第47話

「キロル、後ろ!!」


 イヴが叫ぶ。


 俺は、後ろを振り返った。そこにはリコがいた。リコは、俺の腹にナイフを突き立てようとしていた。そのナイフは、リコがドレスに忍ばせていたものだった。俺は、リコから離れた。


「リコ、どうしたんだ!?」


 気弱な彼女は、がたがたと震えていた。


「違う……違うの私の意思じゃないの!!」


 リコは、涙しながらも叫んだ。俺はどうなっているのか良く分からなかった。ナイフを出したのも、俺を刺そうとしたのも、彼女の意思ではないらしい。だが、だったら誰の意思だというのだ。


「キロル!アレは、私とギギと同じよ!!」


 イヴの言葉に、俺は戸惑った。だが、すぐにイヴは言わんとしていることが分かった。


「誰かの生まれ変わりで、その魂の記憶があるってことか……」


 イヴは、力強くうなずいた。


 俺は、リコを見つめる。おそらく、その場にいるほとんどが俺と同じことを思っただろう。今のリコは危ない、と。


 俺はリコをひきつけつつ、彼女のナイフを避けていた。リコのナイフが他の生徒に及ぶ可能性を少しでも減らすためだった。リコは思った通り、何度も俺を刺そうとしていた。


「逃げて……」


 リコは、呟いた。


「何が起こったんだ!」


 フライニー先生が体育館に入ってきて、そう叫んだ。


「先生!先生は、学生の避難をお願いします」


 イヴが、そう叫んだ。


「だが、これは……リコの暴走か?」


 フライニー先生は、リコの魂のことを知っていたらしい。


イヴは舌打ちしながらも、フラウニー先生の胸元を掴んだ。この乱暴な所作はギギであろう。ギギは、フライニー先生を睨みつける。


「おい、あいつの魂は誰のもんだ?」


 先生は、イヴの変貌に驚いていた。無理もない。授業のときはイヴしか出ていなかったし、そもそも学院ではローとの一戦ぐらいしかギギは活躍しなかった。いくら頭で第二の人格があると言われていても、実際に目にしないと納得できるものではないだろう。


「魔王だ……」


 フライニー先生の言葉に、ギギの瞳が大きく見開いた。


そして、高笑いをする。


「そうか……あいつも転生していたんだな。まったく、俺と同じでよっぽど世の中に執着しているんだな」


 ギギは、火で出来た矢を多数出現させる。そして、それらを円形に並べた。いつものギギの攻撃だ。だが、今日のギギはいつもよりも殺気立っていた。


「キロル!」


 俺は、ギギがいる方向を向く。


「動くなよ」


 ギギはそう宣言すると、リコに向かって矢を降らせた。ギギのコントロールは素晴らしく、弓は全てリコに向かっていた。俺には矢は当たらなかった。このままではギギの邪魔になると思い、俺は後ろに下がる。


 その時、俺はリコの魔法を見た。リコの清らかな魔法は、彼女の胸に吸い込まれる。リコの傷は、その魔法で癒された。


「癒しの魔法か。まったく魔王らしくない技だな」


 ギギは、そう呟いた。


 俺は、リコのことが少し心配だった。彼女の魂は魔王のものだが、今は華奢な女の子だ。力もなにもない。武器と言えば、ナイフだけ。そんな彼女がギギの攻撃に耐えられるだろうかと。


「お前は、俺に殺された魂か。前世では、俺の顔も見ずに死んだと思っていたが」


 リコが、にやりと笑った。


 いや、今は魔王なのか。俺は、その笑みに背筋が寒くなった。リコが気弱な女の子だと知っているのに、その笑みは、見ているものを凍てつくものに感じられた。


「うるせぇ」


 ギギが叫ぶ。


「たしかに前世では、お前にたどり着く前にやられた。だが、今は負けないぜ。今のお前には、お前のために戦う兵士がいないんだからな」


 魔王の手がわずかに光っていた。癒しの光のはずだが、どうして今なんだと俺は思った。魔王の傷は、自らで直したばかりだ。


 魔王の光が、生徒とフライニー先生に当たる。リコは魔法を飛ばすことはできなかったが、魔王は癒しの光を飛ばすことができるらしい。


「先生……」


 さっきまで生徒を避難させようとしていたフライニー生徒はいなかった。フライニー先生は、ギギに向かって掌を伸ばす。先生の掌に水が集まっていた。


「あぶねっ……」


 先生の水の魔法――圧縮した水の塊が、ギギの頬をかする。自分の頬に血の跡がつくが、彼は気にしなかった。他の生徒たちが、群がるようにギギを攻撃していたからだ。


魔王の魔法は癒すだけではなく、人を操る効果もあるらしい。リコの時には、見られなかった魔法の変化だ。魔王は、その光を生徒たちに向かって投げる。ほとんどの生徒の胸の中に、魔王の光は吸い込まれていった。


 ギギは向かってくる生徒を蹴散らしながらも、苦戦していた。操られているのは、あくまで生徒である。殺したり、大怪我を負わすことができないのだ。


「レベル1、噴霧!」


 俺は、霧の魔法を使った。ギギは生徒たちから距離をとり、俺の隣に来る。思ったより、ギギは疲れていた。魔法を何度も使ったわけでもないのに、どうしてと思った。


「ギギ、どうして疲れているんだ?」


「思いっきりやれないからだよ。手加減しながら戦うなんて初めてだ」


 ギギは、魔王を見つめる。


 生徒たちを壁にし、魔王はその奥に悠々と佇んでいた。俺は、思わず拳を握る。これが魔王の力。他者を自分のしもべにする技なのだ。


「思ったよりやるな」


 霧が晴れてくると、ギギに向かって生徒が走る。その生徒は、火の魔法を使っていた。俺はそれに目を丸くする。まともに魔術を使えるのは俺とイヴ、それにリコとルーベルトぐらいだった。才能はあったのに、開花させられない生徒たちだった。だが、今の生徒は魔法を使えている。


「自分の陣営をパワーアップさせるのかよ」


 ギギは俺の首根っこを掴んで、出口に向かう。俺が今まで立っていた場所には、火球が飛んできた。ギギは、俺を体育館の出口に放り投げる。


「急いで、他の教師を読んでこい!」


 ギギは、そう叫んだ。


「俺は、ここで時間を稼ぐ」


「まて、ギギ!」


 ギギは俺の話を聞かず、敵に向かって走っていく。俺は婚約者なのに、何もできないことに腹が立った。だが、俺は霧を出すだけの魔法。ギギの足手まといになるのは、明確だった。


「何があったの?」


 そんな俺に声をかけたのはイザベラだった。後ろにいたのは、ルーベルト王子だ。イザベラは涙をぬぐって、戦っているギギを見ていた。


「リコの前世が魔王だったんだ。今はその魔王がリコの体を操ってる」


 俺は、そう言った。


 イザベラとルーベルト王子は驚いていた。


「イザベラは先生を呼んできてくれ。俺とルーベルトは、ギギ……イヴの支援を」


 ルーベルト王子は、言葉に詰まっていた。ルーベルト王子は、令嬢としてのイヴしか知らない。魔王と戦えるとは思っていないのだろう。


「その……イヴは大丈夫なのか?」


 ルーベルト王子の言葉に、俺は強くうなずく。


「イヴは、前の魂の記憶があるんだ。魔王時代の傭兵だ」


 俺たちより強いぜ、と俺はルーベルト王子に笑って見せた。俺はルーベルト王子と共に、体育館の中に戻る。ギギは相変わらず、生徒たちの攻撃にてこずっていた。そのなかで、一番の問題はフライニー先生だった。さすがに魔法の先生だけあって、水の魔術は確実にギギを傷つけている。


「ちくしょう。動きづらいぜ」


 ギギは、自らのドレスの裾に手をやった。翡翠色の美しかったドレスをギギは、自ら手で引き裂いた。深くスリットが入ったドレスを見て、ギギは満足する。逆に俺はハラハラしていた。あのドレスはいくらするのだろう、という疑問が頭の端に残っていたからだ。


「これで、本気が出せる」


 ギギの左足が、炎をまとう。


 ギギとレベル3の魔法だった。ローのときに、俺はその力を見ていた。接近戦に特化した姿は、激しい炎と共にあった。


 左足をギギは、曲げた。俺は「レベル1、噴霧!」と叫んで、霧を発生させる。ギギは驚いていたが、すぐににやりと笑った。


「仕方がねーな。キロル、援護を頼むぜ」


 霧の中で、ギギは飛び上がる。さっきとは比べ物にならないほど、ギギは素早かった。そのスピードについていけない生徒たちの隙間を塗って、ギギは魔王の元に近づく。


「レベル4、全身装甲!レベル5、大剣!!」


 叫ぶギギの体が、炎の色の鎧に包まれる。そして、手には同じ色の大剣があった。ギギは、魔王に向かって走る。その歩みを止めようと生徒たちは、ギギに魔法を放った。だが、ギギの装甲が魔法をはじく。そして、大剣を大きく振りかぶって、ギギは魔王を一刀両断しようとした。だが、ギギと魔王の間に生徒が一人入り込む。


 このままでは生徒を傷つけてしまうかもしれない。そう判断したギギは、大剣を振り下ろさなかった。魔王と距離をとり、再び距離を詰めようとする。だが、ギギの様子が少し変だった。いつもの勢いがない。顔を見れば汗を異常なほどかいている。


「くそ……。イヴの体力じゃ、全身装甲は無理があるか」


 もしや、あの鎧はすごく重いのではないだろうか。イヴの体力では鎧をつけながら戦闘をできないと判断し、ギギは装甲を消す。


「レベル3、足強化」


 再びイヴの足が炎で包まれる。帯剣もなくなっていた。装甲と比べれば、シンプルな姿になったギギは、再び足技で魔王に挑もうとする。


「死ね、魔王」


 静かに、ギギは言った。


 ギギは足を振り上げて、リコに――いいや魔王に強烈な足蹴りを食らわせるはずだった。だが、ギギの足はリコに当たらなかった。


「おい、イヴ!何やってやがる」


 ギギの攻撃が外れたのは、イヴのせいらしかった。彼女は足が魔王に当たる前に、ギギから体の使用権を奪いとったのだ。


「だから、リコは見捨てろ!魔王の魂は、リコの魂でもあるんだからな!!」


 どうやら、イヴはリコを殺すことに反対らしい。俺は、唾を飲み込んだ。リコの魂と魔王の魂は、同じものだ。魔王を殺すことは、リコを殺すことにもつながる。


「誰かを殺すのは嫌よ!」

 

 イヴが、そう叫んだ。


 俺は、はっとする。左足の炎が消えている。


それで俺は、ギギとイヴに完全に入れ替わっていることに気が付いた。いつか聞いたことがあった。ギギの人格よりもイヴの人格の方が強い。だから、イヴが出ようと思っているならばギギを押さえつけることができると。


「現代の人格か……」


 魔王は、にたりと笑った。


「お前に何はできる!人の死が当たり前であった時代に生まれた我々よりも弱いくせに。平和な時代でたるんでいる。お前に、何が……」


 魔王は、イヴをせせら笑う。


 イヴは、その言葉をただ聞いていた。魔王には、イヴはただの無力な女の子に見えただろう。イヴは、静に息を吐く。


「俺と同じ時代を生きた兵士ならば、勝てる可能性もあった。だが、お前はどうだ。ただ、優しく育てられたお前は」


 魔王の言葉は、イヴを傷つけるためのものだった。だが、イヴは下がることをしない。それどころか、一歩ずつ魔王に近づいた。イヴの企みが分からない魔王から、笑みが消えた。イヴは、そんな魔王を曇りない瞳で見つめていた。


「リコ、魔王を自分の中に封じて。魂は、今生きている私たちの方が強い」


 イヴは、魔王に近づく。


 魔王は、ほっとしたような顔をした。


「あの小娘に頼る気か?弱くて、ただ泣いていることしか出来ない小娘に」


 魔王の言葉に、イヴは首を振る。


「いいえ、違うわ。あなたよりもリコは強いわ」


 イヴは、魔王をその胸に抱いた。魔王の首に手を回し、けっして離さないように。


「リコ……あなたは強いわ。だから、魔王を封じて」


 魔王は、イヴを突き放した。イヴの行動が、魔王には考えが及ばないことだったのだろう。魔王の魂に封じられたリコに頼るなど。


 魔王の息は上がっており、イヴを睨みつけていた。


「お前も……操り人形にしてやる」


 魔王の手には、白い光が輝いていた。あの光に当たれば、イヴも魔王に頭をたれる人形になってしまう。


「そんなの怖くないわ」


 イヴは、そう言った。


 魔王は、虚を突かれたような顔をする。イヴは、笑っていた。まるで魔王の恐ろしさをしらない子供のように。


「リコが、あなたを封じるから」


 イヴの言葉を聞いた魔王は怒鳴り声をあげた。


「夢物語はそれほどにしろ!!」


 叫ぶ、魔王。


 魔王は地面に膝をつき、耳をふさいでいた。まるで、目に見えない何かに覚えているようだった。


「そんな、リコだぞ。そんなはずはない……。俺がリコより、弱いなんて。気の小さい女の子が。俺を封じるなんてことは……」


 魔王は、イヴに向かって手を伸ばす。その掌には、白く輝くものがあった。


「もう……分かれよ」


 イヴの口調が変わった。


ギギが表にでてきたのだ。ギギの口調は、何故だか優しげだった。


「俺たちは、所詮は過去だ。もう死んでいるものだ。幽霊みたいなものだ。この時代に生きるイヴやリコの方が強いに決まっている」


 苦しむ魔王。


 その魔王に、電撃が届く。


 この電撃は、ルーベルト王子のものだった。ルーベルト王子は自分の魔法が当たったことが信じられず、目を白黒させていた。


「当たった。初めて、当たった……」


 ルーベルト王子は、その場に膝をつく。


 魔王は、ルーベルト王子を忌々しそうに見つめた。その後ろにはイザベラの姿。尻もちをついたルーベルトを支えている。


「弱いだと。私たちよりも、現代を生きる者のほうが強いというのか……」


 魔王は、イヴの方を見た。


いいや、イヴではない。同じ時代を生きたギギを見つめていた。


「そんなことを信じられるのか?過去には、戦いに明け暮れていたというのに。力も、魔力も、俺たちのほうが優れているのに!!」


 魔王は、ギギに向かって叫んだ。


 ギギは、必死に叫ぶ魔王を抱き留めた。


「ああ、昔の俺たちの方が強いかもしれない。でもな、今の世界はイヴやリコのものだ。なぜならば、俺たちはもう死んでいるんだ」


「……悔しくはないのか?」


 魔王は、ギギに尋ねた。


 ギギは、首を横に振る。


「俺たちはいずれ消える。それは、もう一度おとずれる死だろう。ならば死ぬ前に、こいつらを一人前にする。それが、俺たちの役目だ」


 魔王は苦しそうだった。


 この人生は自分のために使うことができない。ギギの言葉に、魔王は自分の胸を掴む。心臓を、自分の胸を。


「こんなことならば、もう一度生まれてこなければよかった!あのまま死んだままでいればよかった!!」


 魔王の叫びに、ギギは何かの感情を噛み殺していた。ギギも、思ったことがあるのだろうか。イヴの第二人格としての第二の生を授けられたことを後悔したのだろうか。


「……そうだな。神様は意地悪だ」


 死者を第二人格などにしなければ、こんな思いにはかられなかっただろう。ギギは兵士として死んだままで、魔王も魔王として死んだままだった。


だが、俺はギギとイヴが出会ったことは幸福であると信じていた。二人は兄と妹のようだったし、イヴはギギに懐いていた。ギギは、自分がイヴの第二人格として生き返ったことを幸福だと思っていると俺は考えていた。


だが、違ったのかもしれない。


ギギは荒野で散った一人の兵士として、死んだままでいたかったのかもしれない。魔王も魔王のまま死んでいたかったのだろう。


可哀そうに。


俺は人知れず、生まれ変わった彼らを可愛そうにと思った。


「俺は魔王としてではなくて、小娘の第二人格として消えるのか?」


 魔王は、ギギに尋ねる。


「ああ。そして彼女たちが大人になったら、俺たちは消える」


 魔王は、自然に流れていた涙を乱暴にぬぐった。それは魔王の矜持かもしれない、俺は思った。


「……リコが、俺を押しのけようとしている。もう私は二度と現れることはないだろう。リコは、私が外に出ることを望まない」


 魔王の言葉に、ギギは眼を細めた。


「さらばだ。私を殺しかった兵士」


「さようなら。俺が殺したかった魔王」


 魔王は、膝をついた。


「……魔王?」


 ギギは、魔王の顔を覗き込む。


 だが、そこには魔王はいなかった。そこにいたのは、弱々しい女の子のリコだった。リコは泣きじゃくりながら、ギギに訴えた。


「ごめんなさい。私、分かっていたのに……」


 泣くリコをギギは抱きしめる。いや、あれはイヴなのだろうか。俺は、今の彼らがどちらなのか分からなくなっていた。


「私が弱くなれば、魔王がでてくるの。だから、私は強くて孤独じゃないといけなかった」


「孤独……」


 俺は、小さく呟いた。


「どんな強い人でも、外部の刺激で傷がつくことがある。だから、私は強く孤独でいなければならなかったの」


 リコは誰にも頼らず、誰にも傷つけられずに学校での毎日を過ごすことを目標としていたらしい。一人でいた方が、心静かに強くあれると考えたのだ。だが、リコは平民たちに祭り上げられ、彼女本人ではどうにもできない盛り上がりを見せていた。平民たちが、貴族以外が王妃に選ばれる未来を夢見て。


「階段から落ちたのも、私が勝手に転んだだけで……でも、私の話を誰も聞かなくてイザベラ様が私を押したことになっていて」


 誰もが、リコの話を嘘だと思った。そのことは、リコを傷つけた。


「舞踏会にも出たくなくて、自分でドレスを引き裂いたの」


 でも、それもイヴのドレスを借りるということで解決してしまった。行きたくない舞踏会に行かなければならなくなったリコは、ルーベルト王子とイザベラの喧嘩に巻き込まれてしまった。


「ごめんなさい。私が勝手に傷ついて、勝手に弱くなって、魔王の言うままにナイフを持ち出して……彼を解放してしまった」


 イヴは、リコを抱きしめる。


「リコ、あなたは悪くないわ。だって、今日まで魔王を封印していたんだもん。だから、あなたは悪くない」


 イヴの言葉に、リコは泣き出した。その鳴き声は赤子のようだった。だが、それでも魔王は現れなかった。それで、実はリコとても強いのではないかと俺は思った。


「何があったの?」


 イザベラが呼んできた教師が、開口一番に叫んだ。今気が付いたが、魔王を操っていた面々は気絶していた。それはフライニー先生も同じだった。俺は、ここで起こったことを先生に出来る限り細かく伝えた。


 先生たちは、話を茫然といったふうに聞いていた。


「あなたたちが魔王に勝ったのですか?」


 先生にそう聞かれたが、俺は首を振った。


「リコが魔王を封じたんです」

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