7.支援役ロベル 大量の支援スキルを爆速で取得する

「さて、まずはどう出るべきか」



サミーと別れた俺は、ひとりで『大聖堂』の前まで来ていた。サミーには、すべてが終わったら迎えに行くと話してある。



「さすがに大きな建物だな。見張りもいるぞ」



聖堂の入口には、うつろな目をした男が何人もいる。



「あの目、サミーを襲った男たちと同じだな。洗脳した信者を、見張りに立ててるってわけか」



俺は頭の中でプランを立てる。



「目的は3つだ。サミーのチカラを奪い返す。魔族を撃退する。洗脳された人々を助ける。どれかひとつでもミスったら、それでアウトだ」



よし、ここは慎重にいこう。



「時間はかけたくないけど、作戦なしで飛び込むのはリスクがありすぎるしな」



いくらレベル144とはいえ。今回は、力押しだけでは無理だろう。



「となると……そうだ!」



俺は、プラチナメタルゴブリンを倒したときのシステムメッセージを思い出した。




『100,000,000の経験値を手に入れました』



『100,000,000のスキルポイントを手に入れました』



『レベルアップ! ロベル・モリスのレベルが144になりました』





『100,000,000のスキルポイントを手に入れました』





「そうだよ! スキルだ! スキルポイントも大量にゲットしてたんだった! レベルアップのインパクトが強すぎて、完全に忘れてたぞ」



いけないいけない。これはうっかりしてたもんだ。



「よし! 乗り込む前に、役立ちそうな支援スキルを取得しておこう!」



俺はステータス画面から、スキル取得メニューを開く。



メニュー画面でポイントと引き換えに、いろんな技能や魔法を取得できるわけだ。何をどこまで取得できるかは、職業やレベルに加え、個人の資質も影響するらしいけど。




『取得済支援スキル数:42』



『未取得支援スキル数:958』



『現在のスキルポイント:100,025,000』




俺は『支援役』にこだわってるせいか、支援スキル完全特化タイプだ。補助のスペシャリストになれると取るか、補助しか使えないハズレと取るかは、人それぞれだろう。もちろん、俺の考えは前者の方だ。



「さて、どのスキルを選ぼうか……って」




『アンロック・スーパー(どんなカギの扉も開ける):必要ポイント1,000,000』



『クリアー・ボディ(体を透明にする):必要ポイント1,000,000』




「すごいな……! これまで手が届かなかった上級スキルも、今ならたくさん選べるぞ! 必要ポイントも楽勝で足りてるし!」



俺はスキル一覧を眺めながら、使えそうなスキルに目星をつけていく。




『ゴッド・スピード(スピード・アップをはるかに上回る、超速度上昇を実現):必要ポイント1,000,000』



『スリープ・ゾーン(眠りの霧で包む・対象範囲はレベル依存):必要ポイント900,000』



『ブレイン・クリアー(洗脳解除・対象範囲はレベル依存):必要ポイント500,000』



『ミュート・ステップ(足音を消す):必要ポイント700,000』




「ふむふむ。このあたりのスキルは、潜入に使えそうだな」



しかし、潜入に成功しても。魔族幹部を倒して、サミーのチカラを奪い返せなければ意味がない。



さて戦闘や、サミーの魔力回収で使えそうなスキルとなると。




『キャッチ・サークル(対象を光の輪でからめ取る)必要ポイント:700,000』



『クリティカル(会心率上昇)必要ポイント:200,000』



『ヒット・ザ・ターゲット(命中率を大幅上昇)必要ポイント:300,000』



『マジック・コーティング(魔力を結晶化する)必要ポイント:500,000』



『マジック・スティール(対象の魔力を吸い尽くす)必要ポイント:1,000,000』



『マジック・バリア(魔法防御力上昇・全属性対象)必要ポイント:400,000』




「まいったな、選択肢が多すぎる」



未取得の支援スキルは、全部で958コもあるのだ。



「うーん。どれもこれも、役に立ちそうな気がしてくるぞ」



ヘタにスキルポイントがある分、かえって迷ってしまう。ここは慎重にいきたいけど、のんびり選んでるヒマもない。



サミーの結界が破られるまで、もう時間がないんだ。



「ええい! こうなったら使えそうなのを片っ端から取得して……って」



待てよ? 片っ端から?



俺はふと思い立ち、全スキル取得に必要なポイント数を計算してみた。



「……50,000,000みたいだな。ということは」




『現在のスキルポイントは、100,025,000ポイントです』




「全部取れちゃうじゃん。しかも半分以上あまるし」



……マジか。



「えーーーっと。それじゃあ『一括取得』で」




コマンドを選択した瞬間。




『支援スキル:アーク・ライト(全ステータス極大上昇)を取得しました!』



『支援スキル:アース・アタッチ(大地属性追加)を取得しました!』



『支援スキル:アーム・ストロング(腕力上昇)を取得しました!』



『支援スキル:アーリー・アダプタ(先制)を取得しました!』



『支援スキル:アイアン・ボディ(肉体鋼鉄化)を取得しました!』



『支援スキル:アイス・アタッチ(氷属性追加)を取得しました!』




システムメッセージが、頭の中にものすごい勢いで流れ込んでくる。



同時に、今までグレイアウトされていたスキル名が、次々と選択可能になっていく。




『支援スキル:ガード・ブレイク(攻撃命中時に物理防御ゼロ追加)を取得しました!』



『支援スキル:カイザー・ボイス(カリスマ極大上昇)を取得しました!』



『支援スキル:カッティング・エッジ(刃の切れ味急上昇)を取得しました!』




「いつ終わるんだろうコレ」




『支援スキル:サウザンド・アーム(無数の腕で対象を拘束)を取得しました!』



『支援スキル:サヴァイブ(1度だけ戦闘不能時に全回複)を取得しました!』



『支援スキル:サステナブル(武器の耐久力アップ)を取得しました!』



『支援スキル:サンダー・アタッチ(雷属性追加)を取得しました!』




「……………」



たっぷり10分はかかっただろうか。




『支援スキル:ワンスモア(再行動)を取得しました!』



『支援スキル:ワンダー・イデア(思考力急上昇)を取得しました!』



『支援スキル:ワンブレス・アウェイ(攻撃回数増加)を取得しました!』




「……これで終わりか? 思った以上に時間を取られてしまった――」




『おめでとうございます! あなたは全支援スキルを取得しました!』




「……システムメッセージに祝福されてしまったぞ」



確認のため、あらためてメニュー画面を表示してみる。




『取得済支援スキル数:1,000』



『未取得支援スキル数:0』



『現在のスキルポイント:50,025,000』




「まちがいない。支援スキル1,000種類。全部使えるようになってる」



……マジで?



「もしかして俺……また、なんかすごいこと、やっちゃったかな……?」



って、ボケっとしてる場合じゃないな。



「それぞれの使い方は、少しずつ覚えていけばいい。今は、事態の解決に全力を注ごう!」



俺は『大聖堂』に向かい、覚えたての支援スキルを放つ。



「洗脳解除スキル『ブレイン・クリアー』発動! 対象範囲は『大聖堂』全体だ!」



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