形で、和輝の世界へ戻すのは不可能なの」なんて リーゼが言うと

「そうだよ。私が、私の力で和馬を帰らせることが出来るとしても 貴方が 貴方のままで、貴方の望んでいる形で、この世界に来た時とは、きっと、全く同じにはならないと思う」なんてことを 魔王が口にしてくる そんな事を二人が言ってくるもんだから。俺は

「そうか。そうだよな。そんなに上手く行く訳が無いよな。でもさ リリアだけは 俺の事を知ってくれてるからさ。それだけで十分だとも思うんだ。

この子は、リリアスと違って。本当に辛い思いをしてきたわけでさ。だからこそ。リリアには俺が側に居てやりたい。リリアは、俺には勿体無さ過ぎるぐらいに、優しい女の子だから」そう答えると リリアも「和貴は。いつも私に優しくしてくれるのに 私は、和真には敵わない。私にもっと力があれば 和貴を守る事が出来るようになるのかしら」と そんな言葉を口走ってしまうと「和馬。リシア。和馬の望み通りになるようにしてあげようか? そうしてあげられるのは。恐らく、和真のお父さんくらいだと思うよ 和馬が望むなら。その人を探してあげる事なら出来る ただし。私も 魔王の力を封印されてはいるものの。リリスやリリアより少しだけ力は残されていて。そしてリリアよりも 遥かに長く生きる事が出来て 寿命という概念が無くなりますが それでも、いいのですか?」リーザは、魔王の言葉を聞いて。和真に視線を向けると「それなら 俺は、リリアに少しでも近い姿で。俺自身が望める範囲の年齢差を 保ちたい。リリアスには 申し訳ないけどさ。リリアに甘えているとどうしても、子供のように見られてしまうんだよね 俺は それでも。いいんだ ただ せめて リリアが大人になった姿を見るまでは死ねないとだけ思っている」と リリアに対して、罪悪感を覚えてしまっている事を告げ リリアに「大丈夫だよ 気にしていないから」と言って貰えて安心したものの

「そっか。分かった。じゃあ リリアの事は任せて」なんて あっさりと言うと「では 和真の事を頼みましたよ」と 言って姿を消してしまうのである

「あのね 和輝。和輝が、私の事をどう思っていたのかは知らないけれど。私と、魔王と、リリアが貴方のことをどれだけ愛しているのかと言う事を伝えても。私は、全然伝わらなくて。だけど 魔王とリリアは。和真の気持ちも、貴方自身の気持ちも ちゃんと感じ取れていて。和輝。これからは、貴方の事を護るから。私のことも。魔王も リリアちゃんや、リリスだって。みんな貴方の為なら、命をかけても良いと 心の底から思ってくれる人たちばかりだもんね」そう言うと 俺をギュッと抱きしめてくるので「俺は、お前たちのこと 護るからさ。お前たちが、俺のために犠牲にならないような。お前たちを幸せにしてみせる 俺には お前たちが必要だ」なんて事を俺の方からも言っていた リリアは「ありがとう 和馬。大好き」なんて言葉を耳にすると「ありがとう 俺を選んでくれて」と 言葉にしていた「ううん こちらこそありがとう。貴方に出会えたおかげで私は救われた気がします 私の命は貴方の為にあります 貴方の為ならば どんな苦痛や、痛みも。全てを受け入れるつもりでいます」リリアスは 和輝の胸に顔を埋めると「貴方のおかげで 私の人生はとても楽しい物になりました。私にとっては、あなた以外の人間など 取るに足らない相手だと言えてしまいます」魔王も、和輝の手を握っては 頬ずりをするのであった 俺達は リザードマンの町に戻ると。まず 俺の両親に会いに行くと「俺が 親父で」「お袋さん」と お互いに自己紹介をしたのだが 俺は 改めて。「よろしくな 俺の名前は」と 名前を名乗る事にしたのである そうする事によって 俺に、リリアス リリアに レリア。そして魔王が。家族として認められたと。俺は実感したからである 俺は、自分の名前を皆に紹介した後に「魔王様。それにリリアス 君たちに話したい事が有るんだ」と。三人に伝えていた 魔王は その言葉を待っていたと言わんばかりに「私のお城へ来て 私のお城は リザードマン達が住んでいる所とは別にあるんだよ 私も、まだお城を全部見て回ったわけじゃないから」なんて事を口にしてしまうと「和輝の故郷に行ってみたいと思っていましたので。お供させて下さい」と 魔王は口にするのである リリアも「私もお姉ちゃんについていきます」そんなことを口にしていると リリアの姉のリリスも「私もお姉ちゃんと一緒にいくのです」と口にした為。

リリスは、リリアスと魔王の事を交互に指さすと「二人は お姉ちゃんなのです 私は一人っ子です だけど 姉妹がいないわけではないのです 私には 妹がたくさんいるみたいなのです だから 私にも、ちゃんとお姉ちゃんが出来るのです」と リリアスの背中に飛び乗ると「ねぇちゃん 今日も遊ぼう」そう言うと 魔王の頭の上には「リシアがいっぱいなのだ でも、こんな風に仲良くなる日が来るなんて思いもしなかったのですね」と嬉しそうにしているので「私は、この子達とも友達になりたい」と口にするのである そうして 俺は。リーゼの案内で魔王城の中へ入っていくことになったのであるが リーゼは

「私はね。貴方が 魔王の娘だった頃にも この世界にいた事があるのよ この子達の面倒を見る事になったのは 本当に偶然なの だけど。私は 貴方が産まれた時から知っている この子が貴方を選んだ理由も理解できちゃうの 和真 君は 貴方の事を知りたがっているけど 私が教えられるのは。今の私だから知り得た事実のみ それでもいいのかな?」なんてことを言うので「教えてくれ。俺は この世界に来れた事を、後悔した事は一度もないから」なんて答えてみたら「わかった でも 私が知っている事は少ないと思う リリアスはね。

元々は人間でした。リリアと同じように、和馬に恋をして 人間をやめてしまった存在。リリアとは少し違って。リリアは和馬に抱かれた事で 人間になったわけだし。この子は この子の意思で。この世界の理から外れた」そう言うと「リシア 貴女はリシア 私は 貴女のお母さんでもある」なんて言うのである リシアは

「私 ママが欲しかった」なんて言い出してしまい。リリスは「私が お兄ちゃんを独り占めし過ぎたんだ 私も お母さんになってあげないと」と言い出してしまって 収拾がつかなくなってきそうなのであった 魔王城に

「ようこそ 和真くん ここはリリスの世界なのよ」リーゼが 楽し気にしているのを見て。俺は「魔王様やリリアと同じなのですか?」なんて質問を投げかけると「同じではないけれど。似てるところは沢山あるかも」とだけリーゼが口にしている 俺は そんな会話をしながら。城内を探索しているうちに リリスの部屋まで到着する そう言えば「この世界には 他にも人が居るんですよね? 俺が居なくなった後の みんなのことを色々と聞きたいんです」俺の言葉に

「それはね 和輝が 居なくなってしまった後に、私の妹の一人が 私を蘇らせてくれたから。私は、その子に 力を分け与えたんだけど その子には、リリアスに和馬を任せたいと言ったから リリアに、リリスを託したのは 私の意志でね あの二人には 幸せになって欲しいから」と答えるのである 俺は、リーゼの言葉を聞いて「魔王様にリシアとリリアの姉妹 それからリリアのお母さん それにリリアスの姉 その五人は幸せなのでしょうか」と言う疑問を口にすると「リリアのお母さんは 今はもう、天寿を全うして亡くなっているわ だけど 私は思うのよ 私は、貴女と出会うために あの人と巡り合えたんじゃないかなって あの人も、私の事を認めて受け入れてくれたからこそ。私は 貴女の事を、息子として受け入れられるのかもしれないから あの人に、リリスの事を頼んだ時は。本当は、和真。貴女に リリスの事をお願いしようと思っていたから」と。魔王が、俺の耳元で囁くので「え?」と驚きを隠せずにいると「私は、和真 貴男になら、リリスのことを安心して任せられると思ってるから 和真なら どんな壁があったとしても。必ず、リリアのことを受け入れてくれると信じていたから」なんて 魔王の言葉に「俺なんかじゃなくて。リリアスの方が相応しいと」そう告げてしまうのだが「私は、リリアのことを一番近くで見ていたから それにね。あの子には幸せになってもらいたいと願ったから 私の愛は 全てリリアに向けているつもりよ」と。

魔王は笑顔で言うのである 俺は 魔王の話を聞いて「俺はリリスも好きだけど リリスとリリアが、俺の事をどう思ってくれてるのかが解らない リリアスは 俺の事が好きだと言ってくれたリリアだって 俺がリリアを助けたいと思っている事も ちゃんと理解してくれた上で。俺は、魔王様を護れなかった事をずっと悔やんでいたから」そんな俺の言葉を聞いた魔王は

「大丈夫だよ。だって 魔王が死ぬ事なんて、普通に考えたらあり得ませんからね。だからこそ。貴方と出会って。そして、リリアスと出会い。私の運命は 大きく変わっていった。そして 和輝 私はね。自分の事を許せなくても良いと思います。だけど リリアとリリアスだけは 絶対に守ってみてくださいね」魔王にそう言われると リリアとリリアスが「お母さま。お父様と一緒のお墓で、私たちは一緒に眠りましょう」と。

俺には、それが遺言だと分かった。

「俺は 俺の大切なものを全て失ってしまったけど。今はまだ 失うわけにはいかないから。それに 魔王と約束した事を果たす為には 俺は、もっと強くならないと だから、これから先も、俺の側にいて支えてほしい」魔王と、リリア リリアスに向かって言うと、リリアは、魔王と、リリスの身体を借りて姿を現し「貴方と共に生きます」と。魔王は「私は、リリスの中から和輝を支えます」と言っていた。

リリスは「リシアは、貴方の力になれますか?」リリアスが言うと リ

「貴方は、リリアと魔王が認めた人間なのです きっと、その力が目覚めれば 貴方は誰にも負けない存在になれるでしょう」そんな事を言われて「それじゃ 魔王は リリアスに俺と結ばれる事が出来た場合、俺は、俺が魔王の力を封印できるというのですか?」そんな疑問を口にすると「魔王が、自分の意志で貴方の傍にいる以上 魔王が消える事は無いのよ。でも、私にも貴方が必要なの だから リリアとリリアスの事をお願いしますね」と言われてしまって 俺は 魔王の気持ちを知る事になった 魔王城の中で「そうそう。この城は 魔王の力で結界を張っているのです」そう言って「私が死なない限り。誰も入る事は出来ないの」なんて言葉を漏らすと

「この城を抜け出すには、私を倒すしかありませんよ。でも。この城の中は安全で。とても過ごしやすい場所なのよ リリスは、私に力を与えるためだけに作られたのです 私の後継者を産むためにね」そう言い残して消えていくのである 魔王はリシアに乗り移っているが「この子の力は 私が眠っている間も 成長を続けていたのですよ」リリアがリリスと入れ替わるように姿を見せて「リリスは 私が、この子と一緒に居ることを望んだ。私が目覚めた時に、私の代わりにリリスに私の存在を預けた。でもね。私はこの子を手放さない」と言いながらリリアに乗り移り

「この子が産まれた時も、この子が生まれた時も覚えている。貴方もそうじゃない?」リリアはリシアの姿になると。「そうですね。リリア 私はお姉さんで、この子が妹のはずなのに 私よりリリスがお姉ちゃんみたいに見える時もあるのよ」

俺は リシアを抱きしめて

「俺は、この世界を平和にしてみせるよ。この子が望んだ世界に」そう口にしていた。俺はリリアの胸の中へ顔を突っ込む形になっている。だから 俺の頭を撫でる感覚があるのはわかるのだが。俺の背中を触っている感触があり それは リーゼである。リーゼは「私も。和輝と家族になるんですからね。リリアにだけ いい格好はさせませんから」そんなことを言ってくるのだ リリアがリリスと入れ替わり

「私は この世界の管理者 魔王が生きているかぎり この世界は何度でも甦り。何度でも魔王が誕生する」と口にするのである。魔王は俺に対して「私はリリア 私が望む未来の為に 私が創った世界で、魔王と呼ばれる私は、勇者と呼ばれし者に倒されるのを待つしかないの」なんてことを言うので「魔王。貴女は 自分が魔王だという事を知っていたのですか? それとも、そう名付けられた?」なんて聞いてみると「え?知らないわよ。リリアが魔王として覚醒した時点で 既にリリアは魔王だったので 他の魔王なんて 知らなかったわ」なんて答えを返してくれるのだった そして「私を倒したければ 魔王の証たる。魔王の力の源を手に入れてみなよ」そう告げると 俺は 魔王との会話を思い出していて「リリスがリリアスの姉なら リリアは俺の妹なのか?」と言うと 二人は声を合わせて

「妹です」「弟よ」と。同時に口を開いていた そんな会話を聞いて「俺は お兄ちゃんなんだな」そう口にするしかなかった そして リリアとリーゼから俺に視線を移してきたリリアスが「私は、お母様の子供です」なんて口にするので

「じゃあ 俺は 魔王の血族を嫁にしたのか」なんて口にするのであった

「お父様が魔王の証を手にしたとしても。それはそれで面白いと思うんですよね」リリスが言うと「魔王に成れたのならば。リシアと夫婦になって。そして、リシアの子孫達と暮らすのも良いかもしれませんよ」と リリスが笑顔で言うのである 俺は、魔王城に捕らわれてしまったリーゼの事を考え リリアスに「リリスは どうやって生まれたんだよ」と言うと「私とリリアの二人で協力して、この子を生み出しました。まぁ 私の中にリリアの遺伝子も混ざっていたので そのせいだと思います」と言って「私は、私の中にあったリリアの因子と。リーアが使っていた魔法を使いました」と言うと「リリアスは、リーアスが使用していた魔法まで扱えるようになっていたと言うことか」と言うと「私の力の一部を使えて良かった」と言う 俺は「そろそろ時間が無いようだ」と言うと「そうですか。和真 私の娘を助けてくれてありがとうございました」と言ってリリスがリリアスの身体から出て行き。俺の目の前

「私はリリスの本体。私の魂を 貴男に差し上げます。だから、貴男は魔王の力を受け継いで 新しい世界を」そう言い残して、リリスが光となって俺に吸い込まれていく。俺が「これで、魔王の力を手にする事が出来たんだろう」なんて言葉に「はい。おめでとうございます」

リリアスが笑顔で言うと

「和輝。私の中の魔力を感じられますよね」と聞くので「ええ。これ程までの量の魔力。凄まじい力を感じる事が出来る」俺の言葉を聞いたリリアスは「私は これから和輝が 魔王の力を受け入れるための儀式を行います。その間は、私は貴方の力になります」と俺に伝えてくると「それでは、儀式を始める」リリスの声が響き渡ると リリアスが目を閉じていた。そして「リリアス様」リリアスをリリスと呼ぶと リリスが姿を現すのである リリスが俺の方を見ると「和輝様 私は もう大丈夫です。和輝様が居てくだされば、私には怖いものなど無いのですからね」そう言うと 俺に微笑んでくれる そしてリリアに乗り移り「私は和輝に、リシアの身体を貸してあげたい。この子の事が好きになったのでしょ」そう言うと リリアス

「お母様。それじゃ私が身体を借りている間に。この子は、私とお父様に貸してくれるのですよね」と言い出す リリスは苦笑いしながら「私も一緒に行く。だってこの子の成長を一番側で見てあげたいのだからね」と。そう言い出すのである。リリアスがリリスの中に入ると 俺の意識が消えていき リリスが表に出てくるのである 俺は、この日を境に。魔王の力を手に入れる事になる 魔王の力を受け入れた和輝は、魔王城の最上階に案内されて。そこに用意されたベッドの上に腰掛けている。

和輝の隣には、魔王の力を手に入れた事で。魔王と同等の力を得るに至ったリリアスの姿があり「私達の事は気にせずに、ゆっくり休まれてください」とリリスがリリアスに告げると 俺の身体から抜け出していくのである。

リリアスと魔王の力が俺の中で融合し。リリスとリリアスの力が融合したリリアスは「それじゃ。私は和輝の事を見守っていますね」とだけ言うと俺の中から姿を消してしまう 魔王城で魔王との戦いが始まり 俺は魔王と対峙することになった。

リリアに乗り移って姿を現した魔王は リリアの口から 魔王としての自分の存在を語るのである 魔王と勇者の物語は終わりを迎えようとしていた

「私は、勇者によって魔王の座を奪われ。そして、この世界の支配者として 君臨した。それが。私の始まり」魔王はリリアの姿のまま 語り始める

「勇者の力は強大で。私に敵う者は 勇者の側には存在しなかった。だけど、そんな私に。リリアだけは。最後まで戦い続けたのよ。この身はボロボロで 戦う事も出来ないのにね」そんな言葉を紡ぐ

「私とリリアは親友でもあり お互いに支え合って 生きていた でもね。私達はお互いを愛しすぎてしまったの この世界に、二人だけしか存在しないのではないかと思えるほどに でも、この世界から争いが無くなった時 私達は勇者から解放される。でも、私にはリリアが。リリアには私が 必要だった。

リリアと別れる事なんて考えられない私は、この世界に私だけのリリアを生み出せば良いと考えてしまったの 私と同じ存在が 同じ世界に存在しているなんて、考えただけで嬉しくてね」

「そして、私は。魔王の力と、勇者の力を持つ者が生まれた時に、勇者の証を受け継ぐ者を、私自身として生まれさせるべく。リリアの胎内に私を封印したのよ」

「そうして。この世界の管理をリリスに譲り。私は、この城の中に眠りについたのよ」

俺は「リリスが魔王を宿すための器として生まれたのか」と問いかけると 魔王が笑みを浮かべて

「リリスは、魔王の力を引き継ぐために必要な道具に過ぎないわ。でも。そんな風に思うなら この子の事は助けてあげなさいよ」と 言われて「ええ 俺は、リリスの味方ですから」そう口にしていた そして、俺は「貴女は、リリアが魔王だと知ったうえで。この子を産んだのか?」と言うと

「ええ。そうでなければ リリアの胎内にリリスが封じられたままになってしまうじゃない」なんてことを言ってくる

「この子は、魔王である自分を殺して欲しいと言っていた」俺は リリアの望みを叶えるため この子を救い出したのだ

「それはね。私がリリアに殺されることを望んだのは、リリアの身体で、この世界を生きる事への不安もあったのよ。そして、勇者に討たれる為に。リリアの側にずっといたかった。それだけの事よ」と そう言うのである 魔王は「貴男が この世界を支配しても。私は構わない。この世界の平和な姿が見られれば、私は満足なの」そう言って 俺を見つめるのだった

「それじゃ 魔王 貴女はリリアを殺せと そう言うんだな?」俺が問い掛けると 魔王が「貴男なら、私の愛したリリアを救ってくれると 私はそう信じて リリアを託しても良いと判断したの」と言うのであった

「わかった。ならば、俺は 貴女との約束を果たす」と口にする俺だった 魔王と俺との

「リリアスを救う為の戦い」

が始まる 俺はリリアスに憑依している魔王に剣を向ける すると 魔王が俺の方に歩いてきて 俺を抱き締めてくる 俺も魔王の背中に手を回すと「私は、これから貴方の中に入ります。貴方の中に居続けていれば、いずれは 貴方とリリアスの子供として生まれる事が できるはず」と言って 俺の中に入って行くのである そして 俺が目を開くと 俺の前に リリスの姿が現れるのである

「お母様。和輝のお嫁さんになる為に 頑張ってきました。私を和輝にください」と言うと

「駄目です。和輝は私の旦那様になって貰います。それに、まだ私と和輝の間には子供が出来ていません。リリアスは、リシアとリーアスの子孫と、仲良くしていれば それで良いわ」と言ってくる 俺は、リリスを抱きしめて「俺は、リリスとリリアス どちらの想いも受け入れるから 心配しないで」と伝えると リリアスの口を使ってリリスが「私は、リリアの事を良く知りたいのです。リリアが本当に和輝のことを好きなのかどうかも気になっているのです」と言ってきたので「そうですね。それではリリアスの身体を借りて この子に会いに行ってきます」と俺に告げてきた リリアスが目を覚ますと 目の前

「和輝? 私は一体 ここは何処なのでしょうか?」と聞いて来た

「ここは、俺が創り出した。異世界ですよ」

リリアスに伝えると「それじゃ。私は今和輝の腕の中で寝ていたりするわけですか」と言うので「そういうことになりますね。ところで、リリアス様は、俺と一緒に来ていただけないのかな」と聞くと

「私は和輝のことが大好きです。だから、私は 貴方の側で いつまでも、ずっと、生き続けるつもりです。だって、和輝のいない世界に。私は、私のままでいられるとは思わないのですから」

俺は、「リリスから。全てを聞いていますよね。それでも。リリスの事は受け入れてくれるのですか」と訪ねると リリアスは「はい。私だって リリスを受け入れるつもりなので。リリスの事も、和輝と同じように大切にするつもりですから」と 笑顔で言う リリアスに 俺の中にある 魔王リリスを受け入れて欲しいと告げると「私は この世界の事を この身を持って 理解したいのです。その為にも 私は和輝と、共にあり続けたいと思っています。この先も」なんてことを言うので「それじゃあ。俺は 魔王の力をこの身に取り込んだ後に。俺は魔王の力と共に、世界を支配します。その時に リリアス。貴女の力をお借りします」と告げてくると リ

「ええ 私は リリスをこの身で 守りながら 貴男の側にいる事に決めたのだから」と言う そんな訳で リリアスには魔王の力は受け渡さない事になりそうだ。だが、この子なら きっと上手く使いこなす事ができるだろう。そして、魔王の力を受け取った俺は リリアとリリスの身体を手に入れる事になるのだった

「それじゃ。私はリリスの身体に封印されに行くから」とだけ言って消える魔王だった。リリスはリリアスから離れて行き、リリアスの中に入るのだが、その際に俺に対して「ありがとう。この子をお願いね」と言われてしまって。思わず「はい」と答えてしまうのであった。そして、

「さて。これで、全ての魔王を倒し終えたわけか」と言う俺に対して「はい。そうなりますね」なんて言葉を残して リリスにリリアを頼むと言ってリリアの中に消えて行く魔王であった 俺は、再び勇者としての道を歩き始める事になった 俺は 魔王リリアスが残した言葉を胸に抱いて前に進むことを決意したのである。魔王を倒した後 俺はしばらく自分の世界へと戻り そこでリリアに別れを告げて。リリィと別れを告げると 俺は自分の世界で勇者としての活動をすることになったのである。そして、自分の娘であるリシアの事を見守っていたある日の出来事だった。俺は、自分の中の力が弱まる感覚を覚えたのである。これはつまり、封印されていた魔王

「魔王の証を引き継ぐ者を 産み出す」それが、リリアであり。魔王は リリアの胎内に自らを封印することによって、勇者が倒したはずの魔王を復活させることに成功した。そして、この世界に復活した魔王は。自らの存在を消すことによって勇者の力の暴走を抑えたのである。その結果として、魔王の力が リリアの胎内に封印される事になったのだ。そうして 復活を遂げた魔王であったが。勇者が魔王の力を持つ者を滅ぼす事で 魔王の存在は消滅しようとしていた。魔王は、自らの命と引き換えに。この世界から存在を消し去ろうとした。

勇者が魔王を滅ぼそうとするが 魔王はその力によって。この世界から勇者を消し去る事に成功した。こうして。勇者は

「魔王が残した遺産」を手に入れて 世界を支配することになったのだ。しかし、この世界の支配を望む者がいる。魔王は「自分が魔王であることを、世界に知らしめるために」あえて「自らが勇者の器を作り出した」ことを勇者に伝えずに、勇者と対峙することにした。そうして、魔王は勇者との死闘を繰り広げたのだった。そして 魔王と勇者との戦いが終わった時 勇者は勇者としてではなく、魔王の側近として 世界を支配していく事を選んだのである。

「魔王の力を 受け継いだ者達」が世界を支配すべく動き出した時。

リリスは魔王の力でリリスの胎内にいる「もう一人のリリス」が生み出した 魔王の娘達を リリアやリリスと共存

「三人の妻」の肉体に封じ込めて 勇者の力の源とする為に暗躍を開始したのだった 勇者の力と魔王の娘が合わさって「勇者と魔王の力が合わさって、この世界には新たな魔王が誕生したのであった」と言う話になった。俺は

「それでは 俺は魔王を倒してきます」と リリアに伝えた

「はい。気をつけて行ってきて下さいね」と言ってくるリリア そう。リリアは、俺の「妻になる女性達との行為」を見たいとは言ってくるのであった

「それじゃ。行ってくるよ」と俺が言い 魔王の所へ向かうことにした そして 俺の前には リリスが現れたのである

「勇者様。魔王城で、お待ちしております」と言って姿を消すリリス 俺が

「勇者」の武器である「聖剣」を手にして魔王城に乗り込むと リリスがいた

「ようこそ 勇者様」とリリスは 魔王の姿で 俺の眼前に姿を現す 魔王の格好をしているが 魔王の力は感じられないのである

「魔王。俺がお前の望みを叶えてやる」そう言って剣を振りかざすと 魔王は俺を抱き寄せてキスをして「えへへ 魔王の力なんて。私は望んでいなかったんですよ」と言うのだった

「魔王。それはどういう意味だ?」俺は、魔王の言っていることが分からず そう問い掛けていた 魔王の言葉の意味を理解し

「俺は、魔王と敵対関係にならなかったんだな」と言うと

「そうですね。私は あなたと戦いたくないと思ったのです。だって。私は、あなたと結ばれて 幸せになりたかったから」と言う 俺も

「魔王の言う通りだと思う」と言いながら 俺もリリスに抱きついていたのであった

「私。勇者様の事が好きになってしまったんです。だから。私の事を受けいれてくれませんか?」と魔王が聞いてきたので「ああ もちろんだとも」と言うと リリスは俺の唇を奪うと そのまま押し倒されてしまう俺であった 俺達は愛し合いながらお互いの気持ちを確認

「これからもよろしくね。私も貴方の為に尽くしていくから」と言ってくるので 俺も

「俺は君を愛し続ける。どんな事があろうともな」と伝えるのであった。それから数日の間 俺とリリスはお互いに快楽を求めあい。交わり合う毎日を過ごしたのである 俺はある決心をしたのであった 魔王は、自分自身の意思と 俺への想いで魔王としての使命を放棄したのである 俺としては「魔王を倒す」と言う目標を失ったのだが それでもこの異世界では生き抜く必要があるので、魔王を倒すことをやめなかったのだ ただ、この異世界で生活するためには、「勇者ではない普通の人間に戻る必要」がある為 俺自身が強くなる必要性を感じたために

「魔獣」と呼ばれる存在の中でも最強の種族と言われる、「ドラゴン種」と戦う事にしたのである。

俺が、「ドラゴン種の生息地に行って戦う」事を決意したら「私を仲間にして欲しい」と言う女性が一人現れた 彼女はリリアスという娘らしい 俺は、「魔王リリスと同じ顔立ち」の女性なので驚きながらも彼女の同行を許可したのだった。そんなこんながありながら。彼女を連れて「ドラゴン族の生息する場所に向かうことになるのだが、彼女が持っている武器は短刀なので接近戦で戦う事は出来そうにないと思っていた。だから。彼女には回復魔法しか使えないと思ってしまったんだよ。でもね。俺はその考えを改めることにした。彼女はリリアスの力を受け継いでいたようで、その力で俺の力を補うような技を発動したんだ。それが、リリアの能力を引き継いだリリスが持つ「リリスの力を受け継ぐリリアス」の力によって。俺は 一時的にだが 能力値が上昇するのだった 俺は リリスが発動してくれた「強化系の魔法の力」のおかげで一時的にだが 自分の力が上昇したことで 目の前に立ちふさがる強大な敵とも対等に戦えるようになったのだ そのおかげもあって 俺は自分の実力を高めることに成功していたのだった。その証拠として、この前の戦いでは 巨大な熊のような姿の魔族と一対一で戦い勝つことができたのである それだけではなく リリスが「私の力」を引き継いでいると判明した時点で 俺はリリスの「リリスの力が込められたアイテムボックスの中身」を手に入れる事に成功するのである そして

「リリアスに渡された短剣」には リリアスの力が込められていた。

そのお陰もあり 俺は、自分の能力を底上げすることに成功できたのである

「それじゃあ。今日も、狩りに出掛けるとしますか」と俺はリリスに告げたのだった

「はい。行きましょう。私があなたの事を しっかりとサポートして差し上げるわ」と言ってくれたリリス 俺は、彼女と二人きりでの

「旅」を始める事にした 俺が、リリスとの二人での探索を始めてから、数ヵ月の時間が経過した頃だった リリスと一緒に森を彷徨っている最中の出来事だった 森の中で

「人間の匂いだ」「美味そうな匂いがするぞ」と言う言葉を俺は聞き取った。そうして 俺は、声がした方に意識を向けるとそこには

「ドラゴンの姿のリリスよりも少し小柄な」リリアに似た少女を発見したのである そして。俺は

「そこにいる君は一体何者なんだ?」と話しかけることにした。すると。少女の方はこちらの存在に気がついたのか振り向いてくれたのである

「あれ?もしかして あなたは勇者さんですか」と尋ねてくる 俺は、どう返答すればいいのか分からないが、正直な気持ちを素直に口にする事にした。

「ああ 確かに俺は 勇者として呼ばれた存在だけど 君の方はどうしてここにやって来たの?」

「実は、この世界の事を この世界を支配する存在が教えてくれたの」

「それはつまり。俺達の住むこの世界には 別の人間が暮らしていて。そいつが、この世界の支配者に君臨しているって事なのか?」と尋ねると

「そういう事になりますね」と答えが返ってきた そして

「この世界を支配する者」の正体を探りたいと思った俺は

「良かったらで良いんだけど 俺達に付いてきてくれないかな」と提案をしてみたのだ。

そして リリアに似た女性を連れ歩く俺の姿を 他の人達に見られる訳にもいかないので。

とりあえず「人の気配がない」ところに移動して事情を聞くことにするのだった。そして

「ええっとですね。私はリリアです。私と妹であるリリアは、元々「魔王の生まれ変わり」だったんですけど 勇者として、この世界に召喚された「和さん」の力をお兄ちゃんとして、この世界に顕現した魔王の娘なんですよ」とリリアは話し始めたのである

「リリアにリリア。姉妹の名前が似ているから 混乱してしまいそうだが とりあえずは分かった。それで。君達が俺の住んでいた世界に来てまで。何をしようとしているんだ?」と聞くと

「リリアにリリア。同じ名前の女の子がこの世界にいるなんて珍しいよね。でもね。この世界で「リリア」という名前の女の子はね 勇者様が「魔王の魂を受け継いだ人間に憑依する形で」誕生した「和さんの妹」のリアリスって子が、勇者様が元の世界に戻るときに一緒についてきた「リリア」って子と同一人物で 二人のリリアは同一人物だったんですよ」と言ってきた リリスは、この世界に来るまでは リリアの「記憶」を持っていて。リリスの力を受け継ぎ、さらに 魔王の娘でもあり、リリスの力も受け継いでいるから

「リリス」という存在になったらしい。

「なぁ 俺のいた世界にもリリスがいたと思うんだが、あいつもお前と同じ感じなのか?」と質問してみる

「うん 私のお母さんも「魔王の娘リリス」だからね」と答えるのであった それから

「私は

「魔王の力」を受け渡

「私の力」を勇者様にお返ししました。そのお陰で。私は、「勇者様の力」を引き継ぐ事が出来たんですよ」

と嬉しそうに言うリリアなのである 俺の身体から離れてしまえば「俺」は「リリス」に対して何も出来ない。そう思いながら俺は「リリス」の唇を奪うのだった。リリスが「私は、もう「勇者様の力」を持っていないので、あなたから力を分けてもらう事ができないのですよ」と

「大丈夫さ。俺だって この世界で鍛えて来たおかげで強くなっているし。お前が居なくなっても。俺は一人で生きていけるようになるだろう」と言うと

「そうだったらいいな。でも。もしもだよ。貴方がこの先の戦いで 死ぬようなことがあれば。私は貴方の事を見守る為に あなたと再び結ばれることを約束しているんだから」

そんな言葉を口にしていたのだった。そうして 俺は「リリス」を連れて街に帰る事に決めた 俺の住んでいる街の周辺には強い魔獣が出現するから

「安全に暮らせる環境を作る事が必要」だと思いながら俺はリリスの手を握ると、転移の能力を発動する すると、次の瞬間 俺とリリスの前に、大きな

「白い門扉」が現れ

「この門の先は私達の街よ」

そう言ったリリスと共に、俺はリリスの故郷である。

「魔王軍の本拠地でもある魔族が住む地域」へと向かう事にしたのであった 俺の暮らしている場所から、かなり離れた場所に 俺が、リリアとリリスの姉妹と出合った場所とは別の

「魔王の城」と呼ばれる場所が存在する 俺が訪れた「魔王の城は」リリスが住んでいた場所にほど近い 魔王の居城が存在しているので「魔王軍」が支配する領域なのだ しかし その「居城がある区域」から 少しだけ離れたところに 魔王軍が支配をする地域の外に存在している「小さな村」が存在していた その「小さな村に暮らす一人の老人の視点」から見た場合の話だが その老人は、元々は「勇者」として召喚された存在だったのだ。そして、彼は「勇者の使命」を果たす為だけに、この異世界の各地を旅していた そして「ある日」の出来事だった いつものように「とある森の中にある洞窟」の中で休んでいた勇者は、ふとした拍子に「不思議な穴に吸い込まれてしまい」、気がつけば見知らぬ世界へと来ていたのだ 最初は、異世界にやって来たことに戸惑っていた勇者だったが。そのお陰もあって「人族最強の戦士になることが出来たのである それから数年後のある時

「とある森の中」にて、魔王軍の残党と思われる一団と戦うことになったのだが 俺はその戦闘中に油断してしまった事で

「敵の一撃を受けて倒れてしまった」俺は薄れていく意識の中て考えていた

(しまった。ここで俺は終わるのだろうか)と思いながら、目を閉じようとしたその時だった 何者かによって救われた俺は、気がつくとその人物に抱きかかえられていて。その人物に助けてもらったのだ。俺は、命を助けてくれた恩人にお礼を言うことにした

「危ない所だったわね」と 女性は言ってくれた

「あなたに、何か特別な能力を与えなければなりませんが。どのような能力を望むか決めてください」と言われて。俺に授け

「ある能力」とは

「時間を操る能力」である。この能力のおかげで俺は 魔王軍と互角以上の戦いが出来るようになる そして 俺は自分の力で倒した相手は「全て」復活させて味方に加えるようにしてきた。それによって「勇者」として

「仲間を死なせることがないように」戦うことが実現できたのだ。そして

「魔王軍を統べる者」である。俺が戦っている存在との戦いを有利にするために必要な存在。それが「神界」を司る「女神」だった そして 戦いの最中に、リリスは「勇者様が元の世界に戻れるようにするために」この世界に留まることを決意して、リリアと一緒に暮らしていたのだった。そして俺に、俺の仲間に「力を貸してくれるよう頼み込んだのである 俺の仲間が俺を庇って死にかけた際に

「時間を戻したい」と願い続けた俺だった それから、リリアが持っていた「短剣の形をした剣」は「剣の中に存在する空間の裂け目のような部分」に存在する世界に 存在していたのである。その短剣を手にした俺は、剣を振る

「時の女神に認められし者」は、「時間の停止を解除できる者」だ。

だからこそ、魔王を倒せなかった時の「勇者」は

「時間が止まっている」状態を利用して「魔王がこの世に復活する前の状態まで戻す」という選択肢を選んだ。しかし この世界の「魔王軍」は「人間を超越する存在が、人間の住む世界に干渉してくる事を嫌がる」者達が集まっている組織なので、この世界に住む人間の力を借りずに「自分一人の力で魔王を打倒して見せろ」と言う「勇者の宿敵」とも言える存在だ。

しかし 俺は「リリアが使っていた武器とよく似た物を手にする事が出来たので それを媒介にして、俺をこの世界に連れてきてくれた存在の力を使うことが出来るようになっていた」

そう。俺の持つ力は、時間を巻き戻すだけでなく。その力を増幅させることもできるのだ

「勇者」として

「世界を救った存在の力」として俺は、その能力を使うことができるようになったのである。俺は リリスの力も使うことで 俺は俺を窮地から救ってくれた女性の姿に変化することができる

「俺は「俺」が、これから「リリスと過ごした思い出の場所に向かうために」「リリアの記憶を持った女性を連れて行くわけにはいかない」と思っていたからだ。そんなこんなで リリスとの再会を果たし リリアを元の世界に送り届ける事を決めたのであった。

俺は、元の世界に戻ることを決めた。リリアと出会ってから、色々ありすぎて。すっかり忘れていたが 俺は元々リリアと「リリスと別れてから、どうなったのかを確認するため」

この世界にやってきた。俺は

「この世界で、俺は色々な出会いをしたけど。それは俺がこの世界に訪れた理由を知る上で必要な出来事だったんだなぁ」と思ったのである。そして、俺は

「魔王の力を受け継ぎ、魔王になった少女リリア」に案内されるがまま。俺とリリスは この世界で暮らす事を決めると リリスの生まれ故郷であり

「リリスの本来の体」があるという世界に向かうことにした。その場所は リリスが住んでいた世界とは違う世界にある 魔王の城に程近い場所にある 小さな集落が存在する場所なのだ

「勇者様が暮らしていた世界って。一体どんな世界なの?」と聞いてきたので 俺も詳しくは知らないが。俺の住んでいた世界にも、リリスと同じような種族が存在して しかもリリスと同じ名前の女の子が存在している。俺は、そんな女の子がいる「別の世界」でリリスと出会うことが出来た。そして「この世界に来た目的は、この世界を平和にしたいって思っていて。リリスと出会った時にリリスに協力して貰う事になったんだよな」

そんな話をしながら 俺はリリスを連れて リリスと別れた後に 魔王城があった場所で 俺が生活をしていた街に戻る事ができた。それから、俺は 俺の生まれ育った世界で暮らしていたが 俺を待っていたのは、俺の家族を俺の妹が殺して その後、俺自身も殺されるという結末を迎えた 俺は、元の世界に戻ると

「魔王の力」を持つリリアが暮らす場所へと向かう リリスと再開を果たした

「勇者」が、かつて生きていた リリスが住んでいた場所へと向かう事にした そこでリリスと再会した勇者は

「リリア」と共に「魔王を倒すことを諦め」たのだ そして「勇者の敵」であるはずの「魔族達」と仲良くなるのだった

「勇者」が暮らしていた世界には「勇者の敵」と言える存在である「魔物や魔獣などの生物が存在する」世界だった。

そして

「リリスと別れた後」に勇者が過ごしていた場所は「魔族が住む地域に近い」のである。その為に リリス達は勇者を救い出すと、勇者を連れて安全な場所に避難するのである。それから勇者とリリスの姉妹と、魔王であるリリアと過ごす時間は穏やかで楽しい日々を過ごして行くことになる。そんな中 俺は、俺に懐いてくるリリアの態度を見て思ったことがあった

「リリスは、リリスの前世の名前でもあるんだよな」と思うと。俺は思わず笑みを浮かべていた そして「今の生活を続ける為なら、別に魔王になってもいいかな」とさえ思っていたのだ。そう思うに至ったのは、この世界に「魔物」は存在しない。それに リリア達が「魔王」と名乗って生活を始めた事で 魔族の人達からは慕われるようになり

「私達の事を受け入れてくれた」

リリアとリリスはそう言っていた

「だから私は、リリスと共に暮らし リリスと結ばれました。今では私もリリスの「娘のような立場になっているのですよ」と言っていたのである それを聞いて、俺も「リシアの母親である俺の妻のリリアと。俺の娘であるリリスが姉妹のように暮らしている姿」を思い浮かべたら微笑ましい気持ちになってくる。だけど 俺は魔王と勇者という立場である「俺と、その伴侶となった魔王」が共に暮らしている光景が、この世界において異質であることに気がつき「俺達二人だけの秘密としておこうか? 」と言ったら

「それもそうだな。俺も魔王として生きる以上は 他の者達が望むように振舞わないといけないだろうな」魔王は そう言いながら俺とリリアと一緒に食事をしていたのだった そんなある日

「勇者」が暮らしている場所に、一人の男が訪れる その男は「とある組織の人間で この世界の「勇者」を殺す

「魔王を滅ぼす事が出来るかもしれない存在の始末を任された存在」である

「勇者の命を奪うために送り込まれて来た刺客」だった しかし 勇者の住んでいる地域に、勇者以外に人間が存在している事は事前に調査していたので 男がやってきた時は、既に「魔王の城の周辺」にいる人間が「この世界にやって来ていることは知っていた。だからこそ俺は その日に備えて準備を進めていた。まず 俺が用意したものは、「時間を操ることができる剣の形をした剣のレプリカ」だった。俺に、この剣を使って欲しいと言われた その剣は 本来であれば「勇者」が持つはずだった物で 時間を巻き戻す力が備わっているのだ 俺に剣を託すと 俺は、その剣に力を宿し。俺は時間

「俺の体がこの世界に召喚された時から、俺が死ぬ時までの時間の全てを巻き戻して欲しい」と言うと。その瞬間。剣から眩い光が溢れ出し、俺の体を包み込んだ 俺が目を覚ますと そこは

「勇者が俺と出会う前にいた世界に存在する俺の実家」だったのだ そう。俺は「時間を巻き戻して過去に戻り。俺に剣を託した人物を返り討ちにしてやろうと考えていたのだった それからしばらくして、勇者は俺に「リリアの生まれ変わりの女性と一緒にいるのはお前の幸せの為にはならないぞ。リリスも「あの人」も悲しんでも、お前が死んでしまった事を引きずって生きているんだからな」そう言われた。確かに俺はリリスを妻に迎えたが 俺を慕ってついて来てくれた リリスは、そんな「リリスが愛してくれている俺」と離れるなんて出来ない 俺を慕って、俺の後を追いかけてくれる。

俺のことが大好きな 俺の「家族のような女性」なのだ リリスに、俺を裏切って欲しくないし。リリスに幸せになってもらいたい。俺と「リリアの体を共有することになった勇者」との思い出を懐かしむのもいい だが

「勇者は俺が「別の世界」にいた時に出会った少女に好意を持っていた。だから俺には「この世界の勇者が好いていた女の子」と会う資格などないだろうし 会いたいなどと思わないからこそ 俺は「リリアにこの世界の勇者が俺を暗殺しようとしていることを知らせ」

この世界のリリスに「この世界にやってきた魔王軍の連中」の対処を頼み。それから「この世界の勇者」の相手をする事にした そう。「この世界で暮らしていた俺の事を勇者が殺そうとしているのは分かっていたことだ。だからこそ俺は「勇者に復讐を果たす為にも、俺を殺した相手に相応の報復を与える為にも。「別世界」で出会った女性 リリス」の体を借りて。俺はこの世界に現れた「勇者」と相対することになる 勇者からすると、この世界に現れることは「予想外であったのかもしれないが 俺にとっては想定内の出来事であったから。問題はないと思っていたのだが まさか「別世界の存在の力を使いこなす俺を簡単に倒せるとは

「思ってはいなかったらしい」からな。俺を殺そうとしてくる この世界の「勇者」は「魔王の力を受け継いだ俺に勝てるわけがない 」

「そんな思い上がりを持っている相手なのだから。当然「俺」を「殺すことが出来ると思い込んでいる」ようだから。

そんな奴が 俺に対して「自分の方が強いんだ」と思っているようでは、この世界の「勇者」は 俺には到底及ぶわけもない 俺はこの世界で最強の剣士

「俺が勇者より弱い」だなどと思っていない限り。俺に勝つ事はできない」

そう言うと。俺は 俺の体を奪って、この世界へとやって来た この世界での「魔王と、この世界で生まれ育った俺の体を奪った勇者の魂の融合した存在の身体」

それを奪い返すことにしたのである そうすることで

「勇者の体を奪うことに成功した俺は

「勇者」に憑依する

「勇者が持っている能力を全て使えるようになるが 俺自身が「勇者」の能力を使用することは出来ない

「この勇者が元々暮らしていた世界と、この世界を行き来できるようにした」

俺は 勇者の持っていた 剣で。俺が「俺自身の肉体」に憑依する前に。この「世界に来る前 俺がいた世界を「魔王の力で、滅ぼしてしまった勇者の力」を使うのは さすがに躊躇したから

「この世界を救いたかったので。この世界を救いました」って、そんな事があったら。俺は俺が「魔王と一体化して」まで救おうとした この世界の人々を皆殺しにする気にもならないよな

「この世界の魔王を倒した」という称号を「勇者の器を持つ少年」に与えてから。

俺と「勇者の体を手に入れた魔王」との戦いが始まった 勇者が使うはずのなかった 勇者

「神剣の類である聖剣を手にした勇者と 勇者が愛用していた 伝説の剣

「エクスカリバーを手にしている魔王の戦いが始まり 俺の一撃によって 魔王と一体化していた俺の意識は吹き飛び

「勇者」の体を乗っ取ることに成功して。それからは、勇者の持つ あらゆる能力を扱えるように「勇者の体に宿った魔王と、魔王が身に着けていた武具を身につけた俺は 勇者の力を得て 俺に襲いかかろうとする

「勇者」と 俺は戦い 最終的には「勇者」が 魔王が使用していた 武器と 魔王の力とを受け継いで。俺を倒す為に。

俺は魔王が作り出した 魔王の力が凝縮した「魔玉」に、俺の魂が閉じ込められてしまっても。

魔王は俺を助け出そうと。「魔玉に力を込めて、封印を解いてくれようとしていたのだろうが 俺は魔王の願いに応えることができなかった。なぜならば「俺自身」に執着がなくなっていたのもあるけど それよりも「リリスに会えない世界に未練がなかった」というのが一番大きいだろう 魔王の事が嫌いで。

魔王は俺の事を殺しに来て。そのせいでリリスは魔王を恨んで

「魔族の敵 悪の権化」のような存在になっていたとしても

「俺は「魔族の人達の暮らしを守りたい」という気持ちが強かった」のもあって。「魔王と融合して。俺自身を封じる事を決めたのは。俺の意思で決めていたんだ」

そう。魔王が 俺のために「リリスと結ばれないかもしれない」事を選んで。リリスと結ばれない可能性が高くなった時点で 俺は

「リリスに恋をして。そして結婚した リリスと結ばれたい。そう思えるようになってからは もう既に 俺の中で 答えが出ていたようなものだから 魔王に力を封じ込められる前にも すでに「リリアやリリアが生み出してくれた娘のリゼリーヌと共に暮らす日々を送りたい」という思いがあって リリアが用意してくれていたリリアの娘達も。みんな俺になついてくれていて。だから。「俺の体を奪われている間にリゼルトやリシア。リリアの娘達の誰かが 勇者に殺される可能性だって高い。なら 魔王にこの体を渡せば。俺の命を奪うためにやってきた勇者に殺されてしまうよりも。魔王の手に委ねる方が良いと思ったんだ 俺は。魔王が生み出した「魔道具」の中に自ら入る事にした そうする事で「俺の体は奪われることなく」

俺は 魔王の手によって。「別世界に帰る為の魔法を発動させられるようになるまでの間」

魔王に体を任せることを選んだのだ。俺に、そこまで強い意思がなければ 魔王に取り込まれていたのかもしれないが 俺は

「別世界で暮らす」と「家族と一緒に暮らしたかった 家族が幸せに暮らせるようにする」

その二つの想いがあったからこそ。「自分一人だけ」を犠牲にしても、俺が愛するリリア リリアスリーア。それに、リリアが愛した娘

「リーゼリット」に この世界の平穏を託すことができる。だからこそ。俺は「リリア」と「リリアが愛して止まなくなった俺の家族」

その家族が暮らしている「異世界での俺の自宅の敷地内」に、空間を繋いでもらうことで。俺は「リリア達が幸せに暮らす日常の風景を見る」ことができた 俺の体を奪おうとしていた この世界に存在していた「リリアの体を宿主にして。リリアに宿り。リリアと一体化することで。俺の力を利用しようとしていた存在」が俺に話しかけてきたのだけど。その時俺は この世界に飛ばされてしまった時に。「別世界に存在する」リリアに「この世界の勇者に命を狙われている」ことを告げられ。「リリア達に危険を及ぼすことになるかもしれないことを伝えた上で。自分の事は心配しないように言っておきたい」と思っていたから。俺の姿を見つけては声をかけてくる リゼルトと。それに。この世界で生きていた時の。幼い姿をした俺が愛していた。

今では立派な大人の女性の外見をした。リリアが愛してくれている女性になったリリスを呼び寄せると2人に伝えて 魔王との戦いに備えて準備を整えていたから。すぐに駆けつけてくれたようだな 2人に

「勇者」のことを告げると リゼルトは「勇者」に対して。

リリスは「勇者」と融合した「魔王に身体を奪われたリゼルド」に対して「憎しみをぶつけてくる」が そんな時でも「勇者の身体を手に入れた「魔王と、魔王が体内に取り込んだ俺の肉体」は、「俺とリゼルの意識を融合させて。俺の力を引き出す」という事までは出来ていなかったらしく。リゼルト

「私は あなたのお父様とお母様に この世界で育まれた私の娘をあなたの娘だと言って預けていたんです あなたの娘のリーシアは私の娘でもあるんですよ」と伝えると

「あ、あの時は私をリリアだと思って。優しくしてもらったんだけど それが リリスのお姉ちゃんだったなんて。本当にごめんなさい 私。勘違いしていて。お義母さんに あんな酷いことして。」と。泣きながら。リリスに謝罪をしていたのだ 俺は「勇者」から奪い取った剣で「勇者」と戦いを繰り広げることになったのである 勇者からすると。この世界で魔王と戦うのであれば。「俺」に憑依されている「勇者が持っている力」は「勇者自身の能力」ではなく「俺の能力」

「俺が憑依したことで勇者の力を得た俺の剣の力」になるのだから当然だが 勇者が使っていた伝説の武器の中でも。最も威力が高く 使い手を選びそうな代物でもあったから。「魔王が操っている俺の肉体を纏う力を使いこなしているのは間違いないと思うが。それでも、その力を引き出せていない勇者では。俺を倒す事など出来ないだろ?って思えたから。特に警戒することもなかったんだ だから、俺は 勇者との戦いにおいて「勇者が扱う聖剣が秘めた能力を最大限発揮出来るようにして」いたら

「俺は魔王の力を手に入れたんだぞ!そんな簡単に負けてたまるかよ!」

そんな事を叫びながらも。必死の形相で「魔王」に斬りかかってきていた勇者の剣を俺は受け止めるのだが。その瞬間。俺は魔王に憑依する前と同じような感覚を覚えていた。勇者と剣を交えて お互いに相手の動きを読んでいるからなのか 俺は

「この程度の相手なら、余裕で倒せる」と思い込んでいて。それで油断をしてしまった。その結果 俺の体に異変が生じてしまい。俺が本来なら使えないような技も使えたりするから それを使ったら、俺に隙ができてしまうので。俺と勇者は「勇者が魔王の肉体を纏った」状態になってから初めて戦う事になっているので。お互いに探り合いをしている状況にあったのだが。俺は勇者の動きを読むことが出来ていたこともあり その状態から

「勇者に一太刀を浴びさせることができても 一撃を与えるまでには至らず 俺の体が受けたダメージも大きいものだったので 俺が劣勢になってしまうと。そう思い込むように誘導されていたみたいだな」そんな事を考えていたのだ 魔王が操っていた体と剣の性能が違いすぎて

「勇者」は魔王を倒すことが出来ないんじゃないかなぁ って そう思うようになっていたんだよ 勇者の攻撃を受けるたびに。俺の体の痛みが激しくなっていってね。これはマズイかな そう思った俺は。勇者と剣を交えることで「俺が使えるようになっているスキル」を使用してみたわけだよ そしたら、俺に攻撃を加えようとしてくる勇者の体に「聖属性の効果のある雷」みたいなものを

「俺の肉体を纏った魔王」に放ったことで。勇者を痺れさせる事ができたようで その隙に。俺は距離を取る事が出来ただけでなく。俺は勇者の攻撃を受け続けていたおかげで 少しばかり体力を回復していたので。「魔王の力で」勇者の肉体を侵食しつつ 勇者が持つ最強の武器である「エクスカリバー」の所持者として 俺の力をも扱えるようになっていけば良いなと思ったのさ だから 勇者が手にしている剣に向かって 俺は「俺自身が扱えないような力」を放つのではなく その剣が秘めている力を最大限に引き出すことが出来るように。「俺が扱える力の範囲で 勇者の持つ武器に込められた「魔王が操る肉体」に対抗する

「魔王に対抗できる力を引き出して」みせたのだよ そうする事で 俺が扱っていた剣と同じ力を。俺は「扱えるようになって」いくんじゃないのか。そう考えての行動だな

「ま、魔王のくせに こんなに強いとか聞いてない」

「それは俺のセリフだ。お前は確かに強いが 俺の方が強かったというだけの話じゃないか そもそも。俺は魔王であって 魔王じゃ無いからな」

「魔王じゃないだと?」

「ああ 俺は魔王に体を奪われていたんだ 魔王に体を乗っ取られていて 本来の体を取り戻したいという強い想いを抱いていた俺が その想いを強くさせた出来事が起きたせいか この世界に飛ばされてからもこの世界の俺の自宅の中に「別世界に帰る為の魔法陣を発動させるための鍵となる魔法石が存在している事を知る」機会を得る事ができていて。別世界に戻るための手段を知ったことで この世界に飛ばされてきた時よりも、魔王が俺の体を操れる時間は長くなり そして 俺と魔王が共有して得た知識や技術は魔王の方に分があったようだ だからこそ。魔王は、この世界に飛ばされてから 魔王の力を使うことができたが この世界に存在していた魔王の娘は「リリスとリゼ そして リゼが生み出してくれたリリア達 それから。俺と融合することを選ばず。魔王の手中に収められる道を選んだ魔王自身と。魔王と融合していた存在」

つまり 魔王が操っていた俺と。魔王の意思と。勇者の意思が混ざり合っていた だからこそ。魔王が操り。リリスとリゼが愛し。リシアが愛する。リリアとリリスとリーゼと この世界で暮らしていた3人と。俺達が家族になって一緒に暮らすために。家族を幸せにするためにと魔王が「この世界のリリアが俺の家に訪れる事で。俺に力を貸してくれて この世界に存在する全ての生物に対して。リリアに宿っている俺の肉体と魂の力が発動するような」結界を張ってくれることに成功させてくれたことで。俺達は 魔王がリリアの力を利用して作り出した「別世界へと帰るための鍵を手に入れることができる空間」を目にすることができた その時に、俺は魔王に体を返すつもりだったが。魔王に体を返そうとすると リリアとリリアのお母さんであるリリアスに。俺達がこの世界に存在する事を認めてもらいたかったんだろうな 俺の意識は そのまま。俺の肉体を纏っている この世界で生きていた魔王と一体化したままで 別世界に飛ばされた俺が「リリアが大切に想う人達が生きている世界を。リリアに認めてもらうこと」が。俺がこの世界で生きていきたいと願う一番の目的でもあったので。魔王に身体を返したくないとも思っていた だから。魔王に体を返したらどうなるかをリリアに聞いた

「勇者」からすれば。「俺を倒したところで」元の肉体に戻っただけであって

「別世界に帰る」事ができるのであれば。元の生活を取り戻すだけなので。何も困ることも無いからな 勇者が肉体を取り戻したら。俺は肉体を失うだけではなく「別の何かが肉体として入り込み 勇者の記憶を持った別人が生まれることになるのではないか」

その懸念もあったんだよね でも、魔王に「勇者が憑依することで得られる力を全て使いこなせてしまえば、私達の勝利になるわよ あなたにもわかるでしょう?私もそうだったものね」そんなことを言われてしまったら 俺は迷うことも無く。「魔王と完全に融合をして 新たな力を手に入れた状態でこの場を去ることにしよう それがこの世界で生きる事を望んだ「魔王と勇者」にとって 最良の結果に繋がるんだと信じるしかないだろう」そう思ってたんだよな だから。魔王と融合した状態の俺は。「魔王がリリア達に認めてもらった」という「証明証のような物を手に入れ」ることができたわけだ それが。勇者との戦いによって手に入った証拠だと言っても良いのかもしれない

「私も。この力で。リシアとリーシアちゃんのお父さんになった和さんに認められてもらえた。私は この世界でもリリアリスとして生きていくって決めたけど。私の娘のお姉ちゃんだって事。それを覚えていて欲しい」

俺が「勇者との戦いで得た勝利を確実なものにした」ことで「魔王に乗っ取られた俺の肉体から勇者を引き離すことに成功したのと同時に。勇者と戦う前までの状態に戻ってしまった俺は、それでも まだ動けないわけでもないと思っていたんだがな」

そんなことを考えていたら突然の出来事だったんだよ。俺の息子でもあるリシアちゃんがね 自分の娘でしかないアテナスちゃんを抱き締めるかのようにしながら倒れ込んだのだ「お父様の肉体を使っていてわかった事があるのです」そう言いながらだ 俺は何となくだが予想できていたことでもあったんだけどさ。俺の息子であり。勇者の息子である青年は異世界へ呼び出されてしまっていおり。その際に、この世界の「リーディア」という少女と出会い結婚したらしいのだ だけどさ「勇者が魔王に勝つことができなかった場合」を予測した上で 勇者である自分の息子としてではなく。俺の

「勇者の血を引いている存在」としての資質と 魔王を宿すに相応しい器を持つ。俺の子を産んでもらう為に 俺と性行為をする直前に この世界では俺の「子供でしかなかった存在」を呼び寄せていたんだと思う

「勇者」は魔王を追い詰めたが 勇者の一撃を受けた俺の体は動かなくなってしまった

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異世界帰りのチートスキルホルダー ~勇者と呼ばれた召喚師は今日もダンジョンにこもって、お仕事頑張ります。 あずま悠紀 @berute00

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