消えた幼馴染:2
入学して早々、少年の
「村田、おい村田」
机に
新入生を抱える一学年の教師たちは例年どおりの
序盤こそは問題児とされる悪童たちの対処法が持ち上がるが、続いて話題にあがったのは、ここ数日あきらかに元気を失った少年の話である。
「四組の村田君なのですが、どうやら二学年の
「それは……
教師たちが一斉に表情を暗くする。この状況で深夜の外出を問題視する場違いな教師はおらず、誰もが少年の気持ちを同情した。
「それにしても笹倉さんの情報は何も無いんですか? 警察はさらに捜索隊を増やした筈ですが――」
学年主任がそう
どうすることも出来ない歯がゆい現状に、少年を
少年への今後の接し方などをまとめ、教師たちはできる限りの最善を尽くそうと、いつも以上に会議が長引いた。
× ×
ある日、少年は給食の時間になっても席に戻らず、取り壊しが決まっている誰も居ない旧校舎の階段に座り込んでいた。その落ち込む様は見るからに
「
もうずっと会えていない幼馴染の姿を求め、走り回った体はすでにボロボロだ。どんなに
その手には、プレゼントに
今夜は学校裏にある廃工場を調べてみようと決意し、残りの授業を消化する為に立ち上がった時だった。とてつもない空気の変化を感じ、身が固まる。
座り込んでいた階段から立ち上がる、たったこれだけの一瞬だというのに、辺り一帯の
「……ん?」
状況を理解しようと
どう考えてもここは普通ではない。どういう
「どこだっ……どこだっ……」
方角すら判らない地獄の荒野を走り、我を忘れて出口を求める。どうやってここへ
振り返って確認したいが、怖くてできない。だが確かに、後ろに何かが居る。
少年はひたすらに走り続けた。うまく呼吸ができない、さらにうまく走れもしない。まるで夢の中にいるような――。そこでようやく、この状況がなんなのか
目玉をギョロギョロと動かし、
怪獣という表現より、
ただでさえこの地獄の奈落という絶望的な恐怖に包まれているというのに、アレが涎を垂らし標的としているのが自分なのだとすぐに判り、少年は声にならない絶叫をあげて、壊れた操り人形のような無様な姿で逃げるしかなかった。
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