消えた幼馴染:5
一人の少年が町中を走り回っていても、
悪夢に
巫女からの「探しモノはもう見付からない」という
何か変化があったとするなら、行方不明者の情報提供を求むチラシを制作してくれた父親の協力と、幼馴染の両親も共に町中を探し回ってくれている事だ。
次第に、協力者は増えた。少年の担任教師と、クラスメイト数名だ。毎晩のように走り回っている少年を見るに見かねた
これらの人々が温かみある行動をとってくれたのは、少年の努力の
しかし当然ながら、巫女が告げたように、幼馴染が見付かる事はなく、足取りの
× ×
あれからも懲りる事を知らない少年が町中を走り回っていると、その姿を見下ろす冷たい視線があった。
「
一二階建て複合商業ビルの屋上から、黒髪を風に
その彼女の隣で、一羽の
「あれを呪いと表現するのなら、人の世は
魔物から少年を救出するよう
「ワタシが教えてあげたのは、彼の為というより、彼女の為よ」
鶴がそう
「フン、それのどこが彼女の為になるのよ。
そう
「あの
「悪夢の中の記憶は消えても、想いは残るのよ。そのせいで、警察の捜査が打ち切られた今となっても、彼は
少年が鳥居を潜る直前に鶴が伝えた言葉、「彼女は最期に、キミの名前を呼んでいたよ」――これが悪夢の中で死んだ笹倉綾子の為になったのだと、鶴は
対して、その言葉を聞かせたせいで、村田達也は今まで以上に笹倉綾子に
悪夢の記憶は消えても、少女の最期を知った少年の
これが少年にとって良いのか悪いのかは、本当の意味では誰にも解らない。
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