36 目が離せない女

「今からって……」

 生徒会室のドアを開けっ放しにして飛び出した早乙女に、伊集院はしばらく呆気に取られていた。

「無茶苦茶だな、あいつは」

 伊集院の口元に、思わず笑みが溢れる。

「そんなんだから、目が離せねぇんだよな」

「鬼塚……」

 扉の影から現れた鬼塚に、伊集院は驚くでもなく、その意見に賛同した。

「あぁ、ほんとに……。放って置けないよ」

「だな」

 早乙女の後を追って、二人は肩を並べて駆け出した──かつて仲が良かった頃のように。

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