貧乏神チャン転じて福の神チャンと成すの回

 ありがたいことに、以下の作品から私のことを知ってくださった読者の方がとても多い。

(先立って執筆した「私が生きてるだけで偉い理由」は、読者が自作小説の登場人物の境遇に著者の実情を重ねて不本意なミスリードを起こしかねないため、現在は非公開である)


【自作「私が生きてるだけで偉い理由」で私が賞金欲しくない理由】

https://kakuyomu.jp/works/16816927860199782316


 こちらにはどう考えても貧乏神に憑りつかれてるとしか思えない、私の哀しい宿命について具体的に記してある。

 端的に書くと、天から舞い降りし幸運をよいしょ! と掴み取ったと思いきや、それが却って災いの種になり、幸運を掴む前よりも貧乏になる……という話だ。まるで理不尽な童話のようだが本当によくある。こち亀のオチが大体「両津はどこ行った!」とキレ散らかした部長のコマで終わるのと同じくらいの様式美と言えよう。


 しかし私の人生とこち亀はなんか似たようなもので、稀に「勘吉くん、ありがとう……」って感じのじんわりしたオチで終わることもある。


 例えば、良くない状態が滞ってどうしようもないとき。現状に改善の兆しがなく、また自力で変化させる手段もないとき。そういうときに、貧乏神チャンはちょっと不幸を呼び込んでくれる。

正直「そこまでデカくなくていいよ!」というほどデカい不幸を呼び寄せて困っちゃうこともあるが、まあ結果的には災い転じて福と成してきた。こち亀の感動回にオチがつかないときくらいのレアケースだけどね!


 あくまで例え話だが、私が無人島に漂流して二十日目にありそうなこと。

 海辺で途方に暮れていたら、意地悪なイルカに沖へ引きずり込まれ、ブンブン投げ回されてスプラッター状態になっているところを、たまたまホエールウォッチング中の観光客に発見・保護されて結果オーライ……的に奇跡的なことが、人生でたまにある。ギリギリ生還はするけど、たぶん骨とかバキバキだ。この一連の出来事が不幸なのか幸運なのか、ちょっと微妙。人による。


 しかし私はわりとポジティブなので、幸運と不幸のSMの狭間にあって今日まで愉快に貧しく生きてきたわけだ。

 私は貧乏神らしき存在のことを「貧乏神チャン」なんて可愛く呼んでいるが、実際こいつのことは憎からず思っている。初物の野菜などを手に入れたときなどはお供えもしていて「私のこと幸せにしてくれるなら貧乏神チャンも食べてね!」と念じ、ジワジワ福の神チャンにジョブチェンジを図っている最中だ。


 そう、近頃の私は悪い意味で停滞している。少なからず、不幸襲来の予感があった。それが大きいか小さいかまではわからなかったが、近々何かが起きるだろうと経験から確信していたわけだ。


 現状、体調が非常に悪い。特にフィジカル面が芳しくない。クーラーを付けた部屋に布団を敷き横になっているだけで、大きなため息や呻き声が漏れるほど苦しくなってしまう。おそらく寝ている時間が長く筋力が落ちたせいで、呼吸をするのにも無駄にエネルギーを使うのだと思う。

 起き上がりもしないのにやたらと腹が減るのは、内臓を動かすだけで相当なカロリーを消費しているのかもしれない。相変わらず体重は増えないが、食べる量が増えたので絶賛肌荒れ中である。いま顔にでっかいニキビの三角形があって夏の夜空みたいだけど、もちろん素敵でもロマンティックでもないぜ。


 そんなわけでほぼ一日中寝ているわけだが、寝具はニトリで一番安い折りたたみ式マットレス、その上に3cmのトッパーを重ねているだけだ。最初はそれらで充分だったのだが、どうもマットレスがもう寿命らしい。

 薄っすい。もうフニャフニャである。冬だったらたぶん腰と背中がぶっ壊れてる。

 しかし私は健康な人より三倍は寝ているので、寝具もニトリ商品開発部の想定より三倍速くダメになるのだろう。たまたま私が赤い彗星だっただけで、ニトリさんに非はない。


 夏場は汗をかき、マットレスにはすぐカビが生えてしまうので早く捨てたい。が、体力的になかなかそうもいかないので、今のところはカビ取りスプレーを駆使して凌いでいる。

(フォロワーさんから教えてもらった商品なのだが、これがなければとっくにカビまみれになって別の病気になっていた。カビホワイトすごい!)


 しかしそのうち床や掛け布団、枕などにも被害が及びそうで、カビ問題には本当に辟易してしまう。

 我が家は十五平米? とかいう狭小ワンルームのため、布団のすぐ傍に冷蔵庫がある。一方、冷蔵庫の反対側はベランダに直結する窓があり、寝転がると黒っぽく錆びたサッシがカーテンの裾から覗いて見える。冷蔵庫と床の隙間については説明するに及ばないだろう。どちらも顔の近くにあるのは気持ちが悪い。


 前述したマットレスの劣化も手伝って、この家で床にべたりと布団を敷いて寝ることは、私にとってかなりストレスフルなのだ。


 そう、近頃の私の念願はベッドで寝ること。

 少し前の灼熱地獄回でも書いたが、このワンルームにベッドを置くことは現実的ではないため、買うなら引っ越さなければならない。


 でも生活保護のあれとかそれとかがあるし、本当にお金ないし、シンプルに引っ越し作業は大変だし、引っ越したくても引っ越せない理由が出てくる出てくる。


 しかしそこは私の貧乏神チャン。

 今回もちょっとした不幸で不動の現状に風穴を開けてくれたのである。


 なんと!

 家賃に付随する管理費がめっちゃ上がりましたーー!!


 非常に地味な不幸なので今後おかわりが来るんじゃないかとの不安はあるが、なにしろ五千円以上変わった。これほどの値上がりならば、生活保護課のケースワーカーさんに今より高値の物件へ移ることを遠慮しなくて済む。

 ※ 生活保護利用者が引っ越しをする際の規則等についてはまだ問い合わせていないが、引っ越し自体は禁じられていない。


 とはいえ、金銭的、フィジカル的に転居が難しいことに変わりない。

 苦しい苦しいとうなされながら、賃料だけが爆上がりした灼熱のボロアパートで寝て過ごす貧乏デイズは、まだ当分続く見込みである。よかったら助けてください。






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