消えた幼馴染:10
振り下ろす
数秒足らずの内に辺り一帯は次々と
その絶望的な状況下であっても、慶郎は引きも切らず好機を待ち続けた。今は
この流れも、彼の作戦の中だ。
次第に、魍魎の動きが荒くなり、いつまでも
「
そんな
慶郎はその機に振り返る。
受け身をとるフリをして――そのまま慶郎は巨大な拳に叩き
地面にめり込んだ体は力が抜け、立ち上がる気配も無い。目を
「まったく、面白みも無い虫めが」
己のパワーに自信があった魍魎は、今の一撃で獲物を仕留め切ったと確信し、離れた所で様子を
「
動かなくなった慶郎には目もくれず、魍魎は再び逃げ出した少年を追い駆ける。
――その背中を向けた絶好の
その魍魎が
しかしそれ
慶郎の必勝には、鶴から授かった二つの要素があった。その一つは、内ポケットに隠された
当然それを知らない魍魎は、一撃で慶郎を仕留めたと
そしてもう一つ、必勝の策を決定付ける奥の手が、気絶を
その小袋から
リボルバー式の薬室に挿入された銃弾は
「んっ!?」
魍魎が足を止めて振り返る。慶郎を弱い悪夢祓いだと見抜いたように、弾丸の恐ろしさを瞬時に読み取るも、すでに手遅れである。
「悪いな」
トリガーを引いた慶郎は、感情の読めない無表情だった。勝利に
放たれた弾丸は一直線に突き進み、魍魎の胸板に
慶郎は奴らの体など
「終わりだ」
勝利を確信する慶郎。
「これはっ!?」
弾丸の存在感を隠し通した
そこにはすでに、先程まで猛威を奮っていた魍魎の姿は無く、黒い粉末が
「もう安心だ、すぐに帰れるよ」
目の前で繰り広げられた死闘に怯え、
「目が覚めれば普通の朝が待ってる。なにも心配ない」
初めて見る男にどう対応していいか判らず、少年はゆっくり
バケモノに殴り潰された筈の体は土で汚れているものの、大怪我を負っている様子もなく、おまけに拳銃で反撃するという行動には
それから間もなくして、赤い鳥居が出現し、一羽の鶴が現れるまでの時間、二人は何を語り合うでもなく寄り添っていた。
この悪夢の中で見た光景も、この男の声も
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