第3話 似顔絵捜査官高瀬の事件簿 2


TVから流れる音声に高瀬は反応した。


立ち上がり目を見開くと、TV画面に張り付くようにニュース番組をじっと見つめた。



「こいつは…さっきの男!そんな」



TVに映った似顔絵は、まさに高瀬が先程対面したソイツだった。



「クソ、やられた!はめられた!最初から俺たちをおちょくるつもりで署に来やがったんだ…」



高瀬が憤慨している最中、署の刑事達が続々と立ち上げられた捜査本部へと呼び出されていった。勿論、高瀬もその一人だ。



「どうした高瀬。鬼みたいな顔面になってるぞ?」



ついさっき、容疑者のソイツを繋げた上司の勝浦が高瀬に話しかけた。



「そりゃそうなりますよ、俺がさっき立会った似顔絵の男が、容疑者だったんですから」


「さっきの男…?何言ってるんだ?」


「はい?いや、いたじゃないですか。強烈な顔面の男!」


「はぁ?俺が繋いだのは男性て言ったって、大学生だったろ?

それにお前、せっかく繋いだのに、急に黙り込んで一人で何も言わずに指導室へ行っちまったじゃねぇか…」


『おい!早くしろ!!』


「はい!なぁ、お前疲れてんじゃないのか?とりあえず捜査本部行くぞー」


「……なに、いってるんだ?俺に繋げたのはあんただったろう…」



二人は捜査本部へ向かった。





◇ ◇ ◇





若い婦警達は、捜査本部立ち上げを聞いて、嫌な顔を浮かべながら昼休憩中に談笑していた。



「捜査本部立ち上げたってね、また私達に雑用回ってくるんじゃない?」


「ほんとよー、毎回疲れるよねー」


「あ、ニュース!なんか報道されてるよ?」





『……大変失礼致しました!

先程の報道に誤りがありました。

警察より訂正が入りましたので、再度お伝え致します。


正しい容疑者の特徴は以下の通りです………。


………大変失礼致しました。



また、紹介された先程の男性は、被害者の松下様でした。

重ねてお詫び致します。

大変失礼致しました。

容疑者の新情報が入り次第お伝え致します。

またご冥福をお祈りします。


続いてのニュースです。日経平均が……』







「うわっTVの間違い放送とかやばくない?」


「最悪。こういうの署うちに電話かかってくるんだよね、苦情の。お前達はなにしてるんだって」


「本当だよねー。てかなくなった松下って人、すごい特徴ある顔だったね」


「え、そうだったの?さっき一瞬しかTV見てなかったからさ。でも死んでから犯人として報道されるなんて可哀想」


「本当だね、成仏できてなさそう。犯人探して彷徨ってたりして…」


「やめてよ!怖いじゃんよ…」

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1000文字で綴った物語 たばなかずま @tomosuki0506

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