第3話
なんで!?なんでお姫様抱っこ!?
「え?こっちの方が運びやすいじゃん?」
「そんな問題ではなくてですね!?」
女の子なら誰でも憧れるお姫様抱っこ!
でもその夢のようなことを私はどうして名前も知らない今日初めて会った同じ年頃の女の子にされているのでしょうか!?
「あら。「かな」ちゃんってこんな昼間から情熱的ね。」
「いいな♥私もかなちゃんにお姫様抱っこされたい♥」
「ごめんね!今、ちょっと急いでるから後で!」
っていうか見てる…!皆見てる…!どうしよう!?恥ずかしい!死ぬくらい恥ずかしいです!
って感じで恥ずかしくて死にそうな自分でしたが
「でもこの人…すごく人気者なんだな…」
皆に親しくされる彼女のことをふとすごいなと思うようになってしまったのです。
恥ずかしくて顔を隠していたのだからあまり顔は見えなかったのですが
「きっと私とは違う世界の人かも…」
彼女はきっとキラキラな人だと、そう思いながら少し悔しい思いをしたのです。
凄まじい力で私を保健室まで運んで手当が終わる最後まで付き合ってくれた少女。
「ごめんね?まだ痛い?」
「いいえ。もう大丈夫です。でもまだ歩くことはダメかも…」
「そうか…本当にごめんね?」
彼女は私の腫れた手首を心配そうな顔でずっと見ながら
「どこかに向かっている途中だったよね?よかったら連れて行ってあげるよ。」
っと再び私の体を両腕で持ち上げようとしましたが
「す…すみません…もう精神が持たなさそうでお姫様抱っこは無しで…」
「え?そう?」
私はやはり先みたいに注目されるのは嫌だったのでここはちゃんと断っておこうとしたのです…
「もしかして嫌いだった?おかしいな。「なな」は結構好きだったのに…」
「嫌いっていうかそういう問題じゃ…それよりななって…?」
っと重要なのはそっちじゃないと言いかけた私はその時、突飛に出てしまった名前で驚いてしまう彼女の表情を決して見逃さなかったのです。
まるで口にしてはいけないことでも言ってしまったように、口を滑らせてしまったって顔で慌てて口を塞いだ彼女は
「な…なんでもない!なんでもないから…!」
今のは聞かなかったことにして欲しいという顔で今の発言をごまかしてしまったのです。
「そういえば自己紹介がまだだったよね?
私は2年生の「
っと丁寧に自分のことを紹介する少女。
それに応えるように私も張り切って自分のことを彼女に紹介して、
「に…「虹森美森」です…!よろしくお願いします!」
「うん!よろしくね!「モリモリ!」
彼女もまた初対面とは思えないほどの親密感を見せつけながら私のことをあだ名で呼んでくれたのです。
っていうか「モリモリ」ってそれ、私の小学校のあだ名…
なんかくいしんぼうみたいであまり好きじゃないから普通に名前で呼んでもらいたいですけど…
「どうして?可愛いじゃん、モリモリ。」
「うぅ…やっぱり恥ずかしい…」
どうやらこの先輩…そのあだ名がずいぶん気に入ったようです…
でもこの「中黄花奈」っていう名前の先輩は今年新入生で入学した私も名前だけは知っているくらいこの学校では結構有名な人なんです。
詳しいことはあまり知りませんがなんか人界の人だけじゃなく、神界や魔界の人にも結構人気がありそうで1年生の間でも彼女の名前がよく出てきたりするんです。
実際、彼女は先皆から「かなちゃん」って呼ばれながら親しまれましたので私は彼女が皆にすごく好かれているということについて異論を唱える気はありません。
現在チア部の部長を務めている彼女はどんなスポ-ツもうまくやれる多才万能な人でよく人が少ないなクラブや部活に助っ人として入って助けているすごい人だそうです。
それに性格もいいし、とんでもない美少女で他校からもわざわざ見に来るほどっという噂もありまして最初は私もそんな人、本当に実存するのかなって半信半疑していましたが実際触れてみてようやくその噂が嘘ではないということを知りました。
無駄な肉はどこにも見つからないよく鍛えられている健康な体。
明るくて元気な笑顔は傍にいる人まで元気づけてくれるように朗らかで温かい。
真っ直ぐな青い目と生命感の溢れるキラキラな金髪のツインテール。
まさに「金髪碧眼」の美少女と呼ぶに値するほどの美人さんですが
「ん?どうしたの?」
「いいえ…なんでも…」
この笑う時にチラッと見せつけられる八重歯と汗ビショビショのチア服はやっぱりちょっとマニアックかも…
というかこの学校のチア服ってちょっとお肌、出しすぎませんか?おヘソも、腋も全部丸出しですし…
私には絶対無理かも…
「そう?モリモリなら似合うと思うんだけど。」
「む…無理ですよ…!絶対…!」
ちょっと想像しただけでもう恥ずかしくて死にそう…!
というか後で着てみようって目は止めてください…!
「それじゃ、どこまで連れて行ってあげたらいい?支えてあげるから。」
「え?あー…じゃあ…」
お姫様抱っこ無しで目的地まで一緒に行ってあげるというかな先輩の好意を受けて私は桃坂先輩がいる部室までの案内を頼みましたが
「…そう言って今度はおんぶですか…」
「まあ、いいじゃん。モリモリ、赤ちゃんみたいに可愛いから。」
「可愛いって…」
今度はまさかのおんぶになるとは…
「あの子、おんぶされているよ!」
「可愛いー」
目立つのは先とあまり変わってないかも…
まあ、あんな感じで私はなぜか今日初めて会った先輩の背中に負われて先の同好会の部室へ向かっているわけですが
「この先輩…いい人かも…」
私は今日ここで会ったのが怖い先輩ではなく、優しくてお節介なかな先輩であることにちょっとほっとしていました。
私、あまり人に好かれたりするタイプではありませんから…
いつもおどおどしてて誰かの後ろに隠れているばかりですから。
だから最初はこういう自分とは真逆のタイプの人ってちょっと苦手だなと思いました。
でも実際触れてみたらかな先輩はすごくいい人で面倒見がよくてこれからも仲良くいけそうだと思うようになりました。
先輩の背中はとても心強くてなんだかすごく頼りになりますし。ちょっと汗臭いですけど。
まあ、向こうが友達になってくれた時の話ですけどね。えへへ…
こんなことを考えている私ってちょっと厚かましい子なんでしょうかね。
「どう?気分は悪くない?」
「あ…はい!ちょっと恥ずかしいですけどお姫様抱っこよりはマシかもです…!」
「あはは!そんなに嫌だったんだ、それ。」
っと朗らかに笑うかな先輩には申し訳ありませんがあれ、本当に恥ずかしかったんですから…
それにもしあれが「あの子」に見つかったら…うぅ…想像もしたくないです…
「それにしても偶然だね。まさかモリモリも同好会に行くなんて。
もしかして入部希望者?」
「い…いいえ。そんなわけではないですけど…ただちょっと招待されて…」
っと何度も私に「待ってますね!」って言いながら嬉しそうな顔で手を振っていたあるでかいおっぱいの先輩のことを思い出してしまう自分。
でもやっぱりあんな顔で期待されてちゃったら行かないわけにもいきませんからね。
でもまさかかな先輩もあの部室に行くなんて思いもしなかったんです。
私の方こそかな先輩が入部してくれたらすごく嬉しいと思いますけど…
ってあれ?
「もしかしてあの助っ人のチア部の後輩ちゃんってかな先輩のことですか?」
「うん、そうだよ?」
「ええ!?」
っとふと先の先輩の話を思い返した私は先輩が話した助っ人のチア部の人が今自分を背負っているかな先輩であることにやっと気がついたのです。
「びっくりしました…こんなに近くにいたんですね…その助っ人さんって…」
「あはは。まあ、助っ人と言っても私は「ミラミラ」みたいに本気でアイドル目指しているってわけではないからそんなに大したことはやってないかな。」
っと先輩は自分はあまり同好会にとって重要な人物ではないと言いましたが私はそうとは思いません。
だって先輩、かな先輩のことを話している時はなんだかすごく嬉しそうな顔をしていましたもの。
それはきっとかな先輩のことに心から感謝しているという証拠です。
それについては私からもちゃんと感謝しておきたい気分ですね。
「それよりかな先輩って桃坂先輩のことも「ミラミラ」というあだ名で呼んでますね…
最上級生なのに…」
「本人もそう言って欲しいって言うしあだ名の方が仲良しって感じでいいじゃん?
ちなみにモリモリだって今日から私と仲良しだから。」
っといきなり私のことも「仲良し」の類に含めるかな先輩。
いろんな意味でちょっとついていけない人ですが仲間に入れてくれるのはやっぱりちょっと嬉しいかも…えへへ…
こうして私はいつの間にかかな先輩と友達になりました。
私達は同好会に向かっているうちにすっかり仲良しになって色んな話をしたのです。
話し合っているうちに私は気づいたのです。
あの部員もない廃部寸前の同好会のことをかな先輩はたった一度も面倒いって思わずにずっと大切にしていたこと。
私はそれだけで同好会にはまだ希望が残っていると、そう感じるようになったのです。
「お二人さんはどうやって…」
っとふとかな先輩が同好会のことを手伝うことになってきっかけが気になった私に
「ん…そうだな。」
かな先輩は私が来る前の同好会のことと桃坂先輩とのことを少し話してくれたのです。
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