十三話『武人として、人として』


「射撃兵装作成!」


「さっきのか、ならば!」


「いいや、違うんだなぁこれが!普通の武器じゃねえよ悪いけど!」


 射撃すると言っても撃つのは銃弾とかじゃなく、俺が今生成した武器その物!それは槍だっ!刺さったらヤバいぜ?


「ぬあっ!」


「避ける事すら想定内!食らえビーム!」


「ぐ……ッ!なんだそれは!?」


「暇だから付けた武器だ!まさかいい感じに当たるとは思ってもなかったがなぁ!」


 額に付けたレーザービーム装置!正直使えるとは思ってなかった。完全に余ってたからついでに付けたって感じだった。でも相当効いている!


「完全武装対BA専用兵器なんだよ俺は!分身体を失ったお前は専用機じゃない、ただの汎用機だろうが!」


「それは否めないが……、バカにするなよ。貴様がそうであるように、我々も命尽きるまで戦うのだ」


「そうか!」


 では不意打ちのロケットパンチでございます。ナノマシンなので腕パーツを外して吹っ飛ばしても大丈夫なんですね!


「なんだその隙の無さは!」


「あぁそうなるよう作ったからな!おいただ避けるだけでいいのか?」


「いつの間に」


 喋ってる間にジェット噴射で接近&胴体へ回し蹴り!からの連撃でのかかと落としだ!完璧に決まったぜ今のは!


「ぐぅ……ッ!なんて威力だ」


「おいまだ連撃は終わってねぇよ?」


「なめるなぁ!」


 相手の大振りの拳を避け、肘に手を当て腕をへし折る!いくら機械で身を包もうとも、肉体そのものに効く攻撃は防げないだろう?


「……ッ!」


「これ、おまけね」


「何ッ!?」


 こちらダイナマイトです。どうぞ。お前に一方的にあげる。お前だけ爆発すると良いよ?……おっと。一階玄関口が吹っ飛んだぞおい、ちょっと火薬量多くしすぎたかな?けどまだ相手は形を保っているようだが……。


「凄い音がしたが何があった!?」


「あー。敵を倒した。こいつが敵だ」


 ようやく警察が来たか。遅いんだよおい。ほぼ全員俺らだけで始末しちゃったぞおい。どうするんだよこれ。お前らの怠慢だからな!


「……負けか。我々の」


「あぁ」


 さてと、警察の奴に色々質問されるだろうなぁ。面倒だなぁ。


「皆は大丈夫だったか?けが人はともかく死傷者は出てないだろうな?」


「一応出ていないらしい。……今確認中だがな」


「それはよかった。おい貴様!立て!」


 ふむ、その前に一応聞いておきたいことがあるんだが。あーちょっといいですかね?邪魔はしないんで。


「なんだ」


「そいつに聞きたいことがある。少し待ってもらおう」


「まぁいいだろう。手早く済ませろ」


 はいありがとさんね。じゃ手早く聞かせてもらいましょうか。


「……何を聞きたい?」


「具体的に言えば、誰に雇われて俺らを襲撃した?」


「やはりそれを聞くか。……悪いがそれは言えない。そして何より、私は負ければ死ぬようになっている」


「何!?」


「私は私の会社を守りたかった。……白銀。最期にお前と戦えて、よかったぞ」


 壊れてっ……中は機械か?だがどういう……。ん?このコア、どこかで……。


「おい何があった?」


「……今回の騒動が、終わったって事ですよ」


 このコアは知っている。遠距離から操作する事が出来るコアだ。爺ちゃんのパソコンに残したデータにも載っていたが……。爺ちゃんが欠陥品と言うだけある。こいつは壊れた場合、これを操作している奴も死ぬと言う、超が付くほどの欠陥品だ。


「……」


 あの声色、声は変えていたが最後の最後に本当の声が聞けた。……ダストの声だった。恐らく社長って言っても中小企業の社長だったんだろう、吸収合併により立場を失い、そして今回の事件を……。


「やるせねぇなぁ」


 結局。今回の事件は全部うやむやになった。あのダストが全てやったと言う事になり、他の奴らは全員刑務所に入れられた。だが見つかっていない人物がいると言う。


「いや、私が戦った奴がいるんだけどさ、その中にダストの秘書?みたいな奴と姿を変えられる奴がいたんだよね」


「マジで?で、どうしたそいつは」


「姿を消す方には逃げられた。秘書の方は見逃したんだけど、その後見つからなかった」


「うーん?どこに行ったんだろうなそいつらは」


「分かんない。まぁ気にしないでいいんじゃない?どうせリーダーは倒したんでしょ?」


「……そうだな。そうだよな」


 何かが引っかかるんだよなぁ、今回の事件。何がって言われるとよく分からないんだが、とにかく何かが引っかかる。一番気になる点と言えば……何故か、俺の腕にBAの図面があると知ってたところだ。


「そもそもなんで敵は俺が図面を持ってるって、知ってたんだ?」


「その辺はほら、ニュースにもなったし。でも確かにちょっと変だったよね、そもそもさ、もし仮に白銀のBAが目的って言うんなら、他の場所で不意打ちするでもいいのに」


「……そこだな」


 なぜわざわざ奴らはこの学校に対して攻撃を仕掛けてきたんだろうな?そんなメリット一つもないのに……。


「と言う事は欲しかったものは別にある?」


「えっどういう事?」


「俺のBAには、確かに情報が詰め込まれていた。……が、そいつは何が何だか分からないような物が多い。クソ下手糞な文字で書かれた紙とかな」


「何それ。そんなの欲しがったのあいつら?」


 ……もしかして、まだ何か別に爺ちゃんは隠しているのでは?BAに関わる重要な物を……。


「とりあえず、今は全員無事に終わったことを喜ぶべきなんだろうな」


 だいぶ、そうも言ってられない状態にまでなったけどな。校舎に関しては本館が全壊、寮もだいぶ破壊されてしまったし、別棟はギリギリ何とか大丈夫だったが、それでもかなりの被害を受けたらしい。


「どうするんだろうなぁ。これ」


「建築関係はナノマシンでするのも無理だ、大体三ヶ月程度は別棟で授業することになるだろうな」


「っとルミナ先生!大丈夫でした?」


「あぁ。あの後予備のBAを着てきたが、まさか倒すとはな」


「ぶっちゃけ分身体を倒したら汎用機以下の性能でしたからね。……けど、装着者が強かったんで結構ヤバかったです」


「そうか」


 考えてみれば、パールが手も足も出ずに二対一でやられてたんだ、弱い訳がない。あのまま腕だけのエネルギー切れ状態で戦った場合、万に一つも勝ち目はなかっただろうな。勝てたのはやっぱり瑠璃と銀が来たことが大きい。


「ところでパールはどうしました?」


「あー。あいつは色々あってふさぎ込んでる。お前、入って来るなってよ」


「うーわマジか。まぁしゃぁないか、色々あったし。死神騎兵に結構ボロクソにされたからなぁ」


「そうだったのか……。ならそっとしておいてやろうか。でお前どこに泊まるんだよ今日」


「今日です?その辺のホテルにでも行きましょうかね、金は一応あるんでその辺の安いホテルにでも」


「ハーイ!なんか色々あったらしいですネ!」


「あっヒスイ」


 そう言えばこいつ別棟にいたんだっけか。そりゃ何も知らないわけだ。とりあえず説明はするとして……。


「オー……。それはバッドですネ」


「そうだな。で、解読は進んでるか?」


「ハイ!半分程度は解読しましたヨ!」


「おぉ流石本場の人だ。それでなんて書いてあった?」


「えーっとですネ……。簡単に言うと、Rに会いに行けと書いてありまシタ」


 ……R?それってもしかしてあのハイグレフェチ野郎の事か?なんでわざわざあんな奴に会いに行けって言うんだ爺ちゃん。


「ところでRって誰デス?」


「お前知らないのか?今専用機持ちなら誰でも知ってる日本の……ってお前アメリカ出身か、悪い知る訳無いよな」


「ハイ。誰ですっケ?」


「流石に知っとけよそこは……。一応世界進出も狙ってるみたいだし、一度会ってみたかったからな!」


「知り合いデス?」


「腐れ縁だ」


 じゃあ行くとしますかね、あの地獄のような場所に。


「よしパールも連れて行こう(提案)」


 あいつもあそこで面白い機体を見ればテンションが上がるだろ!まぁ多分って付くんだけど。

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