侑花とリシア12
ゴホゴホと、可愛らしい咳が部屋に響く。
侑花は、あろう事に風邪をひいて寝込んでいた。
いつも元気いっぱい食欲旺盛な侑花も、風邪には勝てないようだ。
侑花、大丈夫?
「……ああ、うん何とか」
心配そうに言葉をかけるリシアへ返す言葉に、いつもの覇気がない。
相当キツいようだ。
「くそぅ、不覚だわ……風邪如きで身動きが取れなくなるなんて……」
安静が一番だよ。風邪はしっかり寝て、栄養を取る。今日は朝から何も食べてないでしょ?
「食欲が……ああ、もどかしい。いつもの自分じゃないみたい……」
ベッドの横にあるサイドテーブルには、パン粥が置いてあった。
母の愛を感じるものの、残念なことに、すっかり冷めていた。
「パン粥って普通に食べても美味しいのに……今は何も食べたくない……」
よぉし。じゃ、このリシアさんが、風邪の特効薬を作ってあげるのだよ。
「特効薬?」
そう。魔女に伝わる、効果抜群の薬だよ。
「……でも、それ作るのに、体貸さないといけないよね?」
ええと……そだね。
「動けないと思うよ?」
うーん……。
結局、魔女の特効薬は幻に終わったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます