41 不良集団

「おいぃ! 鬼塚じゃねぇかぁ!」

 汚いダミ声が、俺と鬼塚の間をつんざいた。

 公園を仕切る茂みの向こう──道路に、バイクに乗った知らない高校生たちが、俺たちを睨みつけていた。数えてみたら五人いたが、揃いも揃って全員ブサイクだ。

「……ちっ」

 知り合いなのか、鬼塚はそいつらを見て舌打ちする──俺の腕を掴んでいた手を離し、鬼塚はそいつらに近づいていった。

 ……俺、今、流されかけてなかったか!?

 危うく鬼塚とキスしそうになっていたが、鬼塚が離れて行って、ようやく我に返った。あぶな。イケメンすげぇ。

「……何の用だ。俺はお前らとは、縁を切ったはずだろ」

「はぁ!? 抜けるなんて俺らは認めてねぇぞぉ!」

「なっ……! お前らの言う馬鹿みてーな禊だって、受けただろうが!」

 流されかけていた事実に動揺している間に、鬼塚は不良集団と話をつけていた──両方でかい声だからよく聞こえる。どうやら、昔の仲間のようだ。確かによくよく顔を見てみると、この世界に転生した初日に絡んできた不良とは違うブサメンだ。

 今度こそ不良同士の喧嘩に巻き込まれる前にとっとと退散しよう。

「……なぁ、お前、鬼塚の女?」

 不良の一人が、俺の背後にいた──いつの間に!?

「違う、俺は鬼塚の彼女じゃない」

「んなの、どっちでもいーんだよ」

「うぐっ!?」

 それは、容赦ない腹パンだった──突然の衝撃、痛みに、俺は為す術なく意識を手放した。

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