いじめの結末:8
悪夢は
近くに居た人間が一瞬だけ違和感を
× ×
板野由紀恵の母親・
辺りは
「……え?」
感情を隠して過ごす職場での無表情や、次々と乗り換える男達に見せる顔とも違う。彼女は今、本能で命の危機を察し、この身に起きた
「え? え?」
やっとの思いで動いた足は
城壁は遥か頭上まで高く、見上げた空は
意識して街中を
由紀恵の母親は
「ウソ……おかしい、おかしい……」
どうしていいのか解らない
――それも、この異世界の
「っ!?」
赤い空に
“悪魔”――影の正体を見上げた母、麻実の目にはそう映った。
頭上から見下ろしてくるソレは、絶対に近付いてはいけないモノだと瞬時に判った。幼い頃に図鑑か何かで見たことがあるガーゴイル。まさしくソレだった。
海外ロケ番組で目にする教会などの屋根や壁から身を突き出す怪物の
――生きている
板野麻実は
アレはもう、自分を
おとぎ話の
こうなっては細かいことに構ってなどいられない。一刻も早く身を隠せる場所を見付けなくては――
板野麻実は悪魔に背中を向けると、勢いよく駆け出した。サンダルというコンディションの悪さなど気にしている場合ですらない。すでに自分が標的である以上、一刻も早くあの魔物から距離を離さなくては命が無い。
それなのに右手に握ったままの缶ビールを手放さないでいるのは、何を持っているのかさえ忘れてしまっているからだ。
景色の変わらない城壁を
なんとか身を隠せそうな
隠れるというには明らかに
やれるだけの努力はやった筈だが、全くもって安心感を得られないのは、悪魔の姿を
不幸にも、その予想は外れなかった。噴水の縁石に降り立った悪魔が、物々しい音を起てて着地する。分厚いブロックが割れる衝撃からして、その体重も
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