第三十三話『海!水着!ドスケベ水着!?』


「母さんに怒られたじゃないか」


「私が悪いの?」


「お前が誘ったからだぞ……。母さんは飯時にうるさいんだ。こうなる事は予想してた」


まぁ間に合うやろうと思ってたが、何か結構長い事戦ってたみたいで、結局母さんに怒られちゃった。トホホ。まぁ良いけどさぁ……。しかし何と言うか、嫌な予感がするなぁ。


「見て白銀。ヘリコプター飛んでる」


「いやヘリコプターくらい普通に飛んでるだろ……」


「違う。こっち来てる」


いやなにを……。わぁっヘリコプターが家の隣に着地しやがった!何!?なんなの!?てか誰!?俺の家知ってる奴なんかそんなにいないと思うんですけど!?


「てか誰!?おいっ出て来い!」


「ヘイ!おひさデスねー!」


「げっ、ヒスイかよ……。てかどこで俺の家知ったんだよ?」


「?白銀のマミーからデスが?」


「……」


「……」


母さん?ねぇ母さん?なんで教えちゃったの?何を考えてるの?なんでますます面倒な事になる感じにするの?ってか、いつヒスイの電話番号知ったの?レインでやった?あぁそう……。


「それでなんで来たの?」


「ア、そうデスね……。実は海に行こうと思ってマして」


「はぁ」


「と言う訳で、やって来たと言う訳デス!」


「……」


だからって俺のところに来ないで?両親のところに帰省しているはずじゃなかったの?ご両親は……。あぁ一緒に来てますねぇ。そんなことある?どういうこと?なんで一緒に来てるの?


「ヘイ!私はヒスイの父、『チナミ』と言いマス!で、あっちが妻の『加奈』デス」


「あ、どうも。ヒスイがお世話になってるって聞いてるわよ~。ところで式はいつ挙げるの?」


「挙げませんけど!?」


ってか母は日本系なんだね……。いやまぁ別にそれはいいんだけど……。そちらはなんで……。え?この人アメリカのBA会社の社長さん?あぁ視察ね……。


「私達はホテルにいマスので、ウチの娘をお願いしマスよ?」


「クソッ!ハメられた!」


……。まぁ、良いけどさ、もう……。諦めてるって言うか。うん。来るなら来い!後は勝手にしろ!って感じになってきているというか……。なんかマヒしてんな俺。


「んで海に行くと……」


「行ってらっしゃい。一応シャワー室はあるから好きに帰ってきていいのよ」


準備が早いんですわ母さん……!あぁ分かったよ!行くよ!行きゃいいんだろ!水着は……。あるねぇ!用意周到だねぇ!ねぇ母さん?いつ用意したのコレ?


「……。んで、俺が一番先に浜に到着か……」


サンオイルぬりぬり。日焼けするとひどい目に会う。実際問題一回やったことあるし。あの時はマジで……火傷だったしなぁ。うん。しかしあいつらとの水着は一回買って来てたはずだ。


「ヘイ!白銀!どうデスか?似合ってマスか?」


「うわぁエッチだ……」


水着変えた?いやまぁ確かにここプライベートビーチ的な感じだとは言え、その……スリングショットは流石に……。何?エロスの塊的な何か?うーんこの。自分の体に自信が無きゃ出来ない格好ですよコレは……。


「それで他の奴らは?」


「まだ着替えてマス!フッフッフ……。これで二人っきりデスね?」


何?どういう事なの?怖いんだけど?誰か助けて!


「あっ、ほらパールが来たよ!」


「シット……」


コワー……。あぁそう、パールの水着は……。スク水ですか。まぁそうでしょうね……。しかし改めてみるとホントちんちくりんだなあいつ。あんんなちんちくりんがクロナノを着てたと思うと……。


「クロナノ作った奴は絶対殺そう」


ちょっと……。許せないかなって。あんだけ追い込んでたのは俺のせいかもだけど、でも悪いのは作った奴ですから。許す訳にはいかないのだ……。うん。


「……大丈夫?白銀」


「あっ、悪い!あー……。似合ってるぞ!」


「……」


怒ってる?いや絶対怒ってるよね?やまぁ確かにデリカシーが無い一言だなぁとは自分でも思うんだけどさ?


「まぁその……なんだ!俺は好きだぜ!」


「……ん」


満足げだなぁ。さてあとは瑠璃と銀だけか。銀、大丈夫かな……。よりにもよって瑠璃と一緒だからなぁ……。


「お、お待たせ……」


「待った?」


おっ、来た……。


「とりあえず瑠璃は一旦無視して……」


「ちょっと!?」


バカ野郎、海にガチガチの競泳水着着てくる奴がいるか!目を疑ったもん俺の!えっ、競泳水着じゃんって!お前だけガチじゃん!泳ぎに来てんじゃん!


「銀、お前はそれでいいのか?」


「うぅ……」


なんだその胸は。コラなんだその胸!デカすぎんだろ……。そういやこいつ、胸デカかったな。確か一回確認した事があったはずだが……、そう言えばいつの話だっけ?


「いやさ。なんかあんたの母さんが来て、これ着ろって言い出して」


「本気で一発ぶん殴ってやろうかな……」


実の息子にこんなことを思わせるとか、相当やってるからな?マジで……。何?どうして俺にそんな事をさせるの?母さん?俺の理性を崩壊させる気か何か?


「……で、水着は……?」


「あぁうん……」


まぁその……。マイクロビキニじゃん。ほぼほぼ全部が見えちゃってるじゃん。おぉ~?このままじゃ俺どうにかなっちゃうぞ~?いいのかぁ~?


「さて泳ぐか……。ところでその水着、実際問題どうなの?泳げるの?」


「私以外無理じゃない?」


「……」


おい瑠璃!泳ぎうーわすげぇ泳ぎ!マジじゃん!一人だけマジでやってんじゃん!ちょっとドン引き。いやもういいよ、あいつ多分一人だけ訓練しに来てるよ。


「デハオイルをよろしくデス」


「……。俺か!」


並ぶなお前ら!そんなに俺にオイルを塗られたいのか!?需要ある?!まぁやれって言われたらやるけどさぁ……。


「なぁヒスイ」


「なんデス?」


「……俺以外にこんなことしてんのか?」


「しないデス。白銀だけの……。特別、デスよ?」


何なんですかねこのムーブは……。ちょっといろんな意味でイラついてきたなぁ……。いやまぁちゃんと塗るけどさぁ、オイルは。うーんすべすべお肌。一生触ってられる。


「ハァ腹立って来たな……」


「ちなみに既成事実があれば結婚出来マスよ?」


「まだ学生だからな!」


っぱ怖いな外国の奴は……。隙あれば既成事実を作ろうとしてきやがる。まぁ一応背中には塗ったからあとは自分で……。


「あ、前もお願いデス!」


「……後でな」


後でね。後でやるからね。今はちょっとパールの方をね……。


「じゃぁパール。やる……と言ってもスク水だしな」


「ん」


あらもちもち。可愛いね。こんな柔らかお肌がつい最近までズタボロだったって考えると……、相当やってたよね。俺は気付いてやれなかった……!


「どうだ?」


「ありがと。泳いでくる」


「行ってら」


可愛いね。もう一生幸せにしてやるからなホント。さて最後に銀だが……。


「おい銀!」


「……。何?」


「お前泳ぐのか?」


「……泳がないけど」


……。お前はオイル塗らなくてもよくない?ねぇ。まぁ濡れって言われたら塗るけどさぁ……。ほら背中向け。うーんこの……この……。


「なぁ。……太った?」


「あっ!女の子に言っちゃいけない感じの一言だよそれは!」


「だって太ってんじゃねぇか!なんだこのぷにぷにしたお腹は!」


「だ、だってご飯美味しかったし……」


「ちなみに最近外に出たのは?」


「……し、白銀のお母さんと一緒に買い物に行ったとき……」


……太って当然だよこんなの。こいつはマジで……。まぁいい。今度からダイエットな。


「とりあえずダイエットな」


「ひーん!」


ま、海は始まったばかり。楽しむとしようじゃないか!

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