いじめの結末:12
鶴につかまって孔に突入し
「あの
鶴の飛行能力に身を任せる慶郎は、頭上で羽ばたく白鳥を見上げることしか出来なかった。それ程に、巫女の
魍魎たちの
唯一の足場である暗闇に浮かぶ一本の道。鶴と共に降り立ったそこは、何者かの意思によって作られた
内ポケットから銃を
「他に敵の気配は無いわね。
まるで他人事のように落ち着いている鶴の
慶郎はただ
「こっちは
「そっちはどうなったんだ。
いつもこの口調なのでこれが平常心なのか怒っているのか識別できない巫女の問いに、慶郎も相変わらず
この二人は、互いに顔を向け合うといつもこんな感じだ。
「まぁ、その、なんと言いますか、お
あはは、と、苦笑いで誤魔化す慶郎の本心を知ってか知らずか、巫女はなおも問いかける。
「母親を巻き込んだ悪夢を
「はい、そこはタイミング良く
そこで煮え切らない表情になる慶郎を理解できず、巫女は首を
「それにしても」
慶郎は話を変える。
「ここはいったい何なのです? 少し、悪夢とは
明らかな話題の
「魍魎どもが移動手段に使う、いわゆる裏口よ。我々はこれを“
鶴の返答に付け足すように、今度は巫女が先を続けた。
「本来、
巫女の所見についてピンとこない慶郎は思考を
断言を避ける形で、慶郎は巫女の主張に首を振った。
「とくに、おかしな点は感じられませんでしたが……」
「本当に?」
「悪夢に
慶郎の感想を
「彼女は今どこに」
「徒歩で家へと向かっている筈です」
なにか考え込む様子で、鶴が長い首を
「異変に気付けなかったワタシの落ち度かしら」
そう漏らすと同時に羽ばたき、真っすぐ慶郎を見つめた。
「行くわよ。もしかしたら、板野麻実の魂は悪夢に閉じ込められたままかも知れない」
「そんな――いっしょに鳥居を
鶴の脚に
「ここまで高等な術を持ってるとは予想外だったわ。管理者として、見抜けなかった
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