二章『誰もが楽しみにしている夏、到来』

第三十一話~銀視点~『久々登場のお銀』


「うぅ……。白銀……」


 普通みんなの前であんなことする?!目の前でキスするとかマジあり得ないよ!!ぐぬぬ……。しろがねの修理は終わったけど、取りに来ないし……。


「よし!外に出よう!」


 うん!そろそろ外に出よう!じゃないとダメだわ!もう何日間も太陽を見ていない!それに夏休みだし!皆いないけど!よーし出るぞ!出るぞ!!


「うわ眩しい」


 止めよう。今日はもう外に出ません。眩しすぎです。寝ます。お休みね……。


「ん、白銀からレイン……」


『しろがねの修理終わった?俺今病院だから、今度取りに行くわ』


 へー、白銀病院に行ってたんだ……、病院に!?


「何やってんの白銀!?急げ!今すぐ直行!」


 最近作ったBAで直行!飛んで行く!白銀!!!!看病するよ!


「で、来たのか」


「なんだ直ってるじゃん」


「なんだとは何だ。この横にいる奴のせいでアバラボキボキにされちゃったんだよ。今はもう完治した」


「……また新しい女の子?」


「いやそう言う訳じゃ……、なぁ、大屋?」


「んだな!私と白銀さんは深い仲だべな!」


「(恋愛対象として)深い仲?!」


 こ……、こいつ!また恋人を増やす気か?!いやこいつは天性の女たらし!私が好きなんだからそりゃ他の奴らも好きになるわな!しかし!私が一番でいたいんだよ私は!


「ところでしろがねは出来た?」


「出来た!持ってけ!」


「お、おぅ……。機嫌悪い?」


「悪い!」


「悪いのか……」


 うぅ……。なんでこんなにムカつくんだろう……。そりゃ普通に考えれば、あの観衆の中でキスする奴とか普通に考えてアレなんだけど、でも私は好きって言うかなんて言うか……。


「おい、白銀」


「あ、パール。大丈夫?」


「大丈夫。で、付き人がいれば退院出来るって事になったから、明日から家に泊まる」


「……え」


 ななな……なんですって?!そんな……!私もまだ家に呼ばれたことが無いのに!?そんな事が……そんな事があり得てえぇんか!?おぉ!?


「そうか。んじゃぁ俺の家に……」


「私も行く!!!」


「え?」


 もう絶対!絶対行くの!


 ……一時間後。私はタクシーの中で頭を抱えていた。……そりゃそうだ。なんで私はあの時あんなことを……。


「えっと……。誰だべか?」


「私は銀……。まぁ、よろしく」


「よろしくな!私は大屋って言うべな!」


 ……。悪い子じゃなさそうだけど、無さそうだけど……!


「よ、よろしくね」


 と言うか、初めて家に行くなぁ。ちょっと楽しみだったり。


「ここが俺の家だ」


「……デカい」


 始めて来たんだけど……。白銀の家、大きくない?なんか……。なんか、大きくない?


「母さん、帰って来たよ」


「おかえりなさい。……それで、その子たちは?」


「今日から一緒に住む事になったんだけど……。いい?」


「いいわよ。けど買い物に行かないとね……」


 お母さんも初めて見たなぁ。美人さんだなぁ。お父さんは……、家にいないみたい。


「ちょっとそこにいる根暗そうな子」


「……え、私?」


「一緒に買い物に来てくれる?」


 ね、根暗……。いや、それはそう……。なんですけど……。ね。麺と向かって言われると流石に傷つくと言うか何というか……。


「来なさい」


「アッハイ」


 一見優しそうに見えるけど、かなり恐ろしい雰囲気を感じるよ……。特に、命令されると逆らえない感じが怖い……。まぁ私、母親見た事無いんだけど。


「……」


「……」


 気まず過ぎない?なんだこの気まずさは……。と言うかなんか勢いで来ちゃったけど、何を話せばいいんだろうかなぁ……。うむむ……。


「ねぇ」


「は、はい!」


「貴方。白銀の事が好きなんでしょ?」


 ……。ふへぇ!?


「んなぁ!?」


「やっぱりね」


「な、ななな何故!?」


「貴方を見れば一目で分かるわよ。ところで貴方、どこまで関係は進んだの?」


「……い、いやその……。全然と言うか何というか……」


「でしょうね」


 な、なんでバレてる!?い、いや!確かに白銀の事は好きだけど!そう言う事じゃなくて違うと言うか何というか……。ね!うん!いや!うん!


「どれだけ好きなの?」


「……。すごく好きです」


「なら告白しなさいよ。……白銀、あぁ見えてニブチンだから」


 そ、そのくらいは分かりますけど……!でもだからって、それにパールもいるし、そう言うのは……。ちょっと……。なんというか……。


「……もしかして、尻込みしてる?」


「……ちょっと」


「ま、仕方ないわよね。でも別にいいんじゃない?私は白銀に彼女が何人いようと、愛してるならそれでいいと思うわよ」


「……」


 ……。結局。その後は何も言わないで帰って来たけど……。正直、白銀が私の事をどう思っているかは分からない。聞いてみるだけなら……。アリなのかもしれない。


「さてと……、風呂焚けたから入って良いぞー」


「はーい」


 ……パールがお風呂に行った。大屋は今皿洗いの手伝いをしている。聞くなら今がチャンス……!よし!聴こう!とにかく一回聞くだけ聞いてみよう!


「白銀!」


「うおっなんだ……何?」


「わ、私、私の事……好き!?」


「いきなりだな……。うーん……。まぁ好きかそうでないかって言われると……。好きだよ」


 ……。


「それでなんで聞いたんだ?」


「うぅん、何でもないよ」


 そ、そっかぁ……。白銀は私の事、好きなのかぁ……。


「銀、お風呂あが……。何してるの?」


「え、えへへ……」


「そっとしておきなさい」


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