第4話~えっ、マジですか?パート3~
「僕達が、これから話す事を信じるか信じないかは、信長さんにお任せします。」
「信長さん、私達はこの時代の人間ではありません。」
「まぁ、主等の着物を見ればなんとなくそうであろうとは、思っておった。」
真弥と麗奈が意を決して、話をすれば信長は、「(なんとなく予想していたことが当たった。)」と笑みを浮かべた。
「それどころか、僕達が知っている歴史とも違います。」
「私達が知っている歴史では、『織田 信長』は男性として認識されているのです。」
「麗奈殿、何を言っておられるか!?殿は、立派な男ですぞ!!」
麗奈が、信長を女性と言ったことに対して、城之内は反論してきた。
しかし、真弥と麗奈にはどう見ても信長が女性にしか見えない。
「えっ?城之内さんには、信長さんが男性に見えるんですか!?」
「むっ、桐妙院殿も殿が
「いやいや、どこをどう見れば信長さんが男性に見えるんですか!?」
「もうよい!!二人がどう見ようとも、ワシはワシである。」
真弥と城之内のやりとりを聞き、信長は、『どうでもいい』とばかりに話を終わらせた。
それよりも、
「ワシの話より、真弥達の事が知りたい。」
ごもっともな話である。
麗奈は、『この時代の人間ではない』と言い切ったからには、知りたいと思うのは人の性である。
「真弥、先ほど言っていたことだが、『えーけー47』とは、何だ?」
「AK-47は、アサルトライフル…えぇと突撃銃の部類になります。少々乱暴に扱っても確実に動作するため、僕達の世界では非常に信頼度の高い銃の一つで、5~7,000,000丁ほどが世界中で流通しているそうです。」
AK-47の説明をする真弥の横顔を眺めながら、麗奈は、『真弥の悪い癖が始まった。』と少し不安げな顔をして、信長は眼を輝かせて話を聞いている。
「で、では、『あーるぴーじー7』とは、どういうものなのだ?」
「『RPG-7』とは、先ほど信長さんが兵士の方達に持って来させた『大手筒』がそれに当たります。この武器に関しては、僕達の世界にある『戦車』と言う搭乗兵器に対抗するために開発された、兵器です。」
「ふむふむ、『がどりんぐ砲』とは?」
「『ガドリング砲』は、多銃身式の外部動力を用いて、給弾、装填、発射、排挾のサイクルを行う機関銃の事をさします。最後に持って来られた『回転機銃』の事です。」
「なるほど!!真弥の話は、聞いていて為になることばかりであるのぉ。」
信長の質問に真弥が答えると、信長は子供のように眼を輝かせて満足そうな顔をしている。
「そうだ、真弥、お主に見せたいものがある。ついてまいれ。」
そう言って、信長は真弥の腕を掴み走り出した。
真弥は、転げそうになりながら信長について行く。
城之内と麗奈もあとに続いて行った先には、少し広めの倉庫のような建物だった。
「殿!!そこに部外者を入れてはなりませんぞ!!」
城之内が、信長を嗜める。
「喜三郎。真弥の知識があれば、アレが何なのかが分かるであろう!!」
「うっ、た、確かにそうかもしれませぬ。しかし、やはり部外者である以上はー」
「やかましい!!ワシが決めたのだから、喜三郎は口を挟むな!!」
城之内を一喝し、信長は真弥と倉庫に入る。城之内も麗奈とともに倉庫に入る。
倉庫内の一角に布を被せた物体があった。
「真弥!!お主にこれが何か分かるか!!」
そう言って、信長は布を剥ぎ取る。
それは、前後に車輪があり車輪の間には少しいびつな形をした、鉄の箱があった。
それは、真弥達が良く知る『バイク』が鎮座していた。
「えっ、マジですか!?これってバイクじゃないですか!?」
「ほほぅ、やはり真弥は知っていたか。なるほど、これは『ばいく』と言うものであるか。して、これはどういう代物であるか?」
真弥は眼を丸くしてバイクを見つめ、信長は真弥にバイクの使い方を問うた。
「詳しいことは分かりませんが、ガソリンと言う油に点火して爆発の勢いを利用して動力を得て動く乗り物です。」
「爆発!?それでは、この『ばいく』が壊れるのではないか?」
「いえ、この鉄の箱の中にある『シリンダー』と言うものの中でおこる小規模の爆発ですから、大丈夫ですよ。」
「そうか、なら壊れる心配はないのだな?」
「はい。ですが…この時代にガソリンはないはずですから、多分動かないと思います。」
「むっ、ならば『精霊石』を使えば動くやもしれぬ。実は、動力部分がはじめから無くてな、『源内』に作らせたのだ。」
ん?精霊石って何?それに源内?まさか…真弥は嫌な予感がした。
真弥達の後ろから足音が聞こえて来れば、信長がその人物を真弥達に紹介した。
「真弥、こやつじゃ。」
「お初にお目にかかります。私が『
真弥と麗奈は、固まった。
源内と言えば、江戸時代の人物のはずである。
そんな人物が、なぜこの戦国時代に居るのか?
まぁ、信長が女性と言う時点で、すでに歴史が変わっていることなので今さらではある。
「真弥殿と申されましたか?私には、この『ばいく』なるものが扱えないので、貴方にお願いしてもよろしいでしょうか?」
「えっ、あ、はい、分かりました。」
源内に、バイクの事をお願いされて真弥は、意識を取り戻した。
さっそく、バイクに跨がり
始動キーが、無い。
「源内さん、始動キーが無いのですが?」
「真弥殿、それはどういうものでしょうか?」
「この穴に差し込む鍵です。」
「真弥殿、申し訳ありませんがそのようなものは、始めからありませんでした。」
「えっ、じゃあどうやって動かすんですか?」
真弥の言う事は、最もである。
一般的に、バイクは始動キーを回し、ハンドル右側にあるセルボタンを押して、エンジンをかけるものである。
そのため、始動キーが無ければエンジンをかけることすら出来ないのである。
「目の前にある少し大きな穴があるでしょう。」
「これの事ですか?」
ガソリンタンクの給油口の辺りを指差し、源内に聞いた。
「そうです。そこにこの精霊石を入れてください。」
源内から精霊石を受け取り、給油口に入れる。
ハンドル左側のクラッチを握り、アクセルを回しセルボタンを押す。
―キュルキュルキュル―
―ドルン― エンジンが始動した。
「えっ、エンジンがかかった!?」
エンジンが始動したことに驚く真弥。
おおー、信長達も驚く。
「真弥、動かせるか?」
「やってみます。」
バイクの動かし方は、YouTubeで見ていたから出来るはず。
真弥は左足のペダルを一度踏み、アクセルを少しずつ回しクラッチを放す。
徐々にスピードを上げて、バイクは走り出した。
「おぉ、すげぇ、走ってる!!」
真弥は、倉庫を飛び出し倉庫の前をぐるぐると回る。
「マジか!?戦国時代でバイクを乗り回すとは、思って無かったわ。」
「真弥、ワシも乗りたい。」
楽しそうに走る真弥を見て、信長が真弥に頼む。
真弥は信長の前でバイクを止め、自分で運転しますか?と信長に問う。
「真弥の後ろが良い。」
真弥は、後輪に付いていたステップを倒し、信長を後ろに乗せて走り出した。
「真弥!!『ばいく』とは馬よりも速いのだな。」
真弥は、答えない。いや、答えられないのである。
真弥の腰にしがみついている信長が居るからである。
腰にしがみついているためか、信長の豊かな双丘は真弥の背中で形を変えている。
真弥が、答えないことを不思議に思い、信長は真弥の右肩に顎のせる。
すると、さらに背中に圧力がかかり、真弥は益々硬直する。
「真弥、このまま街の外まで走るのだ。」
長く美しい黒髪をなびかせて、信長は真弥に笑顔で告げた。
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