消えた幼馴染:8
ここ最近の村田達也は、ようやく落ち着いたと言っていいだろう。幼馴染の笹倉綾子は依然、何の
元気を取り戻した訳では決してないが、それでも彼の心の中で、ひとつ整理ができつつあるのかも知れない。
入学祝いに
「今のところ異常なし、か」
人間の目に映らない
そんな日々が数日続いた――。
ある夜、村田達也は両親と共に、近所のレストランに
時折みせる笑顔を絶やさぬよう、両親はできる限り幼馴染の話を避け、今ある健康と幸せを、とても大切に過ごしていた。
その
「
静かに語る巫女の声は当然、周囲の人間たちには聞こえていない。霊体での会話は、“
「そうですか。でもこっちには来てないですね、ここ数日は全く彼から離れてませんし、間違いありません」
慶郎の健闘振りを認め、巫女は冷静に語る。
「ええ、そうね。おそらく、あなたの存在のお
「お役に立てたようでなにより」
初対面であれだけ
「村田達也の様子はどう見える?」
他の任務に忙しかった巫女は、少年の近況を知らない。
「最初に見た時はかなり弱った様子でしたが、日に日に明るさを取り戻しつつありますね。ご両親もそんな彼を見て
「精神に乱れは?」
「ありますね。人前では平常心を
「そう」
巫女が評価する村田達也の危険性は、やはり高いままだ。魍魎は、人間の心の
「気を抜けないわね」
巫女は慶郎にこの場を任せ。霊体のまま
× ×
少年一家が暖かな
「巫女は、
しかしそんな魔物でも、
「…………」
人間の目では
されど
少年を狙う魔の手は、
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