第10話 助勢

突然現れたこいつは誰なんだ?いや、そんな事より、手助けと言ったのか?もしかして、加勢してくれるつもりなのか?どのくらいゴブリンを相手にできるか知らないが、とにかくありがたい!


「礼はする!加勢してくれるなら、とにかく頼む!ゴブリンジェネラルがいる!とにかく数を減らしたい!」


「とにかくこの緑の人たちを排除すればいいんすね!了解っす」


そう言うと、彼女は戦闘を始めた。ゴブリン達が恐ろしい速さで破壊されている。接近していたゴブリンが排除されて余裕ができた。エリーたちの魔法が間に合う!


「炎よ、わが敵を焼き尽くさん!」


ゴブリンたちが集まっていた場所にエリーの魔法が直撃する。奴ら、混乱して統率が乱れている。


「ウィルさん、今のうちに足を治療します!」


「助かる。すぐに戦線に復帰する。助っ人だけに無理をさせられん」


「ウィル、あの子、何者なんだい?!あれだけいたゴブリンが物凄い勢いで片付いてるよ!」


「知らん!さっさと終わらせて急いでアレックスを手伝うぞ!」


その時だった。アレックスがゴブリンジェネラルの一撃を受け、こちらへ吹き飛ばされてきた。


「ゴボッ……へへ……すまん、ウィル、しくじった」


「馬鹿野郎!無茶するなってあれほど……!」


「ウィル、俺を置いてけ。足手まといがいたら逃げれるもんも逃げれないだろ」


「アレックス、助っ人が来て雑魚どもを蹴散らしてくれたんだ。さっさと立て、ずらかるぞ!」


その間にも、アレックスと戦っていたゴブリンジェネラルがこちらへ近づいてきていた。不意に、助っ人の少女の声がした。


「お~、なんかこの緑の人、大きいっすね~。念のための確認なんですけど、あれって友好種族だったりしないっすよね?」


冗談キツイぜ。


「違う!もちろん敵だ!何してる?!無茶するな、さっさと逃げるぞ!」


「いやー、たぶん大丈夫だと思うんすよね。あ、ちょっとこの剣借りますね」


そう言うと、彼女はアレックスが吹っ飛ばされた際に落とした剣を拾い上げ、何気なく構えた。それはあまりにも自然体で、戦うつもりがないと感じさせるほど落ち着いた所作だった。俺たちは彼女を止めることも忘れていた。ゴブリンジェネラルが雄叫びを上げ、武器を振り上げた。彼女は避けるそぶりすら見せなかった。まずい。一瞬遅れて、俺は動き出す。あんな一撃を受けたら、無事では済まない。だが、敵の攻撃が彼女を捉える事は無かった。ゴブリンジェネラルが首を傾げたかと思うと、その巨体から、首が落ちた。そして、ぐらり、と地面へ倒れこんだ。俺はゴブリンジェネラルの首から血が流れ、地面へと吸い込まれていくのを呆然と見ていた。まさか、彼女が切ったのか?まったく動きが見えなかった。身動きすらしていなかったように見えたんだが?


「んふふ、またつまらぬものを斬ってしまったっすね」


そう言うと。彼女はこちらを振り向いた。

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