消えた幼馴染:9
巫女が
「……マズイな」
深夜、少年の睡眠を見守る慶郎が
一応は“
魍魎にとっても敵勢力の援軍は願い下げである。なら、早急に村田達也を悪夢に
「しまったッ」
慶郎が急ぎ
次の瞬間には、彼はもう悪夢の中である。
× ×
村田達也はすぐに目を覚ました。――と言っても、すでにそこは異次元である絶望の世界、悪夢の中だ。
「ここは――」
少年はすぐに立ち上がり、状況を理解した。
しかし少年は思い出せない。前回、自分が襲われたこと、巫女に助けられたこと、言葉を発する鶴と会ったこと。どれも村田達也の記憶には残っていなかった。
それでも、悪夢へ捕り込まれた人間は、不思議と体が覚えている事が多かった。誰に確認するでもなく、ここは危険な場所だったという認識がすぐに
ここは前回の悪夢とは違い、
自分が身を隠すには
こんな最悪のコンディションで、少年はついに魍魎と視線を
折れた支柱の上に直立したソレを見て、少年は死を覚悟しつつも
ここ数日の
何しろ走り回った日々を続けていたのだ。恐怖に身を
逃げて行く
その一度の
やはり今回も、幼い少年が逃げ切れる筈もなかった。
そして今回は、危機を救ってくれる巫女も居なかった――。
「
悪夢への侵入を成功した慶郎が、少年の腕を引っ張り上げる。危機一髪、魍魎の
「もう大丈夫だ。村田君はこのまま逃げなさい、おじさんがこのオバケを
背広姿の男の登場に驚く少年だったが、素直に言う事を聞く以外に
村田達也が離れて行くのを音で確認しつつ、慶郎は魍魎と正面から
「キサマのような
そう言いつつも慶郎との距離を一定に
慶郎が悪夢祓いだと判っている魍魎は、まずその戦法がどのようなものなのか
人としては高身長な慶郎であっても、魍魎と並べば貧弱な程に体格差がある。大きさも重さも腕力も、勝る分野はひとつも無い。
ただし、悪夢祓いという“
慶郎の手には、一本の短刀と、時代がかった古い拳銃一丁。
魍魎はその武器を
その結果――
「フフン、弱い」
狩りを始める
魍魎には、悪夢祓いの武装が
こうなる前提で悪夢へと侵入した慶郎であったが、襲撃を
次々と襲いかかる魍魎の激しい襲撃に、慶郎は何度も地面を
手軽な筈の短刀も、
しかし彼には、鶴に
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