第11話 謝礼
「凄いな……アイツを一撃で……助かったよ、礼を言う」
「いえいえ、どういたしましてっす」
「もし来てくれなかったらどうなっていたか、ゾッとするよ。しかし、どうしてこんなところに一人で?」
「いや、一人じゃないっす。連れがいるんで。あっ、先輩終わりましたよ。おーい」
「おう朝倉、終わったか。間に合ったみたいで良かったわ」
「はいっす、困ってたみたいなんでバッチリ恩を売っておきましたよ!」
「お前そこは普通に助けましたって言う所だろ!」
「あっ先輩、水やりはどうしたんすか」
「誰がやるかバカ。皆さんすいませんね、うちのが迷惑かけてないといいんですが」
「いや、迷惑どころか、命を助けられたよ。ありがとう。礼は出来る限りするよ」
「そっすかー、じゃあ近くの街まで案内して欲しいっす!」
「お安い御用だが……そんな事でいいのか?」
「いやー、実は我々、迷子になってしまったんすよ。だからそれが一番助かるっす!」
「そうか、それなら案内させてもらうよ。それと、ゴブリンたちの魔石なんかは全部持って行ってもらって構わない」
「へー、それって売れるんすか?迷子の間にお財布も無くしちゃったんで、我々一文無しなんすよ」
「ああ、売れるよ。貰ってくれ。とくにごブリンジェネラルのものなんかは高く売れると思う。これだけ大きい個体からとれる魔石は珍しいからな」
「助かるっす!」
「いや、こちらこそ助けてくれて本当にありがとう。俺はウィル。あそこでくたばってるのがアレックスで、治療してるのがエリー、その横がイザベラだ」
「よろしくっす。アタシは朝倉桜って言います。こっちは先輩の田中拓斗さんっす!」
「へぇ、変わった名前だな」
「サクラとタクって気軽に呼んでくださいね、ウィルさん」
「サクラ、タク、よろしくな」
「はいっす」
「いえ、こちらこそよろしくです」
「あ、ウィルさん、ところで、魔石ってどうやって取るんすか?」
「あれだけ凄い実力なのに知らないのか?変わってるな……大体は心臓部にある。今回は俺たちがやっておこう」
「いやー、まだまだ知らない事ばかりなんで助かるっす!ね、先輩!」
「ウィルさん、俺たち、ちょっと遠い所から来たんで、この辺りの常識とかに疎いんですよ。道すがら色々教えてください」
「これはこの辺と言うよりは……まあいいか、なんせ君らは命の恩人だからな。何でも聞いてくれ」
「ウィルさーん、アレックスさんの治療終わりました!」
「おう、やっとくたばってた奴が起きてきたか」
「おーい、お嬢ちゃん、助かったぜ。ありがとよ。俺も腕に自信はある方だが、あのデカブツにぶっ飛ばされて大変だったぜ。」
「お兄さんも無事でなによりっす!」
「俺は頑丈さだけが取り柄みたいなもんだからな、おかげでウィル達にはいつも怒られてるよ」
「仲いいんすねー」
「街に戻ってからも、なんかあったら俺たちに声かけてくれよ、困ったことがあったら助けになるから」
「はいっす!いやー、みんな良い人っすね。困った事かぁ、なんかありますか先輩」
「おい朝倉、俺ら無職で迷子の一文無しだぞ。困りまくってるよ」
「あー、そうでしたそうでした。アレックスさん、なんか割りの良い仕事があったら紹介して欲しいっす!」
「仕事……?お嬢ちゃんたちも冒険者じゃないのか?」
「いえ、ただの迷子っす!」
「モンスター倒して魔石や素材を冒険者ギルドに売ったり……」
「迷子っす!!」
「タク……?」
「すいませんアホの子で……アレックスさん、あの、街に行ったら冒険者ギルドとか、案内してもらってもいいですかね……」
「お前たちは命の恩人だ。お安い御用だよ。ウィルが魔石も集め終わったみたいだし、街へ案内するとしよう」
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