13 男友達みたいな女子
「あんな女の子、いるんだぁ……」
亜矢瀬は青空を眺めながら、屋上を立ち去った早乙女に思いを馳せていた。
女の子らしい見た目をしている早乙女は、中身もきっといわゆる女の子が好きと言われているものが好きな性格なんだろうと思った──思い込んでいた。
しかし、実際に話してみれば、恋愛にも噂にも興味がないと主張する。
「僕と似てるかも……」
こんなに考えの合う女子は初めてだ。十六年間生きてきて、亜矢瀬はその可愛らしい容姿のせいか、周りから、特に女子からは小動物のように接して来られることが多かった──その中でも、彼女は作らないのか? と訊ねてきた女子は、例外なく、のちに告白してくるのだ。
──ただ、早乙女は違った。
本当にただの好奇心で彼女の有無を聞いてきた──まるで、男同士の何気ない会話みたいに。
「……僕は恋愛なんて、したくないんだ──お母さんのためにも」
亜矢瀬の独り言は、春の冷たい風に流されていった。
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