十七話『体力の無さを実感しています』


 でっか!室内でっか!確かにこれなら三千円も納得のデカさだな!色々あるみたいだからそれぞれで楽しむのがいいんだろうな。


「じゃ時間いっぱいになるまで遊んじゃいましょうか!」


「いいねぇ。私は上行ってるから、ここ集合ね!」


「では行ってくるデス!ところで銀はどうするデスか?」


「えっと。その……」


「まぁ銀は俺と一緒にいればいいだろ。じゃあ一度解散!」


 という訳で俺が行ってみたい場所へ行くぞ!


「それがここだ」


「うえぇ……。なにこれ」


「『ニンジャ』……。運動神経を鍛える場所だな!」


 へー。色々なレベルに合わせて走れるんだなぁ。


「じゃ銀、頑張って来いよ」


「あれっ白銀は行かないの!?」


「いやお前がどのくらいできるのか試してみたくなった」


「一応言っておくけど最低レベルでも無理だからね!?と言うか最低レベルでもちょっと難しくない?!」


 まぁ最高レベルがSUSUKEのちょっと難しい版的な難易度だしなぁ。見てごらんなさい、あの見事なそそり立つ壁を。ご立派ぁ!


「助けてー」


「っておい!まだ最初の足場にすら到達してないじゃないか!」


「無理……。死んじゃう……」


 だらしないなぁ。インドア派とは分かっていたがここまでとは……。今度本気で鍛え直してやろうか?じゃなきゃ何かあった時にヤバそうだしなぁ。


「まぁお前はあっちで待ってるといい。んじゃぁ制覇するとしますかねぇ!」


 しかし結構行くよなこれ。まぁいいや。まずは六連足場からだ!


「この程度は楽勝だが……」


 その後急にターザンやらせてくるからな最上級レベル。やってられませんよ。対応出来るけどな!


「よっと。これでようやく第一……じゃ、なさそうだな」


 まだある。この先が思いやられるねぇ。にしてもなんか騒がしいなぁあっちが……。あっ瑠璃がバスケでやりたい放題やってる。


「誰かあいつ止めて!?」


「全然止められねぇ!」


「ゲーッ!スリーポイントダンク決めやがったぞあいつ!?」


 あいつシンプルに鍛えてるから強いよなぁ。いやスリポダンクはちょっとヤバいでしょ。どんな身体能力してんだよ。素の身体能力でアレなんでしょ?こわ……。


「しかしここ凄いなぁ」


 で、今は面白くない第一ポイントを終了(単に落ちる足場があっただけ)し、今は指のみ使って移動すると言う結構きつい第二ポイントへ入った。まぁぶっちゃけ言っちゃ悪いんだけど、大したことはないな。


「休憩地点が無いのがアレだがな」


 たった五十メートル、されど五十メートル。指が酷使されるがこの程度では俺の指は折れないぞ。という訳で容易く第二ポイントを通過。こんなのが後三つもあるのぉ?結構きつくない?


「よーしそそり立つ壁だ」


 そそり立つ壁ってか、そり曲がる壁なんだけどさ。ネズミ返しより厳しいんじゃないのかな?ちな一分以内に登り切れないとそこで挑戦終了。結構辛いね。


「まぁ大丈夫だけど」


 飛ぶ瞬間に指をかけ、指の力で登って終了!いう程難しくは無いが、面倒くさいって感じの印象。これ制限時間が一番面倒だろ。落ち着いてやれば出来ないことは無いが。


「さーて次っと」


「へー。そうなってるんデスね」


「おわぁ?!」


「ヘーイ!」


 か、壁の外から話かけてきたぞ?!そこボルダリング場になってんのかよ!?そんなことある?


「と言うか片手で全体重かけられるんだお前」


「まぁ、鍛えてマスから!」


「鍛えてりゃ何でもできるって訳じゃないだろ……」


 おい片手懸垂まで始めちゃったよこの子!しかもたまに手放した後逆の手でつかんでるし!おっそろしいわぁ……。


「アー、こっち見ながら楽々クリアしないでくだサイ?」


「えっだって楽勝だし……」


 単にぶら下がるだけの奴とかいうことないし……。楽だし……。と言うかお前も出来るだろこの程度は。足にぶら下がるだけだし。


「さてと……」


 ん?なんか銀に絡んでる奴がいる。この野郎、勝手に触ろうとしてんじゃねぇよ。


「あっリタイアしマス?」


「あぁ。気になる事が出来たんでな」


 いやしかし誰だあいつ?割と銀が人見知りだって知らないからぐいぐい行くんだろ?おいやめてやれよ。


「うぅ……」


「俺なぁ!あの有名な学校に入学してる奴の親なんだよなぁ!パールって奴の親父だぞ?!」


「知らねーよ。そんなの」


「あぁ?」


 誰だよ。俺の女に勝手に話しかけてんじゃねぇよ。馴れ馴れしく肩掴んでんじゃねーぞ。ん?やる気か?


「誰だお前?」


「お前が今掴んでる奴の彼氏だよ。お前はなんだよお前は」


「ほーん?そうかよ!こんな雑魚の極みみてぇな女なんかが彼女なのかよ!」


「あ?」


「ヘッ、所詮は女尊男卑ですか!こんな女に媚売ってへーこらしなけりゃならねぇってか!」


「媚なんか売ってねぇよ」


「はぁ?クソガキに何が分かるってんだよ?どうせ知らねぇんだろ男尊女卑の世界をなぁ!」


「なんなのお前?」


 いやマジで何?なんなのコイツ。頭悪いのか?赤の他人の極みみたいな関係性なのに何が分かるんだ?お、こんなところにドッジボールに使うボールが。


「もう話しかけて来るんじゃねぇよ!」


「おい、キャッチボールしようぜ」


「はぁッ!?」


 おー、大の大人が普通のボールで吹っ飛ぶんだなぁ。面白いくらい吹っ飛ぶじゃん。マジで。いや流石に面白いなこりゃ。


「し、白銀……」


「このクソガキ……!殺す!殺してやる!」


「なら場所を変えよう。ここじゃ他の奴に迷惑がかかる」


「あぁそうかい!だったらとっととそこに行こうじゃねぇかよ!」


「あぁ。ついて来いよ」


「おいそのアマも連れて来いよ!」


 は?ヤダよ。お前マジ殺すぞ?いや殺さないけどさぁ。こう……精神的に二度と立ち上がれなくしてやるぞ?


「じゃ地下闘技場で話し合いましょうか。今日ね」


「あぁそうかい!逃げんじゃねぇぞこの野郎!素手なら俺の方が強いんだからな!」


「……」


 こんなのが男尊女卑を言うのか、それならまだ女尊男卑の世界の方がマシだな。あいつの言う男尊女卑ってのは、自分に都合のいい世界の事を言うんだよ。


「ね、ねぇ。あの人誰?」


「銀には関係ない奴だ。今夜話をつけに行くよ」


 さて、じゃあ俺は奴をボコボコにしますかね。完全に気に入らねぇ!とにかく一発殴らないと気が済まねぇ!


「はー、楽しかった!ってあれ?白銀はどこに行った?」


「あ、なんか用事があるって……」


「ふーん。まぁいいや、それならしょうがないね。帰ろ!」


 さてと。絵夢の奴から地下闘技場の場所を聞き出してよかったなぁ。まぁセコンドとしてなぜかついてるんだけど。なんでいるの?てか、なんで来てるの?


「大丈夫?殺しそうになったら俺を殺していいよ?」


「しねーよ」


 さてと。グローブは付けた、BAは装着してない。つまり同条件って訳だ。訳の分からねぇ奴相手とか、ちょっと真面目に嫌になっちゃうよなぁ。


「よーしぶっ飛ばしてこい!」


「言われずとも」


 相手はやる気満々らしい。今にも飛び込んで殴りかかってきそうだ。


『えー。今回の試合は特別試合!エキシビションマッチとなっております!負けた方は全てを失う戦いです!』


「え、そんなことになってんのか」


「まー頑張れよ!」


 さてと。腕っぷしはいかほどか。


『さぁゴングが鳴らされました!』


「じゃあ死ねよ!」


 顔をめがけただけの、大振りな攻撃。そんなに強くないなお前?こうしてカウンターも軽く叩き込めるぜ。顎へし折れば流石に立てないでしょ。


『あーっ!白銀選手の鋭い一撃が『金指かなし』選手の顎にクリーンヒット!顎が砕けた音がしたぞ!?』


「……」


『金指選手動かない!自分より小さい相手に戦いを挑んだくせに一撃KO!これは恥ずかしいです!そして今、ゴングが鳴らされました!勝者、白銀選手!』


 まぁうん。弱かったね。


「クソが……ッ!ふざけんじゃねぇぞインチキ野郎!」


「えぇ……。まだ立つのか」


「うるせぇ!この場で殺してやる!」


『おっと銃だ!金指選手銃を持っていたぞ!反則負けで一回に二度負ける気かぁ!?』


「うおっヤベッ」


 ちょっ、流石に銃はまずい!それはヤバいって!BA使うか!?


「おら!撃たれたくなけりゃそこに土下座しろど」


『ここで絵夢が動いた!』


「あっ一発で折れた!」


 ワァ絵夢、一撃で銃を持ってる方の腕へし折ったぞこいつ……。なんでそんな強いのにドMなんですかね?変態だから強いのか?


「あ!壊れちゃった」


「どうするんだよそいつ」


「え?いや普通にボコボコにするけど。そもそも賭け試合も行われてたみたいだからねぇ……。報復って、怖いよ?」


 やっぱ怖いわこいつマジで。

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