第6話:各種契約における柔軟性の確保 ①

 現在の労働基準法では正規雇用従事者と非正規雇用従事者では契約における遵守事項が異なるため、正社員は全て保証されているが、なかなか全てを守り切ることは難しいため、規則や契約を遵守しつつ社員が働きやすい環境を作らなくてはいけない。特に36・72協定に関しては厳守しなくてはいけない部分があるが、場合によっては超過してしまう事もあり、労働充当率の低い企業はなかなか厳守することは難しい。そのうえ、これらの協定を結んでも時間数が足りないなどワークバランスの崩壊へとつながっていく現状も確認されており、そのような企業に従事する社員に関しては労働対価の見直しは一層必要であり、協定超過分の所得税等の非課税、超過勤務時間の有給日数への充当など柔軟に契約を変更できるようにするだけでなく、申し出や申請を受けた際には基本的に承認し、本人の行動の自由は確保出来るように配慮しなくてはいけない。


 一方で非正規雇用従事者は“固定契約”というよりも“自由契約”のようなもので、必要なときには仕事はたくさんあるが、必要がなくなると出勤数が減少するもしくは解雇などにより失職してしまう。そうなると、そのような職に就いている人の心中はどこか歯車の合わない状態に陥り、常に不安と闘わなくてはいけなくなってしまう。そして、正社員のように細かい契約内容などは存在せず、あくまで“予定契約”として契約を結ぶ場合も多く、有期雇用や無期雇用(条件付き)など正社員に比べると多岐にわたる区分があるため、企業側としては人件費を削減する意味では正規雇用社員よりも非正規雇用社員を多用する傾向にある。


 今後、同一労働同一賃金などフラットな給与形態などの格差を是正する方向性を打ち出し、平等性の確保を定常化していくことになるが、これらを行うには労働基準法などの関連する法律および条項を変更・改定する必要性や現在も非正規雇用に関しては通常雇用や無期雇用のように就業期間の上限を有さない雇用形態と一時雇用および有期雇用のような就業期間の上限があらかじめ設定されており、就業期間の終了前後に延長もしくは契約終了が言い渡される雇用形態が存在している。しかし、現在は正社員のみが社会保険や雇用保険などの各種保険に加入し、万が一の際にはきちんとした保証を受けることが可能となる。しかし、非正規雇用においては基本的には個人の加入している保険を転用することで会社側の責任を一切負わないという契約になっている場合が多く、そうなると該当する従事者には労災などの重大事故が起きたとしても雇用主では責任を負わなくて良いことになる。もちろん、そういう契約で入社させたとはいえ、同一労働内で発生した事象の対応格差を露呈させてまで労働者の選別をしているような状況では労働従事者の一定数の確保は困難を極めるように感じる。

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