第三十四話『サメと大屋と後俺の気持ち』
「そういや大屋は?」
「ん?……大屋なら、水着が無いとかで来てない」
「はぁ……。そうか。今度水着買ってやるかな……」
大屋は海に来ていない。なんかいないなぁと思ってたら、水着を買い忘れたとの事。あいつらしいと言えばあいつらしいが、んまぁ仲間はずれにしてるみたいでちょっとやだねぇ……。
「スイカ割りには呼んでやるか」
とりあえず今は浮き輪に乗ってプカプカしてます。ぶっちゃけ海に来たからって何をするでもないよなぁ?こうするのが一番楽に決まってるよなぁ!?
「しかしなんか騒がしいような?」
おや、パールがなんか叫んでますね。何を言ってるんでしょうか?まぁ口で大体何を言ってるのかは分かるけど……。えぇと何々?
「サメがいる?」
そんなバカな。サメなんかこんなところにいる訳が……、あっサメだ!ホントにサメがいる!しかも俺の周りをグルグルしてる!俺狙われてるなぁ!
「仕方ない、BAを……」
……いや、考えてみれば塩水の中でBA使ったら、相当ひどいことになるなぁ……。うん、不味いな。
「……どうしよ?」
もしかして俺って今絶体絶命……?シンプルにヤバいんじゃないの?いくら俺でもサメ相手に生身で戦いたくはないよ?なんかないかなんか……あっ。
「なんか出た!」
えっ何これ!?剣……!?BA出して無いのに普通に出たんだけど何これ!?えぇいまぁ良い!とにかく今はサメを何とかする!はい何とかしましょう!
「幸い剣があればとりあえず何とか……なるか?」
とりあえず泳いでみますか。まだこっちを襲ってくる様子は無いが……。確実に気が付いたらこっち来るよなぁ?
ほーら来た!剣を足ひれみたいに使って……泳ぐ!そして全力でぶった切る!
「よし!」
と言ってもまだいるんだよなぁ……。泳ぎ切れない?あぁ無理っぽいな!ならぶち殺すだけだ!……。って、なんか変な音がしてるような……。あっ大屋がいる!
うおぉっ撃ってきやがった!あぶねぇあぶねぇ!
「大屋!」
「大丈夫だか!?」
「大丈夫だけどさぁ!なんで射撃したんだ!?」
「昨日社長さんが私の装備を作ってくれたんだ!」
そうなんだ……。おぉ引きずられる。いやもうなんか疲れたんだけど……。
「そう言えば俺以外全員手で持つタイプのBAだったか」
埋め込みタイプは俺しか持ってないしな。そもそも海に来るのに、持ってくる訳が無いからなぁ。仕方ない仕方ない。
「大丈夫!?」
「大丈夫だ。まぁサメは何とかなったし」
しかし……。この時期に、と言うかこの場所にサメいる訳が無いんだけどな?そもそもサメってそんな人間襲わねぇし……。明らかに飢えてたサメだったぞ?
「ん-……。まぁいいや!」
正直どうでもいいって言ったらウソになるが、本当にどうでもいいことではある!それよりみんなと海で遊ぶ方がいい!
「大屋もスイカ割りするか?」
「するする!」
大屋は普通の服を着てスイカ割りに参加したぞ。楽しそうでよかった。途中パールが変な形で砂に埋められたり、瑠璃が残ったサメを始末したり、ヒスイが襲い掛かってきたりと色々あった。
「今日は楽しかっただ!」
「そうか!」
「じゃあ帰ろ」
「そうだな」
「私も泊りマスよ!」
「はいよ」
「あぁ、あたしは帰るから」
「……別に泊って良いからな?」
家に帰りシャワーを浴び、庭でバーベキューパーティー。
「肉デース!」
「イェーイ!!」
「わーい」
「ヒャッホー!」
ヒスイの持って来たデカい肉を、アメリカでよく見る感じのバーベキューコンロに入れて焼く。ホロホロの肉を一緒に焼いたパンで挟んで食べるともう滅茶苦茶旨い。
「飲み物は大体あるわよ?」
「流石母さん!」
皆、楽しそうにバーベキューをしていた。その後、一通り片付けを終え、皆上に登って行った。俺はと言うと、部屋で休んでいた。
「ふぅ……」
ちょっと食いすぎたかもな……。ま、美味しかったからいいけどな!コーラがうめぇうめぇ。
「ねぇ」
「ん?どした瑠璃」
「アンタ恋してる?」
「ぶほぉっ?!」
い、いきなり何を言い出すんだお前は?!そりゃまぁ恋はしてるけど、お前に言う程の事ではないと言うか、と言うかなんでいきなりそんな事を聞き出すのか分かんないって言うか!?
「何!?」
「いやまぁ……。なんとなく分かるんだよねぇ。恋してる奴の顔」
「えぇ……?」
「で?誰に恋してる?」
「……まぁ。銀かな。パールも好きだし……、ヒスイも、好きだよ」
「へー」
「……じゃあ、瑠璃はどうなんだよ瑠璃は」
人にばっかり聞きやがって……。お前はどうなんだ。誰かに恋してんの?
「あたしは恋してないよ?」
「そうなのか?」
「ま、昔はアンタが好きだったけどさぁ……。今はちょっと違うかな」
「違う?」
「そ。……まぁ、なんていうかさ……。越えるべき壁って感じ?」
ねぇ、お前の中で俺は一体どういう立ち位置なの?ラスボスか何か?
「前に、あんたを超えたいって思ったことがあるんだ。ほら、お風呂で一回言ってたじゃん?」
「そう言えばそうだったな」
「……あの時から、私はアンタを超えるべき壁と認識してる。だって、好きだし」
……。アレ?俺今告白された?なんかサラッと流されたけど、お前、俺好きだったの?
「ずっと前から好きだったよ。白銀」
「……。そうか」
「だから、告白するのはアンタに黒星を叩きつける時!と言う訳で今すぐやろう!」
……。いや、戦闘狂だったか……。バトルジャンキーかぁ……。明日なら殺し合いにでもなんでも応じてやっから、もう今日は寝な。俺は絶対寝る。
「あぁそうか。俺は寝るからな」
「あっ!その前に風呂入ろ!」
「……。えぇ?」
えぇ?!
「なんで風呂にいるの!?」
「えー。良いじゃん別に。どうせ入っちゃってんでしょ?他の子とも」
「入ってねぇわい!」
「ま!私の魅惑のボディに魅力されちゃうかもね!」
「いやお前つるぺただし別に……」
あっ殴りやがったなこいつ!てめぇ!あの時みたいに殴りあうかぁ?!俺は意味があれば女の顔面だって遠慮なく殴れるんだぞ!コラ!うおっコイツ結構武術出来るタイプの人間!
「
「わき腹いってぇ!」
コイツ防御無視攻撃できんのかよ!?俺と同じ流派……!あぁそうじゃないそうじゃない。流派が同じでも普通くらいか、だってアレ通信教育だし……。
「おぉ!?やるかぁ!?」
「いいなぁ!たまには本気で殴り合いたい気分だったんだよな!」
いやこいつマジで強い!おっ!?首絞めはアカンだろお前!全裸で卍固めはきついってぇ!うおぉ投げ返せ俺!えぇい!
「うるさい!」
「あっ。母さん」
「あ、どうも」
「……。まぁいいや。瑠璃ちゃん、既成事実既成事実」
お前ーっ!お前お前ーっ!もうなんか一発ぶん殴ってやろうかって思ったよマジで!最低だよあんた!俺父さんが更生したの、なんとなくわかるよマジで!
「お母さん。それは無いと思いますよ」
ほら瑠璃ですら正気に戻るほどの一言だぞお前!母親としてどうかとは思うぞお前ぇ!息子の童貞をなんだと……。あぁゴミだったわそう言えば。童貞なんか無い方がいいしな……。
「じゃ、お邪魔するわね」
「クソ……。父さん!早く帰ってきてくれーっ!」
「はいよ」
「うわぁどっから入って来たんだってか誰?!」
「よっ。父さんだぞっ」
「父さん!?」
父さんが壁から出て来た……!
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